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店舗の廃棄物どう減らす?データ分析とシステム化で「無駄削減」を実現

食品、衣服、店舗設備、包装資材まで、さまざまな廃棄物を活かす取り組みが小売・サービスの現場で活発化しています。

大量生産、大量消費から脱却し、フードロス、資材・備品を含む廃棄物全体の削減へ向けた循環型経済へのシフトは、ますます加速しています。

廃棄物を無駄にしない取り組みは、廃棄の際に生じるCO2を減らす、適正在庫によって製造コストカットができる、というメリットがあります。

また、環境に配慮して、公正な方法で商品を販売することは、消費者の共感を得やすく、店舗のブランディングにも寄与します。

本記事では、環境省が公表しているデータ、実際の利活用事例を挙げながら、循環型経済実現を達成するシステム化の重要性について紹介します。

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店舗での廃棄物を「無駄にしない」

店舗で発生する廃棄物は、食品、衣服などの物品、包装材や什器・備品など多岐に渡ります。

廃棄物が発生するプロセスも多様ですが、ここではまず分かりやすいように、食品廃棄を例に挙げてみましょう。

食品の廃棄は、消費者が食べきれなかった料理を廃棄する「食べ残し」、賞味期限が過ぎたものを開封せずにそのまま捨てる「直接廃棄」、本来食べられる部位であるのに希少性などを優先して廃棄する「過剰除去」といった要因で起こります。

衣類の場合は、原材料の生産・縫製の段階で染色廃液や余った生地が、販売の段階で過剰在庫や売れ残り廃棄が、消費の段階で消費者による廃棄が行われます。

廃棄物は、処分する際にCO2が発生するため、環境保全の観点からも問題視されています。

循環型経済へ向けて関係省庁も連携

循環型経済は、サーキュラーエコノミーとも言います。

廃棄物や汚染をなくす、製品や素材を使い続ける、自然のシステムを再生する、という3つの原則があり、世界で市場規模が拡大している経済モデルです。

日本でも環境省が関係省庁と連携して、循環型経済を推進しています。

具体的には、自治体職員向けの食品ロス削減のためのマニュアル整備、地域の商店街や、商業ビル内の小売店、児童・生徒への食育を対象とした「食品廃棄ゼロエリア創出モデル事業」の実施などが挙げられます。

このモデル事業では、発生する食品廃棄物の特性を踏まえた再生利用法の模索、フードドライブを活用した食品の効率的活用の実証実験といったテーマが例とされています。

参考:環境省「食品廃棄ゼロエリア創出モデル事業等の公募について」

https://www.env.go.jp/press/press_04376.html

各業界で進む環境保全の取り組み

大手コンビニチェーンでは、エコな経済活動に求められるリデュース(Reduce)、リユース(Reuse)、リサイクル(Recycle)の3Rに基づく食品廃棄削減に取り組んでいます。

リデュースは、製造工程における余剰食品の抑制、すぐ食べる場合は賞味期限の近いものを選ぶという「てまえどり」推奨、予約販売といった施策で「発生抑制」を実施しています。

製造工程では、天候や販売実績を店舗ごとにデータ分析することによって、正確な需要予測が行える発注システムが導入されています。

また、リユースの取り組みとしてフードバンクへの寄贈を、リサイクルの取り組みとして廃油のリサイクル、売れ残り食品の飼料・肥料への転用などを実施しています。

環境省の発表によると、令和4年度(2022年度)の食品ロスは472万トンで、そのうち事業系で生じた食品ロス量は、推計236万トンでした。

令和2年度の275万トン、令和3年度の279万トンと比較すると減少は認められるものの、さらに努力が必要な段階にあります。

参考:環境省「我が国の食品ロスの発生量の推計値(令和4年度)の公表について」

https://www.env.go.jp/press/press_03332.html
使用した画像はShutterstock.comの許可を得ています

廃棄物の利活用事例

廃棄物削減の第一歩は、データを活かした製造コントロールです。余剰や無駄をなるべく発生させないことが、廃棄を減らす上での大前提となります。

その上で、消費者側で発生する余剰食品を活用するシステムや、製造の過程で出る廃棄物をリサイクルする仕組みを整えることが、社会への企業責任を果たす上で重要です。

こうした前提をふまえて、食品ロス(フードロス)、衣類、店舗設備、包装資材など、店舗で発生するあらゆる廃棄物の「利活用」が進んでいます。

ここからは、分野別に具体的な事例を取り上げます。

【食品】店舗でフードドライブを実施

大手スーパーチェーンは、北海道でフードドライブを定期的に実施しています。

フードドライブは、家庭内に余っている未開封・賞味期限内の加工食品を、団体を通じて子ども食堂などへ届けるシステムです。

スーパーマーケットは、消費者が日常的に利用する場所であり、買い物のついでに余剰食品を持ち込むことができます。こうした取り組みに最も適した場所の一つといえるでしょう。

【食品】コーヒーかすのリサイクルを強化

大手コーヒーチェーンでは、現在全店舗で発生するコーヒー抽出後の「かす」の約半数をリサイクルしています。

全店舗の約半数とは、大型ゴミ収集車換算で約700台分に相当する量で、2030年までに全店舗でのリサイクルを実施するとしています。

集められたコーヒーかすは、たい肥として利用され、そのたい肥を使って育った牛のミルク、野菜は、再び店舗の商品の原料として使われるということです。

これは、循環型経済の典型的なモデルケースといえるでしょう。

リサイクルが新たな原料を生むサイクルは、エシカル消費を重視する消費者層からも高い評価を受けており、店舗や運営企業のブランディングにも有益です。

【衣類】アパレルブランドが不要になった衣服を回収・リサイクル

廃棄物削減の取り組みは、アパレル業界でも実施されています。

あるブランドは、循環型ファッションを推進するため、店舗で不要になった衣服を回収する活動を行いました。

環境省のデータによると、2022年の国内における衣類新規供給量は79.8万トンで、そのうちの47.0万トンが廃棄されています。

そのうち、事業者からの廃棄量は1.5万トンで、45.8万トンが家庭から廃棄されたものでした。

アパレルブランドが衣類を回収し、国内外でリユースするほか、資源循環サービスを通じて新たな資源へと変えることで、家庭から出る衣類の廃棄削減が見込まれます。

【店舗設備】店舗の廃棄ガラスを新規店舗へ使用

大手コンビニチェーンは、ガラスメーカーと連携して、店舗設備だった廃棄ガラスを原料とした板ガラスの生産に日本で初めて成功しました。

店舗の老朽化で不要になったガラスは、回収され、冷蔵庫販売設備のためのガラスに生まれ変わるということです。

廃棄ガラスを活用するためには、原料としての品質基準を満たす必要がありますが、両社は回収に特化した物流システムを構築することでこれをクリアしました。

ガラスの収集と状態のデータ分析、組成確認、原料としての選別工程、評価をシステム内で行うことで、これまで難しかった廃棄ガラスの再利用を成功させています。

【店舗設備】店舗照明のリユース・リサイクルも進む

大手電機メーカーは、2025年度に店舗用照明のリユースとリサイクルを始める計画を公表しています。

従来の店舗照明は、店舗の改修によって更新されることが多く、照明の寿命よりも先に廃棄されてしまうという課題がありました。

このサービスでは、回収した照明のうち、まだ使用できるものは別店舗で使用され、廃棄する照明からは鉄、樹脂を取り出して再資源化します。

なお、これは店舗に向けた定額制のリユース・リサイクルサービスで、3店舗での実証実験の結果、廃棄物排出量を37.9%削減できたということです。

まだ使用できる照明をリユースすることで、初期費用を抑えられるという事業者のメリットもあり、資源循環型ビジネスとして伸長する可能性が高まっています。

【塗料・建材】コスメを塗料や樹脂へアップサイクル

多くの化粧品が使い切ることなく廃棄されていることを「コスメロス」といいます。

このコスメロスを解決する手法として、色材へのアップサイクルを行う企業があります。

ある調査によると、ユーザーの約86%は、「余ったコスメの扱いに困っている」、「余ったコスメを捨てている」とされています。

これをアップサイクルする取り組みを行う企業では、絵具、建材、塗料、樹脂などにコスメを生まれ変わらせ、BtoB(工業素材)、BtoCへ展開しています。

廃棄せず循環させる社会へ

日本の消費者は、「エシカル」というワードを知らない人も、そのような消費行動を選択することが多いというデータがあります。

エシカルは「倫理的な」という意味の英語で、環境破壊や児童労働などを伴わない公正な方法で生産・製造された商品を選択すること、およびそれに類する行動を「エシカル消費」、エシカルな行動などといいます。

具体的には、マイバッグの持参、省エネに配慮した消費行動、リサイクル品の購入、地産地消などが挙げられます。

ワードこそ一般的ではないかもしれませんが、上記の行動は多くの消費者が自然と取っているものです。

近年は、物価高騰により食品を廃棄することへの嫌悪感も強まっており、企業理念としての「エシカル行動」もより支持されやすい環境になっています。

視野を広げると、店舗での廃棄を減らす施策は、原料・製造コストの低減、廃棄コストの削減だけにとどまらず、ブランディング確立としての役割をも担えるといえるでしょう。

廃棄を減らすための仕組みづくり

適正在庫を追求しても、廃棄をゼロにするのは現実的に困難です。

なぜなら、店舗運営には、商品以外に設備の老朽化、入替に伴う廃棄物が発生するからです。

店舗廃棄物の削減が社会的にも重要度を高める現代においては、省資源・コスト削減のためにも「データに基づく管理・活用システム」の導入が必要になります。

現場ではすべてを把握するのが難しい廃棄物の発生原因、また再資源に変える可能性が可視化されることで、スピーディな意思決定が実現します。

現場判断だけに頼ることなく、膨大な種類の廃棄物を管理するにはシステム化が鍵となります。

循環型経済においては、発生した廃棄物の記録、予測、再資源化をワンストップで行うことが、店舗経営にとって重要なポイントになるのではないでしょうか。

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