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米ウォルマートがAIストアの実証実験「IRL」を公表!Amazon GOとどう違う?

2019年4月25日に、ウォルマートのAIを活用した在庫分析実験「IRL(Intelligent Retail Lab インテリジェント・リテール・ラボ)」が公表されました。
ストア内に無数のカメラやセンサーを設置することで、リアルタイムに商品の動きをモニタリング。徹底した在庫管理によって欠品前に商品補充が可能になるといったことが期待されています。

【目次】

米ウォルマートのAIを活用した実証実験「IRL」

AIが小売業界にどのように関わっていくのか、その実証実験を公開したのがウォルマートです。
売り場にセンサーやカメラを導入して在庫管理分析をおこなうもので、リアルタイムで在庫状況のモニタリングをしたり、その結果にしたがった需要予測を立てたりといった実験がおこなわれています。

西友を子会社化、楽天と提携を結んだウォルマートとは

ウォルマートは本部をアーカンソー州に構える世界最大のスーパーマーケットチェーンです。
1962年に創業して以降、コスト削減や物流管理によって低価格での商品提供を実現、世界の同族経営会社の中でトップの規模を誇ります。

創業以前は小さな雑貨店でしたが、第1号店から順調に店舗数を増やし1990年には全米最大の小売店に成長、翌年からメキシコやプエルトリコ、カナダなど世界進出を果たしました。
2005年に、日本の西友を子会社化、2018年には楽天と業務提携を結んだことも記憶に新しいでしょう。

「IRL」は実験部署の管轄下でおこなわれている

AIの実証実験は「IRL(Intelligent Retail Lab インテリジェント・リテール・ラボ)」という名称です。
実験部署の管理下であるNYのロングアイランド、レビットタウン地区に位置するウォルマート・ネイバーフッドマーケットでおこなわれています。

https://corporate.walmart.com/IRL/

米ウォルマートのAIストア実験、気になる内容は?

では、2019年4月25日に公開されてまだ間もない実験内容について、詳しくみていきましょう。

1,400坪の実店舗に無数のカメラとセンサーを設置

AI(人工知能)を活用するためにはデータが不可欠です。
AIは大量のデータを学習させることによって、さまざまな判断を下すことができるようになります。与えるデータが偏っていたり不十分だったりするとうまく機能しません。

ウォルマートは既存の売り場のすべての通路および陳列棚をモニタリングできるよう、カメラやセンサー、プロセッサを導入しています。
全方位をリアルタイムにモニタリングできる死角のない環境を整備することで、AIに効果的なデータを与えているのです。

その情報量は、1秒間に1.6テラバイトといわれています。これは、音楽に換算すると27,000時間分、動画ではおよそ265時間分のデータ量に相当します。こうした膨大なデータを送受信するためにAIストアでは長いケーブルが用いられており、その長さはエベレストの標高5倍分にもなるといわれています。
ちなみに、実験している店舗の大きさは、1,400坪(50,000平方フィート)。これだけ広ければ取得する情報量が膨大になるのも納得です。

肉の量のわずかな違いまでリアルタイムで識別可能

カメラやセンサーは、ひき肉の1ポンドパックを購入したか、それとも2ポンドパックを購入したのかといった些細な違いまでをリアルタイムで確認します。
そしてその情報は店舗の奥のデータセンターに送られ、ここに集められた情報をもとに1日の需要予測がたてられます。

予測によって「欠品しそうな(まだしていない)」商品の情報がスタッフの所持する端末のアプリに送られることで、実際に商品がなくなってしまう前に補充をおこなえるというのが今回ウォルマートが実施している「AI在庫管理」です。

ガラス張りのデータルームにデジタルサイネージ:実験の見える化

この実験は実際の店舗でおこなわれているため、訪れる消費者は、無数に取り付けられたカメラやセンサーに囲まれて買い物をしなくてはなりません。見られているという圧迫感や、AIに対する拒否感を持たれないのでしょうか?

IRLでは、この対策としてデータルームをガラス張りにする、インフォメーションセンターや新規に設置したデジタルサイネージで実施している実験内容について紹介するといった啓蒙をおこなっています。
データルームをガラス張りにすることで、カメラやセンサーで取得された情報がどのように使用されているのかを明らかにし、消費者のカメラに対する心理的な抵抗を弱めています。

また、インフォメーションセンターやデジタルサイネージで実験や研究について紹介し、どのようにデータが活用されるのかを明示しているのです。

動きに合わせて反応するディスプレイで遊び心もプラス

AIについて、「どのように活用されているのか分からない」、「実態は知らないけれどSFの世界ではこわいイメージしかない」という印象を抱いている人もいるでしょう。

IRLのように日々の何気ない買い物に関するデータがどのように使われ、反映されていくのかといったことだけではありません。誰もが多かれ少なかれ、今後AI技術がどこまで実生活に入り込んでくるのか、それを期待と不安の入り混じった思いで見ているのではないでしょうか。

そうした漠然としたネガティブイメージを払拭するためか、IRLでは100インチの大きなプレキシガラスを設置して、啓蒙の一助としています。このディスプレイは、前に立つ人の動きに合わせて反応を示すようになっており、最新テクノロジーを楽しみながら体感できるスペースになっているようです。

AI実証実験の目的は在庫の適切な管理

とはいえ、こうした目に見える部分は、AIストアの実験目的ではありません。
IRLのCEOであるマイク・ハンラハンも、長期的に顧客のメリットとして働くのは、AIの目立つ部分ではないと語っています。
レジが開いて滞りなく会計ができること、ショッピングカートをスムーズに利用できることと同じように、適切な在庫管理ができること、これがウォルマートのIRLにおける実験目的とされています。

ウォルマートのAIストアは鮮烈な印象を与えたAmazon Goを超えるか

Amazon Goは、AIと小売の組み合わせの代名詞的存在です。

日本では無人コンビニと表現されることも多いAmazon Goですが、より正確に表現するならば会計に不可欠なレジがない「レジレスコンビニ」。
棚から欲しい商品を手に取り、自分のエコバッグに入れてそのまま退店。まるで万引きや強盗をほうふつとさせる行為ですが、会計は退店して数分後にアプリを通じておこなわれます。
棚につけられた無数のカメラとセンサーが手に取った商品をチェックするという仕組みは、まさに現在ウォルマートが実施している実験の手法と同様です。

異なる点は、Amazon Goがスマホアプリとセンサーを連動させてレジレス会計を実現しているのに対し、ウォルマートではカメラやセンサーで得た情報を在庫分析という内部の利便性に活かそうとしているところでしょう。

Amazon Goはシアトルに1号店をオープンさせてからも改良を続けており、カメラを顧客から見えないように設置したり、カメラの数を減らしてどこまで正確な計測ができるかといった部分を追求したりするなど、修正と改善を繰り返しています。
ウォルマートのIRLにおいても、実証実験で得られたデータを元にどのような施策をとっていくのか、またAIとの関わりをどのようにとらえていくのかが注目されるところです。

キャッシュレス一辺倒に進むとは限らない?米の「キャッシュレス禁止」とは

日本では政府が主導するかたちでキャッシュレス化が推進されていますが、世界の経済がキャッシュレス一辺倒で進んでいるわけではありません。
米国では現在、いくつかの都市で「キャッシュレス店舗を禁止にする条例」が制定されています。米国ではおよそ840万人、人口の6.4%が銀行口座をもっていないというデータがあります。つまり、口座との紐付けが不可欠なキャッシュレス決済は、こうした人々を経済的に差別しているということになり、これを禁止する条例が出たというわけです。
「キャッシュレス店舗を禁止にする条例」を初めて制定したのはフィラデルフィアですが、ニューヨーク、サンフランシスコ、シカゴなど大都市も同様の条例制定に向けて検討に入っていると伝えられています。
こうした動きを受けて、Amazon Goは、レジのない形態から現金でも支払い可能な形態への変更を「予定」しているとしています。
しかし、Amazonにとってレジのない無人コンビニAmazon Goは高い在庫回転率を記録できる、コストパフォーマンスの高い店舗形態です。もしも、今後キャッシュレスのみの店舗が禁止される条例を広まれば、アプリ決済というスピーディな会計を手放してアプリ支払いと現金支払いを混在させざるを得なくなりますが、それについてAmazonがどのような計画を立てているのかはまだ発表されていません。

日本でキャッシュレス&ウォークスルーを体験できるDevelopers.IO CAFE

AWSに関連したコンサルティングやサービス構築をおこなうクラスメソッド株式会社によるカフェ、Developers.IO CAFEは、スマホアプリを活用して快適なカフェ体験を提供します。

Developers.IO CAFEは事前注文とQRコード読み取り購入が可能

Developers.IO CAFE(デベロッパーズ・アイオー・カフェ)では、注文と支払いに専用のスマホアプリを使います。注文をアプリからおこなう場合、待ち時間を短縮できる「事前注文」と、店舗に設置されているQRコードを読み取ってほしいスナックを注文する「ウォークスルー型注文」の2種類を選択することができます。

Developers.IO CAFEでは、ドリンクの注文には商品受取通知によってスムーズに商品を受け取ることができる事前注文を、お菓子を購入する場合はQRコードを読み取って棚から欲しい商品を取り、会計に進むウォークスルーを紹介しています。ウォークスルーの場合、事前にQRコードを読み取っているため、商品を取って棚から離れるだけで自動的に支払いが完了する仕組みになっています。
この仕組みは、Amazon Goと同様ですね。

Developers.IO CAFEはアプリ決済で現金を使わないカフェのかたちを提案

Developers.IO CAFEのポイントは、現金を扱わずにコーヒーやちょっとしたおかしを楽しめることと、カフェを利用するために行列に並んだりドリンクが出来上がるのをじっと待っていなくてもよいことです。

事前にアプリをダウンロードしておけば支払いはすべてアプリから実行されるため、「ちょっと休憩」という時に財布をもっていなくてもカフェに入ってコーヒーを飲むことができます。
また、支払いに手間取って会計に人が並んでしまったり、ドリンクの完成を待つためにカウンター脇に人がたまってしまったりすることもありません。新体験型のカフェは割高なのでは?と思いがちですが、ドリンクメニューの価格はコーヒー、ティー、ジュースは300円前後、ラテなどのドリンク類も500円前後と、かなり利用しやすい価格帯です。

・Developers.IO CAFE
〒101-0041 東京都千代田区神田須田町2-25 Gyb秋葉原1階
https://cafe.classmethod.jp/

まとめ

AIやアプリを活用した新体験型のスーパーやカフェは、ここ数年でさまざまな形態がみられるようになりました。
しかし、重要なのは小売業界と消費者双方の利便性であって、新しいテクノロジーに振り回されて不便な思いをするのは本末転倒です。
新規性と利便性を追求したサービスこそが、小売の新たな形態として求められているものといえるでしょう。

 

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