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初めてのショッピングセンター出店で失敗しないPOSの選び方

小売業や飲食業で、ショッピングセンターに初めて出店するというお客様から「POSはどうやって選んだらいいか?」とお問合せをいただくことが多くなりました。路面店とショッピングセンターでは、POSシステムに必要な機能が異なります。

ショッピングセンターの店子(テナント)として欠かせないPOSの機能と、入店してから慌てないための注意点をご紹介します。

目次

まずはショッピングセンターの精算システムを知ろう

ショッピングセンターのテナントと路面店の最も大きな違い、それは家賃の支払い方法です。

路面店であれば、「1ヶ月20万円」など毎月定額の賃貸料を支払えばいいのですが、ショッピングセンターの場合は「預かり金精算方式」という歩合制を導入しているところが多く、テナントの売上に応じて家賃が変動します。ショッピングモールによって歩合の割合は変わりますが、テナントの売上のおおよそ6~10%程度が家賃となることが多いようです。

また、「預かり金精算方式」という名のとおり、ショッピングセンターが各テナントの1日の売上を毎日徴収し、そこから家賃を差し引いた分を1ヶ月に2回テナント本社に振り込むという仕組みになっています。

※売上が少なければ家賃が減るかというと、そういうわけではありません。
 最低保障料金として家賃が決まっている場合がほとんどです。
 (例)家賃 : 売上の10%(最低売上 500万円)
  ⇒1ヶ月の売上が500万円に達しなくても、50万円(500万円の10%)は
   いただきますよ、600万円売れたら60万円くださいね、ということ

預かり金精算方式に対応するため、各テナントは毎日のレジ締めで、ショッピングセンターへの売上報告用の精算レシート(精算ジャーナル)を出力し、現金とともに商業施設管理者に提出する必要があります。

ショッピングセンターに導入できるPOSシステムとは

この独特の家賃徴収方式に対応するために、ショッピングモールのテナントのPOSには少なくとも下記の3つの機能を持っていることが求められます。

ショッピングセンターに導入するためのPOSシステム条件

① 精算レシートを出力できること
② 電子ジャーナルに対応していること
③ 支払種別を複数登録できること

それぞれどのような機能でなぜ必要となるのか、事例ケースをみてみましょう。

精算レシートを出力できること

(トラブルケース1)
閉店後にレジを締めて、現金をショッピングモールのバックオフィスの入金機に投入した。翌日センターの管理者から呼び出されて、レジの売上と入金した現金の金額が合わないと言われた…。

ショッピングモールの管理者は、レジに入力されたデータを正とみなし、家賃を計算します。レジ入力データをプリントアウトしたのが「精算レシート」と呼ばれる証明書です。

各テナントは、売上金の預け入れだけでなく、毎日閉店後に「その日の合計売上はいくらか、カード決済されたのはいくらか、いくつ商品が売れたのか」といったデータを書類にまとめ、精算レシートとともにモール管理者に提出します。モール管理者は精算レシートと預かり金を突き合わせ、現金に過不足がないかを確認し、ズレがあればテナントの担当者を呼び出しその原因を調査するのです。

なお、家賃は店舗の売上に対し歩合計算されますが、店舗としては「売上にカウントされたくない金額」があります。例えばアパレルショップの場合、ショッピングモール指定の裾上げサービスを利用すれば、裾上げ代はショップで預かるものの、そのまま別の業者に支払うことになるため、ショップの売上ではなくなります。

そのため、テナントは「総売上」から「(裾上げ代のような)自分たちの売上ではない金額」と「消費税」等を差し引いて、本日の売上は○○円ですと説明するためにも精算レシートが必要となります。

精算レシートは、ショッピングモールとテナントが「家賃として計算すべき正しい売り上げを確認するため」に存在します。

電子ジャーナルに対応していること

(トラブルケース2)
精算レシートをショッピングモールに提出したら、現金とクレジットカード利用金額が合わないと指摘を受けた。売上の詳細を確認するため「ジャーナルをもってきて」と言われた…。

精算レシートの表示金額と、カード伝票や現金の額に差が生じた場合には、「なぜ誤差が出ているのか」を確認するためにジャーナル(顧客に発行したレシートと同じ内容のデータを記録したもの)を使用します。

たとえば、精算レシート上では売り上げが20万円で、内訳は現金決済18万円、カード決済2万円となっているのに、実際には現金17万円、カード決済3万円だった場合、「カード決済されたものを、レジで間違って現金ボタンを押してしまったな」と推測し、クレジットカードのサイン伝票の打刻時間とレジのジャーナルデータを1件ずつ突合せ、どの会計を間違ったかを確認するのです。

ジャーナルはPOSシステムによって、紙で保存しているものと電子データで保存しているものがありますが、紙で保存されている場合の突合せ作業はつらいです。お客様に渡すレシートと同じものが切り離されず、ロール状で記録されているため、レシートロールをほどいて問題の会計データを見つけなければなりません。

電子化されたジャーナルなら、時間帯や商品名、金額で検索することができるため、比較的短時間で金額のズレの原因を確認することができます。

POSシステムによっては、このジャーナル機能がないものも販売されています。ショッピングセンターには導入できないので注意しましょう。

支払種別を複数登録できること

※1

(トラブルケース3)
出展を検討しているショッピングモールでは、モール全体で利用できる商品券があるのだが、これまで使用しているPOSシステムでは「現金」か「クレジットカード」しか支払種別を登録できず、商品券の売上を登録できない…。

百貨店やショッピングセンターでは独自の商品券を発行していることがあり、その商品券をお客様が使用した場合は、テナントはその商品券の金額をモール管理者に精算してもらうことができます。

しかし、そのためには商品券を何枚受領したか、本当に商品券の利用だったのかをモール管理者に証明しなければなりません。「レジに支払種別がなかったから入れられませんでした」では、通用しないこともあるのでご注意を。

ショッピングセンター出店に関する豆知識

テナントの売上が上がればショッピングセンターの家賃収入も上がるため、基本的に両者の利害は一致しています。しかし、ショッピングセンターはできるだけ多く家賃を徴収したく、テナントはできるだけ賃料を抑えたいという裏の思惑があるので、精算レシートをベースにした“売上”の攻防戦が日々起こっているのです。

ショッピングセンターにテナント出店する前に、予習しておきましょう。

徴収されるのは家賃だけではない

モール管理者は、日々の預かり金から家賃を精算し残りをテナント本社に返金しますが、同時に必要経費も精算されます。

経費の内訳はモールによりますが、光熱費、販売促進費(チラシ代など)、従業員駐車場費、除雪費(雪国)、検便代(飲食店)、夜間警備代などが含まれることがあります。

預かった売上金より経費の方が多くなった場合は、足りない分について請求書が発行されます。

同じモール内で、固定家賃と歩合家賃のテナントが混在している

基本的には預かり金精算方式で家賃が徴収されますが、同じモール内で、固定家賃を支払っているテナントもあります。
例えば、全国展開しているような大型ショップは、売上金を預ける入金機に現金が入りきらないからという理由で固定家賃になっていることがあります。

カード決済は手数料が高いが入金は早い

ショッピングモールでは、モール管理者が加盟店として、各クレジット会社やアクワイアラーと呼ばれる加盟店管理会社と契約を結んでいることが多く、テナントとして入店する際には、モールとクレジット利用の契約を結び、指定された端末を使って決済をすることを推奨されます。自社で加盟店契約をすれば、手数料は3%前後で契約できるケースもありますが、モール指定のクレジットを利用する場合は、4%前後かかることが一般的です。

ただし、自社で契約するよりも入金サイクルが早いというメリットもあります。

たとえばカード利用者がボーナス払いを指定した場合、通常は決済代行業者が入金を確認してから契約者に支払われますが、モールが取りまとめる場合は1ヶ月に2回の精算に合わせてカード決済分も入金してくれるのです。

返品、返金は厳しくチェックされる

返品が発生すると、テナントの売上が下がる、つまりショッピングモールが徴収できる家賃が減るということになるため、「お客様に渡したレシートは回収しているか」「モールで販売した商品の返品だったのか」など、本当に返品があったのか厳しくチェックされます。

というのも、複数店舗出店している企業の場合、どの店舗で売れてもその企業の合計売上に変動はありませんが、モールで売れると家賃として費用が掛かることになります。そこで、モールの売上を路面店に付け替えて、家賃がかかる売り上げを少なく見せようとする企業もいたことから、不正ではないかを確認されるのです。

まとめ

ショッピングセンターに出店するということは、集客をセンターに任せることができる反面、日々のレジ締めや経費精算に対応コストがかかります。POSのモール対応機能はもちろん、「現金とカード決済を打ち間違えない」など人的ミスを防ぐ操作画面のシステムを選ぶことが、最終的なコスト削減につながります。

EC-Orange POSは、イオンやパルコ、六本木ヒルズなどショッピングセンターの導入事例多数のタブレットPOSシステムです。

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