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実店舗へ回帰する消費者たちは「デジタル消費者」である

「コロナが明けたら消費者は店舗に帰ってくるだろうか」 「コロナ後にどう業績を回復させよう」 とお悩みの方へ。

コロナが明ければ、消費者は実店舗に回帰する見込みがあります。消費者のリアル回帰はウェルカムバック・チャンスとして今後の経済に大きな影響を与えるでしょう。

しかしECサイトに慣れているデジタル消費者は、実店舗にさらに高いサービスを期待しています。コロナ禍を生き抜くだけではなく、さらにその先を見据えた行動が必要とされているのです。

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コロナ禍の消費者動向

コロナ禍における日本の消費者動向では一様ではありません。調査によって、6つのセグメントが明らかになりました。

オンラインシフトの傾向から定着へ

コロナ禍によって半ば強制的にオンラインシフトが始まりました。その結果、消費者はオンラインへの定着が始まっています。コロナが明けても、人々の生活様式が完全に以前の状態に戻ることはないとはよく聞く話ですが、オンラインへのシフトもその1つとなるでしょう。

小売店を始め多くの事業者がオンラインでのサービスを始め、ビジネススタイルを確立しました。また消費者も、家族との時間を大切にしたりオンラインで完結できるメリットを体感したりすることで、オンライン否定派の消費者も魅力を感じ始めたのです。

ECサイト利用者は急速に増えています。2019年8月時点のECサイト利用割合は43.5%でしたが、2020年8月時点は56.9%でした。コロナ禍によって、1年の間に13.4%も増加していることが明らかになりました。年代では40代に大きな変化が現れており、1年の間に22.0%も利用者が増えていたのです。

参照:アフターコロナ EC進化論

その反面、実は2020年9月以降もリアル消費の回帰傾向が起きています。特に衣服や小売、家具や雑貨の辺りは回復傾向が起きており、実店舗が完全に落ち込んでいる状況ではありません。

コロナ禍で生まれたセグメントと消費行動の変化

三井住友カード株式会社が、保有するキャッシュレスデータをもとに株式会社顧客時間と株式会社マクロミルが協力して消費行動の変化を分析しました。その結果、以下のような新しいセグメントが明らかになったのです。

【セグメントの変化】

・巣ごもり型
感染への不安が強く、新しい生活様式に適応して巣ごもり気味の生活をしている。旅行など自粛要請されていることへの購買欲が強く、現状にストレスを抱えている

・変化適応型
ECサイトなどステイホームでの消費行動は増えるも、映画やエンタメといった外出や旅行もしている。消費金額はコロナ以前と同様に戻っている

・倹約型
不要不急の外出を控え、ステイホームでの買い物も控えている。コロナが落ち着いても消費は戻らずストレスは高い状態にある。

・自己中心型
積極的にステイホームせず、気が合う人と外出する傾向が強い。生活スタイルはコロナ禍においても変えることはなく、消費金額もコロナ以前と同様に回復

・従来維持型
上記4種の中間型

またレポートでは、従来維持型は男性に多く、巣ごもり型と変化適応型は若年女性に多いという結果も出ています。変化適応型と自己中心型の消費は、コロナ禍まで回復しているというデータが出ました。

参照:新型コロナウィルスがもたらす消費行動の変化レポート 第3弾

https://www.smbc-card.com/company/news/news0001562.pdf

上記を見てわかる通り、コロナの影響によって複数の消費者傾向があります。それぞれの消費者のニーズに合わせ、小売店も変革していく必要があります。

世界各国の事例:実店舗へ回帰する消費者たち

世界中で大きな変化をもたらした新型コロナウイルスのパンデミックですが、世界でも実店舗へ回帰する消費者が増えています。小売業は、この実店舗回帰によって1つのチャンスを見出し始めました。

実店舗回帰による「ウェルカムバック・チャンス」の到来

コロナ禍において消費者にもたらした変化は大きいものです。そしてその変化は、実店舗を復興させる大きな要素になると期待されています。これはウェルカムバック・チャンスと呼ばれ、世界中で期待が高まっています。

コロナ禍で消費者の購買力は上がっています。そして自粛によって失われた生活を取り戻すため、コロナが収束すれば以前よりも消費行動が活発になると見られているのです。飲酒を伴う会食や大勢が集まる大規模な催し物、国内外の旅行やアウトドアといった消費に対する欲求を、消費者は発散できていません。コロナが収束すれば、消費者は存分にレジャーやエンタメを楽しむでしょう。

しかしウェルカムバック・チャンスでは、小売店が見落とせない注意点があるのです。

デジタル消費者に対応した顧客体験提供を

ウェルカムバック・チャンスで実店舗に戻ってくる消費者のニーズは、以前と同じではありません。オンライン消費に慣れている消費者は、実店舗にもECサイトのようなサービスを求めているのです。

具体的には、パーソナライズされた商品の提案や購入履歴の把握があります。「自分の好みを把握している」「購入履歴を知っている」といったECサイト独自の機能が消費者にとって当たり前になりつつあり、実店舗にも期待し始めているのです。

ECサイトと実店舗が同じという状況は、消費者にとってもはやメリットでありません。小売業には、店舗だからこその体験やECサイトのようパーソナライズされた体験という、高度な要素が求められています。

日本の小売は実店舗回帰するか

2021年5月時点では、まだ日本国内でのワクチン接種率は高くありません。ワクチンの遅延などもあり、一刻も早いワクチンの普及が期待されています。では、ワクチンが功を奏して収束した後、日本の消費者は実店舗へ回帰するのでしょうか。

日本人はオフィスへ帰る

外資系不動産ファンドのCEOであるサニー・カルシ氏は、「日本はオフィスへ帰る」と確信しています。オフィス市場は他国よりも安定した利用があり、日本のオフィス需要を見込んですでに日本の不動産市場へ積極的な投資を計画しています。

参照:「日本人はオフィスに帰る」外資不動産ファンドCEOの確信

https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00281/041600004/#

日本人は他国よりも働き者といわれており、調和を重んじる国民性から連携の取りやすいオフィスへ回帰すると予想されています。すでにリモートワークに疲れているビジネスパーソンも増えており、ワクチン接種率と比例して出社率も上がる見込みです。

自粛要請がなくなれば、仕事帰りに飲食やショッピング、レジャーを楽しむ人は増えるでしょう。つまり日本国内でも、ウェルカムバック・チャンスの可能性は十分にあるのです。

勝機は店舗での新しい顧客体験価値

ウェルカムバック・チャンスが訪れた時に備え、店舗は準備を進めていかなくてはいけません。勝機となるのは、新しい顧客体験です。実店舗に素晴らしい体験がなければ、顧客はECサイトどころか他店へ流れていってしまうでしょう。

スマホと連動させた商品の見せ方や接客デバイスの導入など、ITを活用した顧客体験の創造を始める企業も増えています。顧客を感動させるような体験を生み出せば、ウェルカムバック・チャンスによって顧客が増える可能性もあるのです。

2021年5月現在では不安定な社会情勢が続きますが、小売業はコロナ後を見据えて進化しなければなりません。

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