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改正電子帳簿保存法への対応が業務効率化、DX促進を加速させる

電子帳簿保存法の改正により、2024年から電子データの保存方法が変わります。

これを機にペーパーレスやDX化を進めている企業も多い一方で、改正ポイントが分かりにくく、社内の運用ルールを定めるのに苦労しそうという声も少なくありません。

基本的に、法改正は現代の商取引に即した運用ができるように行われるものであり、業務に直接関係のないやり取りを減らして、企業をアップデートさせるチャンスでもあります。

主要先進国(G7)に数えられているのに、「就業者1人当たり労働生産性」は大きく後退している日本が再浮上するチャンスともされている法改正は、煩雑なやり取りが派生しがちな紙文化から脱却するためにも重要です。

本稿では、電子帳簿保存法、スキャナ保存制度、電子取引の電子保存制度についてそれぞれ解説すると共に、法改正に併せて企業が成長する道筋について見ていきたいと思います。

電子帳簿保存法で必要な対応

電子帳簿保存法は、2022年に改正されてから2年の猶予期間を経て2024年から本格施行となります。特に申し込みや手続きをする必要はありませんが、自社流の経理システムを使っている、システム化しておらず主要な処理を手動で行っている場合は、保存方法が改正法に則ったものになっているかどうか、確認が必要です。

各書類を電子データのまま社内で共有できるようになると、ペーパーレス化を進める事もできます。

PCで作成した書類をプリントアウトせずに活用、処理、保管するペーパーレスは、脱ハンコの流れと共に、ビジネスシーンで一般的になりつつありますが、まだ充分にやり方が浸透しているとは言い切れない面もあります。

事実、ペーパーレス化するための社内の運用ルールを制定するのが難しい(なのでペーパーレス化が進まない)という声も聞かれます。

しかし、この度の改正に対応するためにペーパーレス化に舵を切れば、企業全体のDX促進にもつながるため、前向きに検討していきたいところといえるでしょう。

2024年から本格的に施行

電子帳簿保存法、スキャナ保存制度、電子取引の電子保存制度は、いずれも2024年から本格的に施行されます。

スキャナ保存制度、電子取引の電子保存制度は任意であり、この制度を取り入れたい企業が選択的に取り入れる形になります。

1:電子帳簿保存法

電子帳簿保存法は、コンピュータを使用して作成する帳簿と書類を対象とした法律です。

帳簿とは、具体的には、仕訳帳、総勘定元帳、経費帳、売上帳といった帳簿が対象です。

書類は、損益計算書、貸借対照表といった、コンピュータを使って作成する「決算関係書類」と、取引の相手に交付する見積書、請求書、納品書といった書類の「控え(写し)」が、対象となります。

改正電子帳簿保存法は、2022年に施行され2024年から本格的に施行されます。

2024年になっても、特に何か手続きをする必要はありませんが、過少申告加算税の軽減措置、所得税の青色申告特別控除の適用を受けるためには、一定条件を満たして「優良な電子帳簿」を作成する必要があります。

優良な電子帳簿を作成するためには、課税期間の初日から、また最初期から一貫して、正しい方法で帳簿の作成・保存を行う必要があります。

正しい方法とは、電子帳簿プログラムのシステム概要が書類に残されている、ディスプレイやプリンタといった周辺機器についての操作説明書が備えつけられている、修正・削除が記録されるようなシステムを使用する、取引年月日や金額、取引先を検索できる機能を有した帳簿システムを使用して作成している等の要件を満たす方法の事です。

大手の会計システムや帳簿管理システムではなく、自社独自(外注含む)の電子帳簿システムを使って電子帳簿を作成・保存している場合は、改正電子帳簿保存法に則っているか、一度確認が必要になるかもしれません。

2:スキャナ保存制度

スキャナ保存法は、紙の請求書・領収書を受領して、自社でスキャナ保存(電子化保存)する場合の取り扱いについて定めた法律です。

なお、スキャナや類似の専用機械を使って電子化した書類だけでなく、スマホで撮影した場合の電子データも、この法の対象となります。

対象となる書類は、請求書、領収書、契約書、見積書、注文(納品)書等、多岐に渡ります。取引相手から受け取った上記の書類、または自社で作成して相手に交付した控えがほぼ対象になると考えておけば間違いはないでしょう。

こちらの法に対しても事前の手続きは特に必要ありません。

ただし、保存する書類は「真実性の確保」、「可視性の確保」のために13の要件を満たす必要があります。

また電子帳簿保存法と同様に、取引年月日や取引金額、取引相手の情報が検索できる方法で保存しなければなりません。

3:電子取引の電子保存制度

電子取引の電子保存制度は、メールやサイトを介して行う取引における請求書や領収書を適切に取り扱うために定められた制度です。

発注書や納品書を電子化して専用回線でやり取りするEDI取引、メールの本文や添付ファイルに請求書相当の情報を記載しているやり取り、ペーパーレスFAXを使った取引、LINE等SNSで請求書に相当する情報のやり取りを行なった電子取引も、この制度の対象となります。

この制度で気をつけるべき点は、請求書、領収書、契約書等の電子データを送った場合だけでなく、受け取った場合も保存が必要になってくる点です。

システム整備が間に合わない、資金繰りや人手不足によって対応が難しい等、「相当の理由」がある場合は猶予措置が認められますが、恒久的な措置ではないので早急に必要な対応をすべきです。

なぜ電帳法は改正されるのか

そもそも、なぜ電帳法(電子帳簿保存法)は改正されるのでしょうか?

最初の電帳法が公布されたのは1998年でした。この時に電子で保存が許可されたのは、仕訳帳や総勘定元帳、固定資産税台帳といった国税関係の帳簿類です。

その後、e-文書法が2005年に公布されました。これは、紙ベースでデータをやり取り、保管する事によって、間接業務が多くなり、諸外国と比較して労働生産性が低くなっているという事態が懸念されたために公布された法律です。

「就業者1人当たり労働生産性」は、世界的に見るとカナダ、フランス、米国等、主要先進国G7の国々が、50年間20位圏内を維持しているのに対して、日本は後退しています。

政府は後退の原因が、間接業務の多さ、すなわち日本企業の紙文化にあるのではないかと考え、e-文書法を公布しました。

しかし、e-文書法だけでは日本企業のペーパーレス化、電子化は思うように進まず、2015年から電帳法は、毎年のように改正されてきました。

例えば、2015年には電子署名が不要となり、これまで電子保存を認められなかった3万円以上の取引に関しても電子化が認められるようになりました。

2016年には、それまで認められていなかったスマホやデジカメによるスキャンも、自著があれば、許可されるようになりました。

2019年にはさらに、過去の重要書類を電子保存する事も認められました。

2020年にはキャッシュレス決済による領収書の発行が不要になり、2021年には電子保存するために必要だった税務署への申請が不要になる等、細かな条件が緩和されてさらに電子保存がしやすくなりました。

電帳法の改正は、脱署名、脱ハンコやキャッシュレス決済といった時代の流れに対応するため、そして間接業務を軽減して業務効率化を図るために改正されてきました。

この改正によって、書類を電子化する企業は少しずつ増えています。

2021年の日本の就業者1人当たり労働生産性は、27位で、ポーランドやハンガリー、ポルトガルと同等程度です。この順位は、1970年以降もっとも低い順位で、これからの追い上げが期待されます。

法律順守と業務効率化の兼ね合い

電帳法改正に伴い、従来の帳簿運用法よりも効率化が臨めるポイントはいくつかあります。

効率化が見込めるポイントの1つは、2024年以降、これまで必要だった入力者情報の確認要件が不要になる事です。電子取引データやスキャン保存を行った本人、またはその監督責任者の情報を保存する必要はなくなり、よりスピーディにデータ保存、スキャンを行えるようになります。

また、これまでスキャン保存する国税関係書類は、すべてにおいて帳簿との相互関連性が必要でしたが、2024年以降、一般書類は関連性を持たせなくても保存が可能になります。

検索機能についても、売上5,000万円以下の事業者は、検索機能の要件を満たしていなくても電子データの保存が可能(現在は1,000万円以下の事業者に限る)と、緩和されています。

法改正により、現実に即した法律になった事で、経理業務の負担軽減が見込めます。

紙ベースで保存する書類が少なくなるため、オフィスの省スペース化が推進される可能性も高まります。

改正は、チェックすべきポイントが多岐に渡り、社内のルールやシステム整備に苦慮する企業もあるかもしれませんが、改正電帳法を順守する事で、業務効率化を達成できる可能性もまた高まります。

自社事業で必要な対応を検討

改正電帳法に対応するには、まず自社が現状どのような電子取引を行なっているか、電子データをどのように保管しているかを知るところから始める必要があります。

どのような電子データを扱っているのかを知れば、適切な対応方法が見えてきます。

その上で、2024年からどのような方法で取り扱いをするのかを決定し、業務フローを構築します。社内ルールが明確でなかったり、法改正に則したものでなかったりすると、混乱を招くだけでなく業務が増えてしまうリスクがあります。

電子データをプリントアウトして承認を得るようなスタイルで運用している場合、新しい業務フローはプリントアウトせずに営業、責任者、経理まで通せる仕組みにすべきです。

電子データは電子データのまま保存する必要があるため、「営業が電子データを受領する」、「責任者が上長承認の手続きをする」、「経理が承認、仕訳入力を行う」、「保存する」という一連の処理は印刷する事なくできるように整えておく必要があります。

書類を電子的に保存する際は、適切に保管するだけでなく、必要な部署間で共有され、検索しやすいシステムになっていなければなりません。実際に承認や決済の手続きが滞りなく進められるかどうかによって、業務効率化やDX推進の手段としてのペーパーレスを実現できるかどうかが決まります。

このようにフローを決定したら、部署の従業員全員が同じ手順を共有できるよう、ルールを整備して、必要なら研修も行います。

併せて取引先にも周知しておくようにすると、スムーズに運用できます。

スキャン保存法についても、同じように現状の確認、新しいフローの設定、周知を行なっていきます。

2024年は、電帳法の改正だけでなく、インボイス制度がスタートする年でもあります。インボイスは必ず電子で発行しなければならないというわけではなく、またインボイスの対応自体が任意ではありますが、電帳法もインボイスも社内だけで完結するわけではなく、取引先にも影響があるシステムなので、適切な整備が必要です。

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