店舗運営に欠かせない「原価管理」、その基本を解説
「商品が売れているはずなのに利益が出ない…」
そのように悩んでいるかたはいませんか?
もしかすると、それは「原価管理」をきちんとできていないことが原因かもしれません。
顧客に対して安く商品を提供し、かつ、お店の利益はしっかりと確保するためには、原価管理の考え方は必要不可欠です。
飲食店やカフェであれば、仕入れた食材を調理して、料理・ドリンクとして提供しますよね。
その場合、材料費だけではなく人件費なども含めて、原価として考える必要があるのです。
この記事では、店舗運営において欠かせない「原価管理」の考え方について説明します。
「原価管理と言われてもよくわからない…」
と考えているかたも、まずは概要から理解していきましょう!
原価管理とは何か
そもそも「原価」は、商品1つあたりにかかった費用のことを指します。
つまり、材料費だけではなく、商品の仕入れから提供までに直接かかった費用全体のことを考えるべきなのです。
そして「原価管理」は、商品1つにかかる原価を
- 原価企画:理想の原価(標準原価)を設定する
- 原価統制・維持:理想の原価と実際にかかっている原価を比較、その差異を分析する
- 原価低減:分析した結果から対策を考え、現場に活かす
という、大きく分けると3ステップの考え方での管理を意味しています。
原価管理をすることで、
- 費用の無駄・効率を把握できる
- 価格やお店の損益を計算・改善できる
というメリットを得ることが可能です。
原価管理が行われていないお店だと、材料費の上昇にも気づかず、なぜか利益が少ないということもあり得ます。
利益を見込んで継続的にお店を経営するためにも、原価管理は重要です。
原価計算との違いは?
原価管理は「原価を計算すること(原価計算)」とは違います。
原価計算は、ただ単に「現状の原価を計算する」ことに過ぎません。
商品にかかった原価を計算するところから、
- 店舗の問題を発見する
- コスト削減の糸口を見つける
- 対策を立てて、実行する
ここまでやって、初めて原価管理が完了します。
例えば、原価計算をしてみると、理想の原価よりも高くなっていたとしましょう。
そのときに、
- 材料の単価
- 材料の数
- スタッフの時給
- 商品提供までにかかった時間(工数)
など、どの部分で理想の原価と実際の原価に差異があったのかを分析します。
そして、分析した結果をまとめて、現場を改善するところまでが原価管理です。
こうして考えると原価管理は非常に大変ですよね。
まとめると、
- 原価=商品1つあたりにかかった費用
という定義のもと、原価管理では商品1つにかかる原価を
- 原価企画:理想の原価(標準原価)を設定する
- 原価統制・維持:理想の原価と実際にかかっている原価を比較、その差異を分析する
- 原価低減:分析した結果から対策を考え、現場に活かす
という、大きな3ステップで管理します。
そして原価管理のメリットには
- 費用の無駄・効率を把握できる
- 価格やお店の損益を計算・改善できる
というものがありましたね。
原価管理の基本は理解できましたでしょうか。
次項では、原価の管理をスムーズにする「原価管理システム」について紹介します。
原価の管理を楽にする「原価管理システム」とは?
- 原価を計算する
- 店舗の問題を分析する
- コスト削減の糸口を発見する
- 対策を立てて、コスト削減を実行する
この一連の作業をサポートしてくれるのが、原価管理システムです。
原価管理ソフトとも呼ばれますね。
これは飲食店の他にも、建設業・製造業などの様々な現場で利用されているシステムです。
フリーソフトとして無料で利用できるものもありますが、パッケージとして販売されているもののほうが質・安全性ともに信頼できます。
最近ではクラウドで利用できるシステム・ソフトもありますね。
原価管理システムの代表的な機能には、
- 原価計算
- 原価差異分析
- 損益計算
- シミュレーション
- 連携機能
の5つがあります。
ここからは、それぞれの機能を詳しく理解していきましょう。
1. 原価計算
- 理想の原価を導き出す「標準原価計算」
- リアルな原価を計算する「実際原価計算」
- 複数工程の原価を出す「工程別原価計算」
などの、原価に関する計算は原価管理システムを使えば自動で完了します。
新しい商品の予算を決めるときや、実際に提供するときなどに、原価計算が可能です。
原価の見える化を行い、どの過程で原価がかかりすぎているのかについても、容易に分析できます。
2. 原価差異分析
理想より原価が多くかかってしまった場合の
- 歩留(ぶどまり)差異
- 固定費差異
などの分析も、原価管理システムを使うとできます。
一体どこで理想の原価とギャップが生じてしまったのかを、一目で確認することが可能です。
3. 損益計算
- どの商品がどれだけの損益を生み出したか(製品別損益計算)
- どの部門がどれだけの損益を生み出したか(部門別損益計算)
なども、原価管理システムで行ってしまいましょう。
ミクロの視点とマクロの視点、その両方から損益を分析。これからの改善点を把握することができます。
4. シミュレーション
原価管理システムでは、
- 仕入先
- 原材料費
など、変動しうる要素を考えて、原価計算をシュミレーションできます。
これにより、天候不順・景気変動などの劇的な変化に対して、しっかりと対策を講じることが可能です。
5. 連携機能
原価管理をシステム化することで
- 材料の調達
- 在庫の管理
- 会計の処理
など、原価管理に関わる様々な業務と連携することが可能です。
多岐にわたる処理をまとめてできるのは、大きなメリットですね。
改めて、原価管理システムの代表的な機能には
- 原価計算
- 原価差異分析
- 損益計算
- シミュレーション
- 連携機能
の5つがありましたね。
原価管理を理解して、店舗の運営をスムーズにしよう
ここまでをまとめると、
- 原価=商品1つあたりにかかった費用
という定義のもと、原価管理では商品1つにかかる原価を
- 原価企画:理想の原価(標準原価)を設定する
- 原価統制・維持:理想の原価と実際にかかっている原価を比較、その差異を分析する
- 原価低減:分析した結果から対策を考え、現場に活かす
という、大きな3ステップで管理します。
そして原価管理のメリットには
- 費用の無駄・効率を把握できる
- 価格やお店の損益を計算・改善できる
というものがありましたね。
また、原価管理を楽にする「原価管理システム」には、
- 原価計算
- 原価差異分析
- 損益計算
- シミュレーション
- 連携機能
という5つの代表的な機能があることを説明しました。
「商品が売れているはずなのに利益が出ない…」
と考えているかたこそ、原価管理の考え方を身につけるべきです。
これを期に、お店の原価管理を見直してみましょう!
この記事を書いた人
黒田剛司
大阪市立大学商学部を卒業後、新卒で独立。学生時代に身につけた経営・流通・マーケティングなどの知識を活かし、コマースについて幅広いジャンルで執筆。また、サイト制作やWebメディア運営も請け負っており、IT系の記事作成も可能。無類の動物好き。