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小売店の自動化促進なるか?経産省の格付け指標策定!

経済産業省は、小売店がどれくらい業務を自動化しているのかについての格付け指標作成を発表しました。
米国では無人店舗「Amazon GO」の店舗展開を拡大するなか、国内は実験的導入の段階にあるため、自動化を促進することで人手不足の解消と、生産性の向上をはかる狙いがあるとみられます。

コンビニエンスストアなどの小売店について定められるとのことですが、業務についてどの部分が自動化可能なのか、人手に頼らない作業はどこまで可能なのかについて、まとめました。
実例や国内の実証実験については後半部分で紹介しています。

【目次】

小売店で自動化できると想定される業務について

2018年11月28日、日本経済新聞は、経済産業省が小売店の自動化を促進するため、自動化のレベルを格付けする指標を作成すると報じました。

経済産業省はコンビニエンスストアなどの小売店について、商品の支払いや在庫管理、発注など店舗運営にどれだけ自動化しているかを格付けする指標をつくる。
・https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3780418015112018MM0000/

経済産業省が格付けの指標として想定しているのは、走行の難易度によって道路をレベル分けしている自動運転車の指標に近いものだといわれています。

小売店自動化のレベルを格付けする指標の例

小売店自動化の可能性1. 在庫管理

データの共有や確認でヒューマンエラーが起こりやすいのが、在庫管理。これを自動化することによって、時間と人的コストを必要とする在庫管理をスピーディに完了させることが可能になります。
それぞれの店舗運用形態に合わせた管理システムを構築することで、より効率のよい在庫管理が実現します。

小売店自動化の可能性2. 発注

発注も、ヒューマンエラーによるミスが発生しやすい作業です。

  • 電話‥‥言った言わない
  • FAXやメール‥‥入力ミス
  • 紙伝票‥‥転記ミスや紛失のリスク

など、人が関わっている以上、どれだけ注意していてもミスを完全になくすことはできません。こうしたリスクを減らす上でも、受発注システムの自動化は重要です。
在庫管理システムと連携させれば、在庫の残り個数がいくつになった時点で発注をする、受注を受けた分の在庫をカウントするなどといった作業がすべて自動でおこなわれます。

小売店自動化の可能性3. 商品の支払い

現在でも、スーパーマーケットではセルフレジを設置する店舗が増えています。
セルフレジは、

  • 店員が商品の読み取りをおこなった後で支払いだけを消費者がおこなうもの
  • バーコードの読み取りまで消費者がおこなうもの

など、いくつかのタイプが混在しています。

商品の支払い自動化は、突き詰めると「Amazon GO」のような無人店舗に到達します。
レジの会計においてもっとも時間を必要とするのは、「商品の読み取り」と「袋詰め」といえるでしょう。これらを一瞬で完了させる全自動タイプのレジの導入あるいは無人店舗の実現により、人件費を節約し、回転率を上げることが期待できます。

では、実際に「Amazon GO」や国内で実施されている実験的な運営について最新情報を見てみましょう。

店舗業務を自動化した無人コンビニ「Amazon GO」

これらの店舗業務を自動化した店舗が無人コンビニ「Amazon GO」です。
以前から試験的に運営されてきましたが、2018年1月に1号店が米国シアトルに正式オープンしました。8~9月にシアトルで3号店までをオープンさせ、シカゴとサンフランシスコにも開店、2021年までに3000店舗まで展開させることを検討しているとのことです。

Amazon GOに活用されている技術

無人店舗を実現した「Amazon GO」に使われている技術は、

  • ディープラーニング
  • センサー技術
  • コンピュータ・ビジョン

です。コンピュータ・ビジョンは車の自動運転にも活用されているテクノロジーで、デジタル画像や動画をコンピュータに正しく理解させるためのシステムやタスクを自動化するものです。

これらの技術の総合により、消費者はスマートフォンを1つもって入店するだけで自由に商品を選び、購入することができます。
この買い物体験について、Amazon GOは「Just Walk Out Technology」と命名しています。レジに並ばなくても、商品を購入してそのまま店を出ていけるからでしょう。

店内にはカメラとマイクが設置されており、それらが棚に設置されたセンサーとセットになって作動することで、レジ打ちをしなくても購入が可能になっています。
また、ディープラーニングアルゴリズムによって人の動きをトラッキングしており、一度手に取った商品をまた棚に戻す動きなども正確にキャッチしているとされています。

Amazon GOでの買い物方法

Amazon GOで買い物をするためには、事前に「Amazon GO」の専用アプリをインストールしておく必要があります。
アプリをインストールしたスマホを店舗入り口にある機器にかざし、認証してから商品を選びます。買い物が終わったら、そのまま店を出るだけで会計がおこなわれ、金額はスマホに表示されます。なお購入商品は、袋詰めしていても手に持っていても問題なく通過することができます。

自動化しても買い物の楽しさは失われないAmazon GO

米国で実際にAmazon GOを利用したレポートを読んで気づかされるのが、自動化しても商品を選ぶ楽しさは変わっていないという点です。また、日本のセルフレジのように消費者の手間が増えているわけでもありません。多くの人に「行ってみたい」、「買ってみたい」と思わせる店舗形態は、日本の小売店にとっても大いに参考にしたいところです。

国内でも実証実験スタート!JR赤羽駅の無人コンビニ

国内でも2018年10月17日(水)から、AI無人決済店舗の実証実験がスタートしました。コンビニが設置されているのはJR東日本の赤羽駅ホームです。既存のKIOSKをリユースする形で、平日のみ、10〜20時まで運営しています。
これは2017年11月に実施した実験の第二弾という位置づけで、

  • 商品認識の精度
  • 決済の精度

などを高めるためにおこなわれており、実用化に向けて一歩前進といった試みといえそうです。

無人決済店舗での購入方法

Amazon GOでは専用のアプリを使って決済をおこなっていますが、無人決済店舗では、決済に交通系ICカードを使用します。そのため、入店にあたってはSuicaをはじめとする交通系ICカードにチャージをしておく必要があります。
ICカードを店頭にあるスキャナーにかざすことで、自動ドアが開く仕組みになっています。
品揃えはパン、お菓子、ドライフルーツ、パックジュース、ペットボトル類など。おにぎりや弁当など賞味期限をこまめにチェックするようなものは置かれていません。
欲しい商品を手にした状態で店舗出口にある画像確認位置に立つことで、購入商品がデータとして認識され、スキャナーにICカードをかざして決済することができます。

無人店舗の実用化にはまだいくつかのプロセスを踏む必要性あり?

これはあくまで実証実験のため、店舗出口には係員が待機しており、レシート内容と実際の購入商品に齟齬があった場合は決済をやり直すことができます。つまり、まだ完全なる無人店舗とはいえません。また、一度に入店できる人数も3人に限定されているため、さらにAIの認識精度を高める必要があるといえるでしょう。
実際に利用したレポートも併せてご覧ください。

日本の自動化、AIコンビニ開発最新事情

国内における無人店舗は、まだ実験段階にあります。とはいえ、2017年秋から着実に成果を上げており、さまざまな改善点をふまえて実験を重ねることでより便利でスムースな購買体験を提供できるAIコンビニが登場することでしょう。

顔認証で入店する無人セブン・イレブン

セブン・イレブン・ジャパンは、NECと協力して12月17日より「無人コンビニ」の運営をスタートさせます。実験店舗はNECグループの入っている港区の三田国際ビル。事前登録したNEC社員の顔を入り口で照合する、つまり来店者を把握することでキャッシュレス決済を実行する店舗です。顔認証については社員証を用いることも可能で、決済は利用者がバーコードをかざすセルフレジ型でおこなわれ、精算は給与天引きのかたちを採用しています。
NECは、台湾セブン・イレブンでも無人コンビニのシステムを提供した実績があり、2018年1月から現在まで、すでに2店舗がオープンしています。
台湾セブン・イレブンではPOSシステム、電子マネー決済が活用されていますが、セブン・イレブン・ジャパンではこれらを導入せず、実証実験をおこないます。

ローソンはRFIDタグでウォークスルー決済を計画

ローソンは、RFIDタグによる「ウォークスルー決済」を「CEATEC JAPAN 2018」で披露しました。「CEATEC JAPAN」はアジア最大規模といわれるITやエレクトロニクスの展示会で、小売業界からブースを出したのは今回のローソンが初。未来型店舗の体験コーナーとして出展していました。

「ウォークスルー決済」は、RFIDタグと、事前に決済方法を登録したスマホでおこなわれます。
スマホアプリ用の決済QRコードを専用のリーダーで読み取り、購入したい商品を入れた買い物袋を読み取りゲートに通して決済すると、スマホに電子レシートが送信される仕組みです。
これはあくまで展示ブース用の体験コーナーとしての運用であり、RFIDタグのコスト、読み取りの精度については考慮の余地があるとしています。

小売店の自動化はコスト削減だけが目的ではない?

「CEATEC JAPAN」では、ローソンの考える自動化店舗、未来型コンビニとは、単に人件費削減だけを目的としたものではないと発表されました。
都市部の店舗では効率とスピードを重視した店舗運営、高齢者の利用が多い地域や人口減少が著しい地域の店舗では自動化によって従業員の労力をコミュニケーションに充てるなど、地域別に最適な運営形態を目指すのが目的としています。
小売店の自動化というと、人とのコミュニケーションがそぎ落とされた無機質なサービスばかりが思い浮かびます。しかし自動化によってさらなる集客アップ、収益アップを追求するためには、このようなマーケティング戦略についても考慮しなければならないといえるでしょう。

まとめ

小売店の自動化をランク付けする指標を制定するというのは、世界的にも珍しいことです。米国や中国と比較するとやや遅れをとっている日本の店舗自動化ですが、この指標制定によって、一躍自動化先進国になる可能性も否定できません。
具体的にどのようなランク付けがなされるのか、経産省のさらなる発表が待たれるところです。

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