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インスタカートやtwidy、買い物代行の国内外サービスまとめ:今後はどうなる?

名もない家事に分類されるかもしれない、日用品のストックや食料品といった日々の買い物。国内外で代行サービスが台頭しています。実際に利用しているのはどのような人で、今後このサービスはどのように展開していくのでしょうか?

買い物代行の普及の背景と、海外と日本の実際のサービス事例についてまとめました。

【目次】

買い物代行とは

買い物代行は、日用品や食料品といった日々の買い物を請け負うサービスです。
買い物を代行するというと、自分では買いに行けない遠方で販売されているものを依頼したり、センスやスキルのある人に贈り物やファッションアイテムを選んで購入してもらったりという特別なことを思い浮かべるかもしれません。
そうしたサービスもさまざまなものが出始めていますが、今回取り上げる買い物代行サービスは、スーパーやドラッグストアなど日常的な場所での代行をおこなうものです。

海外編:買い物代行サービス事例

イメージしやすいように、早速実際の事例をみてみましょう。海外のサービスから紹介します。

インスタカート(Instacart)

もっともポピュラーな買い物代行サービスといえるのがインスタカート(Instacart)。
インスタカートは、2012年に元アマゾンのエンジニアが創業した買い物アプリです。誰もが使いやすいUIと、即日配達は最短1時間というスピード感が支持を集め、その企業価値は2018年10月の時点でおよそ8,411億円(76億ドル)といわれています。

ホールフーズやコストコ、米国大手ドラッグストアのターゲットなどと提携しており、アプリ内で買い物をするとあらかじめインスタカートに登録されているアルバイターが買い物をして、商品を自宅まで届けてくれる仕組みになっています。
インスタカートの中で、買い物代行してほしい人と働きたい人という個人間のやりとりがなされるため、シェアリングエコノミーの先駆けとして紹介されることもあります。
シェアリングエコノミーとは、個人間で余剰なものをやり取りするサービスやシステムのことで、フリマやカーレンタル、民泊などもこれに該当します。

インスタカートの場合は、買い物をしてほしい人はお金を支払ってアルバイターの時間を買い、買い物と配送を代行してもらっています。一方で、アルバイターは自分の時間を提供することで、金銭を受け取っています。
利用者にとってインスタカートの最大の利点は、別々のストアから同時に物を購入できることでしょう。スーパーを何件もはしごしなくても、アプリ一つで必要なものを揃えられるのが、多忙な現代人に受け入れられている理由の一つといえます。

https://www.instacart.com/

シプト(Shipt)

シプト(Shipt)は専用アプリで注文した商品を、シプトに登録しているスタッフが買い物代行し、届けてくれるサービスです。
1回の利用手数料とは別に年会費が設定されており、年会費を支払うと回数無制限で利用できます。
2014年に創業し、2017年に米国の大手ディスカウントストアであるターゲットに買収されています。

https://www.shipt.com/

オネストビー(honestbee)

オネストビー(honestbee)は、Webやアプリから注文した商品をコンシェルジュが買い物代行し自宅へ届けてくれるサービスです。
料理は最短20分、生鮮食品は最短1時間以内に配送というスピードがポイント。サービスを開始したのはシンガポールで、現在では16都市に展開し日本でも利用できます。ちなみに日本では、西友やコストコといった大手スーパーの商品をチョイスできます。

インスタカートと同様、好きな時に代行側「ショッパーbee」や配達員「デリバリーbee」として働くための登録をすることも可能です。

https://www.honestbee.jp/ja/groceries

日本編:買い物代行サービス事例

日本では買い物代行のみを専門に請け負うサービスと、「家事代行」の一環として買い物代行をしているサービスがみられます。

日本版のインスタカート「ツイディ」

日本版インスタカートといわれているのが、ダブルフロンティア株式会社によるプラットフォーム、ツイディ(Twidy)です。
ツイディでは、地域の人たちが近所のスーパーでの買い物をシェアをすることで代行が成り立っています。
インスタカートと同じように、買い物をリクエストする「リクエスタ」と、それを代行する「クルー」がサービスを支えています。
対応地域は現在のところ渋谷区、港区、目黒区、品川区となっていますが、サイトから対応地域をリクエストすることも可能です。

https://twidy.jp/

介護や生活支援としての買い物代行「クラウドケア(Cloud Care)」

「クラウドケア(Cloud Care)」は、介護保険の適用外となるサービスを実施していて、そのなかの一つに「買い物お助けサービス(買物代行)」があります。
1ヶ所500円から利用でき、食料品や日用品、趣味の買い物まで、リクエストに応じた代行をしてくれます。
より一層高齢化が進むといわれる現代社会には、嬉しい代行サービスかもしれません。

https://www.crowdcare.jp/

ソクハイ「おつかい便」

バイク便を手がける株式会社ソクハイには買い物代行「おつかい便」のサービスがあります。
急に必要になったけれど買い物の時間がないというニーズに応えるサービスで、都内近県は最短10分で配達が可能とのことです。
現在は東京、大阪、名古屋のみ受け付けています。バイク便の機動力と即応力を活用した買い物代行というのもユニークですね。

https://www.sokuhai.co.jp/outsourcing/otukai.html

家事代行としての買い物代行(複数企業)

家事代行は、家の掃除や料理を代行するサービスですが、多くの家事代行業者が代行できる家事の一つとして買い物を挙げています。
ここまでに紹介した買い物代行は、1件のショップ単位あるいは注文単位で料金がかかりますが、家事代行は基本的に時給換算のため、ほかのサービスとは料金見積もりが異なってきます。

なぜ買い物代行サービスが普及したのか

買い物代行サービスは、近年注目のサービスです。普及にはシェアリングエコノミーの高まりや、共働き世帯の増加といった世相が深く関わっているといえるでしょう。
3つの視点から買い物代行サービスをみてみました。

シェアリングエコノミー:車や家まで!ものはすべて「シェア」する時代

シェアリングエコノミーは、自分がもっている有形無形の資産を、インターネットのマッチングプラットフォームなどを使って提供するという、新しい経済活動です。
カーシェアやレンタルスペース、民泊といった有形の資産だけでなく保有しているスキルや時間など、形のないものもシェアできるのが興味深いところかもしれません。
シェアする行動の裏には、使われずに放置される資産つまり遊休資産をうまく活用したいという思いがあります。
シェアリングエコノミーの視点からみると、買い物代行は、「自分が買い物に行くついでに地域のほかの人の買い物もして、副収入を得たい(買い物に行く時間を働く時間に変える)」という資産活用のニーズに合致しているといえるのです。

共働き世帯の増加:買い物に行く時間を「外注する」という考え方

厚生労働省が2018年7月に公表した「国民生活基礎調査の概況」によると、共働き世帯はその数を確認できるだけで1,000万世帯を突破していて、どちらか片方のみが就業しているという世帯と逆転しています。
夫婦が揃って仕事をしていれば日中にまえもって買い物をすませておくことは難しく、「家事代行」の一環として第三者に買い物を委託するという選択肢が出てくるのは自然なことといえます。
働き方という視点からとらえれば、掃除や料理など、家事を外注するという行為が以前よりも周知されたため、買い物代行サービスも普及していると考えられます。

スマートフォンやアプリの発達

テクノロジーの発達も、買い物代行の普及に大きく関わっています。パソコンやスマホからかんたんに注文が可能で、支払いや配達場所の指定もスマホのアプリのみで完結。これがFAXや電話など、もっとアナログな方法だとしたら、代行に魅力を感じる人はあまり多くないでしょう。
デバイスや通信速度の進化によって、便利な買い物代行システムの構築が可能になったといえるのではないでしょうか。

インスタカートでは大手離れも?

一方で、買い物代行が今後も順調な成長拡大を続けていくかというと、そうとは言い切れない部分もあります。

先ほど紹介したインスタカートは、ここにきて2014年から提携していたホールフーズとの関係を完全に解消したことを発表しています。
これは、アマゾンがホールフーズを買収したことと関係があります。アマゾンがプライムナウで日用品を取り扱うことから、アマゾンとインスタカートは競合関係にあります。しかしホールフーズがアマゾンに買収されたため、インスタカートにとってホールフーズは自社と競合先の両者と関連している、いわばねじれ状態となってしまったのです。

実際、宅配手数料の値下げなどの面でプライムナウとインスタカートの競争は激化しており、インスタカートは複雑な状態から脱するためにホールフーズとの提携を解消したとみられます。

またインスタカートの競合サービスであるシプトを買収した米国の大手ディスカウントストアであるターゲットも、その後インスタカートとの関係を解消しました。
買い物代行の需要が高まると、競合サービスが次々に登場し、買収や協業によってビジネス上の「ライバル」や「味方」が変わるのはある意味必然です。しかし、こうした変化によって消費者が不便を感じれば、インターネットを利用した買い物代行そのものが一気に下火となる可能性もゼロではなく、今後どのように普及していくのかは未知数な部分もあります。

小売店にとっての買い物代行サービス

大手企業には、自社で買い物代行アプリを開発したり、配達員を雇うパワーがあります。この観点からみると、長期的に買い物代行サービスに残るのは、そうした力の弱い小売店のみになるかもしれません。

買い物代行プラットフォームは、消費者にとって便利ですが、小売店にとってはメリットとデメリットを併せ持つ存在です。
メリットは、普段店舗に訪れない顧客の獲得が期待できることと、アプリなどによって自社の宣伝よりも多くの集客効果が得られる可能性が高まることです。

しかし、店舗と消費者の接点を失ってしまうという、デメリットもあります。接点を失うことで顧客データが充分に取得できなくなったり、顧客のニーズをすくいあげる場がなくなったり、長期的な売上減につながりかねない事態が発生してしまうかもしれません。そのため、小売は買い物代行について慎重にならざるを得ない面もあります。

とはいえ、買い物代行は従来の顧客ではない新規客の取り込みにおける有力な手段であり、どのように活用していくかは各小売店の裁量にかかってくるところが大きいでしょう。

消費者にとってだけでなく、大小の小売業が利益を感じられるビジネスモデルであるかどうか

買い物代行サービスは、買い物を頼みたい人は比較的小さなコストでスピーディに買い物を代行してもらうことができます。また、空いた時間を利用して代行者や配達員として働くこともできるなど、柔軟で利便性の高いサービスといえるでしょう。

ユーザーである消費者にとって、使い勝手や質の面で不便さを感じることはあっても、不利益をこうむるようなデメリットはないといえます。
一方、小売業にとってはどのサービスに出店するかによって売上が変わってきたり、買い物代行サービスに関わることによって充分な顧客データを取得できなくなるなど、はっきりとデメリットが挙げられます。こうしたデメリットをカバーし、買い物代行と小売が長期的に関係を続けられるようなサービスに進化することが、今後のさらなる普及には必要だと考えられます。

まとめ

買い物代行サービスは、若干不安定なシステムではありますが、さらなる発展も予感させます。国内外の動向に注目したいところです。

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