インストアマーケティングとは?事例を交えつつ徹底解説。
「インストアマーケティングって何?具体的にどういうことをするの?」
と思っている方。
インストアマーケティングは、売り場のセールス力を高める考え方全般をさします。この考え方を使えば、お店の売上をさらに伸ばすことが可能です。
とはいえ、実際にどんなことをすればいいのか、具体的にはわかりにくいですよね。
そこでこの記事では、
- インストアマーケティングとは「売り場のセールス力を高める考え方全般」
- インストアマーチャンダイジングとの違い
- インストアプロモーションとの違い
- インストアマーケティング事例3選
- インストアマーケティングとロイヤルカスタマー
の順にお伝えします。
単語だけ見るとややこしそうなインストアマーケティングも、概要をおさえることは難しくありません。
インストアマーケティングのポイントを知り、お店の売上アップを実現しましょう!
インストアマーケティングとは「売り場のセールス力を高める考え方全般」
インストアマーケティングとは「売り場のセールス力を高める考え方全般」です。
お客さまと商品が顔をあわせる「売り場(店頭)」を起点としたマーケティングを行うことで、
- 売上アップ
- ムダやコストの削減
を目指します。
この考え方が広まった理由は、お店の数が増えて競争が激しくなり、消費者のニーズが多様化することで、従来の「価格」と「販促」に頼った営業の効果が下がったためです。お客様のニーズを現場でさぐり、スピーディに対応するために、あらためて「売り場(店頭)」の可能性が見直されました。
インストアマーケティングは、「フィールド・マーケティング」や「店頭マーケティング」とも呼ばれます。
次はインストアマーケティングとよく似た用語の「インストアマーチャンダイジング」「インストアプロモーション」についてそれぞれ説明しますね。
インストアマーチャンダイジングとの違い
インストアマーケティングが「売り場のセールス力を高める考え方全般」なのに対し、インストアマーチャンダイジングは売り場の中でもとくに「品ぞろえや陳列に対する考え方」をさします。
インストアマーチャンダイジングのポイントは、
- 顧客のニーズに合った商品を取りそろえること
- 望む商品が見つけやすいように陳列すること
の2つです。
店内が雑然としていてどこに商品があるのかわかりにくい状態では、お客さまの欲しい商品をアピールできず、結果として販売チャンスを逃してしまいます。お客さまが望む商品をそろえ、わかりやすく陳列することで、買い上げ点数や客単価を上げることが可能です。
インストアプロモーションとの違い
インストアマーケティングが「売り場のセールス力を高める考え方全般」なのに対し、インストアプロモーションは売り場の中でもとくに「広告や宣伝に対する考え方」です。
インストアプロモーションは、
- 価格主導(店内広告、割引シールなど)
- 非価格主導(デモンストレーション販売、POPの作成など)
の2つに分かれます。インストアプロモーションのポイントは、いかにお客さまの購買心理にはたらきかける演出ができるかです。
ここまでをまとめます
いったんここまでをまとめます。
まず売り場のセールス力を高める考え方全般である「インストアマーケティング」がありました。インストアマーケティングの考え方を取り入れることで、売り場を最適化でき、売上アップやコスト削減が実現できます。
また、インストアマーケティングのなかに、品ぞろえや陳列に対する考え方の「インストアマーチャンダイジング」、広告や宣伝に対する考え方の「インストアプロモーション」が存在すると紹介しました。
ここまでは用語について説明しましたので、次は具体的な事例についてお伝えしますね。
インストアマーケティング事例3選
ここでは、実際にインストアマーケティングが行われた事例を3つご紹介します。
- Les Nouveaux Atelier
- Oak Labs
- レヴール フレッシュール
1. ボディースキャナによる採寸で新たな顧客体験「Les Nouveaux Atelier」
「Les Nouveaux Ateliers」はフランスとベルギーに展開する、オーダーメイドのスーツ専門店です。この店では、最先端のテクノロジーを用いて顧客のスーツを採寸します。
お店に設置されたボディースキャナーは、体全体で200ヵ所もの部位を細かくはかることが可能です。短時間で正確な採寸をしてもらえる点や、スマートなイメージが好評で、顧客のリピートにつながっています。
2. タッチスクリーンつき鏡でスマートな試着室を「Oak Labs」
ニューヨークを拠点にしているテクノロジー企業「Oak Labs」は、”Oak Mirror”と呼ばれるタッチスクリーンの鏡を開発しました。Oak Mirrorは、お客さまが試着室にいながらにして、
- 在庫の情報を調べること
- 別の商品を持ってきてもらうよう依頼すること
- 試着室の明るさを調節すること
- オススメ商品を表示すること
ができます。
お店側にとっても、試着室に持ち込まれた商品のデータを分析することで、よりスピーディに商品の課題を見つけることが可能です。
たとえば、たびたび試着室に持ち込まれているにも関わらず購入されない商品があれば、「その商品は見た目は良いがサイズ感が悪い」など課題に気づき、サイズの規格を見直すなどの対応ができます。
3. 店舗内で動画を使って商品のアピールに成功「レヴール フレッシュール」
ヘアケア用品を扱う「株式会社ジャパンゲートウェイ」は、店頭動画をうまく活用して、シャンプー「レヴール フレッシュール」のアピールに成功しています。
「レヴール フレッシュール」の売りはシャンプーの酸化をふせぐ容器ですが、同社ではそれを「生シャンプー」と表現して注目を集めました。店頭動画では「生シャンプー」を全面にアピールし、ターゲットと同世代であるユーザーの声を紹介したり、他のシャンプーと違う商品のメリットを「進化」と言い換えたり、印象に残る伝え方をすることで購買意欲を高めています。
次は、インストアマーケティングを用いてロイヤルカスタマーを作る方法についてお伝えしますね。
インストアマーケティングとロイヤルカスタマー
インストアマーケティングを実践できれば、ロイヤルカスタマーを作ることが可能です。ロイヤルカスタマーとは、「自社の商品やサービスに対して忠誠心の高い顧客」のことを言います。
ロイヤルカスタマーがもたらすメリットは、
- 仕入れや人件費にロスが出にくい
- 広告や販促をたくさん打たなくて済む
- 安定した売上げを確保できる
の3つです。
ロイヤルカスタマーがいることで安定した売上を確保し、自社の商品やサービスの向上に資金を集中できます。
ロイヤルカスタマーを増やすために、店舗内でカンタンにできるマーケティングは
- ポイントカード
- クーポン
です。
ポイントカードには、来店回数に応じてランクアップするなどの仕組みを採用する方法があります。お客さまは「ランクが上がる」ということに特別感を感じ、より熱心にお店へ足を運んでくれるようになるはずです。
このように特別感を演出する仕組みは、お客さまの囲い込みとリピーター育成において有効な手段です。
またクーポンであれば、通常の割引クーポンに加えて、顧客のライフイベントに合わせたクーポンを配信するのがオススメです。たとえば「誕生日の50%OFFクーポン」などは、顧客にお得感だけでなく、特別感も感じさせることができます。
来店のきっかけと店舗への愛着を同時に持たせ、ロイヤルカスタマーの育成につなげることが可能です。
ハウス電子マネーの導入もロイヤルカスタマー醸成に効果あり
ポイントカードやクーポンを発行し、会員を増やすことと併せて、ハウス電子マネーでさらにロイヤルカスタマーを醸成することができるケースもあります。
ハウス電子マネーとは、その店舗でしか使えない電子マネーで、もともとあったカード会員の基盤を活かし、既存のポイントカードから切り替える方法で導入されています。
ハウス電子マネーを利用してもらうと、顧客がカードにチャージした時点で売上を確保できます。顧客に対しては、チャージ金額に応じてボーナスポイントを付与するなどの施策でチャージを促します。
その店でしか使えないことはデメリットにも思えるかもしれませんが、利用頻度の高い食品スーパーなどでは電子マネー利用率が決して低くないことから、インストアマーケティング施策としても有効な手段といえます。
ハウス電子マネーについては、「スーパーで広がる独自電子マネー。使われる理由と店側のメリット」もご覧ください。
インストアマーケティングの概要をつかんで、店舗の売上アップを!
ここまで、インストアマーケティングの概要についてお伝えしました。
インストアマーケティングには似たような言葉がありますが、それぞれの違いは、
- インストアマーケティング:売り場のセールス力を高める考え方全般
- インストアマーチャンダイジング:売り場の中でもとくに、品ぞろえや陳列に関する考え方
- インストアプロモーション:売り場の中でもとくに、広告や宣伝に対する考え
です。
また、インストアマーケティングを実践することで、ロイヤルカスタマーを育成できることをお伝えしました。ロイヤルカスタマーを作ることのメリットは3つあります。
- 仕入れや人件費にロスが出にくい
- 広告や販促をたくさん打たなくて済む
- 安定した売上げを確保できる
ロイヤルカスタマーを作ることで商品やサービスの向上に集中でき、お客さまの不満をいち早く解決して、より売上をアップさせることが可能です。
まずは、ロイヤルカスタマーの育成に効果的な「ポイントカード」や「クーポン」の打ち出し方について、検討することから始めていきましょう。
この記事を書いた人
黒田剛司
大阪市立大学商学部を卒業後、新卒で独立。学生時代に身につけた経営・流通・マーケティングなどの知識を活かし、コマースについて幅広いジャンルで執筆。また、サイト制作やWebメディア運営も請け負っており、IT系の記事作成も可能。無類の動物好き。