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CXを高めるためには、店舗とデジタルのスムーズな連携とエコシステムが必要

CXを高める施策は、急速なデジタル化によって新たな局面を迎えています。

すなわち直接顧客と接して反応を確認できる現場である「店舗」、店舗やECの顧客データを総括して戦略を構築できる企業、そして顧客の三者が繋がる事によって、細分化された現代の顧客ニーズを把握し、施策に活かす事ができます。

本稿では、現代の顧客ニーズに応える一つの答えとしての顧客満足度の最適化、およびタッチポイントの多様化について、解説しています。

また、CXを高める施策に必要な、1. 利便性、2. 選択肢、3. ナビゲーション、4. 決済という要素のヒントになるようなリアルとXR、デジタルテクノロジーを活用した先行事例を紹介しながら、施策を検討する上で必要な1. 事業プロダクト、2. サービスデザイン、3. プロモーションという3つの視点についてもまとめています。

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CXは店舗で顧客と小売企業が繋がることで向上する

顧客体験、すなわちCX(カスタマー・エクスペリエンス)は、顧客のニーズを正確に把握してこれまでにないような体験価値を創出するよう、求められています。

全世界的に見ても、若い世代のニーズは細分化される傾向にあります。

こうした細分化されるニーズに応えるには、どのような属性の顧客が何を望んでいるかを把握しなければなりませんが、これを達成するのは店舗のみで取り組むよりデジタルと店舗を連携した方がはるかに容易です。

なぜなら、顧客の行動をデジタルデータにする事で、あらゆるセグメントに分けた分析が可能になるからです。

また、複数の現場(店舗)がある場合、それらから得られる顧客の声や購買履歴を総括すれば、より多角的な視点でCX施策を検討できるようになります。

現場のデータを総合的に見て、顧客満足度を最適化していく事が、新しい顧客体験価値の創出には必要です。

多様化する顧客ニーズにどう応えるか

意外に感じられるかもしれませんが、実は世界の消費者の顧客満足度は、過去20年間で最低のレベルにまで下がっているとされています。

米国からのレポートによると、企業はこぞって最新のデジタルツールや多額のコストをかけて顧客満足度を高めようとしているにも関わらず、その取り組みはあまり成果を挙げられていないと報告されています。

これは、顧客ニーズが多様化している事も一因なのかもしれません。パーソナライズされた商品やサービスが支持されるように、現代の消費者は「自分に最適化されたもの」を好む傾向が見られます。

これは、顧客満足度を高めるには細分化されたニーズに応えなければならないという事を意味し、またCXを高めるためにもこうした多様化への対応が必要になる事を意味します。

とはいえ、ここで留意しておきたいのは、CXを高めるには顧客満足度の最適化を図る必要がありますが、決して「顧客満足度の向上」を目指すのが正解ではないという点です。
企業が顧客満足度を高めると、企業の市場シェアは伸びますが、すべての顧客に同じ水準の満足度を得てもらうのは困難になっていきます。

つまり、事業が成功して市場シェアが大きくなればなるほど、それ以前の顧客満足度をそのまま維持するのは難しくなります。
顧客の期待を常に上回ろう、上回ろうと戦略を展開していくと、シェアが拡大し過ぎてニーズに応えきれなくなります。
CXにおける戦略では、この矛盾とも言える前提を理解しておく必要があります。

常に顧客の期待値を超えようとするのではなく、その時の顧客が最も望むものを提供する、それが顧客満足度の最適化と言えるでしょう。

直感的で多彩なタッチポイントを用意

CXを高めるために必要なのは、直感的なタッチポイント(顧客接点)です。

オムニチャネルによって、消費者は店舗、ECの垣根をほとんど意識する事なくショッピングができるようになりました。
さらにCXを高めるためには、直感的なタッチポイントを作り出し、購買体験をより顧客の日常生活に近いものにする必要があります。

AR(拡張現実)やVR(仮想現実)といったバーチャル技術も活用してタッチポイントを作っていく企業も、すでに登場しています。
例えば、写真をアップロードするだけで、ARを駆使して似合う口紅を提案し、専用のデバイスで実際に選んだ色を抽出できるコスメブランドのサービス、Web接客と営業中の店舗をシームレスに繋いでリアル店舗のようなショッピング体験ができるアウトドアブランドのオンライン接客等、これまでになかった新しいタッチポイントが顧客にとって新鮮なCXをもたらす事例が好評を博しています。

CXを高める要素として重要なのは、1. 利便性、2. 選択肢、3. ナビゲーション、4. 決済と言われています。

これがどのように提供されるかによって、顧客はその購買体験を良いものか、そうでないかを判断します。つまり、満足度に直結するわけです。

また、これら4つの要素に付随して、その顧客体験の雰囲気や専門性、感触といった要素が顧客満足度に関わってきます。

店舗とデジタル施策をシームレスに連携する

デジタルとリアル店舗をシームレスに繋ぐ事例は、他にもあります。

中国のスーパーマーケットチェーンは、実際の店舗を訪れてカートに商品を入れながら、スマホで決済ができる店舗を300店以上展開、オンライン注文のフルフィルメントセンターとしても活用する事で順調に売上を伸ばしています。

実際に商品を手に取って選べて、なおかつレジに並ばなくてもスマホ一台で支払いができるという利便性は、若者を中心に高く支持され、通常の食料品店に比べて1.5倍程度の高い満足度を得ています。

また、スポーツブランドのアプリの中には、店内で起動すると自動的にインストアモードになる仕組みを搭載したものもあります。このアプリを使えば、顧客は実際の商品を手に取りながらそのタグを読み込んで商品情報をスマホから読んだり、サイズ違いの在庫があるかどうかを店員に尋ねる事なくチェックできたりするわけです。

リアルとデジタルの両面からCXを支える

多彩なタッチポイントを用意するためには、リアルとデジタルをどのように組み合わせていくかが鍵になります。

優れたCXデザインを完成させるには、自社とは異なる業界も含めて成功事例を広くリサーチして、現代人の求めるものを模索したり、新鮮な驚きや喜びといった体験について掘り下げて考えたりしていく必要があります。

CX戦略を検討する上で求められる視点は、1. 事業プロダクト、2. サービスデザイン、3. プロモーションという視点です。この3つの視点から設計をチェックする事で、リアルとデジタルの利点を活かした施策になるはずです。

支持を得やすい事業プロダクトは、顧客が自身のデバイスで好きな時に好きな場所でアクセスできるというような「分散化」と言う要素が重要になります。

サービスデザインは、あったら良いな、こうだったら良いなという顧客の悩みを明らかにし、解決策を提供する事を目的にすると良いでしょう。抽象的なものを数字やデータに置き換える数値化が必要です。

プロモーションの視点から発想する場合は、便利や使いやすさを追求するだけでなく、ARやVRといった楽しい驚きを得られる体験や、ゲームのようにプロモーションを顧客自身が楽しめる「遊び化」が求められます。

デジタル起点のタッチポイントから店舗接客へ

CXを高めていくには、先に挙げた、ECとリアル店舗をシームレスに繋ぐ事例のように、リアルとデジタルの長所を活かした包括的な戦略が必要です。

ECサイトを閲覧していて「ちょっと大きめに見えるこの服、実際のサイズ感は?」と実物を確認したくなるのは、誰にでもある事です。すでに持っている同ブランドの服との組み合わせは?着用例の写真は大分暗いように見えるけれど実際は?誰もがオンラインショッピング中に感じた経験のあるこうしたジレンマを、このブランドはリアル店舗に直接繋ぐ事で解決しています。

このシステムでは、原則としてチェックしたい商品の在庫がある店舗がオンラインで接客を行いますが、その商品を購入する時には自宅から近い店舗まで配送(あるいは自宅へ直送)する事も可能で、顧客にとって慣れ親しんだオンラインショッピングに新しい利便性という体験価値をプラスしています。

顧客参加型プロモーションのデジタル化

ある中国のファーストフードチェーンでは、顧客がアプリ上で好みにカスタマイズしたバーチャルショップを開けるサービスを提供し、話題となりました。

バーチャルショップを通じて、顧客の家族や友人がフード注文を行うと、フランチャイズ料がバーチャルショップのオーナーである顧客に入る仕組みがありますが、顧客の関心はフランチャイズ料を稼ぐ事ではなく、店舗のデザインをソーシャルゲームのように楽しむ事にありました。

何気ない「ファーストフードの購入」に新しいカスタマージャーニーを与えるこのバーチャルショップは、ローンチからわずか120日間で250万以上誕生し、売上に大きく貢献しました。

CX向上のために企業が作る「エコシステム」とは

ビジネスにおけるエコシステムは、他社の技術提供やサービスを上手く活用して、戦略的に事業を成長させる事を指します。社内だけですべての課題に対応しようとせずに、柔軟に他社と協業、提携し合う事で、社内だけでは持ち得なかった視点を持てるようになります。

CXエコシステムは、顧客が導入から完結までスムーズに体験を享受できる体制を整えるために構築するシステムを意味します。

先の例を挙げれば、自社だけでARやアプリ開発を行うのではなく、こうしたデジタルテクノロジーを専門とする企業と提携して、より良い顧客体験創出を目指すような考え方です。

なお、CXのために作るエコシステムにおいては、顧客体験で得られる膨大な顧客データの正確な分析と効果的な活用も重要になります。

タッチポイントの多様化や、ステイホーム時のオンライン活用に端を発する急速なデジタル移行によって、得られる顧客のデータはますます多くなっています。

こうしたデータを適切に管理し、しかるべき属性に沿って分析・活用する事こそ、CXを高める施策において重要である事は言うまでもありません。

顧客の購買体験によって得られるデータを次の体験に活かしていくフェーズまで含めて、CXのエコシステムは完結すると言えるのではないでしょうか。

顧客だけでなく従業員まで含めた設計を

なお、CXを高める施策は、EXすなわち従業員が金銭以外に仕事で得られる経験・価値を高める事も念頭において検討していくべきです。

なぜなら、EXを高める事で従業員は仕事に対して前向きに取り組めるようになり、業務の円滑化、高いレベルの接客や運営が期待できるからです。

反対に、いくら仕事に打ち込んだところで得られる経験価値や体験価値が低いと、従業員の間で真剣に仕事をするのは無駄だという雰囲気が広がってしまい、CX施策が上手くいかない可能性が高くなります。

EXを高めていく事は、今いる従業員の働きやすさを整えるだけでなく、中長期的には企業のブランド価値を高める事、慢性的な人手不足の中で優秀な人材を獲得していく事にも繋がっていきます。

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