効率よく社内情報共有を進めていくためのポイント
社内で情報を共有しているときはどのようなツールを用いていますか?
組織を用いて仕事を行なっていく場合、スムーズに連携をとって効率よく業務をこなしていくためにも、グループ内での綿密な連絡は欠かせません。そして人の数が増えれば増えるほど情報共有の重要性も増していく一方で、情報共有が難しくなっていくことも事実で、その難しさを身をもって理解したという人も少なくないのではないでしょうか。
そのような大きな組織の中での情報共有を効率化していくために、それに特化した情報共有ツールというものも世に多く出回っています。
ニーズに合わせて好きなものを使えるほど多様な種類がリリースされていますが、実際問題として情報共有ツールを導入してもうまく使いこなせず、結局ツールを十分に機能させられないまま効率の良い情報共有を実現できていないというケースも散見されます。
せっかくツールを導入しても上手く生かしきれないという事態をなくすためにも、今回はなぜ社内の情報共有が必要なのか、そしてどのように情報共有ツールを使いこなしていくのかについてご紹介していきます。
なぜ社内の情報共有が大切なのか
毎日の業務をこなしていると、その職種に関わらず様々な情報が自分の前に現れてくるものです。
そしてそういった情報は例え今の自分には大して価値のないものであっても、他の人にとっては大きな価値を持つ情報である可能性も秘めています。
やはり気づいたことは何らかの手段を用いて他者と共有して置くことが望ましいものなのです。
組織運営には欠かせない情報共有
共有の方法も多々あります。メールやSNS、エクセルやワードなどのアプリケーション…、あらゆるツールが今の時代では使用されていますから、目的やその時のタイミングに応じて使い分けることも可能です。
もちろんツールではなく毎日のミーティングなどで直接共有するのも良いですし、わざわざ形式にこだわって情報をデジタル入力で処理する必要もないでしょう。
情報共有に必要な目的意識
ただ情報共有において忘れてはならないのは、なぜその情報を共有したいと思ったのか、という目的意識です。
もちろん前述のように、「これが役に立つとは今のところ思えないが、一応共有しておく」ということで情報提供を行っておきたいシチュエーションもありますが、それでもその情報そのものに何らかの意味づけを行う必要があります。
情報の意味づけは可能性のレベルでも構いません。もしかしたらこういった方向で役に立つかもしれない程度でも良いので、目的意識を持った情報共有が行えるようになると、より情報の共有そのものの価値も上がり、組織の中のメンバーも積極的に情報のギブアンドテイクが行えるようになっていきます。
組織内の共有情報をスマート化する
加えて質の高い情報共有は組織内の無駄の削減にもつながります。誰もが要点をまとめた的確な社内共有を行えるようになれば、情報そのものが洗練されていくようになりますから、自ずと必要のない作業も削減され、よりメインの業務に集中できる環境が社内に構築されるようになるのです。
元々は貴重な時間を無駄にしないよう情報共有が行われてきたはずなのですから、情報の共有を効率化していくことは必要な業務です。
無駄の少ない情報共有と聞くと円滑なコミュニケーションが取れなくなるのでは、と思われる方もいますが、ここで重要になるのは情報を削ぎ落としてスリム化するのではなく、情報の共有方法から無駄を減らしてスリム化するという考え方です。
共有方法は今の時代ですと様々なものを選べますが、人や部署によって共有方法がバラバラであることが常態化してしまうと、情報の整理がしづらく、結果的に情報の質が下がってしまう結果にもつながります。
たくさんのツールが選べることは素晴らしいのですが、社内情報共有の効率を考えると、やはりある程度、少なくとも定期的な情報共有には組織内で一元化したシステムを構築する必要があると言えるでしょう。
社内情報共有ツールを効率的に使いこなすための方法
そういったこともあって社内情報共有ツールは現在様々な種類のものがリリースされているのですが、もう一つ気をつけておきたいポイントがあります。それはツールを導入しただけでは必ずしも一元化されたシステムを構築できるとは限らないからです。
新しいツールを使いこなすには
新しいテクノロジーや道具は確かに便利なのですが、それを上手く使いこなすことができなければその恩恵を預かることはできません。そして新しいことをやるのはいつの時代でも大変なものです。
今よりも効率よく情報が共有できると言われても、今の状態に慣れていたり満足していると新しいツールを使いこなす手間が負担に感じ、結局使いこなせないままツールが放置されているということも珍しくありません。
そのようなことが起こらないためにも、新しいツールをうまく組織に馴染ませる工夫も必要になるというわけです。
このケースを回避するためには、事前、あるいは導入直後にある程度ツールについてよく理解し、積極的に共有ツールを使っていける人材を確保しておくことが有効になります。
ツールを使ってもらうための工夫
多くの人が新しいツールをあまり使いたがらない理由として、自分一人が使っても意味がないだろう、情報共有ツールを使ってみたいがフォーマットがわからず躊躇してしまっているといった事例が挙げられます。
これらを解消するためには、サクラではありませんが、あらかじめ頻繁に共有ツールを使い、他の人が使いやすいようにうまくリードできる人が必要になるのです。これはいわば新しい土を土壌に馴染ませる作業とでも言えるでしょう。
三城ホールディングスでは、iPadを全店に導入した際、社内で「エバンジェリスト」を募り、iPadを使う楽しさを周囲に伝える仕組みを作ったそうです。
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新しく導入された社内情報共有ツールがよく動いている、使い方も何となくわかるといった環境を整えてあげれば、自然と人はそれを使うようになります。すると結果的に新しい情報共有システムが構築され、情報共有の効率化、ひいては業務の効率化に成功するという流れです。
ただ新しいものを引っ張ってくるだけでは思うように活用することはできません。大切なのは、新しいものをその場に馴染ませる工夫にこだわる努力であると言えるでしょう。
活用したい社内情報共有ツール
最後に現在一般的に使われている共有ツールもご紹介しておきます。
チャットツール
最新の情報共有ツールではないですが、社内情報共有のためのツールとしてwikiが挙げられます。wikiはシンプルな情報共有ツールで、その手軽さから利用している企業も多いことから、比較的導入しやすいことがメリットとして挙げられます。
他に近年利用している人が多い情報共有ツールとしては、Slack(スラック)やChat Work(チャットワーク)も使われるようになってきました。
Slack
Slackはチャンネルというトピックを立てる機能があるため、チャンネルを新規に立てて誰でも自由にコメントを投稿することができます。
Chat Work
Chat Workは1対1のコミュニケーションツールで、コンタクトしたい相手に対し招待をすることでチャットが可能になります。SlackやChat Workは見た目のシンプルさも手伝い、操作の簡単さが魅力です。ファイル送信も行えるためEメールよりもこちらを使っているという人も増えています。
サイネージ
社員に情報の周知を徹底したい場合は、サイネージも効果的です。
サイネージは電光パネルに情報を表示するシステムで、空港に飛行機の発着が表示される電光掲示板がそれにあたります。最近では市役所や病院などでもサイネージを利用しているところが広がってきています。
サイバーステーション株式会社の調査によると、オフィスにサイネージを導入したところ、視聴率は77%、意識の変化は59%、行動の変化は9%という結果が得られたそうです。
デスク周りに社則や目標を書いた紙を貼ることで意識することもできるかもしれませんが、サイネージは画面が常時切り替わるという性質上、人の注意や関心を得ることができるため、社員にたいして確実に伝えておきたい情報を繰り返し流すことで締め切りなどを意識させたり、意識を高めることにも役立つこともあります。
その他社内情報共有に便利なオープンソース
Aipo(アイポ)
便利な社内情報共有のオープンソースとして、Aipo(アイポ)があります。掲示板や日々のタスク管理に便利なTo doリストの作成、スケジュール管理、ファイルの共有、メール、社内SNSといった機能を兼ね備えています。オープンソースのため、他にも機能を追加した場合はストアから機能を拡張することができます。
Aipoの大きな特徴は情報の見える化によって共有できることです。Aipoを導入することによって社内で通常行われているスケジュールの確認や、メールの確認、会議の招集といったことも行えるため、社内で共有すべきことを素早く確認することができる便利なツールのひとつです。直感的に操作できるデザインになっているので、使いこなすまでにそう時間はかからないでしょう。
iQube
iQubeも人気の社内状況共有ツールです。機能はスケジュール管理、社内wiki、To do リスト、メール、ニュース、電話メモなどの管理ができます。プレミアムプランではファイル・ワークフロー・掲示板・タイムカード・アンケート機能が使えるようになります。
iQubeの特徴としてはレポート機能が優れています。レポートは会議の議事録や営業報告、業務ごとのマニュアルやルールなどを共有するときに使えます。公開範囲の設定も行うことができ、スケジュールとの連携も可能なため、会議で用いる資料を事前に周知しておきたいときや、新入社員が入社してきたときでも過去のノウハウがつまった資料として参考にすることができます。作成方法も簡単で、テンプレートを用意すれば毎回それを呼び出すだけで作成を行うことができます。
iQubeには無料プラン、スタンダードプラン、プレミアムプランがあり、月ごとでの利用も可能です。最低利用人数は5IDから申し込みが可能で、導入コストもかからず申し込みから1日で利用開始できます。人数の追加にも対応しており、会社の規模が大きくなっても必要な分だけIDを追加することができます。
セキュリティ管理も徹底され、全ページのアクセスにSSL暗号化通信を用いることができます。ファイアウォールの設置や回線障害の防止などのセキュリティ対策も行っています。
ツールの導入は手間のかかるものですので、そうなんども選べるものではありません。組織に必要なツールをよく吟味するためにも、社内の情報共有に何が必要なのかを改めて整理してから選ぶのが良いでしょう。
海外拠点のスタッフとも情報共有をスムーズに TOYOTA Chatterの例
海外拠点のスタッフとの情報共有はなかなかうまくいかないことがあります。伝えたい内容を伝えたつもりでも、細かいところまでは相手にうまく伝わらないことが多いです。基本的に英語を用いてコミュニケーションが行われますが、母国語ではない言語で詳細を伝えることは非常に難しいことです。
海外に多くの拠点をもつTOYOTAでは、海外拠点のスタッフと情報共有を行うための「TOYOTA Chatter」というチャット機能を用いています。TOYOTA Chatterを用いることによって、海外拠点のスタッフともスムーズにやり取りをおこなうことができます。具体的には、日本語で書いた文章を英語で自動翻訳するしくみですが、自動翻訳による英語のニュアンスが異なるときは専門のオペレーターが手動で英語に翻訳を行い、さらに手動で翻訳された英語を蓄積することによって自動翻訳の精度も上げていくことができるという画期的なシステムです。
たとえ英語が苦手な人であっても、このツールを用いれば海外拠点のスタッフともやり取りが行えます。
海外拠点を持つ企業や、海外の企業と取引を持つ日本企業はこれからも増えていくことと予想されます。ソフトウェアやスマホアプリなどの開発においては、開発費用が比較的安価な海外のIT先進国に流れていくオフショア開発が増えていくことが予想されるため、TOYOTA Chatterのような英語翻訳できるコミュニケーションツールはこれから需要が高まっていくことでしょう。
まとめ
以上、さまざまな社内情報共有ツールをご紹介しました。WikiやSlack, Chat Worokなどチャット機能のみのツールもあれば、AipoやiQubeといったチャット機能以外にも多彩な情報共有機能を充実させているツールもあります。またサイネージを用いて情報に繰り返し触れることにより周知を徹底したり、海外とのやり取りにおいて役立つTOYOTA Chatterのような翻訳ツールなど、今や情報共有を行うツールは充実しています。
今後はメールだけではなく、上記に挙げたようなツールを用いることによって社内情報共有のしかたが大幅に変わっていくことになるでしょう。