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【2025年最新】免税電子化からリファンド方式へ!2026年改正で変わる免税販売手続きと不正対策

日本の訪日外国人観光客(インバウンド)市場は劇的な回復を遂げ、小売店にとって免税販売は再び重要な収益源となっています。

この市場の活況の裏で、免税制度は適正な運用を目指し、大きな転換期を迎えています。2021年に義務化された免税電子化は、2026年を目途に導入が予定されている「リファンド方式(事後還付方式)」の基盤となり、免税店のオペレーションを根本から変えることになります。

本記事では、最新のインバウンド消費動向を踏まえつつ、免税電子化の現状、そして小売事業者が備えるべき2026年制度改正の核心(リファンド方式の仕組み、消耗品区分廃止、不正対策の強化)について、詳しく解説します。

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訪日インバウンド市場の回復状況と新たな消費動向

日本のインバウンド市場は急速に回復し、免税販売の環境は大きく変化しています。

訪日外客数・消費額ともに過去最高を更新

日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2024年の年間訪日外客数は約3,687万人、訪日外国人による消費総額は約8.1兆円に達し、いずれも過去最高の水準を記録しました。円安の進行と世界的な旅行需要の増加が、この市場の急速な成長を支えています。

消費額の伸びが著しいのは、単に人数が回復しただけでなく、一人当たりの旅行支出が高水準で推移しているためです。

消費行動の変化:「コト消費」と「高単価消費」

現在のインバウンド消費は、従来の家電や化粧品などの大量購入(爆買い)から、より質の高い消費へとシフトしています。

  • コト消費の増加:宿泊料金や飲食費、娯楽サービス費といった**「体験」に関する支出**の伸び率が高まっています。訪日客は、地域独自の文化体験や食文化など、日本ならではの経験に価値を見出すようになっています。
  • 高単価商品の需要増:円安の影響もあり、欧米豪をはじめとする高単価層の観光客が増加しています。高級ブランド品や美術品など、高額品の購入が活発化しており、免税購入単価の上昇を後押ししています。

小売事業者は、この新しい消費動向に対応するため、免税手続きの効率化だけでなく、質の高い接客と消費体験を提供するための体制整備が求められています。

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免税制度の最新動向:リファンド方式導入と厳格化の核心

免税制度は、不正転売の横行や制度の複雑さを解消するため、大きな改正が進められています。最も注目すべきは、2026年を目途に導入が予定されている「リファンド方式」への移行です。

2026年11月導入予定「リファンド方式(事後還付方式)」とは

現行の免税販売方式は、店頭で消費税を免除する「購入時免税方式」ですが、これが不正転売のリスクが高いことから、主要先進国で標準となっている「リファンド方式」へ移行します。

項目現行の購入時免税方式リファンド方式(2026年11月〜予定)
店頭での販売価格消費税免除(非課税)消費税込み(課税販売)
消費税の還付(返金)なし(最初から免除)事後的に指定の場所で還付(返金)
還付場所空港や市中の専用カウンター(税関等)
目的販売促進、簡素化不正転売の防止、国際標準への準拠

【店舗オペレーションの大きな変化】

リファンド方式では、免税店は一旦消費税を徴収して販売(課税販売)し、その購入記録情報を国税庁へ電子的に送信します。旅行者は、出国前に指定のカウンターで旅券と購入品を提示し、税関の確認後に消費税相当額の還付を受けることになります。これにより、免税対象外の者が国内で免税品を転売する不正行為を水際で防ぎ、制度の適正化を実現します。

消耗品と一般物品の区分・上限撤廃による事務負担の軽減

リファンド方式の導入と並行して、免税販売における店舗の事務負担を軽減するための重要な改正も予定されています。

  • 一般物品と消耗品の区分廃止:現行制度では、一般物品(衣類、電化製品など)と消耗品(食品、化粧品など)を区別し、合算して免税販売する場合は特殊な包装が必要でした。リファンド方式では、この区分と特殊包装が不要となる方向で検討されています。
  • 消耗品の購入上限額の撤廃:現行の消耗品の購入上限額(50万円)も撤廃され、販売額の制約が緩和される見込みです。

これらの改正が実現すれば、店舗スタッフは煩雑な区分け作業や特殊包装の手間から解放され、免税手続きにかかる時間を短縮し、より質の高い接客に注力できるようになります。

不正対策のための制度の厳格化と高額購入者情報の記録

制度の健全性を維持するため、不正利用への対策が多角的に強化されています。

(1) 免税対象者の厳格化(令和5年4月1日施行済)

免税制度を悪用した不正転売が相次いだことを受け、非居住者の要件が厳格化されました。特に、日本国籍を持つ非居住者が免税購入を行うためには、海外に2年以上住んでいることを在留証明書などで確認する必要があり、短期の一時帰国者などが免税購入することは事実上困難になりました。

(2) 高額購入者の情報提供義務

不正転売の温床となりやすい高額品の販売に対して規制が強化されています。税抜100万円以上の高額な免税対象物品を購入した顧客については、シリアルナンバーなどの詳細情報を国税庁に提供することが義務付けられています。これにより、税関が高額品の持ち出しを厳密にチェックできるようになっています。

免税販売の電子化(義務化)の仕組みと店舗への影響

免税販売の適正化と効率化の基盤となっているのが、2021年10月から完全に義務化されている免税販売手続の電子化です。これは、リファンド方式導入の基盤となるシステムです。

免税電子化の仕組み

免税電子化は、紙の書類作成やパスポートへの購入記録票の貼付、割印といった作業を廃止し、購入記録情報を電子的に国税庁へ送信することを義務付けています。

【具体的な手順】

  1. 旅券等の提示を受ける:パスポートリーダーなどで非居住者であることを確認し、情報を読み取る。
  2. 購入記録情報の作成・送信:免税電子化システム(POSレジなど)にて、購入者情報、購入品目、購入金額などの情報を記録し、国税庁のシステムへリアルタイムまたは速やかに送信する。
  3. 情報保存:送信された購入記録情報は、電子データとして7年間保存される。

電子化による店舗側の主要なメリット

免税電子化は、制度の適正化だけでなく、店舗運営の効率化に大きく貢献しています。

  • 事務手続き時間の大幅な短縮:紙の作成・貼付・割印作業が一切不要になり、手続き時間が大幅に短縮され、顧客の待ち時間を減らすことができます。
  • 人為的なミスの削減:手書きや転記による計算ミス、記入漏れといったヒューマンエラーをシステムが自動で防ぐため、追徴課税のリスクを大幅に低減します。
  • システム連携による業務効率化:POSレジや決済システムと免税システムが連携することで、会計から免税手続きまでを一貫して自動処理でき、店舗スタッフの作業負担が軽減されます。

承認送信事業者とシステムの役割

免税電子化におけるデータの国税庁への送信は、自社でシステムを構築する「自社送信」か、国税庁長官の承認を受けた「承認送信事業者」に委託する「他社送信」のいずれかを選択します。

多くの小売店は、初期費用やメンテナンスの手間を考慮し、免税電子化に対応したPOSシステムや、承認送信事業者の提供するサービスを利用する「他社送信」を選択しています。システムの選定においては、多言語対応はもちろん、リファンド方式への対応予定、そして既存のPOSレジや在庫管理システムとの連携性が、業務効率化と適正な制度運用を実現するための重要な選定ポイントとなります。

リファンド方式導入を見据えた小売店が今すべき具体的対応策

2026年11月のリファンド方式導入は、免税販売を行う全店舗の業務フロー、システム、スタッフ教育に影響を与えます。インバウンド需要のさらなる増加と制度改正に対応するため、小売店は今から準備を進める必要があります。

現行免税電子化システムの対応確認とアップデート計画

リファンド方式では、店頭で「課税販売」を行った後、購入記録情報を送信し、さらに「返金情報」を適切に管理する必要があります。

  • 承認送信事業者への確認:現在利用している免税電子化システム(承認送信事業者)が、リファンド方式の導入スケジュールと、それに合わせたシステムのアップデート計画を持っているかを必ず確認してください。システムが新制度に対応できない場合、免税販売自体ができなくなるため、早期の切り替え検討が必要です。
  • システム連携の強化:リファンド方式への移行に伴い、POSレジ、決済端末、免税システム間のデータ連携が一層重要になります。スムーズな課税販売と購入記録情報の正確な送信、そして将来的な返金情報管理を実現するため、システムの統合性を改めて見直すことが必要です。

不正対策の徹底とスタッフ教育の強化

不正転売目的の購入を未然に防ぐための体制構築は、制度適正化の観点から最重要事項です。

  • 免税対象者の厳格な確認:厳格化された非居住者の要件に基づき、身分証明書の確認と購入目的の確認を徹底するよう、スタッフへの教育を強化する必要があります。
  • 高額品の販売記録管理:税抜100万円以上の高額品の購入があった際には、シリアルナンバーなどの詳細情報の入力漏れがないよう、マニュアルを整備し、正確なデータ送信を担保します。

キャッシュレス・多言語対応の推進と接客体験の向上

訪日外国人旅行者の消費体験を向上させることは、リピート率向上に直結します。

  • 多様な決済手段への対応:クレジットカードはもちろん、QRコード決済(Alipay, WeChat Payなど)を含むマルチ決済端末を導入し、顧客が慣れ親しんだ決済方法に対応することで、購買意欲を損なわせない環境を整備します。
  • 多言語コミュニケーションツールの活用:免税手続きに関する説明や、商品に関する問い合わせに対応できるよう、AI翻訳ツールや多言語対応のデジタルサイネージなどを活用し、店舗スタッフの負担を減らしつつ接客品質を維持する準備を進めます。

免税販売は「デジタル化」と「適正化」の新時代へ

インバウンド需要の回復と高まりは、小売市場に大きな恩恵をもたらしていますが、今後の免税販売は、単なる売上拡大だけでなく、制度の適正化が強く求められる時代に入っています。

2026年導入予定のリファンド方式は、免税販売のフローを根底から変える制度改正です。小売事業者は、この大きな転換期をチャンスと捉え、デジタル技術を活用した体制強化と、法令遵守に基づく透明性の高い運営に取り組むことで、持続的なインバウンド需要を取り込むことができるでしょう。

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