自動車業界の販売における10個の未来予測
自動車業界においては、IoTやAI、VR・ARなど、新しい技術が利用されはじめています。
しかし、外部の要因だけではなく、電気自動車などの技術進歩や普及による業界の変化も起こっています。
そのような自動車業界は今後どうなっていくのでしょうか?
多様な変化が日々起こっています。
「気づいたら状況が全く変わっていた…」
なんてことにならないためにも、未来の予測を立てることは大切です。
この記事では、自動車業界の販売において10個の未来予測を立ててみました。
自動車業界における、現状の販売モデルとは
まずは、いまの自動車業界における販売モデルを整理しておきましょう。
自動車販売のモデルを大きく2つにわけると、
- ディーラー
- 販売店
となります。
以下で順番に、詳しく説明していきます。
ディーラー
ディーラーとは、
- 単独メーカーの車だけを仕入れる
- 車の販売・メンテナンスまでを行う
という特徴を持った店舗を指します。
自動車を売るとなると、一般的に「クルマを販売していくら儲けるか」というイメージをいだきませんか?
実は、ディーラーの収益はメーカーからの販売奨励金に依存しがちなのです。
ディーラーは仕入の自由がない代わりに、メーカーから「販売奨励金」が支払われます。
これはメーカーの基準で支払われるので、「あと数台で基準をクリアする」状況であれば大幅な値引きの可能性もあるのです。
販売店
販売店は、個人・民間会社が経営する車販売店のことです。サブディーラーとも呼ばれます。
先ほど紹介したディーラーとの大きな違いは、
- ディーラー:特定の自動車メーカー製品だけを扱う
- 販売店:様々な自動車メーカーの製品を扱う
という点です。
また販売店はディーラーから車を仕入れ、メーカーから直接購入することはありません。
そのためメーカーの意図を汲む必要はなく、独自に価格を決定できます。
販売店は、車の点検・整備費用が収益の中核です。
自動車には
- 登録制度
- 車検制度
があり、それに点検・整備などの費用がかかります。
車の販売だけを考えると、販売・登録で発生する収益は1回きりですよね。
しかし、点検・整備によって得られる収益は、継続的に発生します。
ゆえに新車を販売するときの収益に関わらず、1台でも多く売るという構造になりがちです。
ここでいったんディーラー・販売店の特徴をまとめると、
【ディーラー】
- 単独メーカーの車だけを仕入れる
- 車の販売・メンテナンスまでを行う
- 収益は「販売奨励金」に依存しがち
【販売店】
- 個人・民間会社が経営する車販売店
- 仕入れはディーラから行う
- 収益は「点検・整備」が中核
というものでした。
ここまでで、自動車業界の販売モデルをご理解いただけたと思います。
自動車業界の販売における10個の未来予測
IoTやAI、VR・ARなどの外部要因、電気自動車の普及などの内部要因によって、自動車業界の構造は徐々に変化しています。
そこで、ここからは
- 中古車における個人間売買の増加
- データ化による情報の透明性がアップ
- インターネット上でのメーカー直販
- 店頭とネット両方での販売
- 消費者が事前に調べてから販売店に行く構造
- 車に搭載された通信機能を使って、顧客の車を定期的にサポート
- Amazon・eBayなどが車のオンライン販売を行うようになる
- 電気自動車が家電量販店で販売されるようになる
- VRで中古車の状態(傷や内装など)を確認、ネットで購入する
- AIの台頭により、販売スタッフの役割が変化
という、10個の予想を考えていきましょう。
これから自動車業界を考える助けになれば幸いです。
1.中古車における個人間売買の増加
現在のメルカリ・ラクマなどのように、中古車市場でもCtoCが台頭してくるでしょう。
すでに欧州では、中古車の個人どうしでの取引が増えています。
それにともなって、個人間取引のプラットフォームも登場するはずです。
さらには、
- 整備
- 車検
- 車の輸送
- ナンバー変更
といった、車を購入時にしなければならない、特有の手続きを代行する職業も出てくるでしょう。
2.データ化による情報の透明性がアップ
日本の中古車市場では、売り手と買い手の間で情報格差が発生しています。
そのため、購入してから「思っていたより状態がよくない…」と気づくことも。
未来の中古車販売市場は
- 修理の有無
- 冠水の有無
- 前の持ち主
など、中古車に関する情報がデータ化され、情報の透明性は上昇しているはずです。
また、各販売店の価格・売り方のデータも蓄積され、消費者は車の価格により納得できるようになるでしょう。
3.インターネット上でのメーカー直販
新車の販売は、インターネットでのメーカー直販が登場する可能性があります。
現在メーカー直販が不可能なのは「登録・整備の工数を、メーカーが対応することは非効率」ということが理由です。
ただこれは、インターネット登場以前から残っている話であり、現在は解決できるはずです。
単純に考えて、メーカーの製造ラインと販売システムは直結したほうが効率的ですよね。
ディーラーや販売店のスタッフがしていた商談も、システム化でスピーディになるでしょう。
4.店頭とネット両方での販売
消費者が販売店を訪れる回数は、今よりも減少するはずです。
というのも、店舗に加えて、インターネット上での販売が増えていくからです。
デジタル機器の活用によって、インターネットと実店舗の両方で販売することは、かなり現実的です。
- 個人の持ち物
- 車の車内
- サービスショップショップ内でのデバイス
など、IoTの普及によって、消費者と販売店の接点はさらに増えるでしょう。
5.消費者が事前に調べてから販売店に行く構造
買いたい車の情報を消費者が事前に調べて、それから販売店で購入する構造は、今後増えていくことが予想できます。
すでに家電量販店などで起こっている現象ですね。
近い未来には、
- 拡張現実(AR)
- 3D技術
- ホログラフィー
- シミュレーター
などの、デジタル機器を活用した店舗も出てくるでしょう。
逆に言えば、実店舗・冊子などを使った販売は減少していくことが予想できます。
6.車に搭載された通信機能を使って、顧客の車を定期的にサポート
インターネットは、車にもどんどん導入されていくはずです。
販売店は車を販売したあとも、その車の情報をインターネットからキャッチアップできるようになるでしょう。
そして、車の運行状況・運転の特徴などに応じて、最適なタイミングでサポートを提案できることが予想されます。
7.Amazon・eBayなどが車のオンライン販売を行うようになる
現在でも車の部品をオンラインで購入することはできます。
しかし今後は、Amazon・eBayなどの大手ECサイトが台頭するかもしれません。
車の部品販売は、現在だと店舗で購入することが多いです。
これからは、オンラインショッピングの波がやってくるでしょう。
販売店やメーカーは、ECサイトが競合になってくる可能性を視野に入れる必要があります。
8.電気自動車が家電量販店で販売されるようになる
電気自動車は、自動車ではありますが考え方によっては家電とも言えます。
そのため、今後は家電量販店で電気自動車が販売されるかもしれません。
そうなると自動車を単体で販売している、一般的な販売店は淘汰が進むこともあり得ます。
9.VRで中古車の状態(傷や内装など)を確認、ネットで購入する
VRの波は、自動車販売にも影響を与えるでしょう。
中古車の状態は、今は実店舗でしか確認できません。
しかしVRを使うことで、車のキズ・へこみなどをインターネット上で詳細に確認できます。
これにより、中古車のインターネット販売は、より現実的になっていくはずです。
10.AIの台頭により、販売スタッフの役割が変化
いまは人がしている接客が、徐々にAI(人工知能)に代替されていく可能性は視野に入れておくべきです。
しかし、接客がAIだけになることは、今のところ考えにくいでしょう。
「販売スタッフの役割が変化する」というのが正確な表現です。
単純な情報提供はAIに任せて、消費者の複雑なニーズに合った提案などを人がするようになるでしょうね。
販売モデルの変化にどのようにして対応するか
まとめると、
- 中古車における個人間売買の増加
- データ化による情報の透明性がアップ
- インターネット上でのメーカー直販
- 店頭とネット両方での販売
- 消費者が事前に調べてから販売店に行く構造
- 車に搭載された通信機能を使って、顧客の車を定期的にサポート
- Amazon・eBayなどが車のオンライン販売を行うようになる
- 電気自動車が家電量販店で販売されるようになる
- VRで中古車の状態(傷や内装など)を確認、ネットで購入する
- AIの台頭により、販売スタッフの役割が変化
という変化が、これから起こっていく可能性があります。
確実に予想できるのは、今ある販売モデルは近いうちに変化するということです。
未来に目を向けつつ、常に情報をキャッチアップしていきましょう!
この記事を書いた人
黒田剛司
大阪市立大学商学部を卒業後、新卒で独立。学生時代に身につけた経営・流通・マーケティングなどの知識を活かし、コマースについて幅広いジャンルで執筆。また、サイト制作やWebメディア運営も請け負っており、IT系の記事作成も可能。無類の動物好き。