出張管理システムの導入による経費削減効果は?
企業におけるコスト削減の取り組みはシステムの効率化によって進められつつありますが、出張経費はコストカットが難しいとされる費用の一つです。
出張にかかるお金は間接費用となり不透明なところも多く、実際に出張にかかった費用・必要だったお金はどれくらいなのかが目視では判断しきれない部分も多いためです。
出張経費は大きな組織で行われているとなるとより見極めが難しく、かつ経費に無駄があった場合には大きな金額の支出となってしまいます。
今回はそんな出張経費に関する問題を解決するための出張管理システムや経費削減の施策についてご紹介します。
【目次】
各企業による出張管理の現状
一般的な企業の出張プロセスは、個人の裁量による部分が多く、会社のシステムが及んでいない要素が大きいとされています。
会社組織の中では出張申請を行い、上司の承認を得るということは行われるものの、渡航費や宿泊費用は実際に出張へ行く本人が自分で行うために、その経費全てに企業が目をやるということは難しいと言えます。
また、会社側も出張にかかるお金の適切な額の基準が正確に分からず、「この出張はいくらまでが経費」という線引きが難しいために曖昧になってしまっているという現状もあります。
コストを抑えたいけどそもそも出張にかかる旅費の基準が曖昧で、いくらくらいまで抑えられるか分からないという悩みが散見されているのです。
出張経費に関わる何らかのルールが存在することもありますが、そうでない場合は必要以上に高額なプランや金券付きの宿泊パックを社員が購入し、余分な出張経費が発生することもあるでしょう。
出張経費の見直しは多くの企業が課題として捉えている
日本CFO協会が最近おこなった調査によると、出張経費の見直しの動きは多くの企業で始まっていることがわかります。
今回の調査における出張経費は、交通費に加えて宿泊費、仮払い、支度料、日当、予防接種代、通信費、接待費、資料購入費、研究費、各種保険、そして出張に合わせた有給休暇取得などが含まれると定義されています。
同じ経費とはいえ詳細にカテゴライズするとこれだけ細かな区分分けが存在するため、出張にかかる経費の計算が曖昧になるのは仕方のないことかもしれません。
実際に出張へ赴く社員の旅費規程に関する理解度を質問においても、約3割の企業がほとんど理解していない、あるいは理解が不十分であると解答しており、出張に関するコンプライアンスが十分に行き届いていないことがわかりました。
また、社内における出張申請においても、上司のチェックが十分に行われておらず、申請そのものが経費の問題を考慮しない形式的なものとなっているというデータも明らかになっています。出張規定が存在し、認知されているのにも関わらず、チェック体制が不十分なために規定が意味をなしていないという状況です。
特に海外出張のような国外への渡航が含まれる出張においては経費が高額になると同時にチェックも甘くなりやすいため、無駄な経費が発生する温床になっていると考えることもできるでしょう。
ずさんな申請チェックもコスト増加の原因に
また、上司のチェックが非常に緩いものということを察知している企業においては、バックオフィスや旅行会社が実際にチェックを行っているところも少なくないようです。
初めから上司による申請のチェックが適切であればこのようなダブルチェックの必要性がないにも関わらず、経費のチェックのために経費が発生しているという無駄の多いシステムが常態化しているケースといえます。
このような出張経費にまつわる問題から、調査に回答した企業の過半数は出張管理の厳格化を必要と感じており、同時にプロセスの簡素化も求めていることが明らかになりました。
プロセスの厳格化を望むのは経費削減のためであり、同時に簡素化も余計なコストを負いたくないためです。
システムを複雑かつ厳しくすれば不正は減らすことができるかもしれませんが、そのために多くの費用がかかることもあります。厳格化と簡素化を同時に行うことで、無駄のないシステムによる出張経費の管理が可能になるというわけです。
BTMによる経費削減効果
出張経費の管理見直しにおける課題として注目したいのは、BTMの取り組みです。BTMとは、ビジネストラベルマネジメント(Business Travel Management)の略で、元々アメリカで始まった海外出張に伴う社員の経費削減と安全管理を一括して行うためのマネジメント施策です。
旅行会社の行うBTM
最近では旅行会社がBTMに則った手配業務を行うことも増えてきました。
出張は必ずしも海外であるとは限りませんが、BTMは国内出張においても考え方の土台として有効と言えます。
BTMはITの発展と経済のグローバル化により海外では1980年代より素早く採用されてきた考え方でしたが、日本では2000年代に入ってようやく導入が進み、事業としてBTMを提供する旅行会社も増えています。
BTM施策の重要性
自社の商売の根幹となる材料などの経費は厳しく管理していても、出張費用のような間接経費に目が届かないことは珍しくありません。BTMの施策にはITリテラシーとBTM事業における豊富な知識と経験を兼ね備えた旅行会社のアドバイスを受けることも大切になってくるでしょう。
具体的には適切なガイドラインの制定がBTMにおいては重要となるのですが、単なるコストカットだけでなく出張へ赴く社員の満足度も考慮する必要になります。コストと社員のパフォーマンスに影響しないバランスを考えることにより社員のガイドライン遵守を促し、ルールの形骸化を防ぐ重要な役割を果たすのです。
出張管理システムの導入について
このようなBTMの施策は自社で行うとなると、システム改変のために時間とコストを必要以上に要する可能性もありますが、今導入が進んでいるのは出張管理システムです。
出張管理システムは出張手配からチケット発行、旅費の精算などを一括して行うことができるサービスです。いわゆる出張手配の代行業務を担い、これまでは個人と会社で別々の作業を行っていた申請プロセスを、システム内で一元化することにより出費をできる限り可視化して作業を簡略化し、無駄な費用が発生しないよう経費を抑えることができるようになります。
大手旅行代理店も参入
業務効率化の一環として出張管理システムは利用されますが、IT系コンサルタント企業だけでなく旅行代理店もシステム提供事業に参入しています。
もともと出張手配には、このようなインターネットサービスの登場以前から旅行代理店業者が担っていることも珍しくありませんでしたが、出張のマネジメントを経費削減サービスとしてアップデートしたものとして出張管理システムは提供されています。
出張経費がかさんでしまう理由として、代理店との癒着や金券を付与したパッケージの販売なども挙げられますが、このようなサービスの提供はノウハウを活かした価値のあるサービスと言えるでしょう。
JTBの提供する出張管理システム「Bzit」
大手旅行代理店が提供する出張管理システムとしては、JTBの「Bzit」が有名です。
個人旅行などでも利用されることの多いJTBの商品ですが、Bzitが提供するのは法人向けの出張手配・管理ソリューションです。導入企業はすでに1900社を超え、ユーザー数は66万人以上を有する巨大サービスです。
Bzitの特長
旅行代理店としてのノウハウと流通経路を生かした豊富なチケットは国内外を問わず、いつどのような出張であっても間違いのないプランを利用することができます。
また、インターネットを介した簡単な手続きでサービスを利用することができるため、面倒な作業は発生しません。実際にBzitを導入する際も標準マニュアルのオンライン提供や社内の説明会なども行われるため、管理部門の業務サポートにもあたってもらえます。
同時に電子承認によるさらなる効率化も望めます。ペーパーレス化による業務効率の改善とコストカットは出張経費よりも大きな話題となっていますが、システムの改変に伴って出張経費管理システムにおいても電子承認化を進めれば、より効果的な業務改善が見込めるでしょう。
管理システムをただ単に提供するだけでなく、導入のためのサポートや効果的な運用方法の指南も行ってくれるのがBitzの人気の秘訣となっています。
導入費用や実際の運用プロセスなどは、資料請求から確認することが可能です。
出張管理システム導入のメリット
出張管理システムを導入することで、いくつものメリットを享受することができます。
経費削減
一つは上述のように経費の削減です。規定のプランに沿った交通費や宿泊費用に固定されるため、不自然に高額な宿泊費用やその他費用が発生することを防ぎ、チェックを行うためのコストを削減してくれます。
経費の可視化による分析
二つ目に経費の可視化による分析が行えるようになる点です。出張経費はこれまでいくらくらいかかるのかの明確な目安がなかったために、必要以上の経費が発生していても感知できなかった側面もあるのですが、一元化されたシステムを利用すればそこの流れを見るだけで費用がわかるので、今後の経費の基準にもなり得ます。
出張管理の効率化
三つ目に出張管理の効率化です。これまでは建て替えなど、個人のお金と会社のお金が混同してしまうことで余計な手続きを踏んでいたこともあったのですが、システムの導入により支払いは会社から直接行われ、精算業務は大きく改善されることになります。
社員のマネジメント強化
四つ目は社員のマネジメント強化が可能な点です。チケットの予約やホテルのチェックイン状況から進捗を確認することができますし、スケジュールなども一括して管理することができるため、社員の業務の調整が簡単になります。
社員の安全確保にもつながる
また、海外出張においては社員の安全確保にもつながります。国内とは時差や治安の違いもある中で、社員が何かしらのトラブルに巻き込まれた際にも迅速な対応が可能になります。
リスクマネジメントをきちんと行うことができるのも、出張管理システムの特徴です。
人気の出張管理システム
最後に出張管理・代行サービスとしてよく利用されているものをいくつかご紹介します。大手旅行代理店ではBitzのようなサービスが提供されているので、馴染みのある代理店のものを利用するのも良いでしょう。
じゃらんコーポレートサービス
こちらは「じゃらん」が提供する出張ホテル予約サービスです。初期費用・ランニングコスト無料で導入することができ、法人限定プランも充実しています。
アメリカンエキスプレス・グローバルビジネストラベル・日本旅行
世界の3万を超える独自の優遇ホテルプログラムを利用することができるこちらのサービスは、リーズナブルな運賃での出張をサポートしてくれるだけでなく、社員のマネジメントもアプリを通じて行うことができます。
エアトリBTM
国内の航空券や新幹線のチケット、宿泊施設の利用に便利なサービスです。当日予約も可能で、繁忙期でも利用できる使い勝手の良さが好評です。
Racco(ラッコ)
楽天トラベルの提供するラッコは、出張の予算規定に合わせたプランの絞り込みを行えるのが魅力です。法人向けプランも用意されていながら、初期費用・月額料金無料で利用できるのも嬉しいポイント。
SAP Concur
こちらも航空券やホテルの予約が行える管理システムで、現地のレンタカー予約も同じシステムで行うことができます。旅程が変更になった場合でも請求書などの統合を容易に行うことができるので、汎用性も高いサービスです。