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最新の消費者動向を解説。今見直したい店舗における消費者の購買行動

コロナ禍による行動様式の変化などが影響し、消費者動向は大きく変わることとなりました。消費者はオンラインとオフラインを自由に行き来しており、その時のニーズに合わせて適切なチャネルで消費行動を取っています。

この記事では、小売店のマーケティングで欠かせない最新の消費者動向について解説します。加えて消費者が店舗に求めるものや経済事情についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

消費者動向調査から見る最新の購買行動

消費者動向を見てみると、消費者はオンラインとオフライン、それぞれのチャネルを自由に使い分けています。

商品を購入できる窓口が増えた結果、消費者は店舗とECで求める魅力が変わりました。まずは最新の購買行動から見ていきましょう。

多様なチャネルを自然に使い分ける消費者が増加

アドビの2022年の調査によると、5年前を比較して、購入までにオムニチャネル化が進んでいることが分かっています。消費者は複数のチャネルを自然に使い分け、自分のその時のニーズに合ったチャネルを賢く選択しているのです。(※)

オムニチャネルが進んだ背景には、やはり新型コロナウイルス感染症のパンデミックが影響しています。自粛により消費者の行動様式は大きく変わり、デジタルの活用が当たり前となりました。

オンラインの活用も進んでおり、購入前にWebやSNS、レビューサイトで情報収集する消費者が増えています。

注目したい点は、若年層の情報収集源です。購入するまでに利用した媒体として動画サイトやInstagram、TwitterといったSNSやフリマアプリといったインタラクティブな情報源がメインとなっており、マスメディアなどのチャネルは減少しています。

またWeb認知からWeb購入および店舗購入、逆に店舗認知からWeb購入という消費者はそれぞれで増加しており、ここでもオムニチャネル化の加速をうかがわせます。

※参照:Adobe Digital Survey 消費者動向調査2022

https://business.adobe.com/jp/resources/reports/003371-consumer-behavior-research-2022.html

サステナビリティか、品質か

持続可能な社会の実現を目指す「サステナビリティ」は世界の目標であり、日本企業においても大変重視される社会的責任の1つです。昨今では、多くの企業でサステナブルな取り組みを意識したサービスや商品の改良が進んでいます。

コマースプラットフォームShopifyの調査では、消費者がサステナビリティに対する強い関心があり、さらに長く使える製品を求める傾向がわかりました。調査に協力した日本の消費者2000人のうち、32%が「すでに持続可能な買い物を実践している」と回答しています。(※)

※参照: Shopify Japan株式会社プレスリリース

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000102.000034630.html

特にZ世代やミレニアム世代といった若年層はサステナビリティに対する意識が高く、どちらの世代も60%以上の消費者が「適切な商品を見つけるために多くの手間を費やす」と回答しました。

さらに注目したいのが、消費者がサービス品質よりもサステナブルな取り組みを評価する点です。「持続可能なブランドであれば商品の到着に多くの時間がかかっても容認する」と回答した消費者は55%にのぼり、全体の半数以上となっています。

つまり、消費者の購入意思決定において「持続可能性」が大きく影響しているのです。

店舗購買とEC購買では求めるメリットが異なる

オムニチャネルによって店舗もECも自由に行き来可能となった結果、それぞれへ求めるメリットも変化しています。

店舗のメリットといえば、以下が挙げられます。

  • その場ですぐ入手できる
  • 商品を手に取って確認できる
  • 家具などサイズが大きい商品の実物を確認できる

至急必要なものや購入点数が少ない場合は、すぐ入手できる店舗にニーズがあります。また試着や生地の触り心地などは手に取った方がわかりやすく、「購入前に店舗で実物を見よう」と考える消費者は少なくありません。

またベットフレームやテレビなどサイズが大きいものは、大きさを確認しても「イメージが違う」と感じることがあります。金額も高いので「納得してから買いたい」という意識が高く、消費者にとって配送してくれるECより店舗の方が魅力的です。

一方でECのメリットは以下であるとされてきました。

  • 24時間いつでも購入できる
  • 家にいながら買い物ができる
  • 家まで配達してくれる

スマートフォンやPCさえあれば、24時間いつでもどこでも買い物できる点がECの最大の魅力です。通勤中や寝る前に手軽に買い物ができ、さらに家まで配達してくれるECの利便性は大変高く、コロナウイルスのパンデミックが終息した後もニーズは消えないでしょう。

近年ではECで購入後に店舗で商品を受け取ったり、逆に店舗では商品を見るだけにとどめ、購入はECで行う、というように、それぞれのメリットを融合したオンラインとオフラインを行き来する購買行動も可能になってきています。

店舗での購買行動を再考する

EC戦略やデジタルマーケティングが進んだ今、小売店は、消費者の実店舗における購買行動を再考する必要があります。オムニチャネルでEC・店舗を自由に行き来する消費者は、店舗で何を求めているのでしょうか。

利便性よりも「体験」重視

消費者が店舗で求めているものといえば、「体験」です。利便性の高いECではなくわざわざ来店するということは、店舗でしか得られない体験を求めているからに他なりません。

海外のティーン向けスキンケアブランドの創業者であるシャイ・アイゼンマン氏は、「Z世代に聞くと、80%の消費者がスキンケアを店舗で購入することを好んでいる」といいます。さらに同氏は「美容とパーソナルケアはD2Cに適さない」ともコメントしました。

Z世代を中心として消費者が求めているのは「アクセシビリティ」です。和訳すると、近づきやすさや使いやすさ、そして利便性となります。

日本の化粧品業界においても、若年層を中心にECの利用率は高くありません。その理由には、ドラッグストアなどの“プチプラ”の需要が高いことや「実際に試したい」「スタッフの接客やアドバイスを受けたい」という「体験」に対する需要の高さがあります。

一方でデジタル分野も大きく影響します。デジタルマーケティングがZ世代に与える影響は大きく、平均的な消費者は購入決定までに9~12回ブランドを目にする必要がある」とされています。

TikTokにYouTube、InstagramといったSNSを中心にブランドを理解して、9回を超えたあたりから「実際に見てみよう」と来店してくれるのです。

顧客にどのような体験を提供できるか

リアル店舗の価値を高めるためには、店舗が顧客にどのような体験を提供できるかを考えなくてはなりません。

具体的に考えると、プロである店員の接客、実物を見られる、たくさんの商品から好みのものを見つけられるなどが考えられます。

小売店における買い物には「リテールセラピー」という言葉があります。日本語では「小売心理療法」と呼ばれ、店舗での買い物は人を幸せな気持ちにさせるというものです。

リテールセラピーは、単にストレス発散のために消費を行うというものではありません。「店舗での買い物」自体に癒し効果があるという点がポイントです。

店内を歩いて商品を見て回るだけでも、消費者はアイデアやひらめきを得ることがあります。これは店舗でしか得られない貴重な体験であり、消費者にとって大変重要な来店理由です。

店内に陳列された様々な商品を見比べ、そこから自分の気に入ったものを選択して手に入れるという体験そのものが消費者へいい影響を与えます。データによると、調査に参加した買い物客は買い物をしなかった人と比べて、3倍も「悲しみ」の感情が少なかったという結果が出ています。

参照:GLAMOUR

https://www.glamour.com/story/retail-therapy-is-real-shoppin

また店舗での体験をよりよいものにするためには、スタッフの「質」も欠かせません。

店舗スタッフの知識量は重要で、消費者の時間節約にも貢献します。「あそこのスタッフは頼りになる」「接客が丁寧」と評価されれば、店舗の価値はさらに高まります。

反対に、店舗が広くても経験不足の学生スタッフしかいない・そもそもスタッフがいなくて質問できない、という状況なら、消費者は「ECで買い物したほうがいい」と判断するでしょう。

店舗の価値という視点では、店舗の品質を落とさないスタッフの配置や教育もおろそかにできません。

消費者動向と無視できない経済事情

2022年から値上げラッシュが始まり、消費者動向に大きな影響を及ぼしています。小売店が把握しておきたい、値上げラッシュの今後の見通しと実店舗からオンラインへ移行した品目について解説します。

2023年も値上げは続く見込み

2022年から値上げラッシュが始まり、多くの商品・サービスが値上げとなりました。店頭価格の引き上げは依然として収まる気配はなく、大手食品スーパー社長は、「輸入が大半の水産品は値上げが激しく“値ごろ価格”が外れてしまった」と話します。

水産物が値上がりすると精肉の需要が高まり、競争が激しいハムなどの加工肉はNB(ナショナルブランド)からPB(プライベートブランド)に切り替わっています。

同社長は値上げラッシュが「今後1年で収まることはない」と予測しており、電気代の上昇や価格を抑えるなど自助努力の限界を感じています。値上げは回避できず、付加価値を生み出すような対応を検討しているそうです。

12品目中9品目の商品が実店舗からオンラインへ

NTTコムの調査では、消費行動について日用品をはじめとした12の商品のうち9つについて、購入場所が実店舗からオンラインへシフトする傾向がみられるとわかっています。(※)

※参照:NTTコム「購買行動」に関する調査結果

https://research.nttcoms.com/database/data/002189/

具体的には飲料、日用品、衣料品や食料品、書籍といった消費者の身近な項目を中心にECの利用が増えており、メーカーはデジタルマーケティングの強化を検討しなければなりません。

上記のような商材では実店舗劣勢の状況となっており、小売企業は、売り場の力をメーカーに訴求する必要があります。

消費者は、ECと実店舗のそれぞれの特徴を体感しており、その時便利なチャネルを自由に使い分けるようになりました。小売店はこの消費者動向を把握して、ECの魅力・店舗の魅力を分けて伸ばしていかなくてはなりません。

最新の消費者動向について、目立った特徴や小売店が取るべき対策について解説しました。コロナ禍でECの整備が急務となりましたが、緊急事態宣言も落ち着いた昨今では、店舗の見直しも重要です。

実物を手に取ってみることができる、接客が受けられる、試着ができる… … 店舗では、まだまだECで実現できない魅力があります。自社の顧客が求めているニーズを洗い直し、オムニチャネルのこの時代に沿った店舗改革ができれば、店舗の価値はより高まるでしょう。

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