【飲食店向け】テーブルトップオーダーで得られる効果、導入時の注意点も解説
テーブルトップオーダーとは、お客様自身で注文してもらうシステム。人手不足解消や訪日外国人の対応になるため、飲食店での導入が進んでいます。
テーブルトップオーダーは、店舗にとってもお客様にとってもメリットがありますが、導入前に検討すべきこともあります。
飲食店の店舗運営者の方に向けて、テーブルトップオーダーの概要やメリット、導入のポイントについてご紹介します。
【目次】
- 飲食店に急増しているテーブルトップオーダーとは
- 店舗のメリット
- お客様側のメリット
- 導入時の注意点
- 導入前にチェックしたいポイント
- テーブルトップオーダーのサービスは増えている
- 店舗に適したテーブルトップオーダーの見極めが大事
飲食店に急増しているテーブルトップオーダーとは
テーブルトップオーダーとは、テーブルに設置した端末からお客様自身がメニューを選んで注文するシステムのことです。テーブルトップオーダーはお客様自身が注文するので「セルフオーダー」ともいわれており、大手の居酒屋をはじめ飲食店への導入が進んでいます。
テーブルに設置する端末はタッチパネル式であり、お客様が注文すればキッチンに注文のデータが届きます。
スタッフがメニューをお客様に渡し注文を聞きに行くのが一般的な飲食店。しかしテーブルトップオーダーを導入すれば、メニューを渡したりオーダーを聞きに行ったりする手間がなくなります。
店舗のメリット
人手不足の緩和になる
テーブルトップオーダーを導入すれば、スタッフがホールに注文を取りに行く必要がありません。飲食店の人材不足は深刻で、特にアルバイトスタッフの人材不足が顕著といわれています。
帝国データバンクの2018年の企業動向調査によると、非正規社員で「従業員が不足している」と感じた上位10業種の1位が飲食店でした。
参照:流通ニュース「飲食店の人手不足/企業の5割が正社員、8割がアルバイト不足」より
https://www.ryutsuu.biz/strategy/k112220.html
飲食店ではアルバイトスタッフにお客様の注文取りを任せ、社員はスタッフ管理や店舗全体のマネジメントを行うというケースが多いもの。
テーブルトップオーダーを導入すれば、来客が多く混雑する時間でもスムーズに注文を取ることが可能です。
訪日外国人対応もできる
多くの店舗運営者にとって課題である訪日外国人の対応。さまざまな国の訪日外国人が来店するようになり、どの店舗も意思疎通に苦戦しています。
テーブルトップオーダーは多言語対応しているものがほとんどで、さまざまな言語に切り替えて利用できます。お客様は、端末に表示されるメニュー画像を選択して個数を入力すれば注文完了。
言葉が通じず、身振り手振りで注文を取るのは時間がかかるものです。テーブルトップオーダーなら、お客様が訪日外国人であっても短時間で注文を取れます。
長い目で見ると紙のメニューより管理が楽
紙のメニュー表は、季節や新メニューの追加で作り替える必要があります。メニューが変わる前でも、劣化すれば放置するわけにはいきません。
メニュー表を作り変える場合、ラミネート加工やカバーから古いメニュー表を外して、新しいものに入れ替えるのも労力がかかります。全テーブル分と考えるとなおさら大変でしょう。
もちろんテーブルトップオーダーの導入にも、端末代などのコストがかかります。初期費用で見れば、紙のメニュー表より高額になるでしょう。
しかし端末なら紙のメニュー表よりも簡単に変更できますし、劣化して不衛生なイメージを与えることもありません。長い目で見ると、コストダウンが期待できます。
混雑時も回転率を下げにくい
飲食店はランチやディナー、土日など混雑するタイミングがあります。お客様が多いと当然注文に呼ばれる回数も増え、時には長くお待たせするケースもあるものです。
しかし混雑時にお客様をお待たせしてしまうと、満足度の低下に直結します。
株式会社MS&Consultingでは、居酒屋業態とレストラン業態の2つでクレームとなる要因をアンケート調査しました。その結果、両業態においてクレームの要因となりやすい要因トップ2が「スタッフを呼んでも来ない」「スタッフに気づいてもらえない」というスタッフに関連する項目だったのです。
参照:株式会社MS&Consulting「居酒屋・レストランなど飲食店に関するクレーム要因調査結果分析」
https://www.msandc.co.jp/column_msc/cms_018
混雑する時間や曜日にスタッフのシフトを増やしても、人である以上病欠などのリスクが存在しますし、店舗運営者としては気が抜けません。
テーブルトップオーダーならお客様自身がキッチンに注文データを送ってくれるので、「いつまで待ってもスタッフが来ない」というお客様のクレーム解消につながります。
注文間違いがなくなる
注文を聞いて商品を提供した時、お客様から「頼んだ商品ではない」といわれる“注文間違い”はよくあるケースです。店舗側としては、注文を取った時スタッフが復唱するよう徹底しているものの、肝心のお客様が聞き漏らしていることもよくあるでしょう。
飲食店において「言った」「言わない」でお客様とスタッフがトラブルを起こすのは避けたいものです。テーブルトップオーダーはセルフオーダーシステムなので、注文間違いによるトラブルを回避できます。
お客様側のメリット
店員をわざわざ呼ばなくていい
注文が決まったのにスタッフがなかなか来ないと、お客様は「サービスが悪い」と判断してしまいます。人が多く店内が賑やかな時間帯は大声でスタッフを呼ばなければならず、お客様はストレスを感じるものです。
テーブルトップオーダーなら、お客様のタイミングで注文できます。「スタッフが待っているから、メニューを早く決めなければ」とプレッシャーを与えることもありません。
注文履歴がわかる
団体客などで注文数が多い時は、「あのメニューを注文したかわからない」というケースもあります。
お客様自身で注文履歴がわかるテーブルトップオーダーなら、気軽に履歴の確認も可能。
「注文が通ってないのではないか」というお客様の不安を解消できるのも、テーブルトップオーダーのメリットです。
導入時の注意点
客単価が上がるとは限らない
テーブルトップオーダーでの注文は、以下の理由から客単価が上がるとは限りません。
- アップセールス
- 機械注文だと「安いメニューばかり頼んでしまった」という気恥ずかしさがない
テーブルトップオーダーのシステムを導入する際は、客単価を上げる工夫があるとなお良いでしょう。
たとえば注文完了ボタンを押す直前の画面で、「ご一緒にこちらはいかがですか?」とレコメンド機能が搭載されたシステムもあります。タイムセール情報を端末に表示して、ライブ感を演出する方法も良いでしょう。
システムに頼らなくても、配膳の時にスタッフがおすすめ商品を伝えるという方法もあります。
通信環境と電源を確保する
テーブルトップオーダーに使う端末は、基本的に充電しながら使用します。そのためお客様のテーブルごとに電源を準備する必要があります。また、インターネット環境がなければ整備する必要もあるでしょう。
スタッフが注文を取りに行く飲食店なら、スタッフは注文内容をハンディデータターミナルという端末に入力したり、紙の注文票に書いたりしてキッチンに伝えます。
ハンディデータターミナルはBluetoothや赤外線でデータを送るタイプが多く、インターネット環境を必要としません。しかし、テーブルトップオーダーではインターネット環境が必要となります。
接客方法の見直しも必要
テーブルトップオーダーを導入すると、スタッフによる接客の機会が失われます。これはメリットでもありますが、デメリットでもあるのです。
お客様は飲食店を利用する際、「注文から配膳までスムーズにしてほしい」というニーズがあります。しかし“スタッフとやりとりをしたくない”というニーズではなく、「店舗スタッフにおすすめを聞いたり、料理の説明を聞いたりしたい」とコミュニケーションを求めているお客様もいるでしょう。
そのようなお客様にとって、テーブルトップオーダーによる注文は素っ気ないと感じるかもしれません。
テーブルトップオーダーを導入する際は、自店舗の利用客のニーズをくみ取り、接客方法を見直すといった対策も必要です。
注意点を踏まえた運用方法を検討する
店舗運営者は、店舗にもお客様にも良い結果が得られるように、テーブルトップオーダーの導入方法を工夫する必要があります。
単価を下げない工夫
テーブルトップオーダーによる注文は、お客様主体でメニューを選ぶ方法。メニューを決める際、いかに店舗のおすすめを伝えるかがポイントです。おすすめ商品を紹介する方法は、端末の横にPOPを置いたり席に案内する際にスタッフが伝えたりする方法もあります。
接客面での工夫
接客方法については、入店時の案内と配膳のタイミングでしっかりお客様とコミュニケーションを取ることが大事です。
テーブルトップオーダーは店舗運営を効率化させるためのもの。しかし、丁寧な接客を求めているお客様に対しては、効率化ばかり意識せずしっかりコミュニケーションを取るという姿勢も必要です。
スタッフにその点を理解してもらうことで、お客様の満足度を下げない店舗運営の効率化が見込めるでしょう。
導入前にチェックしたいポイント
直感的に使えるかが非常に重要
テーブルトップオーダーは、お客様が自分でオーダーするのが最大の特徴。つまりテーブルトップオーダーを導入する際は、お客様から見て「使いやすいのか?」という点もふまえた選定が欠かせません。
特に幅広い年齢層のお客様が利用する飲食店なら、機械操作が苦手な方も考慮する必要があります。テーブルトップオーダーを導入する際は、「タブレット操作が苦手なお客様の、スタッフが注文を取りに行く」という運営ルールを作るなどの対策を考えましょう。
メニューのレイアウトがカスタマイズできるか
飲食店側としては、季節のメニューや名物など特におすすめしたいメニューがあるものです。そしてメニュー表に載せる時は、おすすめのメニュー画像だけほかのものより大きくして目立たせることも多いのではないでしょうか。
テーブルトップオーダーは複数のメーカーが販売しており、自由にレイアウトできるものとできないものがあります。メニューによって画像の大きさを変えたい店舗は、フリーレイアウト形式のテーブルトップオーダーシステムを導入するようにしましょう。
トラブル時の対策も要確認
テーブルトップオーダーを選ぶ際は、メーカーが不具合や質問にすぐ対応してくれるかも大事なポイントです。深夜まで営業している飲食店の場合、サポートの時間外で対応してもらえないというリスクも考えられます。
テーブルトップオーダーは、端末やシステムの不具合が起こった時迅速に対応する必要があります。端末から注文ができなくなれば、スタッフが注文を取りに行く必要があります。店舗運営者は、その際の対応についても考えておいたほうがよいでしょう。
導入済のPOSレジに対応しているか
テーブルトップオーダーで注文したデータは、キッチンディスプレイに送る以外にも活用したいものです。会計システムと連携させたり自動で集計をしたりとデータを活用すれば、店舗運営において大きな強みとなります。
すでにPOSシステムを導入している場合は、自店舗のシステムと連携可能なテーブルトップオーダーシステムを導入するのがおすすめです。
テーブルトップオーダーのサービスは増えている
iPadで注文できるアプリ
POSレジサービスなどを提供している株式会社 USENは、iPadをテーブルトップオーダーとして利用できる『USEN Register Table Top Order』をリリースしました。
USEN Register Table Top Orderはすでにリリースしている「USEN Register」というPOSシステムのオプション。iPadに専用アプリをインストールして利用する仕様なので、専用端末を準備するコストがかかりません。
英語・中国語・韓国語の3か国語に対応しており、スタッフの呼び出しや注文履歴の確認もできます。すでにUSENのPOSシステムを導入している店舗に特におすすめです。
ぐるなびもオプション機能としてリリース
飲食店の口コミサイトで有名な「ぐるなび」を運営している株式会社ぐるなびは、店舗運営をトータルサポートするための「ぐるなびPOS+」をリリースしています。
クラウド型タブレットPOSやオーダーエントリーシステム(OES)の機能があり、オプション機能としてテーブルトップオーダーシステムがあります。こちらも専用端末が不要で、iPad Proにアプリをインストールすれば利用できます。
中国語・英語・ベトナム語などの多言語対応しており、端末単位でメニュー構成の設定も可能。すでにリリースしている飲食店向け台帳システム「ぐるなび台帳」やマルチ決済サービス「ぐるなびPay」とデータ連携可能で、免税対応機能も備えています。
店舗に適したテーブルトップオーダーの見極めが大事
テーブルトップオーダーシステムは飲食店にとって画期的なシステムです。「店舗が2階建てで、複数のフロアの注文を取りに行くのが大変」「人手不足で悩んでいる」という店舗にとっては、大きなメリットがあるでしょう。
しかしテーブルトップオーダーシステムは、接客機会の損失や機械操作が苦手なお客様の対応など、導入の際には十分に検討すべき点もあります。
テーブルトップオーダーの設置方法は、全テーブルに常設する以外にもあります。「個室のみ設置する」「注文が混み合う時間帯だけ設置する」という部分的な利用もできるので、店舗運営者は今の自店舗の悩みと向き合い、最適なシステム見極めるようにしましょう。
IoTが進み、テーブルトップオーダーのように店舗運営を助けるシステムが続々と登場しています。自店舗の課題を解決できるシステムを導入して、さらに店舗の価値を高めていきましょう。