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世代別消費行動のトリセツ:顧客理解から始める店舗マーケティング

店舗マーケティングの成功は、顧客の行動を深く理解することから始まります。しかし、ひとことで消費者といっても一様ではありません。Z世代、ミレニアル世代、ファミリー世代、そしてシニア世代といった異なる世代は、価値観や情報収集の方法、購買に至るまでのプロセスが大きく異なり、顧客全体に対する画一的な施策では効果を上げることが難しくなっています。本稿では、世代ごとの消費行動の特性を分析し、それぞれの世代に響く店舗マーケティングのあり方を、具体的な活用案を交えながら考察します。

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世代によって異なる消費行動の傾向

消費行動は、その人が生きてきた時代背景や社会環境に大きく影響されます。ここでは、主要な4つの世代・セグメントの消費行動から、その傾向を読み解きます。

シニア世代とZ世代の消費行動

消費行動に見られるシニア世代の特徴は、モノを所有し、長く愛用する傾向が強いことです。このような消費行動をソリッド消費と呼び、一度気に入った商品やブランドを長く愛用する傾向が強く、信頼できる店舗でまとめて購入するため、一回の買い物での客単価が高くなる傾向にあります。また、ポイントカードの利用率も高く、ポイントの有効期限や還元率を意識して来店することが多く見受けられます。店舗側からすると、個別の顧客データを分析することで、好みや購買履歴に基づいたパーソナライズされた情報(例:新商品の案内、セール情報)をDMやアプリで提供することが、リピート率向上に繋がります。

一方、Z世代の消費行動からは、所有にこだわらず、体験や価値を重視する傾向が特徴として現れます。このような消費行動はリキッド消費と呼ばれ、SNSで話題になった商品を試すために来店することが多いため、一度の買い物での客単価は低い傾向にあります。また、同じ店舗でも様々なジャンルの商品を幅広く購入する傾向があり、特定のブランドや商品に固執しない「浮動票」としての側面が強いです。彼らの購買行動を促すには、店舗での体験そのものを価値化し、SNSで共有したくなるような仕掛けを用意することが重要になります。

ミレニアル世代・ファミリー世代の特徴

ミレニアル世代(1980年代~1990年代半ば生まれ、20代後半~40代前半)は、インターネットの普及とともに育った世代であり、デジタル技術を当たり前のように活用します。彼らの購買行動には、ECサイトと実店舗を行き来するオムニチャネル消費の特徴が強く見られます。店舗での購買前にオンラインで商品のレビューや在庫状況を確認する傾向が強く、また、オンラインで注文した商品を店舗で受け取る「クリック&コレクト」の利用率も高いです。彼らはコストパフォーマンスを重視し、ブランドのストーリーや社会貢献への姿勢にも敏感です。

ミレニアル世代の中でも子育て中の人はファミリー世代と呼ぶことができます。世代だけでなくライフステージによって消費行動が大きく変化するセグメントで、まとめ買いと効率性重視の傾向も同時に現れます。子供用品や日用品を一括で購入するため、客単価や購入点数が高くなる傾向にあります。また、時間的な制約が大きいため、店舗内での効率的な買い物を求める傾向が強いです。時短に繋がるサービス(レジの待ち時間短縮、セルフ決済、駐車場の空き情報)の利用率も高く、ストレスなく買い物ができる環境が重要となります。

使用した画像はShutterstock.comの許可を得ています

ターゲットと時勢で変わる店舗マーケティング

世代別の消費行動を理解した上で、次に考えるべきは、それを踏まえた具体的な店舗マーケティング施策です。ここでは、顧客データを活用しながら、異なる世代をターゲットにした、効果的な店舗マーケティングの活用案を業態別にご紹介します。

アパレル業態での活用案

・Z世代向け:リキッド消費に応える「店舗体験」の提供

店内でのショッピングを単なる購買行動で終わらせない仕掛けを用意することが重要です。たとえば、アプリと連携したAR試着体験、人気インフルエンサーとのコラボレーションイベント、個性的な写真が撮れるフォトスポットなどを設置することで、SNSでの拡散を促し、店舗への集客に繋げます。

・ミレニアル世代向け:オムニチャネル消費に対応した「利便性の向上」

オンラインとオフラインをシームレスにつなぐことで、利便性を高めます。店頭に設置されたデジタルサイネージでECサイトのレビューを表示したり、アプリから在庫を確認して取り置きや試着の予約ができるサービスを提供したりすることで、顧客の買い物を効率化させます。

・ファミリー世代向け:効率性を重視した「快適な買い物環境」の整備

子供連れでもストレスなく買い物ができる環境が求められます。店内に子供向けの遊び場を設けたり、ベビーカーでも移動しやすい通路を確保したりするほか、アプリを通じてキッズラインの新作情報を優先的に配信するといった工夫が有効です。

・シニア世代向け:ソリッド消費に応える「信頼関係」の構築

購入後のサポートや丁寧な接客が信頼関係を築きます。商品の品質や手入れ方法に関する相談会を定期的に開催したり、修理・お直しサービスを充実させたりすることで、商品を長く愛用したいというニーズに応えます。

飲食店での活用案

・Z世代向け:リキッド消費に応える「共感」と「トレンド」の提供

フォトジェニックな料理や内装、SNSでの投稿を促すようなキャンペーンが効果的です。季節限定メニューや、特定の期間だけオープンするポップアップカフェなどを展開することで、常に新しい体験を求めるZ世代の欲求を満たします。

・ミレニアル世代向け:利便性を追求した「スマート」な体験の提供

事前注文・決済が可能なモバイルオーダーや、ウェブサイト上での席予約システムなどを導入することで、待ち時間のストレスを解消します。また、アプリを通じて個人の嗜好に合わせたおすすめメニューを提案するなど、パーソナライズされたサービスが響きます。

・ファミリー世代向け:効率性を重視した「安心」の提供

子連れでも安心して利用できるよう、キッズメニューの充実や、ベビーカーを置ける広めの席の確保、離乳食の持ち込み可といった対応が重要です。また、アプリで混雑状況を確認できたり、テイクアウトやデリバリーを充実させたりすることで、自宅での食事の選択肢を増やします。

・シニア世代向け:ソリッド消費に応える「安心」と「おもてなし」

メニューを大きな文字で分かりやすく表示したり、食事の量を調節できるようにしたりするなど、高齢者に配慮したサービスが信頼に繋がります。常連客の顔と名前を覚え、好みやアレルギー情報を共有することで、よりきめ細やかなおもてなしを提供することも可能です。

スーパーマーケットでの活用案

・Z世代向け:リキッド消費に対応した「新しい発見」の提供

店内でのライブデモンストレーションや試食イベント、地元の生産者による期間限定の直売コーナーなどを設けることで、買い物に「楽しさ」や「特別感」をプラスします。

・ミレニアル世代向け:効率性を重視した「手間いらず」な体験の提供

ネットスーパーでの注文と店舗での受け取りを組み合わせたクリック&コレクトサービスや、セルフレジ、スマホ決済などを充実させます。これにより、多忙なミレニアル世代の「時間を節約したい」というニーズに応えます。

・ファミリー世代向け:まとめ買いに応える「手間を省く」サービス

大容量パックの充実、宅配サービスの拡充、子供向けのカートや遊び場の設置など、家族での買い物をサポートするサービスが効果的です。また、アプリで家族の買い物リストを共有できる機能も利便性を高めます。

・シニア世代向け:ソリッド消費に応える「安心感」と「信頼」の提供

商品の選び方や調理方法に関する相談カウンターを設置したり、見やすい売り場づくりや通路の確保を徹底したりするなど、買い物をスムーズに進められる環境を整えます。また、地域コミュニティと連携した健康セミナーや料理教室などを開催することも信頼構築に繋がります。

ターゲットと消費行動に合わせた適切なマーケティングを

効果的な店舗マーケティングには、顧客の世代や消費行動に合わせたパーソナライズが欠かせません。今回ご紹介した世代ごとの傾向は、あくまでも消費者全体を理解するための一般的な傾向です。真の成功には、さらに自社の顧客データなどを深く分析し、「自店のお客様はどんなパーソナリティなのか」を具体的に把握することが不可欠です。

そして、これらの施策を成功させる鍵となるのが顧客データです。顧客データは、消費者の購買行動を数値で正確に捉えることができるため、世代ごとの特性を深く理解し、施策の効果を客観的に評価するための重要な基盤となります。

現代の店舗は、単に商品を販売する場所ではなく、顧客にとっての「価値創造の場」へと進化しています。そのためには、店舗システムを単なる会計ツールや在庫管理ツールとしてではなく、顧客データを分析し、それぞれの世代が何を求めているのかを深く理解するための情報収集の手段として最大限に活用することが出発点となります。

今後の店舗マーケティングの成功は、もはや「良い商品を安く売る」ことだけでは達成できません。顧客のライフスタイルや価値観、そして彼らがどのように情報を得て、何を重要視しているのかを常に把握し、その変化に柔軟に対応していく姿勢が求められます。多様化する消費者のニーズを捉え、時代に即した新たな価値を提供し続けることが、店舗の持続的な成長に繋がるのです。

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