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AIカンパニーLINEが電話自動応対「LINE AiCall」実験をスタート

LINEは、予約の電話に応対する「LINE AiCall」の実証実験をおこないました。音声認識やチャットボットといった技術を組み合わせた「LINE AiCall」は、AIが店舗の代わりに予約を受けるAIソリューションです。
実証実験は11月からスタートし、利用状況をみながら調整がなされる予定とのことです。
この記事では「LINE AiCall」の概要だけでなく、AIカンパニーとしてのLINEの姿や展開するプロジェクトについて紹介しています。

目次:

LINEがAI電話応対サービスをスタート!

LINEは、音声認識とチャットボット、そして音声合成の技術を組み合わせたAIによる音声自動応答サービス「LINE AiCall」プロジェクトを発表しました。
実用化に向けた実証実験は、「俺のGrill&Bakery 大手町」でおこなわれます。2019年11月20日から実験はスタートし、固定電話から同店へかけられた予約電話への応対サービスとして運用されました。

音声認識とは

LINE AiCallに活用されている技術「音声認識」とは、人間の声をコンピューターに認識させるテクノロジーをいいます。

  • 話している言葉を文字列に変換する
  • 音声の特徴をとらえて声の主を識別する

音声認識は、大きく分けてこの2つの機能があり、LINE AiCallにおいて重視されているのは「話している言葉を文字列に変換する」という機能だと推定されます。文字列に置き換えて「予約日時」や「予約者の名前」を認識し、自動で予約登録システムにひもづけるというわけです。

キーボードによる文字入力や、マウスクリック、タッチパネルへのタッチに代わる、新しいコンピューターへの指示方法として研究され、スマホ(音声認識)やスマートスピーカーが登場しています。

チャットボットとは

チャットボットは、人工無脳とも訳されるコンピューターのプログラムで、テキストや音声を使い自動で会話をやり取りすることをいいます。
2016年がチャットボット元年といわれており、相槌や会話の要約をする聞き役を「Eliza型」、シナリオに沿って選択式で会話をする「選択肢型」、登録された単語とそれに対するレスポンスをおこなう「辞書型」、会話ログを利用して文脈に沿った応答をする「ログ型」の4つに大別されています。
AIと組み合わせることで、より自然なチャットができるようになり、複雑な文脈も理解できるようになるため、AIによる読解技術とセットで活用されています。

音声合成とは

音声合成は、人の声を音声合成器によって作り出すことをいいます。文章を読み上げる音声変換が多いため、歌声合成と区別するためにテキスト音声合成と称されることもあります。
ちなみに、ボイスチェンジャーのように発話している人の声を別の声に変換させることは声質変換といいます。

コールセンターや公共交通機関の案内放送、電子辞書などで活用されるほか、発話できない人、視覚障害のある人のための医療用サービスでも使われています。
LINE AiCallではかかってきた予約の電話に応対するために用いられています。

LINE AiCall実証実験の概要

「俺のGrill&Bakery 大手町」での実証実験は、株式会社エビソルの提供する飲食店向けの予約管理システム「ebica予約台帳」とひもづける形で実施されています。「ebica予約台帳」の機能のうち、固定電話からの電話予約に応対する部分を「LINE AiCall」が担っており、AIが受けた予約はそのまま「ebica予約台帳」の管理システムに組み込まれます。

「LINE AiCall」による電話応対スケジュールは、11月20日~22日の10:00~16:00までと11月25日~29日の10:00~18:00までで、12月以降は利用状況や「LINE AiCall」の実績を考慮しながら調整されていく形をとっています。
また、プレスリリースには、不明瞭な話し方や雑音の多い環境での利用を避けてほしいという旨の記載があり、「LINE AiCall」がスムーズに運用されるかどうかはまだ未知数の部分もあるのかもしれません。

・LINE「LINE AiCall」
https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2019/2977

「LINE AiCall」実現のメリット

AIが飲食店の予約電話応対するメリットとして、LINEは

  1. 店舗の負担軽減
  2. No showの削減
  3. 顧客満足度の向上

の3つを挙げています。

LINE AiCallで店舗の負担を軽減する

LINE AiCallが予約電話への応対を担うことで、飲食店は接客や調理の手を止めることなく予約を受け付けられるようになります。また、予約システムとLINE AiCallを連携させることによって、予約登録も自動でおこなわれるようになるため、業務効率化が期待できます。
LINEは、美容業界やコールセンターにおいても本来のサービスに集中できるよう電話応対時間の削減を提案していきたいと発表しています。

LINE AiCallで無断キャンセルを減らす

No showは、予約をしたのに姿を見せない顧客のことをさすホテル業界の言葉です。近年では、飲食業界でも、ドタキャンや無断キャンセルをNo showと称するようになり、対策に追われています。飲食店では、予約を受けた時点で仕入れや仕込みといった業務が発生することも多く、予約をキャンセルされると食材にかかったコストや調理した手間がすべて水の泡になってしまいます。
また、座席数に限りがある店舗では、予約のために来店客を断らざるを得ない状況もあり、回転率にも多大な影響を与ええます。
経済産業省は、No showが飲食業界全体に年間約2,000億円の損害を与えていると発表、直前のキャンセル(1〜2日前のなされる予約取り消し)まで含めると、1.6兆円もの損害が出ているとしました。
LINE AiCallは、AIによる電話応対ソリューションで、この問題の解決をはかりたいとしています。

・2018年「No show(飲食店における無断キャンセル)」対策レポート
https://www.meti.go.jp/press/2018/11/20181101002/20181101002-1.pdf

LINE AiCallで顧客満足度の向上をはかる

LINEは、「AI電話応対を導入すれば営業時間外や店内が多忙な時間帯にも滞りなく予約の受付が可能になり、結果的に顧客満足度を向上させることができる」としています。
飲食店の人手不足はすでに慢性化しており、電話応対までなかなか人員を回すことができず、予約の電話を受けられないという状況に陥っている店舗も少なくありません。また、繁忙期には予約の登録がスムーズにいかず、ダブルブッキングや予約漏れを発生させてしまうというケースも散見されます。これはネガティブな口コミを招きかねず、顧客満足度を著しく下げる原因にもなるでしょう。

AIに電話応対を任せれば、24時間いつでも予約受付を稼働させることができるので、予約をとりこぼすこともなくなります。
顧客にとっても、電話するタイミングをはかることなく好きな時間に予約を取れるのは便利なので、顧客満足度UPにくわえて、来店頻度が上がる可能性もあります。

「AIカンパニー」としてのLINE

この実証実験の背景には、LINEの「AIカンパニー」としての側面を強調する動きがあります。
LINEは、2019年11月20日に開催された技術者向けのカンファレンス「LINE DEVELOPER DAY 2019」において、AIを通じて良質な体験を自然な形で提供するという方針を明らかにしました。
「LINE AiCall」のほかにもAIを活用したさまざまなソリューションを発表しています。

・LINE DEVELOPER DAY 2019
https://linedevday.linecorp.com/jp/2019/

LINEペイ、LINEコインの不正を機械学習で防ぐ

LINEは機械学習を活用してセキュリティ、特に不正行為を防ぐ取り組みをしています。
キャッシュレス決済の手段であるLINEペイやLINEコインの利用残高やポイント利用状況のデータを機械学習させることで、通常とは異なる怪しい行動パターンを検知できるようになっているといいます。

怪しい行動パターンは、例えば大量のポイントを入手して現金化しようとしている動きや、マネーロンダリング、組織的犯罪を想定しうる使用などです。これらを洗い出すことによって、迅速な対応が可能になり不正行為を未然に防ぐことが期待されるということです。

また、拡散することで事件やパニックにつながりかねないフェイクニュースを見破るAIも発表されました。情報の錯綜は、災害時のパニックやトラブルを誘発する可能性が高く、また犯罪事件でも憶測やデマから関係のない第三者が名誉を毀損されるケースがあり、対処は現代社会の課題のひとつになっています。

といっても、残念ながらこれは日本向けのサービスではなく、台湾のLINEユーザーに向けた「LINE訊息査証」というサービスです。過去のニュースを教師として学習したAIのLINEアカウントにニュースのURLを送信するとその情報の真偽を判別させることができるといいます。

LINEのAI技術はLINE BRAINの名で各国に提供されている

LINEは、同社のAI技術を「LINE BRAIN」として2019年6月から提供しています。LINE BRAINは、LINEの提供するAI技術をLINE以外の企業が利用できるサービスの総称。日本語だけでなくアジアの諸外国の言語にも対応しており、各国に合わせた行動データ分析やカスタマイズを実施できるという特徴があります。

LINE BRAINの中には「AI OCR」という技術があり、これは自ら学習データを作って認識精度を高めることができます。AI学習において効率的な学習データをそろえることは容易ではありません。現に、Googleが自然言語処理モデル「BERT」を発表した時には、インターネットからラベルづけされていない学習データを取得して事前学習できることが新規的な特徴のひとつとして挙げられていました。

LINE BRAINのAI OCRも、1つ1つデータを与えなくてもデータ自動生成機能を活用することで自ら学習データを作り出すことができます。この特性によって、OCRは認識技術を競い合う国際的大会のICDARで高い成績をマークしました。
通常、7,000字以上の文字データを必要とする日本語フォント作成も、OCRなら500字程度の文字データを入力するだけで、ひらがな・カタカナ・漢字を揃えたフォントを作成することができたと発表されています。

LINE AiCallに代表されるAIカンパニーとしての取り組み

LINEは、AIソリューションビジネス「LINE BRAIN」について、

  • 日本語、アジア言語へのフォーカス
  • ニーズに合わせたチューニング
  • リーチを活かした学習データ獲得

という3つのポイントを重要な戦略として挙げています。
LINE AiCallで協力体制にあるのは株式会社エビソル、チャット飲食予約や予約台帳サービスを展開する株式会社Bespoですが、「LINE BRAIN」関連の開発のパートナー企業は多岐にわたります。主な企業としては、電話回線不要のクラウド型ビジネス電話システムを提供するDialpad Japan、初音ミクなどのキャラクターを「召喚」するボックスで話題になったGatebox、アジア最大の衛星通信事業を展開するスカパーJSATグループの協力が公表されています。

まとめ

LINE AiCallは、実証実験をおこなっている最中であり、普及するにはまだ時間を要するかもしれません。ですが、AIが予約電話にスムーズに応対できるようになれば、今回実験中の飲食店だけでなく、美容院やネイルサロンといった美容業界や、フィットネスジムなど予約電話応対が必要な業種で幅広く導入されるようになっていくのではないでしょうか。

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