モノタロウAIストアとは?初の無人店舗がオープン!
- ECサイト「モノタロウ」の実店舗は、日本初となる大学構内に設置された無人店舗である
- 店舗への入退店や購入はアプリを使っておこない、AIは訪れた顧客の分析に活用されている
- 実証実験の現場としてのモノタロウAIストアは、今後のモノタロウECサイトにも影響を与えていく可能性がある
モノタロウとは
ECサイト「モノタロウ」
モノタロウは、現場に必要なアイテムや工場用間接資材を取り揃えるBtoBのECサイトです。「モノタロウ~モノタロウ~」というCMソングを耳にしたことのある人もいるかもしれません。
国内だけでなく、韓国のソウルとインドネシアのジャカルタにも間接資材を扱う子会社、「株式会社NAVIMRO(ソウル)」と「PT MONOTARO INDONESIA(ジャカルタ)」を置いています。
ECサイト「モノタロウ」の取扱商品
ECサイトにおける取扱アイテムは、およそ1,500万点。
安全保護具、作業服、標識、清掃用品、切削工具、研磨剤、塗料、油圧機器、ベアリング、制御機器、建材、空調や水回りの設備用品、ねじ、ボルト、自動車・トラック・バイク・自転車の用品、クリーンルーム関連アイテム、店舗用品、農業資材、医療・介護関連用品など、現場で必要とされる商品を幅広く取り揃えています。
モノタロウ初の実店舗「モノタロウAIストア」では、この中から厳選した約2,000点を用意しています。
モノタロウAIストア
これまでECサイトのみで事業を展開させてきたモノタロウが2018年4月2日にオープンさせたのが、初の実店舗「モノタロウAIストア powered by OPTiM」です。このストアは、IoTプラットフォームサービスやリモートマネジメントサービスを手がける株式会社オプティムとの共同プロジェクトによる無人店舗で、佐賀大学本庄キャンパス内に位置しています。なお、国内において大学構内に無人店舗が置かれるのは、この佐賀大学が初めて。学生以外の一般客も利用することができます。
国立大学法人佐賀大学「オプティムとモノタロウ、佐賀大学構内に『モノタロウAIストア』をオープン」
http://www.saga-u.ac.jp/koho/company/2018032612149
無人店舗の購入方法とは
モノタロウAIストアの入店方法
無人店舗モノタロウAIストアの買い物は、App StoreかGoogle Playで店舗専用アプリ「モノタロウ店舗」をダウンロードすることからスタート。
アプリでログインすると入店コードが表示され、そのQRコードを入店ゲートにかざすと、店内に入ることができます。
モノタロウAIストアの購入方法
購入は、商品や棚札に表示されているバーコードをスキャンしておこないます。金額は、アプリに表示される商品情報から確認し、買い物の決済もアプリのみで完結。決済が確定されると退店コードが表示され、そのQRコードをかざせば店を出られるという仕組みです。
およそ30坪の敷地に軍手や作業服、切削工具といった2,000品目のアイテムが取り揃えられ、レジに並ぶ手間も時間も必要ありません。
実はこの店舗、AIストアと銘打たれていますが、購入シーンに目に見える形でAIが活用されているわけではありません。AIは、利用者の目に見えにくい別のところで活用されています。
AIはどこに活用されているか
モノタロウAIストアのAIは、入店から退店までの消費者の行動や、訪れる顧客の客層、一度に入店した人数など、購入に関わるさまざまな情報を自動分析するために活用されています。
これは入り口のゲートや店内のカメラの情報とを合わせた総合的なデータで分析されているとのことですが、購買行動はスマホで完結しているため、利用者からはAIの技術が可視化されづらいのは当然のことかもしれません。
モノタロウAIストアの目的とは
AIの自動分析
これまで、モノタロウはBtoBのECサイトのみ運営してきました。
ここへきて実店舗をオープンさせた意図は一体どのようなものなのでしょうか。そのカギとなるのは、先に紹介したAIによる自動分析というオプティムのテクノロジーです。
AI・IoT・ビックデータプラットフォーム、つまりAIやIoTによってデータを集めてそれらを活用することは、現行のECサイトだけでは難しい面があります。実店舗でAIによるデータの集積、分析をおこなうことで、ECサイトにおける課題の解決が期待されているといえるでしょう。
オプティムは、このAIストアのカメラやゲートから得た情報の解析を担うため、「OPTiM Cloud IoT OS」と「Smart Retail Management」の提供をおこなっています。
オプティム「OPTiM Cloud IoT OS」とは
「OPTiM Cloud IoT OS」は、さまざまなデバイスに接続してビッグデータの蓄積をおこなうプラットフォームです。IoT機器の接続からAIを用いた分析までを包括的におこない、ビッグデータをさまざまな角度から検証、活用するとされています。オプティムは、モノタロウAIストアの開発にあたり、この技術の提供と分析を担っています。
オプティム「Smart Retail Management」とは
「Smart Retail Management」は、カメラ映像などをAIで分析し、店舗のマーケティング戦略を見直すためのサービスです。人の目では把握しきれないさまざまな情報を分析することで、店舗経営の最適な状態をサーチする機能をそなえています。
具体的な機能としては、
- 集客分析(総来店者数カウント/顧客属性分析/滞在分析)
- 空席検知(空席予測/座席利用率分析)
- 防犯(録画/人物特定/不信挙動検出)
- 外部連携(POS連携/デジタルサイネージ連携)
がありますが、モノタロウAIストアにおいては、特に集客分析や防犯などを担っているのではないかと考えられます。
実証実験としての店舗
モノタロウは、資材調達ネットワークの変革を掲げています。
ネット通販には注文から配送までにかかる時間の短縮という課題があり、店舗販売にはシフト管理や人件費の問題があります。モノタロウはAIストアとは、これらに改革をもたらすための実証実験の場だとしています。
その上で、モノタロウAIストアのような無人店舗は、ネットとリアル(実店舗)が融合した間接資材の新しい調達方法になるとも発表しています。
モノタロウの主な販路は、引き続きECサイトが中心となるでしょう。しかしECサイトは、AIストアがオープンする前とまったく同じではなく、さらに便利に使いやすくなっていくと予想されます。
AIストアを訪れた顧客の購買行動にまつわるさまざまなデータを分析した結果は、ECサイトにも反映されていくでしょう。
現在のAIストアは、実店舗というよりも実験場という意味合いが強いかもしれません。しかし蓄積したデータによっては今後同じような無人店舗を複数展開していく動きも出てくるかもしれません。
まとめ
モノタロウAIストアを訪れた人の購買行動のデータによって、モノタロウECサイトや無人店舗のあり方が大きく変わっていくことは、間違いないでしょう。今後の動向も引き続き注目したいところです。