サードパーティロジスティクス活用で業務を効率化・売上を増大!
商品を生産・販売している企業についてまわるのが「物流」。物流が滞りなく行われることで商品が店頭に並び、最終的に消費者の目に触れることになり、売上につながります。
物流のオペレーション業務を荷主である企業が行っているところもありますが、物流に関する独自のノウハウは倉庫会社や輸送会社が持っているため、業務の切り分けを行うことも可能です。
荷主である企業が物流業務を外部企業に委託することを「サードパーティロジスティクス」(Third-Party Logistics, 3PLとも略される)と呼びます。サードパーティロジスティクスは輸送会社が企業(荷主)にたいして積極的に物流改善を提案することにより業務で発生する無駄を省略することができます。
以下ではサードパーティロジスティクスの意味やメリット、サードパーティロジスティクスの成功例、失敗するパターンについてご紹介したいと思います。
サードパーティロジスティクスとは
サードパーティロジスティクスを説明するには、モノが流れていく工程を簡単に説明したいと思います。モノが消費者の目に触れるまで、以下のような流れで動いています。
1:仕入→2:生産→3:物流→4:販売
1~4全ての工程において原料・材料、また完成した商品が運搬されています。
物流をスムーズに行うことによって、早いサイクルで商品を消費者の元に届けることができるため早いサイクルで届けられることによって消費者が欠品による商品購入の機会を失うことを少なくすることにつながり、より多くの売上にもつながります。
物流業務は以下のように分けることができます。
- モノをスムーズに配送するためのシステム等を用いたオペレーション業務
- 指示通りにモノを配送する配送業務
- 倉庫にある在庫を確認、また入荷・出荷処理する業務
物流部分を切り分けて外部委託
物流会社が倉庫を保有しており、物流のオペレーションも一括で行っているところもありますが、物流会社と倉庫会社が別々のパターンもあり、この場合企業同士の連携が必要になります。近年複数の企業が協力することで、モノの供給に関する問題を改善する仕組みであるサプライ・チェーン・マネジメント(Supply Chain Management, SCM)も注目されていますが、サードパーティロジスティクスは物流の部分を切り分けて荷主が物流業務を外部委託することを指します。
サードパーティロジスティクスは元々1990年代にアメリカで生まれたと言われていますが、明確な定義はありません。物流業界における競争の激化とともに、荷主の物流にかける時間を物流会社などの外部企業が部分的、または全てを取り持つことにより、荷主のニーズに応えるかたちで始まりました。日本もアメリカと同じ流れで、激化する物流会社の価格競争において新しいサービスを打ち出すことによって、他社との差別化を図っています。
サードパーティロジスティクスのメリット
サードパーティロジスティクスを行うことで具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
1:無駄な作業にかけている時間を削減
物流会社は様々な荷主の対応を行っているため、豊富なノウハウを持っています。過去の事例から最も適切な物流改善を提案することで、荷主と物流会社双方にメリットがあります。
例えば荷主側で理論在庫と実在庫の在庫確認にかける時間が多すぎる場合、外部委託をすることによって在庫管理の負担を軽減することができ、荷主が最終的なチェックのみ行う、ということもできます。業務に慣れている外部企業に在庫管理を任せることで、確認作業を速く行い業務の効率化を図ることも可能です。
2:梱包方法を変えることでコスト削減に繋がるケースも
荷主の貨物を輸送する際、梱包をどのようにするか細かく指定しているところがあります。梱包には梱包費用や梱包作業に人件費がかかり、時間がかかるほどその費用もかさみます。
また、荷物が複数ある場合荷崩れを防ぐためラップ巻きを行うこともありますが、毎回同じものを運搬するのであればある程度梱包を簡素にしてJITボックスという繰り返し使える運搬用のスチールラックを用いることで補強を毎回行わなくても済むようになるかもしれません。これによって梱包にかかる時間・工数を減らすことができます。
3:保管倉庫を変えることで保管費用を軽減することも可能
元々利用している保管倉庫の費用を見直した際、他の会社の保管費用より高いことが判明する場合があります。契約時点で十分な調査を行わなかったために急ぎで契約した場合や、新しくできた別の保管倉庫の方が同じサービスを行っていても価格が安い場合もあるからです。
特に商品を購入してもらうために原価低減に取り組んでいる企業は、商品の保管費用を削ることによって商品の販売価格を低くすることができます。販売価格が低くなることによって競合他社との価格競争で勝つことにつながり、企業の売上が上がることで物流会社も売上を上げることができます。
サードパーティロジスティクスの成功例
近年、特にネットで注文した商品を、自宅やオフィスまで配送する件数が増えています。利便性が高まると共に配送の需要も高まりましたが、あまりの件数の多さに物流会社は悲鳴を上げている状態です。
大手運輸会社であるヤマト運輸、佐川急便はネット配送による需要で売上を伸ばしましたが、長時間労働や人員の確保が難しいという事態にも陥りました。そこで解決策となるのがサードパーティロジスティクスです。
大手物流会社の設備だけで配送を回すのではなく、オペレーションを行うことで中小企業の他の運送会社にも仕事を割り振るという方法をとることで、どちらもwin-winの状態にすることです。実際の配送は外部に委託することで、慢性的な人手不足や長時間労働といった問題を軽減することができました。
(参考:ビジネス+IT アマゾンが狙う「ITによる物流支配」、目指すのはシェアリングエコノミー?)
http://www.sbbit.jp/article/cont1/33773
サードパーティロジスティクスを失敗させないためには?
サードパーティロジスティクスを行うにあたって注意する点があります。サードパーティロジスティクスが失敗する原因としては、以下のようなものが挙げられます。
1. 荷主が外部委託先に業務を丸投げしていること
いくら外部委託をするといっても、物流会社にオペレーションを全て任せっきりで荷主が確認作業を怠り、後々トラブルに発展するということになると元も子もありません。荷主が物流会社に改善要求ばかりしていると、お互いの信頼関係にも影響してくるでしょう。最終的な確認は荷主が行うべきであり、物流会社はあくまでも業務を効率化するサポートを行うのみです。
2. 物流会社に不利になるような契約がされていること
最初の契約の段階で荷主側だけにメリットがあり、物流会社の負担でしかない契約を結ぶことは、Win-Winの関係ではありません。また、もし物流会社が契約を取ることを優先にした結果、詰めが甘く契約金額に見合わない膨大な量の業務を行うことによって仕事が回らなくなるようであれば、他の業務に手が回らなくなる分、物流会社の売上も結果的に下がるという事態にもなりかねません。契約時点で無理のない業務内容となっているか、念には念を入れて確認しなければいけません。
まとめ
サードパーティロジスティクスは、前提条件として荷主と物流に関わる企業がお互いにとって良い条件でビジネスを行えることが重要です。契約時に曖昧にしておいた部分を、その時々の状況で業務に付け足すことで、荷主企業または物流会社の負担が増える一方であれば、それは業務改善とは言えません。業務の無駄を軽減するどころか、雪だるま式に業務が増えていくからです。物流会社の提案も安請け合いではなく、確実に業務を遂行できる無理のない業務改善案を最初から提示するべきです。
業務の無駄を軽減し売上を増加させるサードパーティロジスティクスは緻密な戦略を最初に練ることがキーポイントと言えます。