ハウス型電子マネーとICチップ型電子マネーはどう違う?店舗で利用するメリットとは
目次
●ICチップ型電子マネーとは?
●ハウス型電子マネーとは?
●ICチップ型電子マネーとハウス型電子マネーの比較
●まとめ
Suicaをはじめとした交通系電子マネーや、コンビニで言えばセブン-イレブンのnanaco、 ローソンのponta、イオングループのWAONはすっかり私たちの生活に浸透しなくてはならないものになりました。
これらの電子マネーに共通するのは、あらかじめカードに現金をチャージしておき、専用読み取り機にカードをかざすことで決済を行うことができる点です。
利用客からすれば細かい小銭を探したりする必要もなくスマートに決済を行うことができる点と、クレジットカードのように使った金額が積み上がらずに決めた範囲内の金額で安心して使える点が魅力です。年齢制限もなければクレジットカードのような審査も必要ありません。
カードによっては使うことでポイントが貯まったり特典がつくというメリットがあります。
電子マネーを提供する企業にもメリットがあり、電子マネー決済により消費者の利便性を高めることができるためサービスが向上するという点、また電子マネーを利用客に使ってもらうことにより利用客の囲い込みを行うことができる点が挙げられます。
カード決済と言っても、クレジットカード決済とは意味が異なります。
クレジットカードはどこでも使えるため、企業や店舗に固定客がつきにくいというデメリットがありました。そこで登場したのが企業や店舗ごとに発行する電子マネーです。
(参考)日本経済新聞 電子マネー決済5兆円突破 「少額利用」広がる
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ28HO0_Y7A220C1000000/
企業が決済方法のひとつとして電子マネーを導入する場合、2通りの選択肢があります。
電子マネーには2種類があり、ひとつは「ICチップ型電子マネー」もうひとつは「ハウス型電子マネー」です。
それぞれの特徴について触れた後、比較を行っていきたいと思います。
●ICチップ型電子マネーとは?
非接触型ICカードを用いており、カードにはICチップが組み込まれていることが特徴として挙げられます。
このICチップにチャージ金額や利用金額、残額などのデータが記録される仕組みです。ICチップを専用機器に読み取らせることで決済を行うことができます。
ICチップ型電子マネーには「プリペイド型」と「ポストペイ型」があります。
ICチップ型電子マネー【プリペイド型】
プリペイド型は事前に現金をカードにチャージし、そのチャージした範囲内で使うことができます。
ICチップ型電子マネーのプリペイド型として有名なのは、冒頭で登場したSuicaをはじめとした交通系の電子ICカード、セブンイレブンのnanaco、ローソンのpontaなどです。
ICチップ型電子マネー【ポストペイ型】
ポストペイ型は後払いで、チャージをしなくていいという利点がありますが、クレジットカードと紐づけなければいけないという不便さがあります。クレジットカードを持っていない方はわざわざクレジットカードに審査を申し込んだ上で、その審査が通らないことには使えません。
ポストペイ型はiDやQUIC Payなどが挙げられます。
ICチップ型電子マネーの仕組み
ICチップ型電子マネーは、特定の電子マネーを導入している企業・店舗と消費者の間にICチップ型電子マネー発行元を挟んでいる仕組みのことです。
私たちは電子マネーを使う際、特定の店舗に現金をチャージすることで電子マネーを使えるようになるため、チャージした金額は直接企業や店舗に行っているに見えると思います。
しかしICチップ型電子マネーを導入している場合、消費者がチャージした金額は企業や店舗に直接売上としては上がらず、一旦ICチップ型電子マネー提供元がチャージした金額を預かります。
売上が上がった際、導入企業側には消費者がどのような商品・サービスを購入したのか知ることはできません。
月末になって電子マネーで売上げた金額のみが導入企業に入金されるため、分析が行いづらいというデメリットがありました。
そのほかにも、ICチップ型電子マネーのメリット、デメリットを挙げると以下が挙げられます。
メリット
・消費者の決済における利便性を高める
・導入企業・店舗において清算時の効率を高める
デメリット
・一定期間使用していない場合、失効しチャージ金額がなくなってしまう場合もある
・残高の確認が行いづらい
・導入企業側にとっては手数料が高い
・マーケティング分析が行いづらい
・カード紛失時の返金が難しい
●ハウス型電子マネーとは?
ハウス型電子マネーは、ICチップ型電子マネーと同じように見えますが、カードにICチップは内蔵されていません。磁気によって読み取ります。
データをクラウド上で管理することによって消費者と企業双方の利便性を高めることができます。
消費者が電子マネーで決済する点はICチップ型電子マネーと変わりません。
消費者はカードを使う前にチャージを行います。
この時企業は消費者から前受金としてお金を預かっている状態となります。
ここがICチップ型電子マネーと大きく異なる点です。
そして消費者が何かを購入したことでチャージした金額から引かれた際、企業や店舗では売上として上がります。
ハウス型電子マネーでは、特典をつけられることで消費者にお得感を感じさせることができ、売上増にもつながります。
例えば、ユニークなポイント制度があるステーキレストランの「いきなりステーキ」。注文したステーキのグラム数がポイントとなり、、貯まったポイントに応じてランクが上がっていきます。その名も「肉マイレージカード」。
チャージ金額に応じてボーナスが設定されており、ランクが上がるごとにクーポン進呈、誕生日にはステーキのプレゼント、来店ごとにドリンク1杯無料など様々なサービスを用意しています。
http://ikinaristeak.com/mileage/
(参考:株式会社ペッパーフードサービス いきなりステーキ肉マイレージカード)
ハウス型電子マネーのメリットは、電子カード発行元が導入企業に対して利便性を高めた結果、キャッシュフローを良くすること、売上・マーケティング分析を可能にしました。
メリット・デメリットは以下が挙げられます。
メリット
・ICチップ型電子マネーと比べ低コストで導入可能
・特典をつけることで集客や売上増につながる
・残高確認が気軽に行える
・チャージ金額も前受金として入金されるため、キャッシュフローが良くなる
デメリット
・一定期間使用していない場合、失効しチャージ金額がなくなってしまう場合もある
・カード紛失時の返金が難しい
●ICチップ型電子マネーとハウス型電子マネーの比較
ICチップ型電子マネーとハウス型電子マネーは、消費者が使う分にはさほど利便性は変わらないでしょう。
カードによって機能や特典が異なるため、どの判断基準をもって使い勝手の良し悪しを判断するかは難しいですが、決済の方法についてはただ読み取り機械にかざすだけなので、決済方法については双方とも変わりはありません。
消費者目線で考えた際、ICチップ型電子マネーとハウス型電子マネーではパソコン・スマートフォンから残高の確認が行えるという点でハウス型電子マネーが使いやすいと言えるでしょう。
ただし、消費者が電子マネーを用いる際、双方の電子マネーにおけるデメリットとして、以下の問題があります。
- チャージ金額に制限があるため消費者が大きな金額の買い物をしづらい
- 現金をチャージした後は現金を払い戻すことができない
- 紛失した際は返金されない
- 有効期限があり、一定期間使わない場合失効し使えなくなる
チャージ金額上限がある点や、一度チャージしてしまうと返金対応が難しくなるという点、有効期限がある点は電子マネーの利用を阻害する原因です。
しかし現時点では紛失の際のリスクを考えると、電子マネーはあくまでの少額の利用にとどめるしか方法はないようです。
ICチップ型電子マネーとハウス型電子マネーのどちらが良いかという問いについては、企業や店舗が導入のメリットを考えた時の選択肢であると言えます。
●まとめ
いかがでしたか?
従来のICチップ型電子マネーは利用店舗が増えることによって消費者の利便性を高めることができました。企業・店舗にとっても消費者が電子マネー決済を活用することで売上を伸ばすことを可能にしました。
これからは導入コストが比較的安くキャッシュフローを良くするハウス型電子マネーが多くの企業・店舗に受け入れられることで徐々に広がっていくことでしょう。