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小売・飲食・宿泊…インバウンド最前線で進む「多通貨決済」導入の今

日本を訪れる外国人観光客(インバウンド)の回復が本格化しています。新型コロナウイルスによる入国規制が緩和されて以降、観光需要は着実に戻りつつあり、2025年の訪日客数は過去最高を上回る勢いで推移しています。

こうした状況の中で、小売業や飲食業、宿泊業など外国人観光客と接点のある店舗にとって、重要なテーマとなっているのが「多通貨決済」への対応です。特にキャッシュレス決済が進む欧米・アジア諸国の旅行者にとって、通貨の壁なくスムーズに支払いができるかどうかは、購買行動や満足度を大きく左右する要素となっています。

本記事では、訪日外国人の最新動向を踏まえながら、多通貨決済の重要性、導入時のポイント、具体的な導入事例について詳しくご紹介します。

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インバウンド対応で必要になってくる多通貨決済

訪日外国人客の増加は今後も継続見込み

日本政府観光局(JNTO)によると、2025年6月の訪日外客数は前年比60%以上増の300万人を突破しました。アジア圏に限らず、北米やヨーロッパからの旅行者も増加しており、観光地や都市部では多言語対応や支払い手段の多様化が求められるようになっています。

また、東京・大阪・福岡など主要都市を中心に、外国人観光客による消費が急回復しており、特にドラッグストアや百貨店、小売チェーンでは高額商品の購入が戻りつつあるとの報道も出ています。

参考:JINTO 訪日外客統計

https://www.jnto.go.jp/statistics/data/visitors-statistics/

利便性の向上で買い物満足度アップ

外国人観光客の買い物満足度を高めるためには、言語だけでなく「決済手段の多様性」への対応が不可欠です。言語に加えて、通貨やカードブランドの違いに対応することで、「安心して買い物できる店舗」として評価されやすくなります。

例えば、Alipay(中国)やKakao Pay(韓国)、VisaやMastercardによる現地通貨建てクレジット決済など、訪日客が慣れ親しんだ支払い方法に対応することで、機会損失を減らすことができます。

多通貨決済導入で考慮すべきポイント

メリット:売上向上と顧客満足度アップ

多通貨決済を導入する最大のメリットは、外国人観光客にとっての支払いのハードルが下がることにあります。例えば、自国通貨での金額表示や決済が可能になれば、金額のわかりやすさが増し、購買行動の後押しとなります。

また、事前に為替レートが提示されるDCC(Dynamic Currency Conversion)機能付きの決済システムを導入することで、店舗側も為替リスクを最小限に抑えることが可能です。

DCC(Dynamic Currency Conversion)とは?利用者と店舗に選択の自由を提供

DCCは、クリジットカード利用者がその場で「自国通貨」または「現地通貨」のどちらで支払うか選べる仕組みです。利用者には支払時に両通貨の金額・為替レート・手数料が表示され、自己判断で選べるように義務づけられています。

デメリットと導入時の課題──多通貨決済導入の壁と、その乗り越え方

たとえば以下のような点が、店舗側にとってのハードルとなることが多いです。

  • 初期導入コストや契約手続きの煩雑さ
    多通貨決済を提供するには、決済代行会社との契約や端末の設置、既存POSとの連携など、一定の初期投資と手続きが必要です。特に中小規模の事業者にとっては、導入までのプロセスが煩雑に感じられることもあります。
  • システムトラブル時の対応体制
    通信エラーや通貨選択ミスなどのトラブル時に、迅速かつ正確な対応が求められます。外国人顧客が相手であることが多いため、時間を要する対応は顧客体験の低下にも直結します。
  • スタッフ教育や言語対応の負荷
    多通貨決済では、顧客への説明や案内が必要になる場面も多く、スタッフにある程度の知識と語学対応力が求められます。特に繁忙期や新人スタッフが多い店舗では、教育コストが問題となりがちです。

これらの課題を解決するためには、以下のような具体策が有効です。

  1. クラウド型POSやオールインワン決済端末の活用
    近年では、クラウド型POSや多通貨・多決済手段に対応した端末が広く普及しており、導入・運用のハードルは大きく下がっています。これらは初期コストが抑えられるだけでなく、最新の為替レートへの自動対応や多言語UIの標準搭載など、現場の負担軽減にもつながります。
  2. 決済代行会社のサポート体制の活用
    国内外の主要な決済代行会社では、導入時のサポートやトラブル対応窓口、マニュアル類の多言語化など、インバウンド需要に対応する体制が整ってきています。サポート体制が整った事業者を選定することで、技術的なトラブルや対応力不足のリスクを軽減できます。
  3. 店舗スタッフ向けの簡易研修や動画マニュアルの整備
    言語対応や案内の標準フレーズなどを含めたスタッフ教育は、紙のマニュアルやEラーニング、タブレットを使った動画研修などを活用することで、業務に支障なく短時間で実施可能です。ツールやリソースを活用して「誰でも一定レベルの対応ができる」仕組みを作ることが重要です。
  4. 多通貨決済の「選択肢」を提供する姿勢
    多通貨決済はすべての顧客に強制するのではなく、「選択肢の提供」が基本です。顧客が自国通貨と日本円を自由に選べるように設計することで、トラブルのリスクを下げつつ、利便性と満足度を高めることができます。

導入時にいくつかの準備と見直しは必要ですが、近年はテクノロジーの進化とインバウンド対応の社会的な高まりにより、導入にかかる障壁は確実に低減しています。適切なパートナー選定と運用設計によって、多通貨決済は「コスト」ではなく「体験価値向上の投資」として、大きなリターンをもたらす可能性を持っています。

多通貨決済の導入事例

小売店舗での導入:ドラッグストア・家電量販店

大手ドラッグストアチェーンでは、中国・台湾・韓国などの訪日客向けに、Alipay・WeChat PayなどのQRコード決済と併せて、多通貨対応のPOSを導入しています。これにより、各国の通貨・言語に応じた対応が自動化され、スタッフの負荷も軽減されています。

また、家電量販店では、DCC対応のクレジット端末を用いることで、円建て・外貨建ての選択を顧客が行えるようにし、レシート表示も多言語化されるなど、利便性が向上しています。

宿泊施設での導入:地方ホテルの多通貨対応

北海道のあるホテルでは、チェックイン時にセルフ端末で多通貨による支払いが可能なシステムを導入しました。これにより、スタッフの多言語対応負担が軽減され、チェックイン業務の効率化にも成功しています。

交通機関での導入:地方バス・観光列車

地方の交通事業者では、観光列車や空港連絡バスにて、外貨対応クレジットカードや海外向けモバイル決済に対応。特に、訪日客が集中する空港路線では、キャッシュレス&多通貨対応のスムーズな決済が混雑緩和にも貢献しています。

多通貨決済は「選ばれる店舗」の条件に

多通貨決済の導入は、単なる”支払い手段の一つ”ではありません。インバウンド対応が求められる今、多通貨に対応しているかどうかは、顧客満足度・売上向上・店舗評価に直結する重要な要素です。

とくにクラウド型POSやJPQRのような共通QRコードスキームの普及により、中小規模の店舗でも導入しやすい環境が整いつつあります。

観光立国を目指す日本において、多通貨決済はインフラとして不可欠な存在となってきています。これからの時代に向けて、「選ばれる店舗」として一歩先を行くためにも、早めの対応を検討してみてはいかがでしょうか。

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