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2023年以降、配送サービスのロボットが公道利用可能へ。物流の諸問題を解決に導くか

2023年、2024年は物流業界が大きな変化を迎える年となりそうです。

働き方改革が2019年に提唱された時から、物流業界にも適用されると運賃コストの値上げやドライバーのさらなる減少を招くと危惧されていました。 2019年には一旦適用外となりましたが、いよいよ2024年以降は物流業界にも働き方改革の改正案が適用されます。

これによって物流業界だけでなく、その配送システムを利用する小売業界も大打撃を受けるとされてきました。これを回避するアイデアとなりそうなのが、ロボットやAIを活用した新しい配送サービスです。

2023年以降、道路交通法の改正によって、配送ロボットは公道を走りやすくなります。この時期に照準を合わせて、山間部や離島、スマートシティといった場所で様々な実証実験が行われています。
さらに、AIを活用した配送マッチングシステムの稼働も始まっていて、新たな配送サービスが形になろうとしています。

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配送サービスが2023年に迎える新局面

配送サービスにおけるラストワンマイル問題や、人手不足の解決に一役買うとされている自動配送ロボットは、道路交通法改正案の中で「遠隔操作型小型車」と位置づけられました。
これにより、2023年4月以降は登録を済ませれば、自動配送ロボットの公道での走行が可能になります。

経産省では、自動配送ロボットを「自動で走行して、物流拠点や小売店舗などの様々な荷物や商品を配送するロボット」と定義しています。

EC市場の急拡大によって宅配需要が高まっている今、自動配送ロボットは物流業界の苦境と、様々な理由を抱える買い物弱者の不便さを一挙に解決するソリューションとなるかもしれません。

道路交通法改正による配送サービスの普及拡大

道路交通法改正後は、「遠隔操作型小型車」と定義付けられた配送ロボットが、歩行者と同じ通行場所を走行することになります。 道路交通法改正によって、自動配送ロボットは非常に身近な存在となっていく可能性があります。

経産省の資料によれば、配送ロボットに定められた最高速度は時速6kmです。歩行者の平均時速よりも早いですが、自転車の速度(時速12km〜18km)よりは遅い速度が想定されていることになります。

改正法には、配送ロボットの車体についても現行の電動車椅子と同程度(長さ120cm、幅70cm、高さ120cm)と大きさが定められていて、走行の際は、歩行者に進路を譲らなければならないという旨が記されています。

サイズ感や速度感を想像してみると、圧倒されるイメージはなく、住宅街等にもすんなりなじむような雰囲気を感じるかもしれません。

このように、日本の配送ロボットは、街に溶け込み共存するスタイルが基本姿勢になっています。

街に溶け込むことによって、将来的には配送と警備、配送と清掃といった新しい付加価値のあるサービスを生み出せる可能性も見込まれています。

しかし、人に近いところで走行するには、安全面に配慮する必要があり、そうした意味でも明確なルール整備がロボットデリバリーには重要と言えるかもしれません。

なお、配送ロボットの普及は、日本だけでなく世界的なものでもあります。

ここから約3年程の期間をかけて、ロボットデリバリーに関わる国際標準が策定される予定です。国内では主に警察と連携してルールづくりが進められていますが、どの程度国際基準と国内標準に違いが出てくるかは、今後の発表を注視したいところです。

実証実験から本格運営へ

現在は、自動配送ロボットは原付自動車とみなされています。そのため、公道を走らせるためにはナンバーの取得が必須であり、限定的なスペースで実証実験等 に用いられるにとどまっていました。

ですが、自動配送ロボットが「遠隔操作型小型車」と位置づけられた改正案が予定通り施行されれば、ナンバーは不要になります。 ナンバーの代わりに登録番号が分かる標識をつけて走行するような形になるとみられ、今よりも自由で本格的な運営が実現します。

現状、配送ロボットから商品を受け取った消費者は、「ロボットに届けてもらうという体験」に価値を見出すことが多いようです。 しかし、ロボット配送は、非接触で受け取りができるという利点もあり、システムが整備されれば配達時間が読みやすいという利便性も兼ね備えています。

配送ロボットが普及するにつれ、消費者の感じる利点もアップデートされていく可能性があります。

配送サービスの最新事例

配送サービスは23年の改正案施行を前にして、次々に新しいサービスが考案されています。安全面の整備と利便性の追求、これらは実際に改正案が施行されてみないと分からない未知数の部分もあります。

しかし順調に自動配送ロボットが導入されていけば、企業、消費者双方の問題が解消される可能性があります。日本の配送シーンは一変するかもしれません。

AIでマッチング:車両マッチングサービス

AIを活用して、最適な配送システムを提供するサービスもスタートしています。 配送は、常温で可能なもの、冷蔵・冷凍が必要なもの、時間指定がされているもの等、多様化しています。AIを活用して、最適な配送システムを提供するサービスもスタートしています。

車両マッチングサービスは、陸路・空路をAIが一括でリサーチ、小口だけでなくコンテナの対応もスタートし、注目されています。直行便だけでなく、陸路・空輸・陸路という経由便を利用できることが利点です。

なお、AIで配送車両やドライバーをマッチングするサービスも提供されています。 緊急配送が必要になった場合、軽車両の場合は最速1分、平均3分で車両手配されるというスピーディさが売りになっています。

配送ロボットを完全遠隔操作:スマートタウンの実証実験

初期の配送ロボットは、ごく短い距離を自走したり、人力で操作したり、と人の手が不可欠なツールでした。現在は、完全遠隔操作の実証実験が始まっています。

スマートタウンでは、小売店舗や飲食店が隣接する住宅街、工場や私有地、タワーマンション群といった様々なシチュエーションで、配送サービスが実験されています。

ここでは、管制センターとロボットを公衆回線で接続することで、遠隔ながら常時監視を実現しています。このシステム下では、ロボットは障害物を回避しながら自律走行を行いますが、回避できない状況になればセンターからの遠隔操作が可能、という仕組みを備えています。

なお、実験では、1人のオペレーターが4台の同時走行を安全に行えることが確認されました。今後は、交通法改正と並行して、10台までの同時並行を可能にし、コスト削減を目指すとされています。

山間部での配送:想定ユースケースを各種実験

山間部への輸送は、人手不足が慢性化した物流業界の悩みの種でした。ドローンでこの輸送問題を解決するため、想定ユースケースが実験されています。

実験では、注文された商品をエンドユーザーに届けるために、タクシーとバス、そしてロボットが活用されています。
消費者の注文に基づいて店舗が商品を確保後、タクシーが運転手を輸送者として任意のバス停まで配送、その後バスが貨客混載の形をとって任意のバス停まで配送、最後にロボットがバス停からエンドユーザーの元へ商品を届けるというウォークスルー方式が採用されています。

この実験は輸送ルートの確保しにくい山間部において、外出自体も難しい買い物難民に利便性をもたらす効果が期待されています。

また、過疎地のバスや電車は赤字路線も多く、近隣住民の貴重な交通手段でありながら採算が取れずに廃線を余儀なくされるケースもあります。こうした赤字路線を配送システムに組み込むことによって、存続の可能性が生まれます。

特に、山間部は高齢者のみの世帯も多く、運転免許を返納すると買い物が困難という問題が指摘されています。実行コストや、荷物の積み降ろし体制の整備といった課題はありますが、ロボット活用の一つの道が記されるかもしれません。

航空会社とコンビニが連携:離島にドローン配送

大手航空会社とコンビニチェーンは、2025年度を目指して、離島にロボット配送サービスを展開する覚書を交わしています。両企業は、2020年からドローンを活用した実証実験を繰り返して、離島への輸送サービスについて可能性を検討してきました。

航空会社は、安全なドローン走行に必要な航空輸送のノウハウを、コンビニチェーンは即日配送サービス等を展開してきた店舗網を、それぞれ提供しあって協業しています。

航空法は2021年に一度改正されていますが、2022年度中にも有人地帯のドローン自動走行の解禁、いわゆる「レベル4」の解除が行われると想定されています。
住宅地や、円滑な輸送が難しい離島の上空をドローンが飛ぶ未来は、すぐそこなのかもしれません。

深夜配送もロボットが担当

極めて限定的な実証実験ですが、試験的に24時〜31時(朝7時)という深夜帯の配送ロボット稼働も行われています。

この実証実験における通常の稼働は11時〜20時でしたが、1日のみの深夜配送が行われました。深夜の配送は、約40件の注文をロボットがこなしたと報告されています。

働き方やライフスタイルが多様化する中で、消費者の在宅時間や活動時間も多様化しています。 走行音や人的監視の問題がクリアされれば、多くの人が寝静まった深夜にも配送ロボットが働く未来がやってくるかもしれません。

配送サービスと物流業界の働き方改革

配送サービスの変化は、働き方改革にも密接に関わっています。

2024年には、物流業界でも「時間外労働の上限規制」と「時間外労働への割増賃金引き上げ」という改正が行われるため、混乱が予想されています。この改正に伴って、運賃の値上げや人手不足の深刻化が懸念されています。

配送サービスのロボット導入は、この問題を回避する手立てとしても有力視されています。

■関連記事:働き方改革の法改正が小売と物流をどう変える?

人材リソース確保が困難に

元々、物流業界は他の産業と比較すると1〜2割程度平均年収が低い傾向にあります。そして、自動運転が進化してきたことで、「運送業は将来的に自動運転に完全移行するのではないか」と予想する若者も増加傾向にあります。

そのため、新規ドライバーの応募は少なくなり、運送業は人手不足だけでなく従業員の高齢化という問題も抱えています。

今も厳しい状況にある物流業界ですが、このままいくと2024年を境に、ますます人的リソースの確保が難しくなってしまうかもしれません。

配送サービスは物流業界を支えられるか

物流システムの一部にロボットを導入することで、ラストマイル問題が解消されるかもしれません。また、AIとロボットを活用することで、より利便性の高い高品質な配送サービスを構築することもできます。
配送ロボットの活用は、この人手不足に歯止めをかける存在として期待されています。

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