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店舗に「顧客接点」と「発見」をもたらすUGC

UGCは、顧客がユーザー目線で発信するレビューや動画といったコンテンツの総称です。

企業発信のものとは異なる率直な意見は、他の消費者が商品を購入する時や、店舗を訪れる時に参考とされやすく、購買行動を決定づけるような力をもっています。

また、たくさんの良質なUGCが集まることで、商品開発や店舗の課題解決といった分野のヒントが見えてくることもあります。

本稿では、店舗マーケティングの重要な施策であるUGC活用の訴求力、従来型のレビューとの違いについてまとめています。

さらに、家電量販店やホームセンター、家具メーカーなどさまざまな分野の実例を挙げながら、顧客との接点を強固なものとするUGCの可能性について探りました。

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店舗マーケティングに有効なUGC活用

UGC(User Generated Content)は、ユーザー生成コンテンツの頭文字をとったものです。企業や広告会社が制作・発信するものではなく、消費者(ユーザー)が制作・発信するコンテンツの総称です。

UGCの具体例は、SNS投稿やレビュー(口コミ)、ブログ投稿などで、これらは消費者の購買行動に大きな影響を与えています。

あるアンケート調査では、消費者の60%以上が何らかのUGCを買い物の参考にしているという結果が得られました。

実物を手に取ってチェックできないECでは、より多くの消費者がUGCを参考にしますが、店頭で手に取れる商品であっても、小売店に行く前にUGCを確認する人は少なくありません。実際に、小売店の商品でも約70%もの人が「事前に何らかのUGCをチェックする」というデータが明らかになっています。

このデータから、UGC施策はECをメインに展開する事業者だけでなく、自社で小売り販売をしない企業にとっても重要な施策であることが分かります。

新規サービスの訴求

新しい商品やお店を知るきっかけとして、TVCMやTV番組は依然として強力な存在です。

しかし、TVを通じて知った新しい商品を購入する前には、ほとんどの人が改めてネットでUGC(レビューや口コミ)を検索し、参考にしているというデータがあります。

若い世代ほどその傾向が強く、新商品や新店舗を利用する前には、TV、インターネットの両方で情報を収集するというのが自然な流れとなっています。

ちなみに、UGCを探すタイミングとして最も多いのは、情報収集をしている時と、候補をある程度決めて絞る時とされています。商品を実際に購入した、実際にお店に行ったというUGCの方が、そうではないUGCよりも重視されやすい傾向にあります。

従来の口コミとどう違う?

従来の口コミは完全に自然発生的なものであり、どのタイミングでどの商品、どの店舗の口コミが投稿されるかをまったくコントロールすることができません。一方でUGCではキャンペーン専用のハッシュタグなどを活用することで、新商品や新店舗の口コミを重点的に書いてもらうようにするなど、ある程度限定的な口コミを募集することが可能です。

なお、これはあくまでハッシュタグを用いてもらうことを働きかけているだけなので、商品を提供して良いところをアピールしてもらうインフルエンサーのPRとは異なります。

そのため、ほかの消費者にとって信頼できる評価と認識されやすく、購入の後押しをする存在となります。

使用した画像はShutterstock.comの許可を得ています

UGCを積極的に取り入れる企業

UGCを積極的に取り入れる企業は増えつつあります。

特に、家電量販店やホームセンター、家具メーカーなどはUGCと相性がよく、マーケティングのみならず、商品改良にも一役かっています。

扱う商品によって多少形は異なりますが、使用感や購入した満足感といった「生の声」のニーズはどのようなタイプの商品でも強いものです。

一般的に、率直な声を収集すれば収集するほど消費者からの信頼は得やすくなります。

また、正直なレビューが増えるごとにマーケティングに活かすための情報としての質も高くなると考えて良いでしょう。

家電量販店

大手家電量販店は、美容家電を試すことができる体験型店舗を、百貨店内にオープンしました。

美容家電は家電品の中でも比較的高価格帯に位置するため、購入前に使用感を試したいというニーズが高いアイテムです。

この体験型店舗では、メーカーやブランドの異なる類似商品を横断的に体験することが可能で、自社商品のみを扱わざるを得ないメーカー側の体験型店舗に対して、強いアドバンテージがあります。

体験型店舗では、約500種類の美容家電が並び、体験後にその場で商品を購入することもできるようになっています。

なお、ヘアケアやスキンケアの本格的なコースに加えて、メイキャップ体験や肌・頭皮診断、パーソナルカラー診断など気軽に体験できるメニューが豊富に取り揃えられているのも特徴といえるでしょう。

これらの体験は、商品を購入しなくても、「体験当日に体験した商品のレビューをSNSに投稿する」という条件を満たせば、無料で受けることができます。

つまり、体験が購入につながらなくても、企業(店舗)はUGCを獲得することができるというわけです。

このレビューはInstagramやX(旧Twitter)、TikTokなどの公開アカウントに投稿することが条件となっており、ハッシュタグや商品名などある程度のフォーマットを指定することで一定のマーケティング効果が期待されます。

大手小売店

2ヶ月で10万件のレビューを集める大手小売店では、レビューをマーケティングに用いるだけでなく、商品開発にも活かしています。

同社では公式アプリに商品の評価、レビューできる機能を導入し、積極的にUGCを獲得しています。

さらに、消費者が自由に意見を書き込んだり、情報交換をしたりできる掲示板機能も搭載して、忖度のない正直な感想の大量収集に成功しています。

同社がUGCを多く集めることに成功した理由の一つとして挙げられるのが、2択の評価システムです。

評価を「良いか」、「それほどでもないか」の2つに絞ることで、曖昧な評価やジャッジに対する迷いを低減させ、「生の声」を集めやすい土壌を作っています。

多くの消費者はネガティブな評価をしにくいのではないかという予想によって、「良い/悪い」ではなく「良い/それほどでもない」という2択を設定したことも、投稿しやすさを後押ししていると言えるでしょう。

この評価と、掲示板での発信は商品開発や、廃盤品を決めるためにも活用されています。特に評価がよくないものは販売終了、あるいは改善に着手し、売れる商品の比率を高めていくことで売上増を達成し、ファン層の形成を確固たるものにしています。

ホームセンター

ペット自慢を募集するキャンペーンが、UGCにつながった例もあります。

九州に展開する大手ホームセンターでは、定期的にペットの写真を公募し、選ばれたものを自社のサイトやTVCMで公開していました。写真はポスターやパンフレットといった販促物にも利用するなど、積極的に顧客との接点づくりとしてキャンペーンを活用してきた経緯があります。

このキャンペーンがペット商品の売上を伸ばした実績から、植物分野でも類似のUGC対策を講じたところ、これが前年比1.2倍の売上を達成しました。

ユーザーが写真を投稿したり、植物の名前や育て方を調べられたりする植物に特化したコミュニティーアプリをリリースしたところ、特に多肉植物や観葉植物ファンの間で人気が急増しました。

投稿写真は2023年10月の時点ですでに2,000万枚を超えており、投稿された写真を店舗のサイネージで流すと、紹介した植物が売り切れるなど、売上に直結する結果が得られたとのことです。

同社では、こうしたUGC対策と並行して、Googleの口コミも重視しています。悪い評価は、その店舗の人手不足や品揃えの偏りといった改善すべき点が見えてくることもあり、これを精査していくことでそれぞれの支店の水準を高く保つことができるとしています。

家具メーカー

もともと、高価で購入個数が少ない家具は、UGC施策を展開しにくい商材とされてきました。良いレビューが集まったとしても、価格帯が高いと「憧れ」に着地して購入に結びつかなかったり、「50畳の広いリビングに最適」といった極端な事例にとどまってしまう可能性があるからです。

しかし、ある家具メーカーはYouTubeやInstagramなど、ビジュアルで製品の魅力をアピールしやすい媒体を活用して、積極的にコンテンツ制作、発信を行ってきました。

インテリアの組み合わせ方などいわゆるハウツー動画の制作も行い、購入を促すだけではない、訴求力の高いコンテンツを充実させています。

そして、こうしたコンテンツと共に、許諾を得た上で顧客発信の画像を組み込み、ECサイトやショールームのアカウントで紹介するというUGC施策を行っています。

紹介した画像を発信した顧客のDMインタビューなども行い、1つのUGC(レビュー、画像投稿)を十二分に活用して、自社のブランディング確立を行なっているのが特筆すべき点と言えるでしょう。

この施策を講じてから、ECサイトの滞在時間や回遊性は向上しており、滞在時間や閲覧数は、前年比2〜3倍と飛躍的に伸長しているとのことです。

相互作用に期待:顧客接点を「濃くする」UGC活用

UGCは消費者からレビューを得てそれで終わりではなく、店舗(や企業)がそのレビューをどれだけ活用できるかが問われます。つまり、レビューを集客だけに用いるのではなく、ブランディングに活用したり、商品や店舗のアップデートをする上での参考としたり、多角的な活用が求められます。

UGCは、店舗や企業が成長するだけでなく、より良いものを顧客に提供できるという、相互作用的な力をもつ施策といえるでしょう。

ネットの発達により、商品やサービスを提供して宣伝をするインフルエンサーの口コミが信頼されにくくなるなど、より純度の高い口コミのニーズは高まる一方です。

かつて多くのフォロワーを獲得する常套手段であった、企業の公式アカウントで自由度の高い発信をする「中の人」も、流行が落ち着くと飽きが感じられて以前ほどの訴求力はありません。

インフルエンサーや中の人よりも、圧倒的に目線が近い同じ消費者の声を、多くの消費者は求めています。

「消費者目線で求めている情報は何か」という点、「自社との相互作用的な効果を見込めるものであるか」という点の2つをクリアするUGC施策が、今のマーケティングトレンドにとって必要なものと言えるでしょう。

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