売上アップのために顧客管理が必要な理由
●顧客管理とは?具体的に何を行うのか
●なぜ顧客管理が必要なのか
●消費者の購買行動を分析したAIDMA/AISCAS/AISEASとは?
●顧客の基本的なデータ以外の要因
●まとめ
店舗経営を行っているのであれば、新規顧客獲得とリピーターを増やすことが気になることの一つとして挙げられます。
現在は様々な工夫を凝らすことで新規顧客をリピーターにする方法があります。
新規顧客をリピーターにするためには、メルマガ登録やアプリ登録を促したり、誕生日などのイベントにクーポンを送るなど、特典をつけることでまた来店したいと思わせるような企画が必要です。
これらの広告や宣伝は最初に顧客の属性を調べる必要もあります。
年齢・性別・住んでいる地域・何を目的に来店したかという情報を掴む必要になります。データを集めることで、「顧客が自分の店舗にどういったことを期待しているか」「どのような世代にどのような商品やサービスが人気なのか」「どのような広告方法が一番効果的なのか」という傾向を知ることは非常に重要です。
今回は顧客管理の意味やその重要性について述べていきたいと思います。
●顧客管理とは?具体的に何を行うのか
顧客管理は、英語でCRMとも呼ばれます。
CRMはCustomer Relationship Managementの頭文字で、「顧客管理」や「顧客関係管理」などと訳されます。
顧客管理システムの発達によって、大量の顧客データを管理することも可能になりました。年代・性別・購入した商品やサービスについての情報など項目別に集計することも可能です。
年代や性別で好まれるサービスや商品が違うので、CRMは非常に役に立ちます。
どのような商品やサービスが顧客を満足させるかというデータに基づいた分析を行うことにより、商品・サービス開発や改善も行うことができます。
●なぜ顧客管理が必要なのか
顧客管理が必要な理由として、顧客の傾向や好みを把握することでその人に合ったサービスや商品を提供することにもつながるからです。
顧客が提供されているサービスや商品に満足する最たる理由が、「自分の求めていたものが手に入った」という満足感を得ることです。
マーケティング業界で有名なAIDMA(アイドマ)という消費者の購買プロセスを分析したモデルがあります。
アメリカの学者であるサミュエル・ローランド・ホールが執筆した論文のなかに、消費者の購買心理について分析した記述があります。
AIDMAは「アイドマ」と読み、購買行動プロセスを説明するモデルのひとつ。
AIDMAでは、消費者が商品を認知してそれを購入するまでには、以下の5つのプロセスがあるとしている。
Attention(注意)
Interest(関心)
Desire(欲望)
Memory(記憶)
Action(購買)(出典:MarketingPediaマーケティング用語集Wiki 「AIDMA」 http://marketingis.jp/wiki/AIDMA)
商品やサービスについて何も知らない状態から顧客の注意を引きつけ、関心を持ってもらい、手に入れたいという欲望に変換されることで、記憶に残るという過程を経て最終的に購入という行動に至ります。
近年はSNSやブログといったインターネットを用いた情報の拡散が容易になったため、AIDMAのモデルに加え電通が提唱したAISASやアンヴィコミュニケーションズのAISCEASといったモデルも有名です。
●AIDMA/AISCAS/AISEASとは?
AIDMAはインターネットが発達する以前の1920年代に提唱されたものであるので、広告・宣伝が直接消費者の購買行動に繋がるものでした。
しかし、現代ではインターネットの普及により、商品を購入する前に性能や機能・デザインなどを容易に知ることができるため、AIDMAと多少異なるAISASという考え方が出てきました。
AISASの意味は以下の通りです。
AISASは「アイサス」と読み、購買行動プロセスを説明するモデルのひとつであり、インターネットの普及後の時代の購買行動を表しているのが特徴である。
AISASでは、購買行動プロセスとして、以下の5つがあるとしている。
Attention(注意)
Interest(関心)
Search(検索)
Action(購買)
Share(情報共有)(出典:MarketingPediaマーケティング用語集Wiki 「AISCAS」
http://marketingis.jp/wiki/AISAS)
電通が提唱したAISCASに加え、検索から購買までの間に比較・検討を追加した広告会社のアンヴィコミュニケーションズのAISEASも有名です。
AISCEASでは、購買行動プロセスとして、以下の7つがあるとしている。
Attention(注意)
Interest(関心)
Search(検索)
Comparison(比較)
Examination(検討)
Action(購買)
Share(情報共有)(出典:MarketingPedia 「AISCAS」http://marketingis.jp/wiki/AISCEAS)
現代はスマートフォンやパソコンを持つ人が増えており、興味を持ったことについて比較・検討が容易にできます。実際に店舗に足を運ばなくても、一番自分の好みに合った商品やサービスを比較することができます。
消費者が商品やサービスを購入するのは、このAISEASの方が現代の実情に即しているでしょう。
消費者にとっては店舗に直接足を運び商品の説明を都度受けなくて良いというメリットがあるため、心理的障壁が低くて済むという効果があります。
店舗にとっても、事前に商品をインターネットで事前に調べ比較検討した上で店舗に足を運んでくれる顧客の方がリピーターになる可能性があるので、非常に都合の良いマーケティング方法でもあるのです。
なぜ事前にインターネットで調べた顧客がリピーターになりうるかというと、消費者は様々な商品やサービスをインターネット上で比較検討したうえで、商品であれば性能・デザイン・色・形・用途など総合的に見て選んでいるからです。
一番適したものを選んでいるということは、企業と消費者のマッチングがうまくいったということであるとも言えます。
あとはどのような商品が消費者に魅力的に映るのかという要素を汲み取ることで商品開発や似たような商品の仕入れに反映できます。
●顧客の基本的なデータ以外の要因
顧客管理を行う上で、顧客の年齢や性別といった基本的な情報の他に、店舗に来店するまでの交通手段や商品の使用目的、購入に至った理由や使った金額についても知る必要があります。
交通手段がなぜ重要かというと、公共交通機関や自転車・バイクで店舗に訪れている人であれば、買い物をしたときに大荷物になって持ち運びが不便になることを避けようとします。それが家具といった大型の商品であればなおさらです。ただ販売のみを行うだけでなく、配送サービスを用意するなどの配慮があれば顧客もまた同じ店舗に訪れたいと思うでしょう。
顧客の商品の利用目的については、個人利用かプレゼントかで売り方も違ってきます。プレゼントでの利用目的が多いのであれば包装サービスや配送サービスなどを充実させることでリピーターとなる可能性もあります。
購入に至った理由については、レジでの簡単な雑談のなかで「なぜこの商品がいいと思ったのか」と直接購入者に訊くことで記録を行うことができ、その後のマーケティングに役立ちます。
購入金額についても同様です。消費者がどの価格帯の商品をよく購入しているのかという分析を行うことで適切な価格設定を行うことができます。
また、その他の外的な環境要因を分析することも重要です。
- 雨の日なので客足が落ちる
- 近くでイベントがあっているため来店する客が増える
- 郊外にある店舗なので車での来店が多い
これらの問題に対し、どのような対処を行うかで集客にも影響があります。
雨の日だったら「雨の日セール」をうたったキャンペーンを行ったり、郊外の店舗であれば駐車場を広げるなどといった工夫が必要になるかもしれません。
消費者が購入までにぶつかる心理的障壁を取り除くことで『買い物をしやすくする』ということが店舗経営では必要な環境整備ともいえます。
●まとめ
顧客管理はこれからの店舗経営にとって非常に重要になります。
消費者の心理を的確に汲み取ることで、売上アップが見込めるからです。消費者が求めていない商品やサービスをいくら売り出したところで、購入までに至らないことにはビジネスとして成り立ちません。
顧客管理を成功させるには、自分が一消費者となり顧客の心理を隅々まで読み取り、満足度を上げることでリピーターを増やすことが重要です。