「無人レジ」で店舗の効率は上がる?仕組み・メリットを解説します
「無人レジって便利そうだけど、実際どんなメリットがあるの?」
と思っているかたに向けた記事です。
無人レジとはその名の通りスタッフがいないレジで、商品のスキャンや会計はお客さまが行います。
とはいえ実際の仕組みや導入したときのメリット・デメリットはわかりにくいですよね。
そこで、この記事では
- 無人レジの仕組み
- 無人レジのメリット・デメリット
- 無人レジのメーカーにはどんな会社があるか
の順に無人レジの概要をお伝えします。
仕組みやメリット・デメリットを理解していると、より効率よく無人レジを活用したり、セミセルフレジなど別の方法を考えたりできますよ。
まずはこの記事で、大まかな概要からつかんでいきましょう!
無人レジの仕組み
英語で”self-checkout”と呼ばれることもある無人レジ。無人レジには、現在いくつかの方式があります。
- 商品スキャンが自動でできる無人レジ
- お客様に商品スキャンをしてもらうセルフレジ
- スタッフが商品スキャンをして、会計をお客様にしてもらうセミセルフレジ
- ネットアカウント、モバイル決済を利用するレジレス店舗
1:ICタグで一瞬で会計終了!自動会計レジ
これはICタグ(電子タグ)を活用して、自動で会計ができるレジです。
商品に付いているICタグを専用レジがまとめて読み取るため、スキャンにかかる時間が少なくてすみます。
また、商品はカゴや袋に入ったまま会計ができるので、お客さまの利便性もアップ。店舗の効率が上がり、お客さまがより便利に買いものできる仕組みが無人レジなのです。
電子タグを利用した無人レジを実現するためには、最低でも
- ICタグを読み取れるRFID搭載のレジ
- 商品に付けるICタグ
の2つがなくてはなりません。
2:商品を一つずつスキャンするセルフレジ
従来の、商品についているJANコード(バーコード)を一点ずつ読み取り、会計を行うタイプのレジですが、お客様本人が商品のスキャンと支払いをすべて行うのがセルフレジです。
この方式の場合、お客様がセルフレジの使い方に慣れていないと、スムーズに会計ができない可能性があります。
そのため、レジでスタッフが商品についているJANコードをスキャンして、お客さまが会計をする「セミセルフレジ」という方式も日本では派生的に誕生しました。
セミセルフレジについてもっと知りたいかたは「今注目のセミセルフレジ、使い方から導入法、メリット・デメリットまでを徹底解説」をご一読ください!
また、ディスカウントストアのトライアルカンパニーでは、精算機能付きカートを導入しました。
こちらも参考にしてみてください。
支払いはモバイル決済、もはやレジのない店舗
アメリカで実証実験中のAmazon GOや、中国で運営がスタートしたBINGO BOXなど、ネットアカウントでログインし、モバイル決済を利用するレジのない店舗も登場しています。
レジはお客様のアプリの中にあるようなもので、物理的なレジも、現金やクレジットカードも不要な世界はどんどん現実化してきています。
無人レジのメリット2つ
上記でご紹介した、ICタグを使った無人レジの利点についてご紹介します。
- 会計にかかる時間が減る
- スタッフにかかる人件費が減る
の2つです。それぞれ詳しく説明しますね。
1. 会計にかかる時間が減る
いわゆるセルフレジでは、商品のスキャンから会計までを全てお客さまが行うため、店舗のスタッフが行うよりもかえって時間がかかる問題がありました。
その理由は商品のスキャンを1個ずつしなければならないことで、ICタグを使用した無人レジはこの課題を解決しています。
買いものの流れはシンプルで、
- ICタグのついた商品をカゴに入れる
- 専用のレジに商品をカゴごと置く
- 全ての商品が一瞬でスキャンされ、そのまま会計へ
という3ステップ。ふだんの買いものよりもずいぶんスピーディなことがわかります。
2. スタッフ不足を解決できる
無人レジはその名の通り、レジで会計をするスタッフが必要ありません。人手が不足している小売業界をはじめとして、スタッフの総数を減らしても問題ないのは大きなメリットです。
また、スタッフが少なくても大丈夫なぶん、人件費がかからないのも店舗にとっては利点でしょう。
次は無人レジのデメリットを紹介します。
無人レジのデメリット2つ
無人レジの短所は
- ICタグの価格が高い、初期投資がかかる
- 会計以外の対応をするスタッフは必要
の2つ。こちらも詳しく説明しますね。
1. ICタグの価格が高い、初期投資がかかる
無人レジを運用するうえで欠かせないのが、ICチップが埋め込まれたタグです。商品の情報が入ったICタグが貼り付けられて、レジでその情報を読み取って会計をします。
とはいえ、現状ではICタグの値段は1枚あたり10〜20円ほど。全ての商品につけるにはハードルが高い価格です。さらに、無人レジ専用のレジスターを導入する必要があるので、そちらでも投資する必要があります。
現在、経産省はICタグの開発企業へ補助金をして、コスト削減を目指す姿勢です。
しかしながら肉まんやおでんなど、タグをつけるのが物理的に難しい商品への対応など、ICタグについての課題は少なくありません。
2. 会計以外の対応をするスタッフは必要
例えばコンビニのレジでは、単に商品の会計をするだけでなく
- 公共料金の支払い
- チケットの引換え
などに対応する必要があります。それらも無人レジでできるのがベストですが、いまは難しいのが現状です。
また、無人レジが普及するまでは、使い方がわからないお客さまも出てくるでしょう。場合によっては操作に慣れているスタッフがいるレジのほうが早いかもしれません。
ゆえに本当の意味で無人にはできないのはデメリットと言えます。
無人レジのデメリットをより詳しく知りたいかたは「セキュリティー対策にみる無人レジの課題」をご一読ください!
まとめると、無人レジのメリット・デメリットは
【無人レジのメリット】
- 会計にかかる時間が減る
- スタッフにかかる人件費が減る
【無人レジのデメリット】
- ICタグの価格が高い、初期投資がかかる
- 会計以外の対応をするスタッフは必要
でした。
無人レジのメーカー銘柄にはどんな会社がある?
無人レジのメーカーには
- NCRコーポレーション
- 東芝テック
- パナソニック
などがあります。かなり技術力が必要なため、そもそもの蓄積があるメーカーがほとんどです。
参考の価格や詳しい仕様などは「【保存版】セルフレジ・セミセルフレジ~メーカー別比較~」をご一読ください!
無人レジを活用して、店舗の効率はアップするのか
無人レジについて、ざっくりと概要をお伝えしました。
おさらいすると、そもそも無人レジの仕組みはICタグ(電子タグ)を活用して、自動で会計ができるタイプのものについては商品はカゴや袋に入ったまま会計ができるので、お客さまの利便性もアップします。
設備としては最低でも
- ICタグを読み取れるRFID搭載のレジ
- 商品に付けるICタグ
の2つが必要です。そして無人レジのメリット・デメリットは以下の通りでした。
【無人レジのメリット】
- 会計にかかる時間が減る
- スタッフにかかる人件費が減る
【無人レジのデメリット】
- ICタグの価格が高い、初期投資がかかる
- 会計以外の対応をするスタッフは必要
現状では、ICタグや専用レジなど追加での投資が必要でありながら、セキュリティやコストの面で不安が残るのが本音です。
とはいえ、レジ業務の全てが無人になれば、お客さまの利便性はもちろんのこと店舗の人件費を減らすこともできます。
セルフレジを使う流れは、スーパー・コンビニを中心に広まっており、具体的にはイオン・GUなどの大手が多いです。
2017年4月には、経済産業省とコンビニ大手5社が共同で「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」を発表しました。これはコンビニの全店舗でICタグを使った商品管理をしようというもので、実現のためには莫大なコスト・時間がかかります。
2020年には東京オリンピックを控えていることもあり、日本の小売を世界水準にまで持っていこうとの意思もあるのでしょう。
理想としているところまで無人レジのコスト・技術が改善されれば、日本のレジから人がいなくなる日が来るのかもしれません。
この記事を書いた人
黒田剛司
大阪市立大学商学部を卒業後、新卒で独立。学生時代に身につけた経営・流通・マーケティングなどの知識を活かし、コマースについて幅広いジャンルで執筆。また、サイト制作やWebメディア運営も請け負っており、IT系の記事作成も可能。無類の動物好き。