店舗で顧客体験を向上させるAIテクノロジー事例7選
「お客様にもっとよりよい買い物体験をしてもらいたい!」
と思っているのであれば、AIテクノロジーについても知っておいて損はありません。お客様ごとに個別のおもてなしができたり、今までより細かな分析ができたりと、AIは顧客体験の向上に役立ちますよ。
この記事では、顧客体験を向上させるAIテクノロジーについて、
- AIロボットによる接客:ソフトバンクロボティクス
- AIを活用した「クラウド型“おもてなしサービス”」:日本マイクロソフト、ヘッドウォーターズ
- AIによる深層学習でお客様にお店をレコメンド:デザインワン・ジャパン
- AIを使って店舗の売り場を評価:大日本印刷
- 「マジックバンド」でパーソナルな顧客体験:ディズニーワールド
- お客様ごとにおすすめ商品やクーポンを通知:ドン・キホーテ、ファミリーマート
- お客様の来店傾向をAIで分析:ABEJA
の順に事例を7つ紹介します。
AIというとどこか難しい印象があるかもしれませんが、事例を知るだけであればハードルは高くありません。
まずはこの記事で、顧客体験を向上させるAIテクノロジーについて大まかにおさえましょう!
1. AIロボットによる接客:ソフトバンクロボティクス
ソフトバンクロボティクス株式会社が開発したのが、「レジ for Pepper」です。
これは、
- 注文を受ける
- 商品のレコメンドをする
- 決済をする
- 注文表の印刷をする
- 販売情報(POSデータ)を記録する
という機能をもった接客ロボットで、日・英・中の3カ国語に対応。決済もQRコードやICカード、電子マネーなどに幅広く対応しています。
顔認識の機能も備えており、一度来店したお客様の好みを覚えてリコメンドすることも可能です。
これから東京オリンピックのある2020年にかけて、インバウンド需要はさらに増加するに違いありません。大きな販売チャンスを逃さないためにも、店舗へのロボット接客の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
補足:接客とテナントの棚卸しが1台で。池袋PARCOが実証実験
池袋PARCOでは、お店の営業時はタッチパネルや音声でお客様をご案内し、閉店後は自律走行で商品を棚卸するロボット「Siriusbot(シリウスボット)」の実証実験をしています。日本語と英語の2つに対応しており、店舗の課題になりがちなインバウンド客への案内も考えられています。
また、AIスマートスピーカー「Amazon ECHO」を活用した店舗案内も2018年4月からスタートしています。
音声での案内だけでなく、タブレットでフロアマップを表示し、より顧客に伝わりやすい案内方法となっています。
参考:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28875450S8A400C1000000/
2. AIを活用した「クラウド型“顧客おもてなしサービス”」:日本マイクロソフト、ヘッドウォーターズ
Windowsでおなじみのマイクロソフト社もAIテクノロジーを活用した店舗向けサービスを提供しています。それが「クラウド型“顧客おもてなしサービス”」です。
主な機能は、
- 顔認識でお客様を見分け、挨拶と接客をする
- タブレットやロボットと連携して注文をとる
- 集めたお客様データを管理・分析する
で、接客や注文、決済だけでなくデータの分析までをまとめてできるのが特徴です。
すでに居酒屋やスポーツ用品店などで実証実験がされており、導入が広まっています。
参考:https://news.microsoft.com/ja-jp/2017/02/17/170217-cognitive-services/
3. AIによる深層学習でお客様にお店をレコメンド:デザインワン・ジャパン
デザインワン・ジャパンでは、インターネット上でサイトを見たお客様に対して実店舗をレコメンドする際にAIを用いるシステムを開発しています。お店をレコメンドする機能をもったウェブサイトは今でもありますが、一定のパターンでお店をすすめるだけなので、それがお客様にとって満足度が高いものかどうかは疑問です。
AIによる深層学習によって、個々のお客様にとって本当に行きたいお店をレコメンドすることでお客様がより満足できるのはもちろんですが、店舗にとってもリピート率アップなどの成果につながりやすくなります。
「行きたいお店をしっかりすすめてくれるサイト」としてウェブサイト自体の価値は上がり、お客様も満足し、さらには店舗の売上をアップさせる可能性をもったAIシステムですね。
参考:https://eczine.jp/news/detail/4939
4. AIを使って店舗の売り場を評価:大日本印刷
大日本印刷では、AIで店舗の売り場を評価するサービスを開発しています。2018年4月にリリースされる予定の本サービスは、
- 商品の並べ方
- 商品POP
など、店舗の売り場をAIによって評価。売り場の画像データをAIに読み込ませることで、リアルタイムで改善案を提示してもらうことができます。
お客様の買い物体験をAIの視点から改善させるサービスは、今後の店舗を変えていくはずです。
参考:http://www.dnp.co.jp/news/10143927_2482.html
5. 「マジックバンド」でパーソナルな顧客体験:ディズニーワールド
カリフォルニアにあるディズニーワールドでは、「マジックバンド」と呼ばれるウェアラブルデバイスを使って、お客様ごとに最適化された体験を提供しています。
マジックバンドは、つけているだけで
- ディズニーワールドへの入場チケット
- ファストパス(並ばずにアトラクションへ案内されるチケットのようなもの)
- レストランの支払い
- ホテルのルームキー
など、ディズニーワールド内でのあらゆることができる端末です。そしてマジックバンドはAIによって運営されており、お客様ごとに思い出の写真を送るなどのサービスを実現しています。
また、ディズニーワールドはお客様がどのようにワールド内を行動したのか記録して、分析することが可能です。これにより、最適なスタッフの配置やサービスの改善をすすめることができ、顧客体験のさらなる向上につながります。
6. お客様ごとにおすすめ商品やクーポンを通知:ドン・キホーテ、ファミリーマート
ドン・キホーテやファミリーマートでは、AIを使ってお客様ごとにおすすめ商品やクーポンを通知する試みをはじめています。
ドン・キホーテは自社の電子マネーサービス「Majica」において、アプリをダウンロードして来店したお客様それぞれに対しておすすめ商品やクーポンを発行する仕組みをつくっています。これにより、一斉に同じクーポンを配信するよりも高い利用率が実現するはずです。
また、ファミリーマートではLINEと業務提携して、ファミリーマートのLINEアカウントからお客様ごとに違ったクーポンを配信しようとしています。ふだんからよく使う人が多いメッセージアプリを通じて、AIで最適化されたお知らせを送ることで、利用してもらえる確率はアップするに違いありません。
7. お客様の来店傾向をAIで分析:ABEJA
最後に紹介するのは、AIによる来店分析です。ABEJAでは店舗内のカメラで記録した映像をAIによって分析、そしてお客様の動向から最適な店舗づくりをサポートするサービスを提供しています。
具体的には、
- 時間ごと、月ごとにどれくらいのお客様が来店したか
- お客様はどんな動きをして、いつ商品を手に取ったか
など、今までは難しかったリアルタイムでの分析ができます。そして、分析したデータをもとに店舗を改善することが可能です。お客様の買い物体験を向上させ、売上アップにもつながる分析は、すでに百貨店やコンビニエンスストア、アパレルショップなどに導入されています。
AIテクノロジーを使った顧客体験の向上で、売上アップにつなげる
ここまで顧客体験を向上させるAIテクノロジー事例を7つ紹介しました。
おさらいすると、
- AIロボットによる接客:ソフトバンクロボティクス
- AIを活用した「クラウド型“おもてなしサービス”」:日本マイクロソフト、ヘッドウォーターズ
- AIによる深層学習でお客様にお店をレコメンド:デザインワン・ジャパン
- AIを使って店舗の売り場を評価:大日本印刷
- 「マジックバンド」でパーソナルな顧客体験:ディズニーワールド
- お客様ごとにおすすめ商品やクーポンを通知:ドン・キホーテ、ファミリーマート
- お客様の来店傾向をAIで分析:ABEJA
の7つをお伝えしましたね。AIテクノロジーを使うことによって、今まではできなかった分析やサービスが実現します。それにより、お客様の買い物体験は今まで以上に向上するはずです。
まずは、自社でAIを導入するとすればどの事例に近いのか、考えるところからはじめてみてください。
この記事を書いた人
黒田剛司
大阪市立大学商学部を卒業後、新卒で独立。学生時代に身につけた経営・流通・マーケティングなどの知識を活かし、コマースについて幅広いジャンルで執筆。また、サイト制作やWebメディア運営も請け負っており、IT系の記事作成も可能。無類の動物好き。