電子カルテ導入で無駄を省く!電子カルテのメリット・デメリットとは?
目次
- 電子カルテを導入するメリットとは?
- 電子カルテのデメリットとは?
- 電子カルテとオーダリングシステムの違い
- 電子カルテの市場シェアは?
- まとめ
医療現場において、患者の病気や症状について記録するものを「カルテ」といいます。このカルテを見れば、過去に医師がどのような診察をおこなって診断を下したか、また処方薬は何か、経過はどうかといった全ての治療記録が記されています。
カルテは紙に手書きで記録するという性質上、どうしてもこのような問題がつきまといます。
<紙のカルテに記録する問題>
- かさばる
- 手書きの字が判別不能
- 紛失のリスク
- カルテを探すのに時間がかかり、迅速な対処が遅れる場合も
- 患者が過去受けた診察や治療内容を都度聞く必要がある
この問題を解決するべく、医療現場での活用が期待されているのが電子カルテです。電子カルテに患者の基本的な情報や診察した際の情報を記録しデータベースに保存することにより、スムーズな情報へのアクセスを可能にします。
以下では、電子カルテのメリットやデメリットについて解説していきたいと思います。
電子カルテを導入するメリットとは?
電子カルテは、バラバラになりがちな紙での管理にとってかわる便利なツールです。患者の医療機関受診履歴や既往症、アレルギーの有無、血液型、注意すべき点、処方された薬などの過去の医療データを参照することができるため、医師や患者の記憶に頼ることなく正確なデータを確認することができます。
電子カルテのメリットは以下のものが挙げられます。なお、これらのメリットは一部です。
- 患者の医療機関受診履歴や既往症、アレルギーの有無、血液型、処方された薬などのデータを一目で確認できる
- 医療情報に素早くアクセスできる
- 端末とネットワークさえあればどこからでもアクセス可能
- 医師の指示を確実におこなったか確認しながら業務を進めることが可能
- カルテ保管のためのスペースを省く
- 文字の判別が容易
- 検索機能を使えばカルテを探す必要がない
- 受付から会計、データの記録と保存まで一括しておこなうことができる
電子カルテは、主に医療従事者の業務効率化に効果があります。
医療現場では人の命にかかわることもあるためスピーディな行動が必要不可欠ですが、常に業務に追われている状態なので人為的ミスも誘発しやすい現場でもあります。
電子カルテでは、医療ミスを起こさせないために指示内容を漏れなく実行することに配慮された設計がなされています。
電子カルテを用いることによって業務がすばやくできるぶん、患者を待たせることがないので患者の満足度を高めることにもつながります。
電子カルテのデメリットとは?
電子カルテは一見メリットだらけでデメリットがなさそうにも見えますが、もちろんデメリットもあります。
「日本再興戦略」改訂 2015のなかでは、目標とする電子カルテの普及率についてこのように言及されています。
また、2020 年度までに、地域医療において中核的な役割を担うことが特に期待される 400 床以上の一般病院における電子カルテの全国普及率を 90%に引き上げる。
出典:首相官邸:https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/dai1jp.pdf
普及率は年々上がっていますが、2016年の時点※で電子カルテを導入している400床以上の医療機関の導入率は72.9%※にとどまっています。なぜ電子カルテは普及していないのでしょうか。
※参考:JAHIS オーダエントリ・電子カルテ導入調査報告 -2016年版(平成28年)-
https://www.jahis.jp/action/id=57?contents_type=23
デメリット1:医師が電子カルテの操作に慣れていない、データの入力が困難
電子カルテの致命的な問題点として、入力をおこなう医師が機器の操作に慣れていないと効率化につながらないという問題があります。またデータを入力することが難しい電子カルテだと端末の操作に手間取ってしまいます。このため操作が簡単で迷うことが少ない電子カルテを選ぶ必要があります。
デメリット2:導入費用が高い
また、導入にかかるコストがネックという問題もあります。費用対効果で見たときに電子カルテを導入するメリットはあるのかという懸念があるようです。紙のカルテでも現行問題がない病院では、導入のメリットはそれほどないということかもしれません。
デメリット3:停電
停電が長引いた場合、電子カルテを用いることは難しいでしょう。病院で停電となってもバックアップ用の発電機はあるでしょうが、停電がいつ復旧するかわからない場合は長時間の利用は難しいかもしれません。
このような使いにくさや導入における費用対効果における懸念がなくなれば、さらに電子カルテの普及がさらに進んでいくかもしれません。
電子カルテとオーダリングシステムの違い
電子カルテと似たもので、「オーダリングシステム」があります。オーダリングシステムは医療機関での診察受付から会計までの過程を電子化したものです。電子カルテは同じように診察の受付から会計までの過程を電子化したもので、ここまではオーダリングシステムと同じですが、異なる点はその後のデータの記録・保存といった後処理の機能も担っていることです。これはオーダリングシステムにはありません。
電子カルテの市場シェアは?
電子カルテの市場は今後も伸びると予測されており、調査会社のシード・プランニングによると2020年の市場規模予測では2,776億円となっています。
今後は中小規模の病院において導入が進むことについて触れられています。
電子カルテは様々な種類のものが出ています。
以下では導入数が多い簡単に富士通とパナソニックの電子カルテの紹介を簡単におこないます。
富士通のHOPE EGMAIN-GXはバーコードで医療事故を防ぐ
富士通は病院の規模や診療科目に対応した電子カルテシステムを取り揃えています。
電子カルテの種類はいくつかありますが、電子カルテシステム「成長型電子カルテシステムHOPE EGMAIN-GX」では、医療事故を起こさないための確認プロセスとして患者のリストバンドを照合する機器を用いています。
使い方としては、最初に患者のリストバンドのバーコードを読み取ります。その後、指示された注射や点滴についているバーコードも読み取ることによって、患者と処方される医薬品が正しいかどうかの照合をおこないます。
もし医師の指示と一致しない場合、エラーが出るようになっています。この方法であれば点滴や注射をおこなう前にエラーとなるので、重大な医療ミスを防げます。
この製品のほかにも、~200床までの小規模医療機関向けのクラウド型電子カルテHOPE Cloud Chartなどがあります。
電子カルテ導入実績が多いパナソニックのMedicom(メディコム)
電子カルテシステムの導入数が多いのがパナソニックの電子カルテシステムMedicomシリーズです。
Medicom HRVは診察から会計までの処理をスムーズにおこなうことができます。
ワンタッチ入力の設定を行うことで都度入力をおこなう手間を省くことができます。また医師から検査センターへの検査依頼、データの送信も楽におこなうことが可能。また、病名チェック機能や入力アシスト機能など、各所に使いやすい設計がされています。
Medicom HRVは電子カルテと事務業務をサポートするためのものですが、他にも病院の規模や目的にあわせた電子カルテ製品があります。
まとめ
電子カルテは導入することによって受けられるメリットが多い便利な業務支援ツールです。
デメリットも多少はありますが、電子カルテは多彩な機能を備えているものが多いため、受付から会計までシームレスに医療情報データの確認や入力をおこなうことができます。
業務効率化を考えているのであれば、電子カルテを導入することも視野に入れたほうが良いのかもしれません。