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【体験レポート】完全モバイルオーダーの最新ポータグルメ、「寿司ブリトー」を食べてみた

「ポータグルメ」という言葉をご存知ですか?

この記事で初めて見た、という方もいるかもしれませんね。これは、先日リクルートが発表した2019年のトレンド予測ワードにもなっています。お察しのとおり、「ポータブル×グルメ」の造語であり、要は持ち運べて気軽に食べられる「おいしいもの」のことです。

それなら、昔からコンビニにあるおにぎりやサンドイッチだってそうじゃないか、と思うかもしれませんが、リクルートによれば「テイクアウトで時短になる(利便性がある)が味に妥協はない(満足度が高い)」のがポータグルメのポジショニング。従来のようなファストフードと同じ利便性がありながら、料理そのもののクオリティや斬新な食体験を付加価値とするような食べ物が「ポータグルメ」と呼ぶにはふさわしいと言えるでしょう。

参考:https://recruit-holdings.co.jp/newsroom/2018/1217_18504.html

今回は、そんな「ポータグルメ」のメインストリームとなる可能性を秘めた「寿司ブリトー専門店」の「beeat sushi brito Tokyo」を訪れ、実際に食べてきました。

【目次】

アメリカ西海岸発のポータグルメ・「寿司ブリトー」

寿司ブリトーは、アメリカ西海岸発祥と言われている、日本の手巻き寿司とメキシコのブリトーを融合したハイブリッドフード。2015年頃にはすでにサンフランシスコあたりのビジネスマンを中心にトレンドとなっていたようです。
カリフォルニアロールやテックスメックスが生まれる土地ですから、寿司ブリトーの登場も必然だったと言えるかもしれませんね。スシを斬新なカタチで歩きながらでも食べられるようにした、まさに「ポータグルメ」です。

そんな寿司ブリトーの専門店「beeat sushi burito Tokyo(以下beeat)」が、11月末、東京は秋葉原にオープンしました。

日本初・寿司ブリトー専門店「beeat sushi brito Tokyo」って?

寿司ブリトーを専門店として展開するのは日本ではbeeatが初めて。メニューの監修にはミシュランシェフの水口一義氏があたり、クオリティにはかなりこだわっているようです。

しかし、beeatにおいて注目すべきなのは、商品提供の仕方でしょう。テイクアウト専門で、注文と決済はすべてオンライン&キャッシュレス。商品を受け取る際もスタッフと顔を合わせることがないという、いかにも今っぽいシステムで寿司ブリトーを提供しているのです。しかも価格は時間帯やその日仕入れた素材によって変動しAIが決定する「時価」だと言います。

そこで、お昼時を狙って実際に寿司ブリトーを食べてみることにしました。

参考:https://beeat.jp/

寿司ブリトー初体験

筆者は寿司ブリトー初体験。まずはbeeatのサイトをスマホでチェックします。単品メニューは全部で11種類。マグロやサーモン、カニやエビなど、巻き寿司のネタとしておなじみな具材を使用したメニューだけでなく、ハンバーグやフライドチキンなど、いかにもアメリカンな具材をメインで使用したものや、ヴィーガンメニューまであります。

まず目を引くのはそのメニュー名。

「バーベキュー・エンターサンドマン」
「ヴィーガン・パラダイスシティ」
「フライドシュリンプ・ライブワイヤー」
「ビーフカリー・ペインキラー」
「カニクリーム・ザ・トゥルーパー」

などなど。

これ、気づく人は気づくのですが、すべてハードロック/ヘヴィメタルの往年のヒット曲タイトル。中の人の趣味嗜好なのでしょうか。

基本的に「映える」フードと認識されている寿司ブリトー。インスタにポストしてくれるユーザーのことを意識しているとしたら、それはこのネーミングに響くターゲット層とはあまりにもかけ離れている気もします(ちなみに筆者は上記のタイトルがどストライクなのです)。


今回は、寿司の概念から最も遠そう(そして最も安価)な「フライドチキン・アーマゲドン」をセレクト。これも間違いなくエアロスミスを意識しているのでしょう(アーマゲドン自体は映画のタイトルですが)。

注文はモバイルオーダー。スマホで注文決済が完了、受取時間指定まで


まずはユーザー登録を済ませて、セレクトした「フライドチキン・アーマゲドン」を「買い物カゴ」に入れます。オプションメニューのワサビソース(50円)がおススメとあったので、そちらも一緒に購入します。

決済はクレジットカードかAmazonPayが選択できますが、今回はクレジットカードで。
beeatのユニークなところは、受取時間まで注文時に指定できるところです。
店舗は筆者のオフィスからは少し離れているので、少し余裕をもって受取時間を指定しました。


決済画面でクーポンコードを入力するフォームがあったので、割引で購入する方法もあったのだと思われますが、今回は定価で。


これで注文・決済は完了です。
初めてでも迷うことなく、スムーズに注文できました。

早速店舗へ向かいます。

光の演出が独特な店舗





beeatの最寄駅は銀座線・末広町でした。店舗は駅から5分程度の路地裏にあります。
外観はそこまで目立たないのですが、ガラス張りの入り口から飲食店らしからぬ怪しげな光が漏れているのが印象的です。


入口をくぐると、そこは無機質な空間。コンクリート打ちっぱなしの店内には、左側に注文した寿司ブリトーを受け取るためのボックスがズラリと32個並んでいます。


ボックスはキッチンとの仕切りにもなっていて、キッチンではスタッフがひとり、黙々と寿司ブリトーを巻いています。接客する必要がないコンセプトゆえ、入店しても声をかけられることはありません。


テーブルや椅子の類もなく、客が店内に滞留することがないことを示しています。
頭上では、いかにもアメリカンなテイストのアニメによるbeeatのブランドムービーがリピート再生されており、その横のモニターに提供状況が表示されていました。




まだ受取時間の10分ほど前でしたが、すでにオーダーした寿司ブリトーはボックス内に納まっており、一緒に置かれたビニールバッグに自ら詰め込んで終了です(ちなみに受取予定時間を30分過ぎると廃棄されてしまうようです)。

あまりにもあっさりしているし、店を出るとき無意識のうちに「ありがとうございました」の声がかかるのを待っている自分がいるので、無言のままで店を後にすると万引きでもしている気分になってきますが、これはいずれ慣れるでしょう。

「映える」断面、ヘルシーな味わい


肝心の寿司ブリトーですが、beeatのロゴが箔押しされたなかなか素敵なボックスに入って提供されます。ただ、気軽に、たとえば歩きながら食べる物として寿司ブリトーを捉えた場合、やや過剰包装という気もします(箱を捨てる場所がすぐには見つからなそう)。


箱を開けると、かなり太めの寿司ブリトーが半分にカットされて納まっていました。


フライドチキンがメイン食材なので、茶色っぽい見た目になるのかと思っていたのですが、色とりどりの野菜をたっぷりと使用しているため、予想に反してかなり鮮やか。スパっと切られた断面はいわゆる「インスタ映え」する見た目と言えます。

味のほうも、たっぷりの野菜のおかげでシャキシャキした食感が楽しく、かなりヘルシーな印象を受けます。

おススメされたワサビソースで味の変化を楽しみつつ一気に完食。ボリュームもそこそこあるので、1本で十分満足できました。

体験してみての感想

今回beeatを体験してみての感想をまとめると、

  • 注文・決済・受取のスムーズさは快適
  • メニューのネーミングセンスにびっくり
  • 店舗はちょっと無機質すぎる
  • 箱は素敵だが、気軽さが薄まる
  • 見た目は期待通りオシャレ
  • 美味しいし、思ったよりヘルシー

といったところでしょうか。


個人的には、たとえ提供システムが最先端なものであったとしても、食べ物を彩る演出にデジタル感や未来感は必要ないと思っています。

最先端の技術やシステムはあくまで裏方で、食べ物まわりの「UI」には温もりを感じたい人は多いのではないでしょうか。例えるならば、見た目は築200年の古民家だけれど、トイレはシャワートイレでエアコンも効いてて快適、といったイメージです。

スマホが手放せない生活を送っているせいか、それ以外の部分ではよりオーガニックでナチュラルなものを欲する現代人の傾向にもそのほうがマッチすると思います。

寿司ブリトーは美味しいことは美味しいものの、注文時から商品の受け取りを通じてカリフォルニアっぽいカルチャーを感じられなかったのが非常に残念でした。「西海岸発のフードカルチャー」という触れ込みなのであれば、そこに期待するユーザーは多いと思います。

beeatを構成するあらゆるものに「本場のカリフォルニアっぽさ」を感じることで、より美味しいと思ったり、インスタに上げようと思ったり、また来ようと思ったりする、つまり「ファン化」するのではないでしょうか。

これは寿司ブリトーに限らず、お店のファンを増やしていくにはとても重要なポイントだと思います。

味と価格のバランス「+αの体験」がポータグルメのカギ

店舗型の外食は「居心地の良い空間」を作り上げることで価値を出せていました。「ポータグルメ」がテイクアウトメインだからといって、商品を受け取る場の空間演出をないがしろにしていいということにはならないと思います。

本質的に食べ物のクオリティが高いことは大前提として、その商品を買うアプリのUI、その商品を受け取る場所、その商品を構成するあらゆる部分において、タイムパフォーマンスだけでは計れないブランド体験を積み上げないと、消費者はファン(リピーター)にはなってくれないのではないでしょうか。

味と価格のバランス「+αの体験」をどう作るかが、今後「ポータグルメ」で成功するカギと言えそうです。

この記事を書いた人
池 有生

広告会社コピーライター、ウェブメディアライター等を経てエスキュービズム入社。趣味はサーフィン。3姉妹の父。ワーク・サーフ・ライフバランスの最適化を模索中。

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