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OMOで店舗が進化する!オンラインとオフラインが融合する店舗ビジネスのヒント

Online Merges with Offlineの略であるOMO。Mergesという言葉通り、これからはオンラインとオフラインを融合させたOMOの取り組みが欠かせません。

OMOはすでにアパレル業界をはじめ多くの業界で導入が始まっており、変化した消費者の生活様式に合わせる重要性の高い考え方です。

「オムニチャネルとは違うの?」「OMOをどう自社に取り入れたらいいの?」と悩む担当者に向けて、OMOの事例や導入のポイントを解説します。

OMO型店舗の拡大は継続する

OMOとはオフラインがオンラインに内包された状態で、この2つを融合することが最大のポイントです。「OMOが業界を変える。アパレル企業が進めるビジネスモデル変革」でご紹介した通り、試着というニーズの高いアパレル業界は他業種よりOMOが進んでいます。

消費者の生活様式が変わりコロナ禍の終わりが見えない今、OMO型店舗の需要はアパレル業界に留まりません。

アパレル業界ではOMO型店舗のオープンが続く

まずはアパレル業界のOMO型店舗について、3つの事例を見ていきましょう。

1:オンワードは「クリック&トライ」をスタート

オンワードホールディングスの傘下である「オンワード樫山」は、2021年4月にOMO店舗の展開をスタートしました。同年秋には10店舗まで展開して計14店舗となり、かなり積極的にOMO戦略を進めています。

そんなOMO戦略を進めるオンワードで特に好評なのが「クリック&トライ」です。消費者が公式ECで見たアイテムを店舗に取り寄せて試着して購入できるこのサービスは、EC限定や店頭で扱っていないサイズでも試着できる点が魅力です。

消費者は、PCやスマホ上で希望の商品と来店日時を予約するだけで手続きが完了します。(最大5点、試着は1回)あとは実店舗へ来店して、商品を試着してサイズや手触りを確認できます。

オンワードが開催したアンケート結果でも、「自社ECサイトよりも店頭で実物を見て購入したい」という顧客が40%以上、「試着してから購入したい」という顧客が40%弱と高いニーズがあります。

店頭スタッフはあえて店頭にない商品を着用してクリック&コレクトの浸透を促すなど、スタッフも工夫を欠かしません。店頭×オンラインというOMO戦略で、店舗を急ピッチで拡大しています。

参照:繊研新聞社|OMO型店舗「オンワード・クローゼットストア/セレクト」 顧客満足度を向上 

https://senken.co.jp/posts/onward-omostore
2: 楽天は東急と協力してOMO型ポップアップストアを開始

楽天、東急、そして両社が2020年7月に設立した楽天東急プランニングの3社は、2021年11月から12月の期間限定で渋谷にてOMO型ポップアップストアを開設しました。

楽天のファッションECサイト「Rakuten Fashion」で扱う女性向け秋冬アイテムの展示・販売をメインとし、あえてOMO型と銘打つことはしていません。

店頭アイテムのQRコードからRakuten Fashionへ誘導する仕組みで、オフラインの試着、オンラインの購入と双方を融合した購買体験を提供することが狙いです。

3: スーツカンパニーはOMO型店舗の展開をスタート

「ザ・スーツカンパニー」を展開する青山商事は、同事業で展開する4ブランドを集結したOMO店舗「ティーエスシー スクエア(TSC SQUARE)」を展開しました。

店内にはタッチパネルの大型サイネージやタブレットを設置し、持ち帰りはもちろん店舗内でECサイトから購入できます。自宅配送の「デジラボ試着室」を導入し、需要が増えているオーダースーツサービスも拡大する見通しです。

OMO型店舗としてECと連動した結果、幅広い品ぞろえができたこと・店頭在庫の削減ができたことを大きなメリットとしています。

リモートワークが増えスーツの需要が減っている中、スーツカンパニーのEC売り上げは3~5倍ほどと大幅に伸びました。逆境の中、OMO型店舗を「スーツを維持するための事業モデルの変革」と位置づけ戦略を練った結果、スーツの価値観の変化に対応したり需要減の中でも売り上げを伸ばしたりと勢いをつけているのです。

上記のように、“試着ありき”のアパレル業界ではOMOの導入が進んでいます。5GなどITの発達や生活様式の変化により、消費者はオンラインとオフラインを自由に行き来するようになりました。

その結果アパレル業界に限らず、今では様々な業界でOMOが進み、デジタルとリアル店舗を融合する取り組みが活発になっています。

【事例】業種別アパレル業界以外のOMO型店舗5選

国内で導入が進んでいるOMO型店舗について、以下の業界別の事例を5つご紹介します。

  • 百貨店
  • 食品・飲食
  • 雑貨小売り
  • リサイクル
  • フィットネス

【百貨店】そごう・西武は次世代メディア型OMOストアを開業

そごう・西武百貨店は2021年9月、OMO型店舗「CHOOSEBASE SHIBUYA(チューズベース シブヤ)」を開業しました。

店舗内はすべてキャッシュレス決済で、展示される様々な商品を店頭ですぐ購入できます。BOPIS(Buy Online Pick-up In Store)も導入しており、ECで購入した商品を店頭で受け取ることも可能です。

CHOOSEBASE SHIBUYAは店舗の価値を「モノを買う空間」ではなく、「商品を手に取り気づきや賛同を得て、購入意思を確認してもらう場所」と定義しました。D2Cブランドと競合して、店頭・EC・メディアを横断した購買体験を提供しています。

例えばWebカタログを活用した「ウォークスルー決済」により、消費者は非接触で買い物ができます。ECと店頭在庫はリアルタイムで連動しており、帰宅後に「やっぱり買いたい」というニーズにも対応可能です。

また店内にはAIカメラが搭載してあり、店内の来店や通行・購買といった履歴がデータとして蓄積され、分析に活用されています。

【食品・飲食】移動販売車と場所をマッチングする「SHOP STOP」

スタートアップ企業であるMellow(メロウ)は、オフィス街の“ランチ難民”を救っていたキッチンカーをOMO店舗として活用するサービスを始めています。

Mellowはオフィスビルやマンションにある空きスペースと、移動販売車のマッチングプラットフォームを提供する「モビリティビジネス・プラットフォーム」を提供する企業です。

飲食がメインであったキッチンカーですが、産直野菜を扱う店舗や豊洲の鮮魚店などユニークな事業者も利用しています。そのほか自転車の修理サービスも展開するなど、様々なサービスのモビリティ化を進めることで場所の価値を高めています。

【雑貨小売】AWESOME STORE は吉本とコラボレーション

株式会社レプレゼントが運営するOMO型店舗では、2021年6月に「吉本芸人のAWESOME STORE 商品化への道」として、吉本興業に所属する芸人とのコラボ企画を実施しました。

同企画はストアのSNS番組「オーサムチャンネル」で公開され、視聴者は公式インスタグラムのインスタライブで閲覧できます。SNSユーザーにリアルタイムで見てもらい、商品化までの道のりを応援してもらえる点が特徴です。

OMO店舗「AWESOME STORE(オーサムストア)」は、情報発信と共有ができる店舗として同年3月にオープン。2階ブースではSNSを使ったオーサムチャンネルを配信し、商品紹介以外にお笑いとのコラボやワークショップを開催し、エンタメ性の高い情報発信を行っています。

【リサイクル】「モノありき」のビジネスもアプリで完結

現物を見なければ商談が進まないリサイクル業界でも、OMOが進んでいます。最近では多くの事業者で通話アプリ「LINE」を使ったオンラインの買取が始まっており、宅配買取を超える快適さを提供しています。

商品を売りたい人はLINEで買取希望の商品画像を送信し、事業者がトーク画面で見積もりを送るというサービスはもはや一般的です。モノありきの業界でも、スマホ1つで買取ができます。

さらにLINEでやり取りすることで自動的に友達追加され、リピーターの確保や囲い込みにも直結します。

リサイクル業におけるオンライン完結の課題は「本人確認」でした。古物営業法により免許証など本人確認書類の提示が義務であり、宅配買取サービスでは本人確認書類のコピーを同梱しなければいけません。

しかし技術が進化した結果免許証の表と裏、さらに厚みや顔写真の複数回撮影などが可能になり、オンラインで完結できるようになりました。技術の進歩によって偽造を見抜けるようになった結果、OMOの導入が可能になったのです。

詳しくは、「リユースと買取の今。テクノロジーと異業種協業でさらに業績拡大傾向」で解説しておりますのでご参照ください。

【フィットネス】OMO戦略によるセミパーソナルフィットネス「FLATTE」

店舗が必須とされたフィットネス業界でも、OMOが進んでいます。OMO型フィットネス「FLATTE(フラッテ)」は、実店舗でもオンラインでもシームレスのフィットネスが体験できるサービスです。

FLATTEではOMOを「オンラインとリアルどちらでもレッスンを受けられる状態」と定義して、カフェに行くような気軽さでフィットネスに通えるサービスを提供しています。

入会から予約、店舗受付や物販購入までをスマホで完結できる点が大きな魅力です。またLINEと連動してコミュニケーションを容易化。店舗のみとされたインストラクターとのやりとりや接点も、デジタルで解決できるようにしました。

オンラインのみではなかなか続かない“宅トレ”も、FLATTEなら気軽に店舗に立ち寄ることで消費者はモチベーションを維持できます。インストラクターが手取り足取り教えることで細かい悩みが解決でき、孤独を感じることがありません。

この「オンライン・オフラインのどちらも選べる」という点は、他業種でもOMOを進める大きなポイントとなります。

OMOによる店舗ビジネスのヒント

様々な業界で進むOMOですが、「消費者がリアル店舗とオンラインを好きに選択できる」「どちらを選択しても同じメリットが受けられる」ことが大きなポイントとなります。

ECでは、リアル店舗のような接客や商品の受け取りやすさの追求が必要です。反対にリアル店舗では、ECのような商品の探しやすさやレコメンド、在庫のわかりやすさなどが必要でしょう。

例えばアパレルでは店舗スタッフがECを活用し、オンライン接客をする事例もあります。店舗でしか受けられなかった接客サービスをECに導入することで、リアルのようなリッチなサービスを提供するのです。

OMOの類似語として「オムニチャネル」があります。しかしオムニチャネルは、物流をより効率化してECや店舗を統合することが主な目的となります。

一方OMO化はECとリアルで体験を融合する意味合いが強く、如何にユーザー目線でネットの垣根をなくすかがポイントです。

「複数の店頭をめぐって品定めする」「買うアテもなくふらっと店舗に立ち寄る」という商習慣が減少し始めています。これからは「店頭とECそれぞれの良さ」を追求するのではなく、「店頭でもECでも同じ良さがある」というあり方が求められるのかもしれません。

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