たった10分でわかる小売業界のCRMシステム導入の背景と問題点
最近、インターネット上でよく聞く言葉「CRM」。なんとなく言葉自体は聞いたことがあるけれども、意味はよくわからないという人は多いかもしれません。今回は、小売業界におけるCRMシステムの影響とその問題点について詳しく解説します。
- 小売業界の方
- 小売業でCRMの利用を検討している方
- 小売業界とCRMの関係性について知りたい方
特にこの3つに当てはまる方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
CRMとは?
読者の皆さんはそもそもCRMの意味をご存じですか?CRMとは、英語でCustomer Relationship Managementの頭文字を取ったもので、日本語で「顧客関係管理」の意味です。簡単にいうと、顧客との関係を管理するマネジメント手法のことです。
以前は、「ヒト」「モノ」「カネ」という優れた人材や高品質の製品やサービス、そして多くの資金がビジネスを成功させるために最も重要な要素と考えられていました。しかし、時代の流れとともにかつてのビジネススタイルでは成功するのが難しくなってきています。
そこで、ビジネスを成功させるために「顧客」を中心にビジネススタイルを展開していこうというのがこの「CRM」なのです。
実は、CRMは何も最近になって生まれたものではなく、すでに存在しているものです。しかし、顧客中心のビジネスでは膨大な顧客情報を管理、分析して顧客の求めている製品やサービスを提供する必要がありました。その膨大な情報を台帳などに記録するには、時間も人も限界があります。
あるものが発達したおかげで、このCRMシステムが一気に加速したのです。それがITシステムです。インターネットにより膨大な顧客情報の管理が可能になり、CRMシステムが一気に現実化したのです。これからわかるように、CRMとITシステムにはとても密接な関係があります。
CRMシステムの役割は大きく分けて3つ
現在では、ほとんどの小売業界がCRMシステムを導入しています。顧客データベースの管理が容易になったことで、顧客のニーズに対応でき、満足度を高めることで、収益の増大が期待できます。
では、CRMシステムが果たす役割とはどのようなものなのでしょうか?大きく分けて3つあります。
1:ポイントシステム
小売業では、ポイントカードによる顧客情報の管理が主流です。読者の皆さんも、少なくても1枚はどこかのポイントカードを持っているでしょう。スーパーや電化製品店などが代表的ですね。
典型的なポイントカードシステムは、顧客にポイントカードを発行し、購買ポイントによって値引きをするというものです。企業側からすると、ポイントカードを発行することで顧客の購入情報を得ることができます。
購買情報を分析してさらなるマーケティングをしかけることで、値引き以上の利点があると言われています。ただし、他社も同じようにポイントカードによる値引きをしているので、顧客もただ値引きになる店舗で購入する傾向があり、そうなればなかなか利益は上がりません。
必ずしもポイントシステムが100パーセントうまく売り上げアップにつながっているわけではないということです。
2:顧客抽出
企業の売り上げをアップさせるには、必要な人に必要な物を提供するのが重要です。顧客抽出とは、膨大な顧客データベースから対象となる人を抽出する機能のことです。CRMシステムを利用することで、顧客の購入頻度や購入金額、来店日などがわかります。
3:購買データ分析
購買データ分析では、顧客が何を購入したのか把握できます。どのような製品やサービスが求められているのかわかるため、今後のマーケティング戦略に役立ちます。
ただし、購買データ分析は「購入した」という結果しかわかりません。そのため、どのような目的で購入したかまではわかりません。もしかしたら、全く同じ商品を買った人でも、その商品が必要だったからか誰かに頼まれたから代理で購入したかなど、購入した理由や目的まではわからないのです。
原因がわからないので、さらに綿密なマーケティング戦略を立てにくいケースもあります。
CRMシステム利用による問題点
便利でこれからもますます主流になっていくであろうCRMシステムですが、メリットだけではなりません。どんなものにもメリットがあればデメリットも存在しますよね。
1:データ入力が面倒
自動でデータ入力してくれるわけではありません。当然、誰かか入力をしなければいけません。一度入力してしまえば、管理自体は簡単なのですが、やはり膨大なデータを入力するのは簡単な作業ではないようで、入力担当者から「面倒…」という不満の声が多くあります。
初めの入力段階で問題があれば、非常に便利なシステムでも使いこなすことはできません。担当者の負担を軽減するために、少人数でするのではなく大人数で分担させることが重要です。また、担当者にCRM導入の意図や得られる利点についても、しっかりと説明して理解させるのがポイントとなるでしょう。
2:放置される
CRM導入は、何も無料でできるものではありません。購入してから運用するのに費用と時間がかかります。導入当初は顧客数も多くないので管理は難しくないですが、使っていくにつれて顧客数が増え、顧客が求めるレベルが高くなります。それ以外にも企業の発展のため必要な機能も増えていくかもしれません。そうなれば、する作業が多くなるので徐々に放置してしまうことがあります。
せっかくCRMを導入して、企業の売り上げアップを目指していたのにいずれ使わなくなれば意味がありません。もったいないので、もう一度企業体制などを見直して改善するのが重要です。
3:CRM導入=売り上げアップという甘い考え
たとえ便利なツールでも、完全自動で動いてくれるものは多くありません。少なくても、CRMを導入すれば何もしなくても勝手に売り上げアップするという根拠のない理想を抱いている小売業者は存在します。
このように安易に考えて導入すると、望んでいない結果になる可能性があります。CRM導入だけではなく、どのようにCRMシステムを活用するかが大切です。
CRMシステムの選択基準
小売業者にとって、売り上げアップの立役者になるCRMシステムですが、どのCRMを選ぶかも重要な点です。CRMは機能や目的によっていくつかの種類に分けられています。
そのため、目的に合ったCRMソリューションをチョイスするのはベストな方法です。中でも代表的なCRMは営業支援(SFA=Sales Force Automation)というソリューションです。
このソリューションは、主に営業活動の質を高めるものです。
導入して放置するなど失敗につながることを避けるために、操作性や目的に応じて最適なソリューションを選択することがとっても重要なことです。
終わりに
今回は、小売業界におけるCRMシステム利用について紹介しました。これからもさらに利用されるシステムなので、導入前にしっかりとCRMの特徴を押さえておくことが成功の秘訣です。
CRMシステムを上手く活用して理想のビジネスを手に入れましょう。