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店舗運営におけるメカトロニクスとは?人件費削減に効果アリ!

少子高齢化が進み、日本の人口はどんどん減ってきています。今後、高齢化によって働く人よりも利用する人が多い状態に逆転しようとしています。

そんな中、人員確保、人件費削減に大きな効果のある「メカトロニクス」は、小売業者やサービス業において、将来性の高い分野です。導入する際には、どのような自動化が出来るか、機械メーカーに相談して導入することになります。

今回はメカトロニクスの概要や関連用語、メカトロニクス化のメリットなどを解説いたします。

【目次】

メカトロニクスとは

メカトロニクスという言葉は、すでに一般的なものになりつつありますが、メカニズム(機械工学)とエレクトロニクス(電子工学)を合わせた造語です。
今では当たり前になっていますが、機械工学と電子工学は元々別の開発分野でした。簡単に説明すると、機械工学は「物を動かす」分野で、電子工学は「電気信号を送受する」分野です。例えば、自動ドアのようにセンサーによって人を感知して、ドアが開く、という動作は、メカトロニクスの分野なのです。

メカトロニクスの3要素

エレクトロニクスは機械工学と電子工学の分野が合わさった造語ですが、最近のメカトロニクスでは、メカ(機械分野)、エレキ(電気電子分野)、ソフト(情報、ソフトウェア分野)の3要素が必須になっています。機械工学、電子工学だけでなく、情報工学も加わって、私たちの生活を豊かにする研究がなされているのです。

情報工学は、いわゆるパソコンなどのデータ整理や、機械を動かすためのソフトウェア、アプリケーションなどを指しています。メカとエレキ分野のみの技術では、信号を受けたら動く、信号が切れたら止まるという単調な機械しか作ることが出来ません。そこにソフト分野を組み合わせることで、制御の幅が広がるのです。例えば、センサーで電気情報を受け取った後に、ソフト分野で制御することが出来るので、人物の識別や時間によって機械の動く方向を変えることが出来るのです。

メカトロニクスという言葉は日本で生まれた

メカトロニクスという言葉は、すでに論文などで使われている一般用語になっていますが、初めて使われたのは日本なのです。1960年代後半に、株式会社安川電機がメカトロニクスという言葉を使い、それから日本の製造現場を中心に広まっていきました。今ではアメリカで一般用語として辞書に記載されていたり、論文などでも使用されていたりするほど、一般的な言葉となっているのです。

メカニズム(機械工学)だけの技術では、今存在する自動化のほとんどは実現出来ていません。工学を組み合わせることで幅広い技術を生み出すことに成功したのです。

「メカトロニクス」と「ロボティクス」

メカトロニクスとよく似た言葉に「ロボティクス」というものがあります。これは、ロボット工学のことで、ロボットの研究や開発を行っている工学分野です。ロボットというと、人型で二足歩行のものを想像するかもしれませんが、電気信号によって動くものの総称をロボットと呼んでいます。出荷したものを自動で仕分けているベルトコンベア装置も、ロボットです。

ロボット工学は、信号や受け取ったデータをロボットが受け取り、次の動作を選ぶようなものが多いので、基本的にはメカトロニクスと研究分野は被っています。人型のロボット分野だけは、メカトロニクスとはかけ離れた研究分野となっています。

メカトロニクスと関係の深い「IoT」と「AI」

現在のメカトロニクスの分野で欠かせないのが、IoTとAIの存在です。IoTとは、Internet of Things(もののインターネット)という意味で、機器同士をインターネットにつないで、機器同士の情報共有をすることです。IoTを使うことで、インターネットを通すことで遠隔操作が可能になったり、子機で得た情報や子機の状態を親機に瞬時に送ることが出来るので、正確なデータ回収が出来るようになったりします。

AIもメカトロニクスにおいて重要な役割を果たします。メカトロニクスの分野では、電気信号を受け取ってメカを動作させる装置が多いですが、そこにAIを組み合わせることによって、電気信号の種類によって「どのような操作を行うか」を機械側で判断させることが出来るのです。今後、店舗運営やサービス業、小売り業などの仕事にメカトロニクス・IoT・AIが導入され、人間ではなく機械が判断するということが増えていくと考えられます。

では、実際にどのような事例があるのか見ていきましょう。

メカトロニクスの導入例1:入荷商品の自動仕分け

メカトロニクスは、センサーなどで読み取った情報をもとに機械を動かすことが出来ます。入荷する商品の仕分けなどは、機械だけで行うことが可能です。例えば、野菜を入荷した場合、冷蔵庫に入れるべき野菜と、そうでない野菜を自動で仕分けることが出来ます。

野菜を出荷するときに、段ボールにQRコードを貼り付けてもらえば、入荷したときにセンサーでQRコードを読み取り、入荷した野菜が何かを把握することが出来ます。もし、冷蔵庫へ入れるべき野菜であれば、ベルトコンベアを作動させて冷蔵庫へ移動。冷蔵庫へ入れない場合はリフトで下に下ろす、という動作を機械だけで判断することが出来ます。

ここまではメカトロニクスの分野で作ることが出来ますが、IoTを組み合わせることによって、センサーで読み取ったQRコードをもとに、現在どんな商品が入荷しているのか、すぐにリストアップ出来ます。商品管理や入荷・出荷管理がしやすくなり、業務の速度向上に繋がります。さらに、AIを組み合わせれば、現在入荷が遅れている商品や、多すぎる商品の注文を減らす、というところまで行うことが出来ます。

商品の入荷作業は人が運んで、リストにチェックするというアナログの時代から、メカトロニクスやIoT、AIの発達によって、人ではなく機械だけで行える仕事になります。

メカトロニクスの導入例2:飲食店の接客

最近、居酒屋を中心とした飲食店で「タッチパネル注文」が増えていますよね。これはIoTを使った技術のひとつなのですが、タッチパネルで受けた注文を、ベルトコンベアで運ぶ、ということも今後は可能になります。

まず、飲食店に入ると人数、喫煙か禁煙、テーブル席・カウンター席などを確認してから案内をするホールの仕事があります。このホールの仕事はメカトロニクスを使って、機械で行うことが可能です。
お客様がお店に入って、入り口にあるタッチパネルで「人数、喫煙か禁煙、テーブル席・カウンター席」を入力し、番号が書かれた紙を発券します。入力された情報をもとに、IoTとAIを使って空いている席があるかを確認し、空いている場合はモニターに番号と席番号を表示すると、お客様が自分で席まで足を運んでくれるようになります。すると、ホールの仕事をしている人の人件費を削減することが出来るのです。

料理の注文はタッチパネルで、料理を運ぶのもベルトコンベアを使えば、片付けや細かい業務以外のホールの人件費を削減することが出来るのです。メカトロニクスの導入や、ベルトコンベアの初期投資が必要になりますが、長い目で見れば、メカトロニクスをサービス業に導入することで人件費の削減は容易に可能なのです。

メカトロニクスの導入例3:ホテルなどの受付管理

ホテルなどの受付管理も、メカトロニクスを使って簡単に行うことが出来ます。タッチパネルでお客様に部屋を選んでもらい、料金を投入してもらうと扉が開いて鍵が出てくる、という設備を導入すれば、受付に人を配置する必要がなくなります。IoTを使えば、滞在時間を測定することも可能ですし、延長した場合アラームを鳴らすことも出来ます。延長した場合、追加料金を投入しないと鍵が開かないというシステムにすることで、部屋の管理も簡単に行うことも可能です。

また、部屋の鍵が開いたことをIoTで管理すれば、清掃業務もスムーズに取り掛かることが出来ます。

メカトロニクス化のメリット

メカトロニクスは、現在人が行っている仕事を機械に置き換えることが出来るツールです。特に、物を運んだり管理したりすることが多い小売業者や、人件費がかさむ飲食店などのサービス業ではメリットが高くなります。

メリット1:人件費削減に繋がる

現在人が行っている仕事を、機械に行わせることで人件費削減に繋がります。小売業者やサービス業は、人件費が多くなると赤字になりやすいので、最小限のシフトで回しているケースが多いです。その場合、一人にかかる負担が大きくなったり、急な欠勤が出てしまった時にてんてこ舞いになったりするリスクもあります。メカトロニクスを導入することで、人件費削減に繋がるだけでなく、人が足りなくなった時のリスクを減らすことにもなります。

メリット2:人員不足にも効果がある

2025年には、女性の半数が50歳以上になる、というデータがあり、今後働く人不足になることが予想されます。特に、小売業者や飲食店、コンビニなどのサービス業はその影響を大きく受ける可能性が高く、人員確保が難しくなるでしょう。人員を確保するには、時給を上げるなどが必要になってしまい、人件費がかさむ可能性もあります。その結果、店舗縮小などを行う企業が増えるかもしれません。

メカトロニクスは、そういった人員不足にも対応が出来ます。現在人間が行っている業務を、機械化するものなので、初期投資をしてしまえば、人員が不足しても営業を続けることが出来ます。極端な話ですが、深夜の店舗掃除を機械に行わせれば、その間に人間でしか出来ない書類作成などの業務に時間を当てることが出来ます。

メリット3:機械は24時間稼働可能

機械は24時間連続で稼働させても問題がないですし、労働基準法もありません。連続で働かす、人がいなくても自動で動く、というシステムを導入すれば作業効率は飛躍的に上がります。人がいない深夜でも稼働できるというのは、大きなメリットになります。

メカトロニクス化させることのデメリット

機械産業などの生産現場はメカトロニクス化が進んでいますが、小売業やサービス業関連にはメカトロニクス化があまり進んでいません。
メカトロニクスを使って、人間が行っている業務をロボット化させるには初期費用がかかります。小売業の場合、その初期投資を支払うよりも人件費を支払った方が安くすむ考える人が多く、メカトロニクス化が進んでいません。

前述した自動仕分けの方法も、ベルトコンベアやリフトを導入しなければ実現出来ませんし、導入する場合、一時的にそこで作業が出来なくなります。工事のために別の倉庫を借りたり、大掛かりな工事にお金をかけたりするまでに至っていません。

また、サービス業の場合、ロボットで受付が出来るとはいえ、お金のことをAIに任せるのは少し不安が残りますよね。将来的にはそうしたい、と考えていても、すぐには取り入れにくいのがメカトロニクスなのです。

小売業・サービス業とメカトロニクス

今後、小売業やサービス業での人員不足は加速すると考えられるため、メカトロニクスを使った店舗運営は必要になってくるでしょう。メカトロニクスをすぐに導入するにはデメリットがありますが、小さなことから取り入れることで、メカトロニクスを導入しやすくなります。

例えば、今年は「商品入荷のQRコードとそのスキャンセンサーのみを導入しよう」というように、一気にメカトロニクス化させるのではなく、導入しやすい部分からメカトロニクス化させていくことがおすすめです。QRコードとセンサーがあれば、いちいち箱を開けなくても中の商品がわかるので、商品を運ぶ時に、時間短縮に繋がります。それだけでも、メカトロニクスを導入したメリットがあります。

また、飲食店でも注文だけタッチパネルに変えるなど、少しずつメカトロニクスを導入していくことで、メカトロニクス化のハードルは下がります。お客様が利用する部分をいきなりメカトロニクス化するのはハードルが高いですが、従業員が使うキッチン部分を自動化することで、商品を出すスピードがアップしたり、従業員の作業効率を高めたり、よい効果も多いです。

メカトロニクスを導入は、「今一番コストがかかっている部分」に導入するのがおすすめです。

メカトロニクスは将来性の高い分野

メカトロニクスの初期投資は高額でも、機械は24時間、さらに10年20年と動くことが出来るものなので、損ばかりするようなことは稀です。

電気信号を受け取って機械を動かすメカトロニクス、それをインターネットで繋いで管理するIoT、そして機械が自分で判断するAI。今後の日本の店舗運営に大きな変化を与える分野なので、導入の検討をしておくとよいかもしれません。

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