レジリプレイスにおけるRFP作成での注意すべきこと~プロジェクトを成功させるためのRFP作成におけるチェックポイント
Amazon GOの開発をはじめ、最新技術を活用してのウォークスルー型店舗の実現に向けて、小売業界全体の動きが活発化しています。
日本では人材不足を補う目的もあり、セルフレジやセミセルフレジの普及が広がりつつあります。
レガシーのレジシステムを使っていた小売店も、この流れを受けてセルフレジやセミセルフレジの導入検討が行われ、エスキュービズムでもタブレットでセルフレジを実現するべく開発を行っています。
もし、レガシーのPOSレジシステムをリプレースし、「自社の課題を解決するために、これまでにないレジのシステムを作りたい」と考えた場合、どのようなポイントがプロジェクト成功につながるのか、RFP作成の観点から考えてみましょう。
いままでにない仕組みを作る、一番最初にやるべきこと
社内でのヒアリングは何も出てこない、外に聞くべし
まず最初にやることは、外部から最新情報やノウハウを収集することです。社内で情報収集をしたところで、専門家でない限りは核心的・革新的な情報は出てきません。
様々なクライアントやパートナー企業と日々接触しているシステムベンダー、コンサルティング会社などには、トレンドや最新のテクノロジー情報が集まっています。
トレンドである無人店舗や電子タグで会計できるセルフレジ、AIチャットボットを活用したカスタマーサポートなどを実現するには、実際にどのようなテクノロジーが使われているのかを知る必要があります。まずは、専門家に相談してみるのが第一歩です。
問い合わせる際には、
- 解決したい課題
- システム構築の目的(何をやりたいか、どうなりたいか)
- 目的を達成するための手段や流れ
というビジネス要件を定義しておくことが重要です。
最初はぼんやりとした要件であっても、具体的に実現可能な技術提案や、思いもよらないアイデアが専門家から提示されることもあるでしょう。
新しいシステムはどのような価値を世の中に与えるのか定義する
新しいシステムを作り、それがどのような価値を世の中や自社の事業に与えるのかを考えることも重要です。
たとえば人手不足を補うためにIT化を検討した結果、既存のレジシステムをセルフレジにリプレースする、といったプロジェクトの大枠が決まるとします。
メリットとしては人材の作業効率化を図ることができます。人手不足による顧客満足度の低下を招いていたとしたら、顧客満足度が向上する効果もあるかもしれません。
セルフレジにすることにより、企業ブランドが向上したり、集客につながる可能性もあります。
そうした価値を生み出すことができるかを、検討しておくこともプロジェクトの初期段階では必要な事です。
そもそもRFPは必要か?
システム構築プロジェクトの初期段階で重要なポイントとなる「RFP(Request For Proposal)」は、提案依頼書のことです。
システムベンダーやコンサル企業に対してRFPを提示し、各社から出された提案を比較検討することができます。
しかし、「RFPがなくてもパッケージソフトを買えばシステムは出来上がるのでは?」「素人だから作り方が分からない」といったことも、プロジェクト担当者は考えがちです。
では、RFPが無かった場合はどんなことが起こるのでしょうか。
RFPがないと起こること
RFPがないと、相見積が正しく取れず、条件が各社ばらばらの見積もりが上がってきてしまい、判断しようにもできなくなります。
いきおい、価格勝負になり、低価格の見積もりを出した会社に決定し、後から機能やカスタマイズの追加が必要になってもできない、というような結果になる可能性が高くなります。
作りたかったシステムが出来上がらず、結果的にプロジェクトは失敗…ということにもなりかねません。
RFPがなくてもプロジェクトは成立するかもしれませんが、失敗する確率がぐっと上がる要因が、プロジェクトの初期段階に潜んでいるのです。
システム会社が混乱するRFPあるある
こうしたRFPにまつわる「あるある」をいくつかご紹介しましょう。
あるあるその1:やりたいことが曖昧
重要なのは「自社システムでどんな課題を解決したいか」を明確にすることです。ざっくりと「セルフレジのシステムを作りたい」といっても、何をしたいかが曖昧なままでは失敗の原因となります。
あるあるその2:スケジュールが引かれていない
希望納期から逆算したスケジュールを大枠でいいので提示しましょう。提案の締め切りや、回答期限などもおおまかに決めておかないと、ベンダー各社の足並みがそろいません。
見積りが揃わないと、次のステップに進めず、納期だけが遅れていくことになります。
あるあるその3:担当者によって内容が変わる
プロジェクトメンバーの認識がずれていると、質問が来た時に担当者によって回答が違ってくることもあります。すると共通認識が取れなくなり、結果的に各社ばらばらの見積もりと提案書が出来上がることにもなりかねません。
そのRFP、社内合意は取れていますか?プロジェクトを成功させるために
RFPを作り、相見積を取ってベンダーを選定し、開発を行っても、テストの段階で他部署や上席から「機能が足りない」「現場の意見が取り入れられていない」など意見が出てプロジェクトがストップすることもあります。
そうなってしまう理由は、社内的な合意が取れていないことや部門間の認識がずれていることが多いです。RFPの段階で、せめて要件定義の段階できちんと全社的な合意が取れていれば、プロジェクトが止まることはありません。プロジェクト成功のための第一歩といえます。
提案をベンダーから受けるためのRFPですが、社内合意を得るための資料としても有効ですので、ぜひRFPを作ってみてください。
レジシステム構築のためのRFPの作り方!無料チェックリスト
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