リテールとは?業界ごとの意味を紹介します【ビジネス用語解説】
「リテールってよく聞くけどどんな意味なんだろう。人に聞くのも恥ずかしいな…」と思っている方。
リテールを知れば、小売業界の現状がわかります。これにより、小売業界の課題を把握し、解決策を検討することが可能です。
とはいえ、リテールの全体像を自力で把握するのは難しいですよね。
そこで、この記事では、
- 「リテールの概要」
- 「業界別、リテールの具体例」
- 「リテールが抱える3つの課題」
を、お伝えします。
いきなりリテールについて一から十まで理解するのは難しいですが、概要をつかむだけなら簡単です。まずはこの記事で、リテールについてざっくりつかみましょう。
【目次】
- リテールとは「個人の消費者(toC)に向けた小売」
- リテール営業(セールス)は「個人の消費者(toC)に向けて営業をすること」
- リテールの業務内容を業界別で紹介します
- リテール(小売)の企業や業界が抱える、3つの課題
- リテールの意味を理解して、ビジネスを成功に導く
リテールとは「個人の消費者(toC)に向けた小売」
リテール(retail)とは、個人の消費者に向けた小売のことです。
「retail」の語源は、「re(再び、の意)」と「 tail(切る)」。この語源からは、「業者から仕入れた商品を、消費者向けに再び分けて売る」という様子をうかがえますね。
また小売りを行う業者は「小売業者」と呼ばれます。多くの人が利用するスーパーやコンビニは、小売業者の代表例です。
リテール営業(セールス)は「個人の消費者(toC)に向けて営業をすること」
リテールにおける営業(セールス)とは「個人の消費者に向けて営業を行うこと」、を指します。つまりBtoCの営業です。
「リテール営業」という言葉は、元は銀行などの金融業界で使われていました。しかし現代ではアパレル、不動産業界や生保業界でも使われています。
リテールの対義語は「ホールセール」
リテールの対義語は「ホールセール(WholeSale)」。個人ではなく、「同業者や小売業者(toB)に向けた販売」を指します。日本語で言う「卸売」です。
例えば2018年に閉場した東京の築地市場は、卸売するための場所として長年使われており、日本の魚市場におけるホールセールの場として機能していました。
リテールの概要をつかんだところで、具体的な仕事内容を業界別に見ていきましょう。
リテールの業務内容を業界別で紹介します
以下の業界それぞれの、リテールの業務内容を紹介します。
- 銀行業界
- アパレル業界
- 不動産業界
銀行(金融)業界のリテール:対個人、中小企業の取引・コンサルティング
金融業界のリテールとは、対個人との取引のことです。
取引の例としては、以下のものが挙げられます。
- 預金
- 振替、振込
- 貸付
- 資産運用
またリテールの仕事は取引そのものだけではありません。お客様が抱える不安に対してコンサルティングをするのも、仕事の一つです。
つまり銀行(金融)業界のリテールは、お金に関する豊富な知識とお客様に寄り添う姿勢が求められる仕事なのです。
アパレル業界のリテール:販路開拓、マネジメント
アパレル業界におけるリテールとは、販路開拓やマネジメントのこと。
具体的には以下の業務が含まれます。
- 小売店舗に対する、自社商品の売り込み
- 担当店舗の売上、在庫管理
- 店頭ディスプレイの指示
- 販売スタッフのトレーニング
銀行業界のリテールと異なり、アパレル業界のリテールはお客様と直接関わることはありません。むしろ裏方に近いですね。
「消費者に商品を買っていただけるよう、誠実な販売スタッフと魅力的な売り場を作る」。それがアパレル業界のリテールです。
不動産業界のリテール:対個人の取引に関するコンサルティング
不動産業界のリテールは、個人顧客の不動産の売却・購入やそれに関するコンサルティングを指します。
銀行業界のリテールとの違いは、取引に関わるのが自社と相手だけではない、という点。
不動産には売りたい人と買いたい人がいます。売り手と買い手の間の橋渡しとして、それぞれの希望を可能な限り叶える。それが不動産のリテールに求められる役割です。
次に、リテール業界が抱えている課題を見ていきましょう。
リテール(小売)の企業や業界が抱える、3つの課題
リテールの企業や業界が抱えている課題は、以下の3つです。
- 長年に渡ってお客さまの買い物体験が変わっていない
- スタッフなどの人材が不足し続けている
- 店舗の設備が止まると店舗そのものも止まってしまう
それぞれ見て行きましょう。
1. 長年に渡ってお客さまの買い物体験が変わっていない
まず最初の課題は、顧客体験が変化していない点。悪く言えば小売が与える顧客体験は、長年進化していないのです。
多くの小売が与える顧客体験は、例えば以下のようなものでしょう。
- お客様が、チラシなどを見て買いにくる
- お客様が他の用事のついでに店舗に寄って、たまたま目に止まったものを買う
よく言えば、これら現状の顧客体験は日常に溶け込んでいます。それは長年小売業界が便利で、人の生活を支えてきた証です。しかしもはや、そこには新鮮味がありません。つまり顧客を楽しませる体験が起きにくい状況なのです。
楽しさや利便性の向上は、顧客満足度の向上、ひいてはリピーターや売上額の増加につながるのは言うまでもありません。
その成長につながるポイントをそのままにしているのが、多くの小売店舗が抱えている問題の一つです。
2. スタッフなどの人材が不足し続けている
日本全体と同じく、小売業界でも深刻な人材不足が起きています。
働き手が足りなくなれば、スタッフ一人あたりの負担は当然増えます。
そして負担に耐えられなくなった人が辞め、人材不足が更に進む…。まさに負のスパイラルです。
この問題に関しては、ロボットなど労働力を代替させるものが求められています。
3. 店舗の設備が止まると店舗そのものも止まってしまう
店舗に依存した仕組みなのも、小売店舗が抱える問題の一つです。多くの小売店舗は、設備が止まるとそのぶん販売する機会を失うリスクを抱えています。
例えば、スーパーの冷蔵庫が突然壊れたとしましょう。冷蔵庫が壊れると、まず在庫を値下げして売るはめになります。止まった冷蔵庫の中で腐らせるよりは売ってしまった方がいいです。
見込みよりも低い利益のために商品を売ること、これが1つめの機会損失です。
さらに機会損失はこれだけではありません。壊れた冷蔵庫が直るまで、冷蔵庫が必要な商品(牛乳や肉など)を売ることができなくなります。これが2つめの機会損失です。
このように小売店舗は、設備の故障で大きなダメージを負う、というリスクを抱えているのです。
補足:インターネット企業の台頭も課題になりつつある
小売業界そのものが抱える課題に加えて、インターネット企業の台頭も小売業界にとって大きな脅威になりつつあります。
インターネット企業が小売業界よりも優れているもの、それは利便性です。まずは配達のスピード。東京都などの都市では、注文したその日に商品を手に入れることができます。加えて購入できる商品の幅広さも、小売店舗の比ではありません。
このままインターネット販売が便利になっていけば、お店に足を運ぶ人はますます減るでしょう。
インターネット企業とどう差別化するか?これも小売店舗が考えなくてはならない課題です。
リテールの意味を理解して、ビジネスを成功に導く
この記事では、まずリテールの概要として、以下の内容をお伝えしました。
- リテールとは「個人の消費者(toC)に向けた小売」
- リテール営業(セールス)とは「個人の消費者(toC)に向けて営業をすること」
- 業界別、リテールの業務内容
リテールの業務内容は多岐にわたりますが、営業だけではなくコンサルティングの面もあるのが特徴です。
そしてリテール業界が抱えている問題として、以下の3つをあげました。
- 長年お客様の顧客体験が変わっていない
- スタッフなどの人材不足が常態化している
- 店舗の設備が止まると、店舗そのものも止まってしまう
小売業界は確かに課題を抱えていますが、これはビジネスチャンスでもあります。小売業界の課題を解決できるような仕組みを作ることができれば、ビジネスで優位に立てるはずです。
まずはどの課題が解決できそうか、1つ検討することからはじめてみましょう。