顧客情報管理の目的と方法。CRMツールを利用する意義とは
会社にとって顧客情報は資産ですが、その資産が適切に管理されているか否かで価値が大きく変わります。
適切な顧客情報の管理は貴重なデータとしてさらなる売上げアップにつながります。
しかし、もし適切に顧客情報を管理していないならば、それは価値のない無機質なデータとなります。
眠っている顧客情報を改めて整理し、新しい売上げにつなげるべくアクションを起こしましょう。
- 適切に管理できていない顧客情報には価値がない
- 顧客情報はマーケティングに活かすことができる
- エクセルかCRMシステムが良く使われる
- エクセルは安価だが、いずれ限界が来る
- CRMは最適なソフトウェアだが、費用がかさむ
- 企業規模や顧客規模に応じてエクセルかCRMシステムを選ぶべきである
適切に管理できていない顧客情報とは
顧客情報が適切に管理できていないとは、どのような状況を指すのでしょうか。以下に例を上げます。
例えばEC事業も展開する物販店Xがあるとします。顧客Aさんは最寄りにあるXの店舗で商品をよく購入しますが、お店に行く時間がない時はXが運営するECサイトから商品を購入します。
もし、Xが顧客情報を適切に管理できていなければ実店舗のAさん購入履歴とECサイトのAさん購入履歴は紐づかず別々の顧客としてデータ保存されています。同じ顧客なのに異なるデータとして扱っているのです。これでは正確な顧客情報となっておらず、無価値なデータとなってしまいます。
顧客情報管理の目的
顧客情報の適切な管理は企業にとってメリットしかありません。ここ最近はウェブマーケティングの活用で顧客データを収集しやすくなっており、情報を駆使したマーケティングが一般的です。顧客情報を適切に管理することでデータの可視化、分析、分析に基づいた施策立案が可能になります。
データの可視化
顧客情報管理により、バラバラになっていたデータが関連付けられ、生きたデータになります。今までは各店舗や各部署などで別々に管理していた顧客情報を紐づければ、今までは見えていなかった顧客像が浮かび上がってきます。1人の顧客には原則、1つのデータが存在するようにしましょう。先ほどの例で言うならAさんのデータは実店舗とECサイトで2つありました。これを1つにすべきということです。
データ分析
データが整理されれば、次はデータ分析が行えるようになります。DMの反応の有無や最終商品購入日、1人当たりの売上などを分析し、顧客の購買パターンなどが分かるようになります。購買パターンが分かれば、顧客をいくつかのグループに分類できるようになります。
施策立案
グループごとの施策立案が可能になります。顧客情報が適切に管理していなかった時はおそらく、全顧客にまとめて、同じ内容の販促メールを行っていたでしょう。しかし、適切に情報を管理することで顧客の状況ごとにメール内容を変えて送信ができます。
顧客情報は何で管理するのがベストか
顧客情報管理に使われる主なソフトウェアはマイクロソフトエクセルかCRMシステムです。マイクロソフトエクセルはご存じの方も多いセルで構成されたソフトウェアです。
CRMシステムは顧客管理を専門に開発されたソフトウェアでシステム開発企業から様々なCRMシステムがリリースされています。
エクセルでは限界が来る
顧客情報をエクセルで管理している企業も多くいるでしょう。エクセルは安価な割に機能は充実したソフトウェアです。しかしながらエクセルでは顧客情報を管理する上で様々な弊害が発生してしまいます。
データ信頼性が低い
エクセルはITに詳しくない方でも簡単に操作できますが、反面、データ信頼性が低いです。なぜならエクセルは簡単にデータ書き換えができてしまうからです。デフォルトだとチェック機能もありません。そのためデータをうっかり書き変えてしまったり、間違えてデータを消してしまったりするなど間違えたデータ変更が起こりえます。
同時編集が難しい
エクセルは同時に編集することが難しいファイルです。実際、共通サーバにエクセルファイルを置けば同時編集は可能ですが、データが増えることでファイル自体が重くなってしまい、同時にアクセスするとファイルの開きが遅くなり、編集が難しくなります。
CRMシステムによる情報管理
エクセルで顧客情報管理に限界を感じた場合はCRMを利用するのが良いでしょう。費用は発生しますが、顧客情報が多くなりすぎたり、エクセル操作で不都合が発生したりしたらCRMへの導入を検討してみてください。CRMはソフトウェアごとに特徴が異なりますが、一般的には以下のような特徴があります。
入力項目に規則を与える
基本的にデータはデータベースに保存します。そのためデータベース側で入力項目に規則を与えることができます。例えばメールアドレスはアルファベットのみ、売上は数字のみなど制限することで間違ったデータ登録を事前に防ぎます。またデータ書き換え権限を限定することでデータの不必要な変更を事前に防ぎます。
更新者付でデータ変更を記録
ログイン情報をもとにデータ更新者を記録することができます。そのため万が一、おかしなデータが更新されたとしても、データ更新者が分かるので、後々データ変更の理由を問うことができます。エクセルだとわざわざ名前を書かないため、誰がデータ更新したか分かりません。
定期的なバックアップ
定期的なバックアップで万が一の時にもデータを復旧させられます。エクセルもファイルをコピーすることでデータバックアップ自体は可能ですが、ファイルが永遠に増え続けるので把握しづらくなります。またバックアップファイルをうっかり変更してしまうリスクもあります。
インターネット環境のアクセス
CRMにはインターネット環境があればどこからでもアクセスできるクラウドサービスも存在します。そのためスマートフォン持参の営業マンや出張中の社員でも簡単に情報を閲覧できます。特に営業マンはお客様と面談する前に顧客情報を確認できるので、営業サポート的にもプラスになります。
顧客規模で管理ツールを考える
今回はエクセルによる顧客管理とCRMシステムによる顧客管理の方法をそれぞれ紹介しました。
単純にどちらか一方が優れているわけではないので、顧客規模に合わせて選ぶと良いでしょう。
エクセルによる顧客管理は、顧客が少ない業種や資金的に余裕がない企業におすすめです。顧客数が少なければ、データを探すのにも苦労しませんし、視認性も低下しません。
一方で顧客が多い業種や社員が多い大企業にはCRMの活用がおすすめです。社員が多いとアクセスルートや端末も様々です。
ノートパソコンで社内からアクセスする人もいれば、スマートフォンで外出先からアクセスする社員もいます。
アクセスルートが多様化する場合に便利なのはCRMです。企業規模によりエクセルかCRMかを適切に選び、無駄のない顧客管理を実現してください。
適切な顧客情報管理は売上げ増や事業の見直しにつながり、会社をより良い方向に導いてくれるはずです。