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リセール、リコマースの新潮流に注目。Z世代中心に広がる価値観をビジネスに取り入れる

日本で「リセール」といえばイベントやコンサートなどの興行チケットが一般的かもしれませんが、小売業にもリセール人気がじわじわとやって来ています。

米国では、すでに、Z世代と呼ばれる若い世代が好んでリセールのファッションアイテムを購入するようになっています。この傾向が米国のZ世代以外にも広がり、リセール購入は、サスティナブルで賢い購入方法として認識されるようになりました。

リセール購入は、今やポジティブな消費行動と位置づけられていて、商流にリセールを組み込むことで、企業は環境に配慮した循環型経済を行なっているとアピールすることができます。また、再販品の買取やそれに対する金券、ポイントを発行することによって、リセールから新規顧客を獲得することも視野に入って来るでしょう。リセールを入り口として新規の顧客を獲得し、リセールを通じてロイヤルカスタマーを育成できる可能性もあります。

消費者にとって、リセールは安価でサスティナブルな方法で欲しいものが得られる、ポジティブな消費行動になっているため、企業の価値もこの消費者意識に沿ったものを創出していく必要があるかもしれません。

本稿では、リセールの広がりとその社会的意義について、さらに企業価値を押し上げるリセールについて考えます。

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リセールを視野に入れたビジネスモデル

現代社会では、中古品よりも新品の方が良いという価値観がアップデートされつつあります。

アメリカの若い世代を中心に、リセール品を好んで購入する層が増加し、若い世代の選択がその親世代やさらに上の世代にも広がっています。

こうしたトレンドを受けて、ハイブランドを含めた各企業はリセール市場を視野に入れた企業戦略に舵を切り始めました。

リコマースはSDGs的にも賢い消費行動であり、新品を購入するよりも社会的意義のあるアクションだと認識されています。

アメリカではリセール、リコマースがトレンドに

アメリカでは、フリマアプリやリサイクルショップといった場所でファッションアイテムを購入する傾向が見られます。この傾向は若いZ世代に多く見られ、仲の良い友達と服を交換する「ファッション・スワップ」を楽しむ等、新しいアイテムを購入することなく着こなしを楽しむことも流行しています。

これは、SDGsやサスティナビリティといった視点が深く関係しています。Z世代の多くが新品のファッションアイテムを買うよりも、ゴミにならないようにアイテムを有効活用する方に関心が寄せていると見られます。

この影響により、Z世代の親やそれよりも上の世代に、リセールやリコマースの利用は拡大しつつあります。フリマアプリやリサイクルショップといったいわゆる二次流通市場規模は拡大していて、アメリカでのニーズはここ3年ほどで30〜50%近く増加したと分析する専門家もいます。

コロナウイルスの影響で、再販品の処理に時間がかかる等、一時的な売上の落ち込みは見られましたが、年々中古品市場、リセールビジネスの規模は拡大しています。

リセール品購入をポジティブに捉える若い世代

若者は、中古アイテムやリセール品を購入することをサスティナブルな観点や価格から、ポジティブに捉えています。

Z世代以前の消費者は、一度誰かの手に渡った品物を避ける傾向が見られましたが、現在はその傾向が変わりつつあるということです。

とはいえ、どこで売られているリセール品でも構わないというわけではありません。アメリカでは、Z世代および他の全世代においてCtoCの取引よりも、小売店やブランド企業が直接運営するリコマース・サービスを好むことが分かっています。

この流れを受けて、欧米企業では、高級ブランドやアウトドア用品取り扱い企業等がリコマース・サービスに乗り出しています。

リセールまで商流に含めるメリット

世界的に中古ファッションアイテムの売上は増加していて、新品と比較して11倍も速いペースで伸長しているという見方もあります。

特に、スニーカーや高級時計はリセール市場価格が新品定価の約300%の価格上昇をマークしたアイテムがある等、ブランドの価値自体を押し上げる存在になっています。

リセール市場での人気が上がることによって、ブランドは需要を推し量り、ヴィンテージモデルの再販やリメイクを検討することができます。リセール市場の価格が高騰するほど、ブランドや定価販売の売上増も見込むことができると考えると、リセールの商流を無視できない理由が見えてくるのではないでしょうか。

消費者のリセール需要に応えることで、潜在的なニーズを掘り起こして、新しい売上を得ることができます。

さらに、リセールは、社会全体で利益を共有するためのビジネスモデルという観点において、企業価値を現代的にアップデートさせてくれる存在でもあります。

企業価値の向上は、サスティナビリティが重視される現代社会で「選ばれる企業」になるために不可欠な要素です。過去の価値観から脱却し、Z世代を中心とした未来の消費者に支持される企業へと成長を遂げるためにリセールは一つの重要な概念になり得ます。

企業価値の向上

現代社会は多様化し、企業価値も従来とは異なる新しい考え方やアイデアが求められるようになっています。世界的に知られたブランドがリセールで新規顧客を獲得しているという事実は、頑ななまでにブランドイメージを堅持するよう戦略を展開して来た従来の手法とは大きく様変わりしていると言えるかもしれません。

自社でリセールシステムを構築する際に企業がメリットを得やすいのが、消費者が手放したいアイテムを買い取り、再販できるものに対して、自社製品にのみ使えるストアクレジットを付与するという方法です。

消費者が製品を購入し、不要になったらリセール品として郵送、買取となった場合に得られたストアクレジットで新たな製品を購入する、というサイクルが完成すれば、企業が消費者の購買行動を包括的に把握できるようになります。

また、自社製品に使えるチケットやポイントを発行することによって、自分のサイトや店舗から新製品や別のリセール品を購入してもらえるので、ブランドの長期的な顧客を育成することもできます。

さらに、自社製品のリサイクルまでを一貫して行う企業は、SDGsの観点からも企業価値が高くなり、社会的な信頼を得られやすくなります。

買取で自社製品以外もリサイクルできるよう受付すれば、再販希望品を送る目的で接点を持った消費者を、新規の顧客として獲得できる可能性も広がります。リセールを入り口にした新しいマーケティングの手法です。

「選ばれる」企業へ

企業がサスティナブルな取り組みを行なっているかどうか、それは、消費者が商品を購入する時の重要な判断材料になっています。

大量生産、大量消費が優れた成長戦略とされた時代において、消費者が商品を選ぶ基準は「耐久性」や「価格」がメインでした。

ですが、現代社会では、製品を開発・販売する企業が環境や社会のためにどのような取り組みをしているかといった点も、製品の質と同じくらい重視されるようになっています。意識の高い消費者にとって、リセール購入は大量生産、大量消費のサイクルを少しでも小さくするための意義深いアクションでもあるのです。

この新しい価値観においては、我々が生きる環境や社会をよりよくするための取り組みを行い、それをアピールできる企業が消費者の好感を得て選ばれていきます。

世界のアパレル企業やファッション部門は、今、積極的にリセール市場へ参入しています。具体的には、ブランドと事業者が提携することでD2C(Direct to Consumer)のシステムを整えたり、企業が新しいリセール市場を買収する、フリマサービスがリセールにも参入する、といった動きが海外では見られます。

これらは環境的、社会的な貢献を示すことで、意識の高い消費行動ができることを消費者にアピールする施策でもあります。選ばれる企業への価値創出の一環と言えるでしょう。

「買えない」から「リセールで買う」へ

リセールが支持される理由として、小売店では欲しい商品が売り切れで購入できないという悩みを抱える消費者が多いことも挙げられます。

人気ゲーム機、限定コラボのアパレルアイテム等は転売目的の購入者が社会問題化するほどの売れ行きを見せますが、それ以外の商品でも小売店では欲しいものがすでになく、中古品をリセール市場で探すという消費者が多くなっています。

この傾向は、ホリデーシーズンやコロナで物流の混乱が見られる時期に顕著となり、そこでリセールの良さを知った人が日常的に利用するようになる、という可能性も含まれています。

新品よりも安価で、環境に配慮したやり方で欲しい商品が手に入るリセールは、こうした複合的な理由によって消費者に支持されています。

新しいビジネスの価値創出

リセールを商流に取り込むことで、現代にマッチした新しいビジネス価値を打ち出すこともできます。

これまで、ハイブランドのアイテムを中古で買うことはどちらかといえば「新品を買えないための代替行為」という印象がありました。リセール品であることを隠そうとする消費者もいます。

ですが、現代ではリセール品にサスティナビリティという新しい価値観がプラスされたことで、環境を守るために新品ではなく敢えてリセール品を選ぶというスタイルが確立されつつあります。これに伴って、リセールを扱う企業は循環型経済を意識した優良企業とみなされるようになりました。

また、こうした価値観のアップデートによって、消費者が購入費用を節約するためにリセール品を購入することもそれほどネガティブに捉えられなくなってきました。

こうした時代の変化に合わせたリセール・コマースは、企業に新しい価値を付与し、Z世代を中心とした若い消費者にとって好意的に受け入れられる可能性が高くなります。

Z世代を見据えた戦略

世界的なラグジュアリーブランドの多くが、ここ数年で製品の値上げを発表しています。

リセール・コマースとは関係がないように思えますが、実はこうした値上げラッシュが消費者のリセール品需要を高めるきっかけにもなっています。高級ブランドを扱うリセール市場では、ブランドの値上げや人気の状況をデータ分析した上で、リセールの価格を設定しているサービスもあります。独自の価格設定ツールやプログラムを構築することで、リセール・コマースの利益をより上げることができるかもしれません。ファッションアイテムの値上げ傾向は続きますが、流行やブームは不確定要素が多く、完全に読み切ることは困難です。

リセール・コマースにおけるデータ活用は、どのようなトレンドがやって来ても対応できるような柔軟性の高いものである必要が出てくるでしょう。

ブランドが値上げをすると、新品ではなく最初からリセール品(中古品)を求める消費者も多くなっていきます。

リセール品を求める傾向は、今後の消費行動の担い手であるZ世代を中心とした若者に多く見られます。大量消費の時代を経て到来しつつある、サスティナビリティな消費の一つに、リセール・コマースを見ることができるのではないでしょうか。

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