飲食店の開業資金を徹底解説。費用の相場、資金の調達について
はじめて飲食店を開業するときに、一番気になるのがお金の話ですよね。
「いつか自分のお店を持ちたい!…でも、具体的にいくらかかるのかはわからない。」と、開業を迷っているかたもいらっしゃるでしょう。
特に開業資金は、飲食店を開業したいなら、ひとまず用意しておきたいもの。
- 開業にかかる資金の相場はどれくらいなのか
- 資金を調達する方法には何があるのか
- スムーズな資金調達に必要なものはなにか
といった、飲食店の開業時につけておきたい、資金の知識についてまとめました。
- 開業にかかる資金の目安を知りたい
- 実際に資金を集める方法ってなにがあるの?
- 補助金や助成金、融資をフルに活用したい!
このように考えているなら、これから紹介することを知っておくことで、開業時からスタートダッシュを切ることができますよ。
飲食店の開業にかかる、資金の相場
まずは、飲食店を開業するためにかかる、開業資金の相場について見ていきましょう。
開業に必要な資金を大きくわけると。
- 物件取得の費用
- 店舗投資の費用
となります。それでは、それぞれの内訳を詳しくみていきましょう。
物件取得の費用
飲食店に限らず、店舗の開業に必要なのは、物件を取得する費用ですよね。
特に、金額の大きなものとしては「保証金(敷金)」があります。
私たちが普段の生活で借りる、アパート・マンションであれば、その敷金は家賃の2~3ヶ月ほどが相場です。
ただし、店舗の保証金は10ヶ月程度と長くなっています。そのため、初期でもある程度潤沢な資金を持っている必要があるでしょう。
その他にも、
- 礼金
- 仲介手数料
- 造作譲渡費(居抜き物件の内装・設備にかかるお金)
- 前家賃(契約日からその翌月分までの賃料)
が物件取得にかかる費用の内訳となります。
居抜き物件に限った話ですが、内装・設備などを引き継ぐ場合は、前の借り主に対して、譲渡代金を支払う必要があることに気をつけましょう。
店舗投資の費用
キッチンの機器・内外装・備品を中心に、店舗そのものにかかる費用もあります。居抜き物件であれば、機器・内装はそのまま使えて、結果として費用の総額をおさえることが可能です。
店舗にかかる、その他の費用としては、
- 看板施工費
- 店舗クリーニング費
- 人材採用費
- 販売促進費
などがあります。
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結局、総額でどれくらいの費用がかかるのか
店舗の業種・業態、また物件によっても変わりますが、「50~80万円/坪 × 坪数(敷金・礼金・保証金などを除く)」は一つの目安として覚えておくとよいでしょう。
20坪のお店を開業したいのであれば、最低でも1,000万円がかかる計算です。居抜き物件を使えば、その総額はもっとおさえることもできますよ。
- 物件取得の費用
- 店舗投資の費用
この2つを軸に、店舗開業にかかる費用を計算していきましょう!
開業に必要な資金を調達する方法
実際にかかる開業資金を大まかに計算できたところで、資金調達の方法について書いていきます。
選択肢としては、
- 家族からの資金を募る
- 友人からの資金を募る
- 融資制度による、日本政策金融公庫から調達する
- 地方銀行・信用金庫の制度融資を利用する
- 助成金・補助金を利用する
の5つがあります。1つずつ詳しく見ていきましょう。
h4 class=”style4a”>1. 家族からの資金を募る
家族や親戚から資金を調達するのは、最もポピュラー・重要な方法で、他の資金調達手段にも影響してくるものでもあります。
というのも、融資を受ける際に指標となる「資産」に、家族から調達した金額も加算される場合があるからです。
返済義務があると資産としてみなされないので、その点は気をつけながら資金調達を進めましょう。
2. 友人からの資金を募る
自分のネットワークがしっかりしていれば、友人からの出資を募ることもできるでしょう。これまでに培った人脈がものを言う、資金調達法ですね。
ただし、友人からの資金は、融資を受けるときに資産として見なされないケースが多いです。
- 出資者の身元確認
- 贈与契約書の作成
といった証明をすれば、融資制度にも有利に働く可能性が大きいですね。
3. 日本政策金融公庫の融資制度で調達する
親族・友人など、身近な人からの資金調達が上手くいかなかった・足りなかった場合は、金融機関からの資金調達を行うことになります。
中でも、日本政策金融公庫からの資金調達はメジャーですね。他と比べても様々なメリットがある「中小企業経営力強化資金」は、特におすすめの方法になります。
- 他の手段と比べて、利率が低め
- 専門家の代行で、金融機関に行く手間がない
- 融資面談で専門家に同席してもらえる
- 無担保かつ、保証人なしでOK
上記のメリットを十分に引き出すには、専門家の力を借りるのがベストです。
- 資金調達の実績はあるか
- 中小企業経営力強化資金についての知識はあるか
- 資金使途違反についての知識はあるか
この3つのポイントを満たす専門家に依頼することをおすすめします。制度についての知識が豊富な専門家を選んでいきましょう。
4. 助成金・補助金を利用する
飲食店において、比較的よく使われるのが、助成金・補助金です。
具体的には、
- 創業補助金
- キャリアアップ助成金
などがあります。その中でも特に、創業補助金は通りやすくてオススメです。
しかし、利用時期が限定されているのが懸念点。飲食店として独立開業した後、約1年を経過して初めて利用できるお金なのです。
開業前の資金調達手段にはならないものの、飲食店の運営には利用できる補助金なので、覚えておいて損はありません。
5. 地方銀行・信用金庫の制度融資を利用する
飲食業に限らず、多くの業界で利用されているのが、地方銀行・信用金庫の制度融資です。その中でも有名なのは、保証協会付きの融資ですね。
信用保証協会は公的機関です。中小企業など、信用の薄い会社を支援・育成する目的の場所ですね。
銀行に対して「万一のときは、企業の代わりに返済をする」という補償をしてくれるのが特徴です。
審査スピードが遅く、開業前に資金調達できない可能性が高いので、優先度は低めと言えるでしょう。
資金調達をスムーズに行うには?
助成金・補助金、融資を受けやすくするには、
- 開業時の自己負担割合を20%以上にする
- 代替調達手段を考えた計画にする
- 開業資金の内訳・金額を整理する
- 資金の使途を明確化する
- 開業資金の回収計画を明確にする
の5つが必要です。
「資金調達法の洗い出し」「開業資金をどう使うか」が重要なのはもちろん、資金調達後の回収計画まで立てると盤石でしょう。
資本金、社債、借入金を含む「調達した資本」が「当期経常利益」の「何割か」を意味する、ROI(投下資本利益率)を計算して、資金回収に必要な年数を割り出しましょう。
具体的には、「1 ÷ ROI」で出た数字が、具体的な回収年数になります。その年数と、事業計画での年数が乖離していないか、しっかりとチェックしておきましょう。
様々な方法で開業資金を集めて、スムーズな開業を
- 開業にかかる資金の目安を知りたい
- 実際に資金を集める方法ってなにがあるの?
- 補助金や助成金、融資をフルに活用したい!
というかたに向けて、飲食店の開業資金についてまとめました。
飲食店の開業費には、
- 物件取得の費用
- 店舗投資の費用
という主に2つの費用が大きくかかってくること。そして、資金調達の方法には、
- 家族からの資金を募る
- 友人からの資金を募る
- 融資制度による、日本政策金融公庫から調達する
- 地方銀行・信用金庫の制度融資を利用する
- 助成金・補助金を利用する
の5つがあること。スムーズな資金調達のためのポイントは、
- 開業時の自己負担割合を20%以上にする
- 代替調達手段を考えた計画にする
- 開業資金の内訳・金額を整理する
- 資金の使途を明確化する
- 開業資金の回収計画を明確にする
の5点であることを説明しました。
いくら情熱と技術があっても、肝心の資金がなくては飲食店の開業はできません。
飲食店に必要なお金について知識を深めて、スムーズに開業を進めていきましょう!
この記事を書いた人
黒田剛司
大阪市立大学商学部を卒業後、新卒で独立。学生時代に身につけた経営・流通・マーケティングなどの知識を活かし、コマースについて幅広いジャンルで執筆。また、サイト制作やWebメディア運営も請け負っており、IT系の記事作成も可能。無類の動物好き。