飲食店の廃業が二年半で12万件を超える!業界の危機を打破するAIテクノロジーとは。
「飲食店って廃業が多くて難しいけど、具体的にどうしたらよいのかはわからない…」
と思っている方。経済産業省が発表した「事業所数及び開業・存続・廃業」のデータによると、飲食店の廃業事業者数は2012年2月から2014年7月の約2年半で12万4834件にのぼっています。
また、飲食店の開業率は11.2%で廃業率が24.4%であることから、1年で開業する店舗の2倍以上が廃業している計算です。
参考:「女性の活躍による経済社会の活性化」に関するデータ分析報告書より
http://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/kihon/kihon_eikyou/pdf/datarep_01.pdf
とはいえ、具体的にどう対策していくかを考えるのはなかなか難しいですよね。
そこでこの記事では、
- 飲食店が廃業してしまう原因
- 飲食店の廃業をくい止めるAIテクノロジー7選
の順に、売上をアップする店舗になるためのAIテクノロジーについて解説します。
AIというと難しいイメージがあるかもしれませんが、概要だけならハードルは高くありません。
まずはこの記事を通して、飲食店が廃業する原因とそれをAIによって打破する方法を考えてみましょう!
飲食店が廃業してしまう原因
まずは、飲食店が廃業する主な原因を
- 大手チェーン店との価格競争に負ける
- 人件費などにお金を使ってしまい、運転資金が足りない
- メニューの改善がなく、食材が余ったり、廃棄率が高くなったりしている
の順に紹介します。
大手チェーン店との価格競争に負ける
廃業する飲食店の多くは、個人が経営する店舗です。その大きな原因が「大手チェーン店と似たメニューで価格競争」をしてしまうことにあります。
例えば、298円均一の焼き鳥店や199円でビールやハイボールを提供する格安の居酒屋など。個人店では太刀打ちできないほど安い飲食チェーンと競合してしまうと、店舗の継続は難しいです。
そのため、オリジナリティのあるメニューや特色のある接客など、個人店ならではの強みを出していく必要があります。
人件費などにお金を使ってしまい、運転資金が足りない
資金を予想以上に使ってしまった結果キャッシュフローが悪化し、店舗を経営できないパターンもあります。
開店前は思いもよらないポイントで「あれもこれも」とお金が必要になった経験をお持ちの方もいるのではないでしょうか。スタッフを雇う人件費や食材にかかる原価など、店舗運営にかかるお金は定期的に見直すべきです。
メニューの改善がなく、食材が余ったり、廃棄率が高くなったりしている
店舗の運営に忙しくてメニューの改善ができず、結果として廃業してしまうことも少なくありません。
例えば、
- メニューの種類を増やしすぎて仕入れた食材が余りやすくなる
- 捨てる部分が多かったり、腐りやすかったりする食材を使うメニューが多い
- 食材の原価率が全て同じで、売れ筋の分析もしていない
など、メニューに改善がないとこうした状態になりやすいです。
そのため、季節ごとなど時期を決めてメニューは定期的に見直す必要があります。
次は、飲食店の廃業をくい止めるAIテクノロジーを7つ紹介します。
飲食店の廃業をくい止めるAIテクノロジー7選
ここからは、
- 店舗運営
- 接客、クーポン発行
- レシピ
の順に、飲食店の廃業をくい止めるAIテクノロジーのアイデアを解説します。
店舗運営
- Airメイト
- KIZUNA
1. Airメイト
「Airメイト」は、リクルートが提供する無料のPOSレジアプリ「Airレジ」を利用する店舗むけのAIコンサルタントです。
主な機能は
- 全店舗サマリ:店舗すべての経営を一覧で見る機能
- 店舗サマリ:店舗ごとの経営を詳しく見る機能
- メニュー分析:メニューの最適な価格や、売れ行きの分析を見る機能
- 店長向け機能(スマホのみ):店舗の経営改善を提案してもらえる
の4つで、店舗の管理にかかる手間を減らして業務の効率をアップさせます。
さらに、関連サービスの『レストランボード(集客、接客を改善する予約台帳アプリ)』や『Airシフト(シフト管理サービス)』と連携することで、より幅広い業務を効率よくすることが可能です。
2. AI さくらさん(KIZUNA)
「AI さくらさん(KIZUNA)」はスタッフの教育や多言語での接客などを行うAIです。
具体的には、基本的なスタッフ教育をAI さくらさんに覚えさせてスタッフを教育します。また、自走式のロボットと連携することで4ヶ国語に対応した接客が可能です。
人件費がかさみ、人の流動が激しい飲食業界。
AI さくらさんを導入することで、必要な人員は最小限におさえつつ、1人あたりの労働時間も少なくできます。
続いては、接客やクーポン発行のAIテクノロジーを紹介します。
接客、クーポン発行
ここからは接客やクーポン発行のAIについて、
- Sota
- Tamecco
の2つを紹介します。
1. Sota
「Sota」はAIを搭載したロボットで、人とコミュニケーションできるのが大きな特徴です。
Sotaは音声を使って人と話し、カメラで人の顔を認識します。これにより、店舗での接客はもちろんのこと、お客さまの顔を識別してこれまでの来店履歴などからクーポンを出すことが可能です。
また、お客さまの性別や年代などを分析し、データとして蓄積することもできます。
ロボットではあるものの、お客様に深く寄り添ったサービスが提供できることが特徴です。
2. Tamecco
「Tamecco」は飲食店の集客に大切な、クーポン発行ができるAIアプリです。お客さまの位置情報や料理の好みなどを分析し、一人ひとりに適したタイミングでクーポンやポイントを発行できます。
すでに、ロイヤルホストやはなまるうどんなどの飲食店で導入中です。
続いてはレシピのAIテクノロジーについて説明します。
レシピ
ここではレシピのAIテクノロジーについて
- esprit
- シェフ・ワトソン
- 味覚センサーレオ
の順にお伝えします。
1、esprit
「esprit」は期間限定でオープンしたクレープ店「エスプリ・ド・エスプリ」に導入されたレシピAIです。
Webなどにあるレシピのデータを用いて、「肉と生クリーム」のような独自のメニューも生み出しました。現在、エスプリ・ド・エスプリは期間限定のオープンを終え、閉店しています。
2、シェフ・ワトソン
IBMの人工知能ワトソンをレシピ開発に特化させたのが「シェフ・ワトソン」です。
食材や調理法などのキーワードを入力すると、あらかじめ入っているデータを組み合わせて、オリジナルの料理を生み出します。
独自のメニューを生み出す膨大なシュミレーションは、人間が行うのは難しいことの1つです。
3、味覚センサーレオ
「味覚センサーレオ」は、料理人の”勘”を視覚化できるAIです。
飲食店でおいしい料理を出そうとすると、経験豊富なシェフを雇う必要があると思うかもしれませんが、AIの力を借りることでプロの技を再現できます。
AIテクノロジーを活かして、売上の上がる店舗づくりを
ここまで、飲食店の廃業をくい止めるAIテクノロジーを紹介しました。
おさらいすると、飲食店が廃業する主な原因には
- 大手チェーン店との価格競争に負ける
- 人件費などにお金を使ってしまい、運転資金が足りない
- メニューの改善がなく、食材が余ったり、廃棄率が高くなったりしている
の3つがあるとお伝えしました。
次に、具体的なAIテクノロジーとして、
【店舗運営】
- Airメイト
- KIZUNA
【接客、クーポン発行】
- Sota
- Tamecco
【レシピ】
- esprit
- シェフ・ワトソン
- 味覚センサーレオ
の合わせて7つを紹介しました。
日本において、飲食店は廃業しやすい業態です。しかし、テクノロジーを活かすことでそれをくい止めることができ、売上アップを狙うことも可能です。
まずは、店舗でどのテクノロジーを最初に導入できるか、考えることからはじめてみてください。
この記事を書いた人
佐々木ゴウ
大手Sierや、ECコンサルティング会社での経験を活かし、ファッションや食品などの各種商品ジャンルから、バックオフィス、ITインフラ系まで幅広く執筆が可能。webライティングの講師や、メディアコンサルティング、採用系メディアの編集長なども請け負っている。趣味は盆栽。