様々なシーンで活躍する音声通訳デバイス「ポケトーク」
最近では日本へ訪れる外国人旅行者の増加に伴い、外国人旅行者と接する機会も増えました。
外国語で道を訊かれたりしてしどろもどろになった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
特にビジネスの場においては辞書やフレーズ集を片手に外国人と意思疎通をするのはスムーズな会話の妨げになります。しかし外国語の習得は一朝一夕でできるものではないので、どうしたものかとお悩みの方もいらっしゃるでしょう。
そのような方におすすめしたいのが、音声通訳デバイスです。近年、通訳機能を備えた便利なデバイスが次々と開発・販売されています。
今回取り上げるのは「ポケトーク」という音声通訳デバイス。
ポケトークは63言語に通訳をしてくれる便利な音声通訳デバイスです。
以下では、ポケトークの特徴について解説していきたいと思います。
ポケトークの特徴
ポケトークはその名の通りポケットにおさまるサイズの音声通訳機器です。最初に通訳したい言語を選択するだけで音声に反応し自動的に通訳を始めます。
通訳可能言語は上でも触れましたが63もの言語に対応することができます。対応言語一覧はこちらから確認できます。
参考:ソースネクスト
http://www.sourcenext.co.jp/pressrelease_html/JS/2017/2017102301/
こちらはポケトークの紹介動画で、使用時の様子を確認することができます。
機器は2万円台から販売されています。価格は機器本体(24,800円)もしくは機器+SIMカードがついたプラン(29,800円)から選ぶことができます。※税抜価格、2018年7月時点の価格
短期間利用したい人向けに機器のレンタルサービスを行っている会社もあります。
操作はタッチボタン式で、ボタンが少ないため初めての人でも簡単に使うことができます。使用時間は充電をフルにした状態で6時間連続使用可能、また人混みのなかでも音声を聞き取るノイズキャンセル機能搭載のマイクを備えています。機器背面にはSIMカード挿入スロットが備わっています。機器下部には充電するためのマイクロUSB挿入口とマイク兼ヘッドフォン用の端子挿入口があります。
ポケトークの活用シーン
ポケトークは次のようなシーンで活用が期待できます。
海外旅行
海外旅行や海外出張が多い方のお供として役立ちます。
ビジネス
訪日外国人が増えていることから、外国人と接する機会が多い飲食店や小売店で活用することができます。たとえば飲食店での活用事例でいえば、外国人客向けに案内やメニュー、アレルギーの有無、会計システムなどについての説明をする際に便利です。
外国語の勉強
ポケトークの液晶画面では翻訳した文章を文字で表示させることができるため、外国語の勉強にも適しています。履歴では20件まで記憶させることができます。
医療機関や役所などの公的機関
旅行だけでなく日本へ長期滞在、また移住する外国人もいるため、病院や公的機関において日本語が不得意な外国人とコミュニケーションを図るのに役立ちます。
外国人スタッフとのコミュニケーションにも
近年では日本で働く外国人スタッフも増えました。日本語があまり得意ではない外国人スタッフと意思疎通を図る時にもポケトークは役立ちます。
ポケトークの評価
ポケトークの口コミは比較的良いものが散見されます。良い点・悪い点を挙げると次のようなものがありました。
◯良い点
- 音声認識の精度が高い
- 通訳がほぼ正確で早い
- 立ち上がりが早い
×悪い点
- 言語によっては翻訳の精度が落ちる
- 画面が小さく文字が見づらい
- 会話に空白ができるとそれまでの発話内容を翻訳してしまう
- 言語の選択画面があいうえお順になっていないため探すのに時間がかかる
音声通訳デバイスなので、通訳の精度は非常に気になるところです。利用した人の口コミを見ると、通訳の精度についてはおおむね高評価でした。
ただ固有名詞の認識が少々苦手なようで、似た音を探して通訳するので不自然な翻訳結果になることもあるようです。同じ言語の話者同士でも聞き間違いを起こすくらいですから、100%正確に伝わらないこともあると理解しておいた方がよいでしょう。
アップデートも随時行われるため、徐々に使いやすく改良されていくことでしょう。
ポケトークの利用は通信環境に左右される
ポケトークを使用する前に知っておくべきことは、通信環境が不安定な場合にはうまく動作しない点です。利用するためには次のいずれかの方法で使うことができます。
- 手持ちのスマホでテザリングする
- Wi-Fiに接続する
- 専用グローバルSIMカードを挿入する
ポケトークの公式ページにも記載されていますが、次の通信環境では利用できません。
× パスワードなしのWi-Fiに接続
× ブラウザで認証するタイプの公衆無線LAN
参考:Poketalk
https://pocketalk.jp/product/?i=pjg
Wi-Fiで利用する場合、Wi-Fiの通信状態に左右されます。SIMで利用する場合はSORACOMという企業が提供している専用SIMを使う必要があります。SORACOMのグローバルSIMはポケトークを購入する際にオプションでつけることができます。
また、電波状況が悪い場所では通信がしづらくなることもあらかじめ知っておいたほうがよいでしょう。ポケトークはオフラインでの利用ができないため、海外へ行く際は渡航先のネットワーク状況について確認したほうがよさそうです。
また海外で利用するためにはグローバルSIMの対象国であることが条件なので、事前に調べておきましょう。
参考:ソースネクスト 利用可能対象国一覧
http://sourcenext.co.jp/pressrelease_html/JS/2018/2018061402/
似たような音声認識通訳デバイスとして「illy(イリー)」や「Langie(ランジー)」がありますが、こちらはオフラインで使えるため通信環境を気にせず使いたいという人はこちらの方が向いているかもしれません(※ただしオフラインだと通訳できる言語数が限られます)。
ポケトークは訪日外国人客とのコミュニケーションに役立つ
1990年代以降、訪日外国人客数は増加傾向にあります。2016年には訪日外国人客数が初めて2,000万人を突破しました。また2020年には東京オリンピックが開催されることでこれまで以上の訪日外国人数が予想されることから、外国人客と多数触れ合う機会がある接客・サービス業や小売業などでは外国語対応できることがより一層重要になります。
しかし外国人客に対応できる語学が堪能なスタッフを確保することは難しいため、この問題について考えなくてはいけません。
外国人と接する際、どちらかが言語を理解できない場合に身振り手振りを交えつつ説明するのには時間と根気が必要です。特に多忙な飲食店や小売店舗において少ない人員で営業している場合、日本語が通じない外国人客とのコミュニケーションで時間が取られ業務効率が悪くなることもあります。
飲食店では特に来店客のアレルギーが出やすい食材について説明する必要があるため、ポケトークのような音声通訳機器があると安心して接客が行えるでしょう。ポケットサイズのため常に携行して利用することもできます。
ポケトークの売れ行き
ポケトークはソースネクストとオランダのTravis社で共同開発された製品で、日本ではソースネクストが独占販売しています。2017年10月23日から予約を開始し、受付開始から11日で初回生産分が売り切れとなりました。実際に販売された台数は明らかにされていませんが、2020年までに50万台の販売台数を目指しています。
同社は家電量販店、レンタルサービス会社、法人などに向けて販売を行なっており、今後の販売・利用拡大に大きな期待をかけています。
まとめ
ポケトークは様々なシーンで外国人とコミュニケーションを図るときに非常に便利な機器です。様々な言語を話す外国人が日本へ訪れるため、特定の言語が堪能なスタッフだけでは対応が追いつかなくなるかもしれません。
オリンピックの開催でさらに訪日外国人が増えることが予想されるため、準備をしておく意味でもポケトークの導入を考えてもよいかもしれません。