旧システムの老朽化に伴いメーカーごと刷新へ
御社の事業内容について教えてください。
頼経氏:
ISHIYAグループでは、「白い恋人」や「美冬」に代表される北海道らしいお土産菓子を製造・販売しています。
グループ内では、石屋製菓が「白い恋人」をはじめとした洋菓子の製造を行い、石屋商事ではお土産菓子の販売、札幌市西区にある「白い恋人パーク」運営を行っています。
今回のプロジェクトが開始された背景・経緯を教えてください。
頼経氏:
今回のプロジェクトの開始にあたっては、2つの要素が関係しています。
1つは、これまで使用していた他社メーカーのPOSレジが保守切れになったことです。
すでに十年以上稼働してきましたが、同メーカーでは後継機種へのリプレースに伴ってサーバーまで更新が必要ということでメーカーごと刷新する方針がまず決まりました。
もう1つの要素として、ちょうど同じ時期に経営陣から「白い恋人パーク」のレジ改善を求める声も高まっていました。
というのも、例年、繁忙期になると売店のレジに長蛇の列ができてしまい、お客様に快適な購買体験を提供することが難しい状況に陥っていたからです。
混雑を解消するために、セルフレジの導入などの対策を検討すべきではないかという意見が社内でかたまっていた時期でした。
そこで、決済端末を現状のまま変えずに、セルフレジとしても運用できるPOSレジを比較検討しましたが、通常のレジとセルフレジで端末を分ける必要のある機種が大半で、当社の要望をすべて満たすことができるPOSレジは見つけることができませんでした。
そんな中、当社の別プロジェクトで検討されていたORANGE
POSがカスタマイズ可能なPOSシステムであること、セルフレジ機能も開発で追加できる拡張性を考慮し、将来的なセルフレジ導入の可能性も踏まえ、ORANGE
POSを導入することに決まりました。
4ヶ月で導入という短期決戦をクリア。導入後はスムーズなシステム連携で業務効率アップ
プロジェクトを推進される上で、どのような課題がありましたか。
頼経氏:
技術的な課題よりも、時間との勝負が大きな関門として立ちはだかっているプロジェクトでした。
「白い恋人パーク」は例年12月末が繁忙期です。繁忙期で効果を測定するため、12月までに新しいPOSレジを導入したいというのが現場の強い要望でした。
余裕をもって開発に入ることができれば良かったのですが、社内決裁の兼ね合いもあってスタート時期がずれ込み、結果として4ヶ月という短期決戦のスケジュールになりました。
まず、短期で導入を完了するために、カスタマイズは基本的に行わないという方針を決めました。標準機能では現状のオペレーションと異なる部分についてのみ、実際の運用に合わせてデモ環境を作り、機能を確認していきました。ORANGE
POSの標準機能で現状のオペレーションが実現でき、幸いにもカスタマイズなしで利用するように調整できました。
一方で、システム連携については開発の必要がありました。具体的には決算端末との連携と、基幹システムと売上データの連携です。
これらの開発だけでもかなりのボリュームがありましたが、スケジュール通りに進めていただけてとても感謝しています。
プロジェクト開始からローンチまで、実際にプロジェクトを進行していかがでしたか。
頼経氏:
先ほど申し上げた通り、プロジェクトは時間との勝負でしたので、スケジュール進行はエスキュービズムの皆様にかなり助けていただきました。
今回、サーバーの構築や端末のキッティングは自社で実施することに決めましたが、想定よりもうまくいかないことも多く、解決の目処が見えず不安になることもありました。
iPadにアプリを導入するためのAppleへの申請やアプリのインストールまでの工程は、試行錯誤の連続で、特に困難だったように記憶しています。
しかし、困難な局面にぶつかった時に、エスキュービズムの皆様に課題をタイムリーにキャッチアップしてくださったおかげで、大幅な遅れもなく解決することができました。
作業途中でやり直しとなっても、皆様のサポートにより迅速にリカバリーができたので、スケジュールの遅れを取り戻して進めていくことができました。
ORANGE POSの利用を開始して、実際に使われていかがでしたか。
スティール氏:
ORANGE
POSはiPadで操作するシステムなので、スマホと同様の感覚で操作することができました。ホーム画面に出ているボタンが少なく、シンプルな設計も魅力です。画面構成がシンプルなので、押し間違いや入力ミスの可能性を大きく減らすことができると感じました。
多くのお客様で混み合っている繁忙期の店舗で使用する際、日常的に使い慣れているスマホのような感覚で使えるレジは、業務効率化に貢献していると感じます。
山本氏:
通常のレジ操作はもちろん、レジを開局・閉局する際にも手数が少なく済むように設計されている点に利便性を感じます。ORANGE
POS導入によって、お客様対応のシーンだけでなく、店舗業務全体のスピードが改善されました。
頼経氏:
複数の従業員から、レジを打ってから決済端末が反応するまでのタイムラグがほとんどなくなったという喜びの声が聞かれます。
以前のレジは古い端末だったため、かなりタイムラグが生じていたのですが、連携が素早くなった実感があるのは嬉しいですね。
古い端末はサイズも大きく、倉庫保管の際はスペースを取るといった問題もありました。
今回導入したORANGE
POSは、場所をとるものがiPadとレシートプリンタのみのコンパクトなシステムなので、保管場所の悩みが解決しました。
店舗でも、レジ周りがすっきりして顧客動線が確保しやすくなったのも導入して良かった点の一つです。
フルセルフレジで行列問題を解決、よりよい顧客接点づくりへ
今後、エスキュービズムに期待することは何でしょうか?
頼経氏:
古いレジからリプレースできたレジはまだ一部です。引き続き、古いレジを使用している売り場の刷新に向けて共に推進していただきたいと考えています。
特に、ISHIYA札幌大通本店や百貨店に入っている店舗など、スペースが限られる店舗は省スペースで稼働できるORANGE
POSをどんどん導入していきたいですね。
こうした店舗からは、「白い恋人パーク」とは別の要望が現場から挙がってくる可能性もあります。それについても対応を一緒に検討できればと考えております。
山本氏:
白い恋人パークの現場では、寒冷地でも野外で使える券売機のニーズがあったりもします。
繁忙期の行列問題を解決するためのセルフレジ化については、計画が動いている部分が既にありますが、引き続きご相談にのっていただくよう、改めてこの場でお願い申し上げます。
今後の御社の事業展開、業界でのポジショニングや目指したい方向性などをお聞かせください。
頼経氏:
ISHIYAグループは、「Stand by
Hokkaido」という中期経営計画のスローガンを掲げています。
このスローガンは、お土産菓子を観光客に向けて販売するだけでなく、会社の地元である北海道の皆さんとの接点を増やしたい、北海道に寄り添った会社でありたいという気持ちを形にしたものです。
実際の取り組みとして、2023年に旭川へ直営店を出店、2024年に札幌市西区の地域の皆様向け施設として「Route148(ルートイシヤ)」をオープンするなど、商品だけでなく「実店舗」という形で地域の皆さまとの接点を増やしています。
「Route148」は、地域のコミュニティスペースとしての機能を重視し、地域住民の皆様の交流や憩いの場や、キッズスペースを設けています。イベントもたくさん開催しており、子育てサロンや、北海道コンサドーレ札幌のパブリックビューイングなど地元の方が楽しめる施設として運営をしています。
「白い恋人パーク」は観光施設として紹介されることが多いのですが、「Stand
by
Hokkaido」のスローガンに沿って、地域住民の皆さまにも楽しんでいただける取り組みを行っています。謎解きイベントやお化け屋敷、夏のビアガーデンや冬のイルミネーションといったシーズンイベントの実施、大きな白い恋人生チョコサンドが食べられる「コヴェント」のリニューアルオープン、アミューズメントアーケード(ゲームセンター)「ノッティングヒル」の新規オープンなど、訪れる度に新鮮な体験を提供できるように日々更新しています。
レジは、当社にとっての重要なお客様との接点である「実店舗」における顧客満足度を高めるために欠かせないピースの1つと考えています。
観光で北海道を訪れてくださるお客様だけではなく、北海道の地域住民の皆さまに寄り添った事業を展開していくため、今後ともお力添えをお願いいたします。