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飲食店のAIテクノロジー:集客から味覚分析までおこなうミライとは

  • AIテクノロジーはディープラーニングやIOTとの連携によって日々、進化を遂げている。
  • 将来的に、事務的な仕事や危険な作業、身体的負担の大きい作業はAIを搭載したロボットが担う可能性もある。
  • 飲食店におけるAI活用の事例は、空席状況の管理やレシピ開発、味覚分析によるデータの提供など。

AIテクノロジーとは

AIにできること

人工知能学会によると、AI(人工知能)には次の2つがあるそうです。

  • 人間の知能そのものをもつ機械、またはそれを作るための研究
  • 人間が知能を使っておこなう思考や作業をさせる機械、またはそれを作るための研究

そして、現在の研究開発は、もっぱら「2」のAIを想定しておこなわれているとのこと。さまざまな方法で学習させ、得た知識を活かして自身があらたな結論を導けるようなAIについて、研究がおこなわれているということになります。ディープラーニング(深層学習)という概念も、ここ数年でかなり一般に周知されてきたのではないでしょうか。

参考:人工知能学会「人工知能って何?」
https://www.ai-gakkai.or.jp/whatsai/AIwhats.html

現在のAIテクノロジー

現在のAI技術の代表的なものとして、Appleのパーソナルアシスタント「Siri」や、Softbankの「Pepper」が挙げられます。
タイマーセットやメールを開くといった動作から、加算乗除、レストラン検索などが可能な「Siri」は、秘書機能をそなえたAIです。
また、Pepperは、家庭向け、ビジネス向け、教育向け、開発者向けと4つの利用シーンを想定したモデルがあり、それぞれの環境に合わせて学習を深めていくことができます。
イベントや顔認識をディープラーニングによって集積し、的確にカテゴライズしていくGoogle PhotosもAIを活用したものです。

未来のAIテクノロジー

少子高齢化にともない働き手が減少すると、事務職や運送業の一部はAIを搭載したロボットが担うことになるのでは‥‥と予想する識者もいます。
また、Pepperのようなロボットが各家庭に普及し、話し相手になったり身の回りの世話を手助けするという未来は、SFでもよく描かれます。
ちなみにドラえもんの誕生は、2112年の未来という設定。そして鉄腕アトムは、2003年が誕生日として設定されています。人間の友達になるようなロボットの誕生はまだ先かと思いますが、ロボットの形をとらないAIテクノロジーは日々進化しています。

飲食店におけるAIテクノロジーの展開

AIテクノロジーの基本について知ったところで、飲食店におけるAIテクノロジーの活用について見てみましょう。

事例1:空席状況表示システム「VACAN」

まずは、飲食店の混雑状況をデジタルサイネージに一括表示させる「VACAN」というシステムです。飲食店を利用する消費者にとって、利用したい店に空席があるかどうか、という情報は重要です。しかし、従来では店舗を実際に訪れないと、混雑具合や空席の状況を知ることはできませんでした。
株式会社バカンと相鉄グループ、そして高島屋が共同でプロジェクトをおこなってきた「VACAN」システムは、この不便を解消するシステムです。
IoT(Internet of Things/モノのインターネット)とAIを利用することで、多店舗の混雑状況を、デジタルサイネージでまとめて確認できます。
画像解析技術を活用し、カメラ等で店舗の客席、待ち列の混雑状況を把握。AIを活用し空席又は待ち時間を最適表示させる仕組みだということです。
試験期間を経て、2018年2月1日から本格導入されました。ジョイナスでは57店舗の、高島屋横浜店では7店舗の飲食店の混雑状況がデジタルサイネージに表示されるようになっています。

参考:AIを活用したレストラン・カフェの空席状況表示システム『VACAN』本格導入開始」
https://www.vacancorp.com/blog/vacan-6da69b20-8895-4602-bf3d-e12cbff25072

事例2:AIによるレシピ開発「シェフ・ワトソン」

IBMの「シェフ・ワトソン」は、レシピを考えるAIです。画家である蜷川有紀の展覧会「薔薇の神曲」では、協賛企業である旭酒造株式会社の「獺祭」を用いたオリジナル料理を、シェフ・ワトソンとホテル料理長が考えるという企画が催され、それ自体が体験型イベントとなりました。

IBM「『獺祭×シェフ・ワトソン』の仕掛け人に聞く、画家・蜷川有紀展の舞台裏」
https://www.ibm.com/think/jp-ja/watson/dassai-chef-watson/

さらに、すでに閉店していますが、カフェバー「Crêpe Café & Bar esprit de esprit(クレープカフェ&バー エスプリ・ド・エスプリ)」も、AIを利用したレシピ開発によるクレープを提供する実験的な店舗でした。
AIが考案したクレープは見た目も華やかで、なおかつ事前の調査では、86%の人がおいしいという回答をしたとされています。

事例3:味覚センサーレオ

甘い、からい、すっぱいなど、漠然とした味覚を数値データとして確認できる味覚センサー。慶應義塾大学は「レオ」と呼ばれる味覚センサーを開発しました。「レオ」は、味の基本要素である甘味、旨味、塩味、酸味、苦味をまず電気的に測量し、その後AIによる補正をおこなうことで、人間が感じる味覚に近い数値を出します。こうした再現方法が可能になることで、食べ合わせによる味覚の変化や、バランスや後味をも数値化することができるようになりました。
まろやかさやコクといった抽象的な感覚も、データ化が可能とされています。「レオ」で味覚をデータ化することで、メニューの組み合わせや新しいレシピの開発を科学的におこなえる可能性がうまれました。大学は現在、「レオ」によってベンチャー企業AISSY株式会社を立ち上げ、飲食における課題への提案や、解決方法を提示しています。

味博士の研究所「味覚センサーレオとは?」
https://aissy.co.jp/ajihakase/blog/sensor-2

番外編:グランベルホテルのAIコンシェルジュ「Bebot」

飲食店と直接の関係はありませんが、未来につながる可能性があるのが、多言語に対応し、おすすめの飲食店の紹介をおこなうAIコンシェルジュです。
「Bebot」はホテルのフロント業務を自動化したAIコンシェルジュ。グランベルホテルでは、英語と中国語に対応したサービスから提供を開始しています。
365日24時間対応可能な「Bebot」は、日本語を話さない訪日観光客の質問やリクエストに応じて、飲食店や施設の紹介などもおこないます。
飲食店におけるAIテクノロジーの導入は、今後こうしたコンシェルジュ系のAIや各種サービスとの連携も重要になってくるかもしれません。

https://www.bebot.io/hotels?lang=ja

まとめ

これらのAIテクノロジーは、目新しさが先に立っている印象もあり、誰もが気軽に導入できるという段階には到達していないかもしれません。先日も、AI技術によってクーポンの発行やポイント付与をおこなうアプリ「Tamecco(タメコ)」がサービス終了を発表するなど、定着に至らないものもあります。
しかし、日進月歩で進化しているAIテクノロジーの活用は、飲食店にさらなる利便性をもたらすことでしょう。飲食店に関わるAIテクノロジーは、今後も次々と新たなものがリリースされる可能性があるので、動向を注視することが重要です。

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