ミレニアル世代が小売業界に与えるインパクト
小売業界の移り変わりは目まぐるしく、新規ビジネスがやってきては消える日々ですが、その背後には新しいテクノロジーとそれを使って買い物をする「ミレニアル世代」が大きく関わっています。
ミレニアル世代の数はアメリカ国内において大多数を占めており、彼らが就職して買い物をするようになると経済に大きなインパクトをもたらします。加えてミレニアル世代はテクノロジーの急速な発達を経験して育ってきており、昨今の経済状況の変化も目の当たりにしてきた世代ですので、こういった要素が彼らの行動傾向や人生経験に大きく影響を与えています。
この世代はよりテクノロジー慣れしていて知識も豊富です。何か必要があればすぐにデバイスを開く習慣が身に付いており、UberやSeamlessといったアプリを使いこなしながら日常を過ごしています。つまり、彼らにとって昔ながらの支払いパターンは必ずしも常識ではなくなってきているのです。
便利さと柔軟性
ミレニアル世代はモバイルテクノロジーと共に成長してきており、日常生活のあらゆる場面においてテクノロジーを使えることを当然と捉えています。商品の支払い、ソーシャルメディア、チャット、リサーチといったことはオンライン活用の基本中の基本で、モバイル機器の持つ利便性はこの世代にとって必要不可欠です。
セルフチェックアウトシステムやデジタル支払い機能はミレニアル世代の購入を促す上で欠かせませんし、彼らにとってはモバイル機器そのものが財布になっているという認識です。そしてこの需要に応えるようにテクノロジーは日々進化を遂げていますが、彼らにとってはそれももはや当たり前の事になっていますから、小売業者はどれだけテクノロジーを活用してサービスを展開するかが、ミレニアル世代に対するマーケティングのカギとなってきます。
例としては、スターバックスなどは独自のモバイル財布アプリを作成し、ディスカウントなどや無料ドリンクなどの特典を提供しつつミレニアル世代を上手に取り込んでいます。
個別対応サービス
この世代にアピールするには、小売業者はスムースなカスタマーサービスの提供が必要となってきます。実店舗・オンラインに関わらず、彼らにとって自分たちの好みを理解してくれて個別に対応したおススメなどのサービスを提供してくれるかどうかは大きな判断材料になります。
ミレニアル世代にとっては、自分にどれだけ関心を持ってもらえているか、またどれだけ顧客として大切にされているかは大事な要素です。ここを押さえることができればリピーターとして定着してくれますので、そのためにも小売業者側にはデータ管理分析をしっかりと行いながら(どこで最後に商品を購入したか、何を購入したか、どれほど商品購入意思が高いかなど)、個別対応サービスに直結できるよう努めることが求められています。
Nordstromはここ数年、データを基にしたカスタマーサービスに力を入れており、Pinterest上にアップされたアイテムの中で最も頻度が高かった商品を「トップPinterest商品」としてプロモートするなど工夫を凝らしており、ソーシャルメディア上でのフィードバックを個別対応サービスに上手に昇華させて、消費者が実際に欲しいものを勧めることができるようなシステムを構築しています。
商品よりもサービス
若い世代にとって、確かにモバイル機器やテクノロジーは日常生活に密着していますが、同時に従来のような時間の過ごし方にも重きを置いています。実店舗での買い物や、映画を観に行ったりレストランで食事をするといったものがそれですが、ホリデー期間にはこの世代がジェネレーションX やそれ以前の世代よりもこういったアクティビティにより多くの出費をしているのが実際のところなのです。
また、ソーシャルメディア上でのブランドとの関わりは重要で、リアルタイムでつながりながら写真をアップしたり入店を記録したりする流れに乗ることで、小売業者も幅広い対象に向けてマーケティングを行うことが可能になります。
この他にも、消費者の購入を促進させるため各ブランドはクリエイティブなアプローチをしており、例えばフィットネス関連のブランドの中にはLululemonとタイアップして無料フィットネスクラス体験を提供したりするなど、エンターテイメント要素を織り込みながらミレニアル世代がブランドにより効果的につながりを持つことができるよう工夫しています。
この世代にとって、ソーシャルメディアにはただ単にシェアをするだけでなく、つながりを持つ媒体でもあるのです。写真やハッシュタグなどを駆使してこのトレンドを上手く活用する小売業者は、口コミ効果などを通してより幅広い消費者にはたらきかけることが可能になります。
ミレニアル世代の購買力が先の世代を超える日も遠くありません。従って、小売業者は彼らの需要を満たすことでその影響力や購買傾向を上手にセールスに取り込むことが求められてきます。この世代は今後も積極的にテクノロジーを活用していくでしょうし、周囲もそれに同時に順応していくことを求めているのです。