いま求められているVMDとは?店舗に欠かせないキーワードを徹底解説
「VMDって聞いたことあるけど、実際なんのことかはよくわかってない…」
と思っている方。VMDはお客様の視覚にアピールして商品をディスプレイする考え方で、店舗での購入率アップにつながります。
とはいえ、実際VMDがどのようなものかはわかりにくいですよね。
そこで、この記事では、
- VMDとは「お客様が商品を見やすく、購入しやすい売り場づくり」
- VMDとディスプレイの違い
- 効果のあるVMDを売り場で行う方法
- VMDの資格「商品装飾展示技能検定」とは
- VMDで売り場の購買率アップへ!
の順に、VMDについて解説します。
専門用語のようで難しそうと思うかもしれませんが、理解すべきポイントは多くありません。
まずはこの記事でVMDについて大まかにおさえましょう!
■無料メルマガ:デジタルシフトのヒントが届く■VMDとは「お客様が商品を見やすく、購入しやすい売り場づくり」
VMDとは”Visual Merchandising(ビジュアルマーチャンダイジング)”の略で、一言で言うと「お客様が商品を見やすく、購入しやすい売り場づくり」を意味します。
店舗でも視覚に訴えかける部分、つまり売り場において商品の見せ方を考える活動がVMDです。
実際にVMDで行うこととしては、
- デザイナーやブランドから、ショップの内装イメージをつくる
- 什器(じゅうき)やマネキンを用意、展示する
- 店舗のレイアウトを変える
- ディスプレイを変えて、メンテナンスする
- 販売スタッフをトレーニングする
などがあります。
これらのことを行って、お客様が商品を見やすく、購入しやすい売り場をつくります。
ここまでVMDについて概要を紹介しました。
続いては、VMDの基本である「VP」「PP」「IP」という3つのポイントについて解説します。
VP:ブランドのコンセプトやイメージを表現、来店のきっかけをつくる
VP(ビジュアル・プレゼンテーション)とは、ブランドのコンセプトやイメージを表現し、来店のきっかけをつくるための考え方です。具体的には、商品の陳列棚とは別に大きな展示スペースをつくり、売り場から遠い位置にいるお客様へ店舗をアピールします。
そして、一人でも多くのお客様に「このお店を訪れて、もっと商品を見たい!」と思ってもらうのがVPの目的です。
補足:VPではお店の顔「ファサード」を大切にする
ファサードとは、店舗の通路に面している部分です。入店してもらえる客数に大きな影響を与えるので、VPの考え方を特に反映させるべき場所であります。
PP:おすすめや人気の商品をアピールする
PP(ポイント・プレゼンテーション)とは、おすすめや人気の商品をアピールする考え方です。
具体的には、店舗の
- 入り口やレジの近く
- フロアの中央
- 4つの角
などへ、マネキンや什器などのやや大きなディスプレイを配置します。
これにより、お客様が店舗をうまく回遊し、さまざまな商品を見てそこから欲しい商品を見つけてもらうことが可能です。
「什器ってなに?」と思った方は「店舗の内装デザインに欠かせない「什器(じゅうき)」を徹底解説」をご一読ください!
IP:商品を手に取りやすいレイアウトをつくる
IP(アイテム・プレゼンテーション)は、商品を手に取りやすいレイアウトをつくるための考え方です。具体的には、
- 手にとりやすい場所に商品をおく
- 似ている商品は近くにおく
- 色やサイズなど、陳列に規則をもたせる
などの方法があります。つまるところ、商品をただ並べるだけではなく、しっかりと意図を持って陳列する必要があるという考え方がIPです。並べ方を変えるだけでも、お客様に商品の魅力が伝わりやすくなります。
またVPとPP、IPは、
- VPによってお客様が来店するきっかけをつくる
- PPによってお客様に店舗を回遊してもらう
- IPによって商品を手に取ってもらう
という流れです。
ここまででVMDの基本について、ざっくりとおわかりいただけたかと思います。
次は、混同しやすいVMDとディスプレイの違いについて説明します。
VMDとディスプレイの違い
「VMDって要するにディスプレイのことじゃないの?」
と思っているかたもいるかもしれませんが、VMDとディスプレイは違うものです。具体的には、
- VMD:お客様の視覚に訴えるマーケティング手法、仕組み
- ディスプレイ:VMDの考え方をもとに、売り場で商品を並べること
という違いがあります。お客様をどのようにして呼び込み、行動してもらうかを考えるのがVMDで、考え出されたものを実際の売り場に反映するのがディスプレイと言うことも可能です。
VMDのほうがより大きな視点で考えるもので、ディスプレイはあくまで売り場の陳列について考えるもの、とも言えますね。
次は、効果的なVMDを売り場で行う方法について解説します。
効果のあるVMDを売り場で行う方法
ここからは効果のあるVMDを売り場で行う方法を
- ディスプレイのポイント
- マネキンのポイント
の順に紹介します。
ディスプレイのポイント
ディスプレイは以下4つが基本の構成です。
- 三角:正面から見て三角形になるように、高さの違う商品を並べる方法
- シンメトリー:左右が対称になるように、商品を並べる方法
- アシンメトリー:左右が非対称になるように、商品を並べる方法
- リピート:1つの規則をもとに、リズムを作って配置する方法
これらの基本をもとに商品を並べてみて、店舗の雰囲気にあったものを選んでみてください。
マネキンのポイント
マネキンのポイントは、マネキンの数によって異なります。例えば、マネキンを2体ならべるとしても、
- マネキンの目線をそろえる:お客様を目線の方向に誘導する
- マネキンの目線を左右にずらす:どの方向からお客様が来ても目線が合う
のように、並べ方しだいで効果が変わります。これが3体になると、先ほど紹介した「三角」や「リピート」のような効果を合わせて使うことも可能です。
どこにお客様の目線を向かわせたいのか、どのような印象を与えたいのかをもとに、配置を考えていく必要があります。
VMDの資格「商品装飾展示技能検定」とは
最後にVMDの資格である「商品装飾展示技能検定」について紹介します。これは日本ビジュアルマーチャンダイジング協会が支援している国家検定です。
難易度によって1~3級に分かれており、店舗での商品プレゼンテーションのプロを育成します。
- 1級実技試験 — ビジュアルプレゼンテーションのデザイン、イメージスケッチ(一点透視図)などの作成が含まれた高度技能者のレベル
- 2級実技試験 — 商品プレゼンテーションのデザイン
- 3級実技試験 — 商品特性に基づくさまざまなプレゼンテーション手法に関する基礎的な技能、知識
上記のような実技試験がありますので、ぜひ資格取得を検討してみてはいかがでしょうか。
引用:日本ビジュアルマーチャンダイジング協会:商品装飾展示技能検定 http://www.javma.com/skill-examination.html
VMDで売り場の購買率アップへ!
ここまでVMDについて基本的な概要を紹介しました。
おさらいすると、VMDとは”Visual Merchandising(ビジュアルマーチャンダイジング)”の略で、「お客様が商品を見やすく、購入しやすい売り場づくり」を行うことです。
そしてVMDの基本として、
- VP:ブランドのコンセプトやイメージを表現、来店のきっかけをつくる
- PP:おすすめや人気の商品をアピールする
- IP:商品を手に取りやすいレイアウトをつくる
の3つを紹介しました。
また、VMDとディスプレイには以下のような違いがありましたね。
- VMD:お客様の視覚に訴えるマーケティング手法、仕組み
- ディスプレイ:VMDの考え方をもとに、売り場で商品を並べること
そして、現場でVMDを行うさいの
- ディスプレイのポイント
- マネキンのポイント
について軽く紹介して、最後にVMDの資格である「商品装飾展示技能検定」についてお伝えしました。
同じ商品を売るにしてもVMDの考え方があると、お客様の購入率は変わってきます。まずは、店舗の陳列についてどのような意図をもってされているのか、ふり返るところからはじめてみてください。
この記事を書いた人
黒田剛司
大阪市立大学商学部を卒業後、新卒で独立。学生時代に身につけた経営・流通・マーケティングなどの知識を活かし、コマースについて幅広いジャンルで執筆。また、サイト制作やWebメディア運営も請け負っており、IT系の記事作成も可能。無類の動物好き。