フランチャイズ加盟における「ロイヤリティ」とは
今ではすっかり日常になくてはいけない存在となったセブンイレブンやファミリーマート、ローソンといったコンビニエンスストア。また、ケンタッキーやマクドナルド、ミスタードーナッツといったアメリカが発祥の飲食チェーン店に共通するものがあります。
その共通点とは、店舗のフランチャイズ展開を行っている点です。
フランチャイズとは、お店の名前を借りて経営を行う権利を与えられた店舗のことを言います。
フランチャイズを行っている本部にとってのメリットは
- 店舗拡大によって知名度を上げることができる
- 知名度が上がることによって売上アップに繋がる
- 加盟店から売上または粗利の一部を納付してもらうことで利益につながること
が挙げられます。
店舗経営者からしても、フランチャイズ契約を行うことによってビジネスモデルを一から考える必要がなく、ネームバリューによる集客を期待することができます。
そのかわり、フランチャイズの店舗を運営する上で、「ロイヤリティ」というものが発生します。
今回は、ロイヤリティとは何なのか?また契約を結ぶことでもたらされるメリット・デメリットとは何か?といった点について述べていきたいと思います。
●ロイヤリティとは?
ロイヤリティとは、企業の看板を使って店舗の経営できる権利を与える代わりに、本部に売上・粗利の一部を納める使用料です。これはアメリカで生まれたビジネススタイルで、フライドチキンで有名なケンタッキーが最初に始めたと言われています。美味しいフライドチキンの作り方を他者に教えるかわりに、売上の数%をケンタッキーに納める、という方法です。フランチャイズ方式の中にロイヤリティという考えが存在するのです。
例えばコンビニの例で言うと、個人商店だったところが突然セブンイレブンやローソンなどのコンビニに変わっているのを目にすることがあると思います。これは開業をしたい個人と、フランチャイズ展開をしている企業が契約を結ぶことによって、コンビニの外観や商品の仕入れ・陳列の方法や接客方法など、ノウハウについて本部から指導があるためです。そして売上(または粗利)の一部は毎月コンビニの本部に収められるという仕組みになっています。
ロイヤリティ契約には3種類のパターンがあります。
粗利分配方式
粗利の数%をフランチャイズ契約している本部に納めるという方式で、コンビニではこの方式が多いようです。
売上歩合方式
粗利ではなく売上の数%を本部に納めるという方式です。売上が上がるほど納付額も上がります。
定額方式
本部に毎月支払う金額が一定の方式です。
●フランチャイズを行う上でのメリットとデメリット
フランチャイズ契約を行うことによって店舗の経営者が得られるメリットは、以下のものが挙げられます。
- 本部のビジネスモデルに沿って経営を行うので一から考えなくて良い
- 商品の仕入れ方法や経営に関するノウハウについて本部のサポートが受けられる
- ブランド力で集客が見込める
- 本部によって店舗が用意されることもある
- 未経験の人でも開業できる
一方でデメリットとしては以下のようなものが挙げられます。
- ブランドのイメージがあるため、アイデアがあってもブランドのイメージとそぐわない場合実行できないものもある
- 仕入れ商品に制限がある
- 営業時間や休日は本部の規定に従わなければいけない
- 守秘義務があるためノウハウを口外したり、契約終了後に模倣してはいけない
- 契約期間中に中途解約すると違約金が発生する場合がある
企業の看板を掲げて経営を行うことになるため、ある程度の自由が制限されることは覚悟しておかなければいけません。また、フランチャイズ契約によって得た情報やノウハウは、当然ながら解約後でも外部に出すことはできないでしょう。
個人で店舗を経営したいけれども、これといったコンセプトがない、ノウハウがないという方であれば、フランチャイズ契約を行って店舗経営を行うというのも一つの手ではあります。
●フランチャイズ契約を結ぶ際の流れと開業資金
フランチャイズ契約を検討しているのであれば、大抵の場合説明会が用意されているところがほとんどなので、参加したほうが良いでしょう。説明会に参加することによって大まかな開業までのイメージがしやすくなり、疑問点を解決することができます。
フランチャイズ契約を結ぶ際は、上記に説明したロイヤリティの他に加盟金というものが必要になります。この加盟金は大体数十万〜数百万円単位の金額が必要になります(業種や企業によって異なります)。基本的にこの加盟金は返還されることはありません。
また、店舗も一から作るところもあれば空き店舗を改修して開業するところもあります。開業にあたっては本部から助成金が出ることもありますので、事前に確認したほうが良いでしょう。
●ロイヤリティはどれくらいかかる?
フランチャイズの店舗を持つことで気になるのはやはりロイヤリティがどれくらいかかるかという点です。
売上が好調な月は良いですが、低調な月だと支払いが厳しいという時もあるでしょう。契約内容によってロイヤリティの割合が異なるため、以下の数字はあくまでも参考値です。
ロイヤリティーの相場の例をご紹介します。
飲食業
飲食業のロイヤリティーの相場は、3%~10%程度です。人件費・材料費などのコストがかかり、原価率の高いビジネスのため、ロイヤリティーは低く抑えられています。
学習塾
10%~30%程度と、飲食業よりも高く設定されています。材料費がなく、原価が余りかからないビジネスのため、飲食業に比べ高いロイヤリティーとなっています。
(出典:フランチャイズ比較.comフランチャイズのロイヤリティーとは何か?適切なパーセンテージとは?)
https://www.fc-hikaku.net/franchises/2089
ロイヤリティは毎月必ず発生するものなので、念入りに確認しておきたいところです。以下のウェブサイトでは、フランチャイズ展開している業種によって大まかな開業資金などを参考にすることができます。
(参考)フランチャイズ比較ネット https://www.fc-hikaku.net
●ロイヤリティフリーとは?
近年ロイヤリティや開業資金がそれほどかからないことを謳った宣伝を行っている企業があります。中には開業資金やロイヤリティがゼロ(これをロイヤリティフリーと呼びます)というところもあり、そうなると企業にとってどのようなメリットがあるのかと勘繰ってしまうことでしょう。
ロイヤリティとは記載はないものの、契約を行う際に他の項目名で請求がある場合も可能性としてはあります。基本的に加盟金やロイヤリティは必要な初期費用として見ていたほうが良く、ロイヤリティフリーの場合はなぜロイヤリティが発生しないのか、加盟金はあるのか、他の項目で請求があるのかといった点について確認したほうが良いでしょう。
●まとめ
ロイヤリティを支払うことによって、経営のノウハウについて知識がない未経験の人でも独立して店舗経営を行うことは十分可能です。未経験でも店舗経営を行える点は魅力的に映りますが、ある程度の集客が見込めることや売上の目処がつくことといった事前調査をしっかりと行うことが大切です。
契約書に書かれてあることについて、少しでも疑問を持ったのであれば納得のいくまで本部に訊くべきです。ロイヤリティに関して、「利益の◯%を納付する」というような記述があるとすれば、利益とはどのことを指すのかといった点について詳細に確認することが大切です。
開店間近や開店してから自分が理解していたものと違ったと言って途中で契約を解約しようとしても、契約書の内容によっては契約期間中の中途解約は違約金が生じることがあります。このようなトラブルを避ける意味でも、契約については慎重に行ったほうが良いでしょう。