業務効率を改善する自動化ツール「RPA」とは?
目次
- RPAとは?
- RPA + AI技術活用の事例 Amazon GoやNTT東日本運営の無人店舗
- RPAツールにはどのようなものがある?
- サーバーやシステムの監視/運用にRPAを導入するメリット
- まとめ
技術は日々進歩しており、人力に頼らないロボットや人工知能の開発が続いています。ロボットであれば人間のように体力的・精神的な疲労を感じないうえに、人件費を抑えることができます。
今まで人間がおこなっていた単純で機械的な労働は、ロボットが行う時代になってきています。食品・医薬品・工業製品など、工場ラインで生産される製品をつくるために産業・工業用ロボットが用いられていますが、これとは別に主にオフィスワークで行なわれている業務を自動化するロボットも存在します。これを「RPA」と呼びます。
ロボットが単純業務の自動化をおこなうことによって得られるメリットは数多くあります。
以下ではRPAについての意味やRPAができること、RPAによって得られるメリット、RPAツールについて述べていきたいと思います。
RPAとは?
RPAは”Robotic Process Automation”の略称で、日本語では「ロボットによる業務自動化」と訳されています。人間がおこなっている定型業務を、ロボットが代替することを指します。
主にコンピューター上で処理できる操作で手順やフローが決まっており、誰がおこなっても同じ結果になるような定型業務を機械が担うことで、下記のような効果を期待することができます。
- 人間による単純作業を減らし業務の効率化を高める
- 業務にかかる時間を大幅に短縮できる
- 勘違い、見間違いといった人的ミスの発生を防ぐ
- 業務の属人化を防ぐ
RPAを導入することによって単純労働に割かれていた時間を浮かせることができるため、より重要な他の業務に集中することができます。
また、見間違い、聞き間違い、確認漏れといった人的ミスも軽減することができます。
RPAによってロボットがおこなうことができる定型業務はこれらのものがあります。
- 伝票入力、請求書発行などのバックオフィス業務
- 顧客の質問に自動応答できるカスタマーサポート業務
- 交通費精算などの社内経費処理
- データ収集・分析業務
- 社内システム監視業務
RPAを導入することによって定型業務に費やす時間を大幅に削減することができ、業務の属人化を防ぐことによって担当者不在でも業務を円滑にまわすことができるようになります。
また、業務フローに慣れていない人に代わってRPAツールが面倒な処理を一手に引き受けてくれることで抜け漏れをなくすことができるため、非常に便利です。
RPA + AI技術活用の事例 Amazon GoやNTT東日本運営の無人店舗
最近の例でわかりやすいものといえば、セルフレジやセミセルフレジもRPAに含まれるでしょう。
バーコードを読み取って会計をおこなうという作業は単純で、機械的な労働です。セルフレジやセミセルフレジは人件費の削減を可能にします。
さらに、近年ではレジに係員がいない無人店舗の研究開発が進んでいます。
無人店舗でいち早く話題になったAmazon Goがありますが、日本も負けていません。
最近のニュースではJR東日本が無人レジの運営を実験的におこなっていると報じられました。JR東日本の無人レジはAI技術により消費者の顔やカゴに入れた商品を判別。Suicaもしくは現金にて決済が可能です。Amazon Goとの違いなどはこちらの記事で紹介されています。
将来的にはこのような無人の店舗が増えていくのかもしれません。
RPAツールにはどのようなものがある?
業務の自動化をおこなうためのRPAツールは数多くあります。以下ではバックオフィス業務をおこなうRPAツールを2つご紹介したいと思います。
複雑な作業もシンプルに UiPath
UiPath(ユーアイ・パス)は世界中で用いられている業務支援ツールです。システムを自動化するためのコーディングは不要で、複雑な作業も簡単に指定することができます。UiPathには3つのシステムがあり、以下のはたらきをおこないます。
- UiPath Studio…自動化したい業務を録画するシステム。また業務フローを視覚化しわかりやすくする。
- UiPath Orchestra…複雑なワークフローでも迅速な業務遂行が可能。拡張性が高く、すべての操作ログはアーカイブされる。
- UiPath Robot…コンピュータビジョンにより短時間で画像やテキストを認識しデータ抽出をおこなう
UiPathは大手広告代理店や医療機関、金融機関、製造業といった幅広い業種で導入されています。トライアル版もあるので、手始めにこちらから試してみるのも良いでしょう。
NTT西日本の バックオフィス業務支援ツールWinActor
RPAツールとして有名なのが、NTTが提供しているバックオフィス業務支援ツールのWinActor(ウィンアクター)です。
WinActorは複数のツールを用いて業務の自動化をおこなうシステムです。PC上で業務手順を録画することにより、登録された条件に基づいて業務をおこないます。
バックオフィス業務でよく用いられるMicrosoft WordやExcelを用いた作業や、Webを組み合わせた作業を自動化することができます。
シナリオ作成も簡単で、見たまま操作ができるので誰でも操作できる使いやすい点も魅力です。既存の業務フローに作業を追加したい場合もドラッグ&ドロップで簡単に操作ができます。
WinActorでおこなうことができる業務は以下のものが挙げられます。
- 伝票処理
- 作業指示書作成
- 各種書類発行(納品書・請求書等)
- 受発注作業
- DM等作成
このツールを用いることで単純業務にかかっていた時間を大幅に削減することができます。
サーバーやシステムの監視/運用にRPAを導入するメリット
システム管理にもRPAを導入することでメリットがあります。サーバー監視やシステム対応といった処理を自動化することで、保守にあたる人の負担を減らすことができる上に人件費の削減にもつながります。
システムやサーバーのトラブルはいつ起こるかわかりません。24時間動き続けているものもあるため、営業時間外に起こるトラブルに振り回されると働く人も消耗してしまいます。
そこで、トラブルが起きた時の応急措置としてRPAに初動対応をしてもらうことで、システム管理者は休日や夜間対応といった負担から解放されます。
システム保守・運用ツールROBOWARE
システム管理のRPAとしてはROBOWARE(ロボウェア)があります。ROBOWAREはトラブルが起きた際にシステム管理者と同じ判断基準でトラブル対応を行います。
ROBOWAREを導入するメリットは以下のようなものが挙げられます。
- システムトラブルの原因を特定。担当者にアラートを通知またはトラブル内容を報告したり、設定された初動対応を行うことが可能
- 営業時間外のシステムトラブルが発生した場合、設定された操作をおこなう
- 自動運転モードでシステムの冗長化
- トラブルの際システム管理者の遠隔操作が可能
遠隔操作が可能なため、管理者がトラブル対応のためにオフィスへ行く必要がありません。
まとめ
RPAを導入することによって得られるメリットは多く、人間がおこなっている業務の負担を減らすことができ、より高度な業務に集中することができます。
人手不足で悩んでいる企業にとって、単純な業務を正確にかつ短時間でおこなってくれるRPAツールは非常に助かるでしょう。
RPAは業務を進めるうえで人が見落としがちな箇所についても自動化をおこなうことでミスを防ぐことができ、修正にかかる余計な時間やミスによって引き起こされる非効率な作業も解消することができます。
労働力不足に悩んでいる企業こそ、RPAの導入をおこなうことで業務の効率化を高め、結果的に生産性を高めることにつながるでしょう。