eコマース成功の鍵を握るタブレット
モバイルコマースの端末として、タブレットの存在感が増してきています。その存在感はすでにスマホを上回っています。(※モバイルコマース:携帯電話、タブレットなどモバイル端末を利用したショッピング形態)今回はeコマースを推し進める小売企業が、もはや決してタブレットを無視できないという事実をお伝えしていきたいと思います。
オンラインショッピングはタブレットの時代
Adobe Systemsの調査によると、米国のタブレットユーザーのうち、55パーセントがタブレットをショッピングに使っていることが分かりました。これに対してスマホユーザーでスマホをショッピングに使っているのは28パーセントでした。日常的にショッピングに利用しているという人の割合もタブレット40パーセント、スマホ20パーセントと差が開きました。
米国のマーケティング会社eMarketerの調査によると 、米国のeコマースは順調に成長を続けており、その背景にあるのが モバイルコマースの急成長なのです。
青の折れ線がeコマースにおけるモバイルコマースの割合、赤の折れ線がモバイルコマースの前年比成長率、棒グラフがモバイルコマースの売り上げの実績と予測を示しています。2012年のモバイルコマースの売上は約246億ドル、そのうちタブレットを通じての売上の割合は57パーセントに達しました。2013年には売上は約384億ドルに達し、そのうちタブレットでの売上が62.5パーセントを占めると予測されています。
こうしたタブレットへの注目度からTコマース(タブレットコマース)という言葉も生まれ、その動向がこれからの小売の未来を占う上で注目されているのです。つまり、成長するeコマース市場、それを牽引するのがモバイルコマースであり、さらにその主役となるモバイル端末がタブレットなのです。
高いタブレットのコンバージョン率
eコマースにおけるタブレットの成長を裏付けるものとしてコンバージョン率の上昇があります。米Marin Softwareは日本をはじめ英米など13カ国以上の大手企業を対象にモバイル検索広告の調査結果をまとめました。コンバージョン率に関しては、2013年12月までにタブレット広告がパソコン広告を追い抜くと予測しています。
デバイス別平均コンバージョン率(2012年)
▲Marin Software調べ
(引用元:Tab Times『Google set to generate billions in search ad revenue from tablets in 2013』)
米国ではタブレットからのコンバージョン率の伸び率は31%という劇的な数字となりました。一方でスマートフォンの伸び率は9%、パソコンに至ってはわずか7%に留まっています。コンバージョン率という指標においてもその優位性を示したタブレット。今後もタブレットがオンラインショッピングにおいて重要度を高め、企業がよりタブレットを重要視する根拠となるでしょう。
スマホよりタブレットの理由は?
上述したようにモバイルコマースにおいてはスマホよりもタブレットの方がデバイスとしての優位性を示しています。その理由はいったい何なのでしょうか?タブレットとスマホの違いとして、まずそのディスプレイのサイズが挙げられます。大きい方が見やすいという当たり前の事実からもう少し踏み込んで考えてみたいと思います。
タブレットはオンラインショッピングに向いている
オンラインショッピングにおいて重要なのは、ユーザーの集中力が途切れないということです。「欲しい」という消費者心理が「買う」という消費者行動に結びつき、さらに「買う手続き」を完了させるまでがオンラインショッピングでは必要になります。その手続きの最中にユーザーが集中力を切らし、手続きを中断してしまえば機会損失となります。スマホよりもタブレットがショッピングのデバイスとして秀でている理由がそこにあります。より大きな画面、より豊富な情報量と高い操作性、これらによりユーザーが決済を完了するまでがスムーズなのです。
今後タブレットコマースを推し進めていく企業にとって必要なのは、ユーザーが集中力を切らさない、もしくは切らしたとしても改めて販売機会を提供できるサイトを構築することです。つまり自社サイトをタブレット向けに最適化する必要があるということです。
オンライン通販、数年後には販売形態トップシェア
ここまでタブレットがオンラインショッピングにおいて重要度を高めている事実をお知らせしました。ここで日本のオンラインショッピング市場について興味深いデータがあります。野村総合研究所調べによると2012年度の日本国内のオンラインショッピング市場は、前年度比15.9%増の10兆2000億円になる見通しです。これを他の小売形態と比較してみましょう。
・総合スーパー 12兆5340億円(前年比1.3%減)
・食品スーパー 9兆6405億円(同1.0%増)
・コンビニエンスストア 9兆264億円(同4.4%増)
・百貨店 6兆1453億円(同0.1%減)(引用元:Business Journal『市場が右肩上がりのファッション通販業界再編 NTTドコモも参入! 楽天・アマゾンがアパレル通販でも2強 専業アパレルは倒産危機!?』)
コンビニの市場規模は9兆円の大台を超えましたが、オンラインショッピングの市場規模はそれを上回ったのです。さらに数年後には、総合スーパーを上回るものと見られています。つまりオンラインショッピングが日本最大の小売形態となるのです。
今回のブログのポイントは次の二点です。
1.近い将来最大の小売形態となるオンラインショッピング
2.オンラインショッピングにおいて最も重要となるタブレット
この二点を踏まえれば、今後の小売企業にとって最も重要なのはタブレットである、と言いきってしまっても言い過ぎではないでしょう。タブレットが小売業界に与えていく影響を今後もお伝えしていきたいと思います。