【最新版】デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)はどう変わった?
中小企業や小規模事業者が、生産性向上や業務効率化のためにITツールを導入する際、その費用の一部を国がバックアップしてくれるIT導入補助金は、2026年度より「デジタル化・AI導入補助金」へと名称が変更されました。
今回の変更は単なる名前の付け替えではありません。深刻な人手不足を背景に、AI(人工知能)を活用した業務構造の変革や、インボイス制度への完全対応、さらには「サイバーセキュリティ対策を経営インフラとして定着させる」という国の強い意志が反映されています。
2026年度版の主な3つの変更点
以前の制度(IT導入補助金2025まで)と比較して、特に注意すべき変更点は以下の3点です。
① 名称変更とAI活用の明確化
制度名に「AI」が冠された通り、AI機能を搭載したツールの導入がより推奨されます。ツール検索画面でもAI搭載の有無が見える化され、選定しやすくなりました。
② 2回目以降の申請(過年度採択者)に対する要件厳格化
過去(2022年〜2025年)に一度でも交付決定を受けた事業者が再申請する場合、物価安定の目標(2%)+1.5%以上の賃上げ計画の策定・実行が必須要件となりました。未達の場合、補助金の返還を求められるリスクがあるため、これまで以上に本気の賃上げが求められます。
③ クラウド利用料の補助期間(最大2年分)
多くの枠でクラウド利用料が最大2年分まで補助対象となり、導入後の保守サポートや活用支援といった役務も幅広くカバーされるようになりました。
かつての制度との大きな違いは、単なる効率化から、インボイス制度への完全対応および深刻な人手不足への対策へと比重が移ったことです。2026年現在、単なるソフト導入にとどまらず、AI(人工知能)を活用した自動化や、デジタルインボイスによる企業間決済の完全自動化を支援する傾向が強まっています。
【最新】補助枠ごとの比較表(2026年度版)
現在、IT導入補助金は主に「通常枠」と「インボイス枠」の2軸で運用されています。それぞれの違いを以下の表にまとめました。
| 補助枠の名称 | 主な目的 | 補助額 | 補助率 | 対象ITツールの例 |
| 通常枠 | 業務効率化・DX・AI活用 | 50万〜450万円 | 1/2以内 | CRM、ERP、AI需要予測、勤怠管理等 |
| インボイス枠 | インボイス対応・商流デジタル化 | 〜350万円 | 2/3 〜 4/5 | 会計ソフト、POSレジ、受発注システム等 |
| セキュリティ対策枠 | サイバー攻撃への対策強化 | 5万〜150万円 | 1/2〜2/3 | セキュリティお助け隊サービス等 |
| 複数者連携枠 | 商店街やサプライチェーンのDX | 〜3,000万円 | 1/2 〜 2/3 | 共通決済基盤、連携型在庫管理システム等 |
補助対象となる「企業規模」の定義
業種によって中小企業の定義が異なります。以下の基準を確認してください。
| 業種区分 | 資本金の額 | 常時使用する従業員数 |
| 製造業、建設業、運輸業 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業(宿泊・娯楽除く) | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| 旅館業(宿泊業) | 5,000万円以下 | 200人以下 |
ハードウェア導入の補助上限(インボイス枠)
インボイス枠(インボイス対応類型)では、ソフトウェアとセットで導入する場合にのみ、以下のハードウェアも補助されます。
| 対象デバイス | 補助上限額 | 補助率 | 対象例 |
| PC・タブレット・プリンター | 10万円 | 1/2 | ノートPC、iPad、デスクトップ等 |
| レジ・券売機 | 20万円 | 1/2 | POSレジ本体、自動釣銭機、セルフレジ等 |
申請に必須となる3つの事前準備
2026年度の申請では、以下のステップを完了していないとスタートできません。
- gBizIDプライムアカウントの取得
- 電子申請に必須の共通IDです。取得には印鑑証明書等が必要で、通常1〜2週間かかります。
- SECURITY ACTIONの宣言
- 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する自己宣言です。申請には「★(一つ星)」以上の宣言番号が必要です。
- 「みらデジ」経営チェックの実施
- 経営課題を可視化するポータルサイトで診断を行います。診断結果の連携が申請の必須条件です。
採択率を左右する審査ポイントと加点項目
審査は加点方式です。以下の要素を事業計画に盛り込むことが重要です。
- 給与支給総額の増加: 前述の通り、賃上げ宣言は強力な加点要素です。
- DX認定制度の活用: 「DX認定」を取得している事業者は加点されます。
- AI機能の活用: AI-OCRによる入力自動化、需要予測による在庫最適化など、具体的で高度なAI活用計画は高く評価されます。
- クラウド活用: クラウドサービスを導入し、場所を問わない働き方を推進する計画。
2026年度の審査スケジュール例
採択率を上げるには、予算に余裕がある「早い回」で申請することも一つの秘訣です。
- 第1次締切: 2026年5月中旬(採択率が比較的高くなる傾向)
- 第2次締切: 2026年6月中旬
- 第3次締切: 2026年8月下旬以降
デジタル化・AI導入は持続可能な経営への投資
補助金制度は予算に限りがあり、年々要件(特に賃上げやセキュリティ要件)が厳格化する傾向にあります。2026年度も早期の締切回ほど採択率が安定する傾向にあるため、検討されている方は早めに「gBizIDプライム」の取得や「みらデジ経営チェック」などの事前準備を進めることをお勧めします。
IT・AIの導入は、もはやコストではなく、予測不可能な時代を生き抜くための未来への投資です。この制度を最大限に活用し、自社の生産性を次のステージへと引き上げましょう。
(※注:この記事の内容は2026年2月時点の公式ニュースレターおよび公募要領に基づいています。詳細は「デジタル化・AI導入補助金」公式サイト https://it-shien.smrj.go.jp/ を必ずご確認ください。)