SquareがWhole Foodsをはじめ大手3社との業務提携を展開
先週の火曜日、モバイル決済システムを提供するSquareはWhole Foodsが同社のiPad型会計システムの使用を開始することを発表し話題を呼びましたが、Squareはこの他にも日本のユニクロ、チョコレートで有名なGodivaといった大手小売業者とも業務提携を結んでいます。
この動きからもわかるように、Squareは引き続き大企業から個人事業家に至るまで幅広い種類のビジネスに適応したサービスを提供していく方向を示しています。
Square社の広報はVentureBeatの取材に対し、「ユニクロはSquare Marketのサービスを導入することで、利用者に対してシンプルでスピーディー、さらに質の高いサービスを提供することが可能になるのです。」と語り、さらに「Whole FoodsにおいてはSquare Standの利用によって、商品の事前購入・店舗引渡しの形でのサービスをより素早く便利に実施することができるようになり、Godivaのケースでは、Square Registerの活用によってバレンタインデーのような店内が混雑する繁盛期においても買い物客が目当ての商品を簡単・確実に購入できるシステムを実現しています。」と説明しています。
スターバックスに次いで、Squareのサービスを導入する大手小売業者としては2社目となったWhole Foodsですが、具体的には店内のサンドイッチ販売カウンターやジュース・コーヒーコーナー、ピザカウンターにビール・ワインバーなどでこのシステムを利用する形になります。
また一部のWhole Foods店舗では「Square Wallet」にも対応しており、買い物客は携帯電話を使用して支払いを行うことでレジに並ぶという手間を完全に省くことが可能です。
また、ユニクロならびにGodivaとの業務提携はこれまでの流れとは異なったもので、決済サービス提供先の多様化を図るSquareの方向性が見て取れます。
Godivaは「Square Register」を店舗で採用しているということは先に触れましたが、ユニクロではSquareのシステムを活用することで事前オーダーが可能となっており、例えば「Square Market」を通して購入した商品を、サンフランシスコのベイ・エリア内の指定したユニクロ店舗で1時間以内に受け取りが出来るという具合です。
その際に、アプリが推定受け取り可能時刻を表示したり各種確認メッセージも送付してくれますし、店舗側には受け取り専用カウンターが用意されているためレジの列に並ぶ必要もありません。
このようなオンラインと実店舗の効率的なコラボといった形式はこの先もますます増えていくことになると予想されます。
Square社は、スマホに繋げてクレジットカードを利用できるようにする通称Dongle(ドングル)と呼ばれる装置を開発するメーカーとして2009年に設立されました。
それまでのPOSシステムは購入・メンテナンス費用が高額な上、かさばる大きさも難点でしたが、Squareのカードリーダーを使えば誰でも手軽にクレジットカードでの支払いに対応できるという点が評価され、この装置は小規模ビジネスの経営者やマッサージセラピストなどの開業医、さらにはタクシー運転手や各種職人など仕事場が固定されていない業種の関係者の間で大きなヒットとなりました。
これを機にPOS業界への進出の可能性を見いだした同社は更なる新システムの開発に着手し、事業規模の大小に関わらず全てのタイプに適応したPOSシステムとして、各種カスタム機能・マネジメントツール・データ分析などを内蔵したソフトウェアを搭載した「Square Register」を発表するに至りました。
こうして2012年には大手企業との業務提携としては初となるスターバックスとの提携を発表し、同社のPOSシステムを各店舗で導入することで利用客は「Square Wallet」を利用した支払いが可能になりました。
またSquareからは「ビジネス用パッケージ」という形で、クレジットカード情報読み取り装置・iPadスタンド・現金用引き出し・プリンターのセットも販売されており、これ一つで同社の決済システムがすぐに使用開始できるようになっています。
一方でSquareはその事業ルーツを大切にしていく方針を掲げており、2013年には「Square Market」を発表することで、EtsyやStorenvyといった他社のサービスのように小規模の企業でもオンライン店舗を展開することを可能にしています。
従来型のPOSシステムをはじめ、モバイル決済アプリやドングル装置開発企業、さらにはこちらも多岐に渡ってサービスを展開しているPayPalなど、競争が激しい決済サービス業界においてSquareは幅広い分野に対応しながら業務提携の実現につなげています。
基本的には、より多くの企業にサービスを提供することで、決済の総数も増えて収益増加につながるという仕組みとなっており、Squareのサービスでは毎回の利用ごとに一律2.75%のシステム使用料がかかり、これによって2013年度は5億5500万ドルの収益が見込まれています。例えばWhole Foodsは2013年にはおよそ130億ドルの収益をあげていますから、そのうちの一部の利用料といってもSquareにとってはかなりの額になってくるというわけです。またこれを踏まえた上で、今年は一般向けにもサービス提供を開始するという情報も流れています。
この記事はWhole Foods is 1 of 3 major deals Square announced in the past weekをOrange Blogが日本向けに編集したものです。