【2025年最新版】消費税免税制度を徹底解説!日本人も免税で買える?対象者・手続きの完全ガイドと2026年以降の変更点

近年、日本の街中で「Tax-Free」「免税」の看板を見かける機会は格段に増えました。これは、政府によるインバウンド(訪日外国人観光客)誘致策の一環として、消費税免税店の拡大が推進されてきたためです。
以前(2017年ごろ)は、「訪日外国人だけでなく日本人も国内で免税品を買える」という情報が注目されていましたが、2025年時点の制度は当時と比べて大きく変化し、特に日本国籍を持つ方が免税の恩恵を受けるための条件は厳格化されています。
本記事では、最新の免税制度(輸出物品販売場制度)について、免税の基本から、2025年現在の日本人の対象条件、そして2021年10月より義務化された電子化手続き、さらには2026年以降に予定されているリファンド方式という抜本的な変更点までを、わかりやすく解説します。
免税販売を行う店舗の担当者様、また日本に一時帰国する予定の日本国籍者の方にとって、最新かつ正確な知識を得るための完全ガイドとなることを目指します。
消費税免税制度の基本と対象者(2025年現在)
消費税免税制度(輸出物品販売場制度)は、訪日外国人などの「非居住者」が日本国内で購入した物品を国外へ持ち出す場合に、消費税を免除する制度です。
「日本国内で消費されないものには消費税は課さない」という考え方に基づいています。
免税の対象となる「非居住者」の定義
免税の対象となるのは「非居住者」に限られます。非居住者は大きく分けて以下の2パターンです。
区分 | 具体的な要件(2025年現在) | 備考 |
外国籍を有する非居住者 | ・「短期滞在」「外交」「公用」などの在留資格で日本に滞在している者。 | ・入国日から6ヶ月未満であることが条件。 |
日本国籍を有する非居住者 | 以下の2つの条件を両方満たす必要があります。 | 2023年4月1日から要件が厳格化。 |
① 本邦入国後6ヶ月未満であること | パスポートの帰国印などで確認。 | |
② 海外に2年以上継続して居住していること | 「在留証明」または「戸籍の附票の写し」の原本で確認。 |
かつての制度では、海外在住の日本人であれば比較的容易に免税購入が可能でしたが、現在は「海外に2年以上継続して居住していること」の証明が必須となり、証明書も「在留証明」または「戸籍の附票の写し」に限定されています。
これは、日本人による免税購入品の不正な国内転売(国内での横流し)を防止する目的で導入された厳格な措置です。
免税の対象となる商品と購入条件
免税販売の対象となる商品は、以下の2つに分類されます。
分類 | 定義と対象品目例 | 購入条件(合算条件) |
一般物品 | 使用しても形が残るもの。家電、衣料品、バッグ、靴、時計など。 | 1店舗における1日の合計購入額が5,000円以上であること。 |
消耗品 | 使用すると消費・消耗するもの。食品、飲料、酒類、化粧品、医薬品など。 | 1店舗における1日の合計購入額が5,000円以上50万円以下であること。 |
【2018年7月からの改正点:合算制度】
2018年7月1日からは、上記2種類の物品を合わせた合計額が5,000円以上であれば、免税の対象となりました。
- 合算条件:
- 合計額が5,000円以上50万円以下であること。
- 一般物品も消耗品と同様に特殊な方法で包装され、国外へ持ち出すまで開封できない状態にすること。
- 購入日から30日以内に国外へ輸出すること。
免税販売手続きの完全「電子化」と店舗側の対応
以前の免税手続きといえば、紙ベースの「購入記録票」をパスポートに貼り付け、税関で提出するという煩雑な方法が主流でした。しかし、この手続きは大きく変わっています。
免税手続きの完全電子化(2021年10月1日〜)
2021年10月1日以降、消費税免税制度における免税販売手続きは、従来の書面による手続きが廃止され、完全に電子化された運用が義務化されています。
電子化の仕組み
- 免税店は、購入者のパスポート情報や購入情報を専用のシステム(免税POSレジ、免税システムなど)に入力します。
- 入力された購入記録情報は、即座に国税庁の「消費税免税電子申請システム」へオンラインで送信されます。
- 購入者には、購入記録票の代わりに、購入日時や品目などが記載されたレシートが渡されます。
- 購入者は、出国時に税関でパスポートを提示するだけで、税関側は国税庁のシステムを通じて購入記録を即時に確認できるようになりました。
電子化が店舗経営にもたらすメリット
この電子化は、免税店側の事務作業を大幅に軽減しました。
- 購入記録票の作成・貼付・割印作業の廃止:手書きや印刷の手間がなくなり、レジでの待ち時間が短縮されました。
- 保管義務の軽減:従来の制度では、店舗側は作成した購入記録票を7年間保管する義務がありましたが、電子化によりその負担が大幅に軽減されました。
- 不正防止の強化:購入記録がリアルタイムで国税庁に集約されるため、購入限度額の超過や購入者の不正利用を監視しやすくなりました。
免税販売を継続するため、または新たに始めるためには、この電子化に対応した免税POSシステムの導入が必須となっています。
国内居住者も利用できる「沖縄型特定免税店制度」
以前「日本に在住していても利用できる」と紹介されていた制度は、「沖縄型特定免税店制度」を指しています。この制度は2025年現在も継続していますが、一般の消費税免税制度とは性質が異なります。
制度の目的と対象商品
沖縄型特定免税店制度は、沖縄の観光振興を目的として、沖縄振興特別措置法に基づいて創設された独自の制度です。
- 対象者: 沖縄県外へ出域する航空機または船舶の旅客(日本国内の居住者も対象)。
- 制度の内容: 沖縄地区税関長の承認を受けた特定免税店で購入した輸入品について、関税のみが免除されます。
- 対象商品: 免税されるのは、輸入された商品(高級ブランド品、化粧品、香水など)に限られます。
- 購入限度額: 1人あたりの購入金額は20万円を限度とします。
【重要】消費税は免除されない
この制度の最大の注意点は、免除されるのは「関税」のみであり、一般の消費税は免除の対象外であるということです。ただし、関税だけでも高級ブランド品などでは大きな節約になります。
利用条件と購入場所
利用するためには、沖縄県外への航空券または乗船券を提示する必要があります。
購入場所は、那覇空港内の店舗のほか、那覇市内の大型商業施設などに設けられた「特定販売施設」(例:Tギャラリア沖縄 by DFS)など、内閣総理大臣が指定した場所で購入が可能です。購入した商品は、那覇空港などの引渡施設で受け取ります。
2022年4月1日からは、この特定免税店制度の対象商品についても、インターネットを利用した事前購入が可能になるなど、利便性が向上しています。

【最新動向】2026年以降の免税制度の抜本的な見直し(リファンド方式)
免税制度は、今後数年内にさらに大きな変革を迎える予定です。政府は、免税品の不正転売対策を強化するため、2025年(令和7年)度税制改正で制度の抜本的な見直しを予定しています。
その変更の柱となるのが「リファンド方式(タックス・リファンド)」の導入です。
リファンド方式とは?
現在採用されている「購入時免税方式」では、購入時点で消費税を差し引いた免税価格で購入できます。これに対し、リファンド方式では、以下のように手続きが変わります。
- 購入時: 免税対象商品であっても、一旦消費税を含む税込価格で代金を支払います。
- 出国時: 空港などの税関または指定された返金カウンターで、購入者がパスポートを提示し、免税品を持ち出すことが確認されます。
- 返金: 確認後、支払った消費税相当額が旅行者へ払い戻されます。
導入時期は、2025年度の税制改正を経て、2026年11月1日からの導入が検討されています。
リファンド方式導入の目的と影響
リファンド方式への移行は、店舗と消費者、双方に大きな影響を与えます。
消費者側(不正防止の強化)
- 国内転売の抑止: 購入時に消費税を支払うため、免税品を国内で転売して消費税分を不当に利得するという不正行為が困難になります。
- 手間が増加: 購入者が返金を受けるために、出国時に税関等で手続きを行う手間が増えます。
店舗側(免税販売の簡略化と拡大)
- レジ業務の簡略化: 購入時のレジ会計は通常の課税販売と同じ「税込価格」の処理で完結するため、店舗のレジ対応が大幅に簡素化されます。免税手続きは、出国時のリファンドカウンターに集約されます。
- 地方店舗の参入促進: これまで免税システム導入や複雑な手続きが障壁となっていた地方の小規模店舗や小売業者が、免税販売に参入しやすくなることが期待されています。
免税販売を行う店舗は、リファンド方式の導入に備え、レジシステムや販売フローの再構築について、今後の国税庁の動向を注視し、計画的に準備を進める必要があります。
まとめ:変化し続ける免税制度への対応
消費税免税制度は、日本におけるインバウンド消費の基盤であり、その制度は社会状況や不正対策に応じて常に変化しています。
以前は「日本人も買える」という点に注目が集まりましたが、2025年現在では、日本人による免税購入は「2年以上の海外居住」の証明が必須となり、制度が厳格化されたことが最大のポイントです。
また、店舗経営の観点からは、免税手続きの完全電子化への対応(専用POSシステムの導入)はすでに義務となっています。さらに、2026年以降にはリファンド方式の導入が控えており、免税店は再び大きなシステム改修と業務フローの見直しを迫られることになります。
訪日外国人旅行者の購買意欲を確実に取り込むためには、正確な最新の制度知識を持ち、変化に迅速に対応できる柔軟な販売体制を整えておくことが不可欠です。インバウンド市場が再び回復期を迎える中、今回の改正内容を機に、貴社の免税対応を見直すきっかけとしてください。
