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リブランディング戦略で成長を続ける企業になる

リブランディングは、今ある既存のブランドイメージや社名を変更して、新しい姿に変革する事を意味します。長い歴史のある企業が行ったり、事業拡大のために行ったり、または新業態への進出を考えている企業が進出計画の一環として行う場合もあります。

リブランディング戦略は、目標を達成するために行う「手段」ですが、目標として設定する事柄は多岐に渡ります。

本稿では、メインターゲット層の若返りを図ったり、ファン層のライフスタイルに合わせたりするために行ったリブランディング事例、また、他業種へ進出する際に効果を発揮するリブランディングの効力について紹介しています。

さらに、昨今話題を集めている匿名や架空の設定を活用したリブランディングを例として、SNSやオンラインショップを活かした戦略について、すなわち「ブランドがこの先に存続するための計画」としてリブランディングを考えていきたいと思います。

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既存ブランドのリブランディング戦略

誰もが知るブランドが、そのイメージを刷新して再起を図るリブランディング。それが行われる理由は様々です。

外的な要因としては、業界全体が著しく成長した事で、そのスケールに合わせたリブランディングが必要になるというケースがあります。

内的要因には、企業の事業規模拡大計画や、歴史を重ねた事で現代に合わせたアップデートが必要になるという理由が主に挙げられます。

例えば、ブランドの確立から四半世紀ほどが経過し、時代に合わせた価値観を提唱すべき段階に来ている企業も次々にリブランディングを計画しています。特に、ここ数年はコロナ禍によって若い世代も含めた社会全体の価値観やライフスタイルが大きく変わった時期でもあります。

もしくは、ブランドの創業者が亡くなって久しいという企業も、リブランディングを行う段階にあると言って良いかもしれません。どれだけ求心力のある創業者であっても直接会った事のない社員が経営陣の多くを占めるようになったら、新たな指標が必要になります。

カリスマ性のあった創業者が強固な存在であればあるほど、その理念をどのように現代のフォーマットに落とし込んで受け継いでいくかは重要であり、リブランディングで達成すべきポイントになります。

さらに、若年層を主なターゲットにしているアパレルやコスメブランドは、選ばれ続けるために今の価値観やライフスタイルに合わせたメッセージを発信していく必要があり、従来のイメージを刷新する事でそれを達成しています。

SNS上では、ハッシュタグの活用や、ファンマーケティングのツールとして使っていく手法が成功しています。
一方的に情報を発信するのみだったSNSの運用を、ファンの声を集めて交流するスタイルに変えた事でリブランディングに成功したアパレルブランドもあります。
このブランドの主な顧客層は60代でしたが、SNSを中心としたリブランディング戦略によって30〜50代の新たな顧客層を形成する事ができました。次の50年を生き抜くために、顧客のボリュームゾーン若返りを図った戦略が、見事成功した事例です。

SNSで顧客の声を拾い上げ、共に創造する戦略でリブランディングを行う企業もあれば、新しい体験価値の提供を目指して戦略を展開するアパレルブランドもあります。
このブランドは、メインのブランドと、メインよりも若干若い層をターゲットとしたセカンドラインを再編して統合し、共に新しい価値創造を目指す戦略を発表しました。

ブランドを見直す「軸」

ブランドを見直すためには、どのような姿を目指すかという到達点と、様々な施策を展開してもブレる事のない「軸」が必要です。

各ブランドは、企業の社会的意義「パーパス」を定めている場合が多く、現代の価値観に合わせたアップデートを行なっています。

パーパスがあれば、他社と提携しても一貫したブランドイメージを保つ事が可能です。

米国の大手玩具ブランドは、一度経営破綻したものの、米国以外の国々では営業を続けている等ネームバリューは健在で、そこに注目した小売チェーンと提携して再起を図っています。
提携先の小売チェーンは商業用不動産に対する知見があり、高い知名度を誇る玩具ブランドのネームを最大限活かすかたちで旗艦店のオープンを計画、24年のホリデーシーズンに合わせて店舗拡大を実施する予定との事です。

イタリアでは、120年以上の歴史を持つサッカークラブが、エンブレム(ロゴ)を含む大規模なリブランディングを行なっています。
5億人以上のサポーターがいると言われる名門サッカークラブのリブランディングは、イタリアのみならず全世界のサッカーファンを驚かせる大胆な発表でしたが、クラブは自身のブランド価値をサッカー以外にも広める事をパーパスとして、改革に取り組みました。
リブランディングと並行して、スタジアムやトレーニングセンター、博物館、全寮制の学校や医療施設までをも備える複合施設をトリノ市内に建設、サッカーという枠を超えて他業種・他業態へ進出しました。

いずれも、展開する方向性を見据えた上で提携先を選んだり、大規模なリブランディングを行う事で飛躍した好例と言えます。

中長期的な展開を見据えたリブランディング

ロゴや社名をより洗練されたものへとアップデートさせるのは、企業を根底から改革するような思い切った手段に思われがちですが、分かりやすいリブランディングの一つです。

例えば、印刷や電話といった名称が含まれていて、どことなく前時代的なネーミングに感じられる社名そのものを変更するというダイナミックな取り組みは世間に与えるインパクトが大きく、「企業が変わろうとしている」というメッセージを広く周知させる事が可能です。

「〇〇ストア」や「〇〇ショップ」といったブランド名からストアやショップを取り去って、「〇〇」という固有名詞だけを残す社名変更(ブランド変更)は米国でもよく行われています。

これも、ブランド価値を高めるのに有効なリブランディングと言えるでしょう。

社名変更は、変更をアピールする広告を出稿したりプロモーションを行ったりする事によって、企業やブランド自体の知名度をさらに高める効果も期待できます。

50年先、100年先の状況は誰にも分かりませんが、今まで継続してきた事を今後も続けていくにあたってどのようなアプローチをしていくか、それを社内外に周知させるのが、社名やロゴ変更の理由と言えるでしょう。

最新のブランドマーケティング

「ブランドターゲットのボリュームゾーン若返り」、「セカンドラインとの統合による新しい価値創造」は、リブランディングの目標になるものですが、目標に到達するための手段を決定するには、現代の価値観にマッチしつつも、今までとは180度異なる目新しいアイデアが必要です。

ここからは、最近話題になったブランドマーケティングを見てみましょう。

成功例を見れば、リブランディングのヒントが見えてくるかもしれません。

匿名、架空、ファンタジックなブランド展開

ブランド名をあえて隠す事で、ブランドに新たなイメージを与えようという戦略もあります。

■ブランドの「色」を隠したサプライズマーケティング

先日、とあるジュエリーブランドが「匿名のジュエリーショップ」としてポップアップショップを開くサプライズマーケティングを行い、ネットを中心に大きな話題となりました。

匿名ショップは、ブランドのイメージを先行させずに、ジュエリーの質やデザインを見て自分の好みと巡り合ってほしいというコンセプトでオープンしました。

試着や撮影ができるスペースが取り入れられ、顧客はパーソナルカラーや指のサイズ等から似合うジュエリーを探したり、好きなジュエリーを選んで撮影できたりと、新しい体験価値の提供も話題を呼び、想定の約2倍、4,000人の来場者が訪れたというデータが発表されています。

■イマーシブな購買体験がブランド認知に寄与

アートと組み合わせて、オンラインならではのプロモーションを展開している製菓の会社もあります。架空の洋菓子店で販売されているクッキー缶というコンセプトで作られたスイーツ、それぞれに「そのお菓子が好きな架空のキャラクター」が設定され、ストーリーを通してお菓子が味わえるようになっています。

架空の洋菓子店と、お店を取り巻く登場人物たちが織りなす物語は、商品を購入できるサイトで公開されていて、没入感を意味するイマーシブ(immersive)な購買体験が可能になっています。

大手菓子製造会社も、空想上の果実を再現したグミを売り出す際には、その世界観やストーリーをブランドサイトで詳細に紹介し、図鑑のようなパッケージをデザインする等、ディテールにこだわって好評を博しました。

これらのプロジェクトは、社名変更やロゴ変更ほどのインパクトはないかもしれませんが、既存顧客、新規顧客の両方にアプローチしやすく、話題性も十分です。

さらに、こうしたプロジェクトの成功を一つ一つ積み重ねていけば、その先に中長期的なリブランディングの方向性が見えてくるかもしれません。

既存顧客と新規顧客を取り込む施策

匿名でブランドを再構築するという思い切った手法は、これまでのターゲット層とは異なる新たな顧客層にアプローチするのに有効な方法です。

ブランドは、「〇〇と言えば〜」のように、商品やサービスの代名詞として認知されれば成功したように思われがちですが、その固定概念が邪魔になる事もあります。
例えば、「親世代や祖父母世代が好きなブランド」というイメージがあると若年層からは支持されにくく、「義理チョコの代名詞」というイメージが強ければ客単価を上げるのに苦労しがちです。

こうしたイメージを払拭して、新たな側面をアピールできれば、これまで興味を持たなかった消費者を顧客として呼び込む事ができます。
また、ブランドが脚光を浴びる事で、既存顧客もその価値を改めて感じる事ができます。

どのようなブランドも永久に既存顧客だけで存続させる事は不可能です。

新規顧客を獲得する事で、ブランドとしての力をつけていかなければなりません。リブランディングで新規顧客を取り込む事は、ブランド(企業)の生存戦略としても重要なのです。

再スタートのためのリブランディング

前述の、架空の洋菓子店をコンセプトにしてスイーツを販売している会社では、コロナ禍にリアルイベントの開催が少なくなり「手土産」のニーズが減った事が販売方法を変える一つのきっかけになったとしています。

一方で、自分のために少し特別なスイーツを買う「ご褒美買い」は、家で過ごす時間が増えたコロナ禍以降増加傾向にあります。架空の洋菓子店というコンセプトは、商品の実物とデジタルを巧みに融合させ作り込んだサイトでストーリーを発信できるため、ギフト用の購入にもご褒美買い需要にも応えやすいOMOという売り方によくマッチしています。

リアルとオンラインでのニーズを見極め、現代に即した形で企業の姿を変えていく事、それが良い再スタートのためのリブランディングなのかもしれません。

経営戦略やDXとも絡めたリブランディングを

リブランディングは、企業やブランドの現在の状態を、よりよい未来と理想のために変えていくという行動です。

誰もが名前を知っている有名企業も、また知る人ぞ知る老舗ブランドも、時の流れと価値観の変化に抗うことはできず、時代に合わせてあり方を変えていく必要があります。

一般的に、時代と合わなくなったブランドを廃止してしまうよりも、リブランディングによって新しく生まれ変わらせる方が、これまで蓄積してきたブランドイメージを活用できるため、成功しやすいと言われています。

また、これまでのブランドイメージは様々な施策によって得てきたブランドの「資産」であり、これを活かす方がコスト的にも効率は良くなります。

すなわち、リブランディングは中長期的な経営戦略を構築する上での「柱」となる活動であり、企業を成長させるための鍵となる活動です。

リブランディングを行うためには、まず現状を把握して目標を設定し、社内でその目標を共有し計画を進めていく必要があります。

社内でリブランディングに対する共通認識を持つ事により、リブランディングの先にあるパーパスが見えやすくなるはずです。

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